X-ファイル シーズン11 (2018)

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X-ファイル 2018 (字幕版)

Index of Season 11

  1. 闘争 Part3
  2. 死後
  3. 分身
  4. 失われた記憶
  5. グーリー
  6. 子猫
  7. フォロワー
  8. 親しき者
  9. 必衰
  10. 闘争 Part4

#1101 闘争 Part3 ~My Struggle III~

 シーズン10で終わったと思った『X-ファイル』につづきがあった。
 やっぱり作り手も観客もあれで終わったんじゃ納得がゆかなかったってことなんだろう――とかいいつつ、前シーズンを観てからすでに五年の歳月が過ぎていることもあって、僕自身はどんな風に終わったか記憶がさだかじゃなかったけれども。ただひたすらそりゃないぜって思った印象があるばかり。今シーズンでいくらか持ち直してくれればいいなぁと思う。
 ということで、前シーズンの二年後に放送されたシーズン11がディズニープラスのラインナップにあったので、四年遅れで観はじめた。今回で本当に終わってくれることを祈りつつ、これまで通り全エピソード適当にあらすじを書きなぐる。
 注目の第一話はタイトルに『闘争 Part3』とあるからには、前シーズンのつづき――なのだろうと思ったらば。
 なんでも前シーズン最終話を観なおしたうちの奥さんによると、あの話は夢落ちだったというようなひどい展開でつづいているらしい。まぁ、記憶のない僕にはその辺のひどさはわからず。
 物語的にはパンデミックによる世界の終わりがやはり近いとかで、疫病からモルダーを助けるために彼とスカリーの息子のウィリアムを探さなきゃ、みたいな話になる(たぶん)。で、スモーキングマンがなぜか元気そうな姿で出てきたり、彼と敵対する謎の組織――女の人のほうは『ハンナとその姉妹』のバーバラ・ハーシーですって――とモルダーが接触したりして、最後はウィリアムの出生の秘密(そんな話あり?)をスキナー長官が知らされたところでおしまい。
 結局なにがなんだかよくわからなかった。困った。
(Jan. 19, 2022)

#1102 死後 ~This~

 今シーズンも第一話目と最終話が陰謀絡みのつづきもので、そのあいだになんの説明もなく普通のエピソードをつっこんであるという変な構造はシーズン10と同じらしい。
 ということで、この第二話では前回のエンディングなんかなかったような顔をして、いきなりモルダーとスカリーがプライベートを一緒に過ごしているシーンから始まる。
 まぁ、過去にいろいろ大変なことが多過ぎたから、とりあえずふたりが仲睦まじく過ごしているのを見られただけで、あぁ、よかったねぇって気分になる。
 でもそんなのどかな時間は長くはつづかない。モルダーのスマホにいまは亡きローン・ガンメンの長髪の人ラングリーからのメッセージが映し出されたと思ったら、その直後に謎のアーミーの襲撃を受け、ふたりは命からがら逃げだす羽目になる。
 いったいラングリーからのメッセージはなんだったんだ、敵は何者だと調査を始めたふたりは、ローン・ガンメンの墓石に隠された秘密を解き明かし、仮想現実での新世界構築(似非人類補完計画?)をもくろむプロジェクトの存在を知ることになって……。
 途中までは第一話からのつながりがまったくないようだったのに、後半になって事件の黒幕的な立場でバーバラ・ハーシー演じるエリカ・プライスという女性が再登場してくるからたちが悪い。ひろげた風呂敷が回収されずに終わる予感しかしない。
(Jan. 19, 2022)

#1103 分身 ~Plus One~

 自分のドッペルゲンガーに襲われて事故を起こした男性がその後に自殺。同じような事件がいくつも発生していることを知って捜査に乗り出したモルダーは、付近の精神病院で首吊りの絵を描きまくっている多重人格の女性患者とその兄がなんらかの形で事件に関与しているのではと考える。
 超能力ものというか、オカルトものというか。ぼうっと観ていたせいもあって、どういう話なのか、いまいちよくわからなかった。
 事件に関わる弁護士が日本刀のコレクターで、自らもドッペルゲンガーを見てしまって怯え、自宅から銃器など命に関わりそうなものをすべて排除しようとして、最後に壁に飾ってあった多数の日本刀を表に放り出そうとして手を切る、なんてシーンがあったけれど、日本人としてはあれはどうなんだって思った。鞘なしの日本刀ばっかあんなに飾るもの? 日本人の感覚だと日本刀は必ず鞘とセットなんだけれどな。アメリカ人にとっては違うんでしょうかね。よくわからない。
 終盤モルダーとスカリーもドッペルゲンガーを見るようになってさあ大変――ってところから先、どう落ちをつけるのかと思ったら、容疑者兄妹がなぜだか自滅して終わってしまったのが意味不明。集中力を欠いていたせいもあって、なぜそういう結末になるのかわからなかった。
 なんだかこのシーズンは以前に増してわかりにくい話が多い気がする。
(Feb. 12, 2022)

#1104 失われた記憶 ~The Lost Art of Forehead Sweat~

 深夜のカフェでお客の相手をしていた店員がいきなり宇宙人だったことを暴露するという謎の白黒ドラマ映像から始まるコミカルな脱線エピソード。
 この話はもう最初から悪ふざけが全開。外出から帰宅してスカリーからの電話を受けたモルダーがいきなりビッグフットのコスプレをしていたりする何それなオープニングからしてひどい(休暇にビッグフットを探して自然と戯れていたとかなんとか。そんな感じ)。
 そのあとレジーと名乗る中年男性が登場。FBI地下の駐車場で突然モルダーを捕まえ、君は巨大な陰謀で記憶を奪われている、みたいなことを言い出す。でもって、その奪われた記憶のひとつが、モルダーが大好きだった『トワイライト・ゾーン』のエピソードで、それが冒頭のテレビのシーンだったことがわかるという趣向。
 このエピソードの重要なキーワードが「マンデラ効果」で、ウィキペディアによると「事実と異なる記憶を不特定多数の人が共有している現象を指すインターネットスラング」とのこと。ネルソン・マンデラが1980年代に獄死していたという事実とは異なる記憶を持つ人がたくさんいたからその名前が生まれたそうだ。
 要するにモルダーたちの記憶は偽物だぞって話。でもって、レジーはその「マンデラ効果」を「マンデラ効果」ではなく「メンゲレ効果」だとか呼んで、ただでさえ玉虫色のエピソードをさらなる煙に巻く。ついには自分はXファイルのメンバーだったと言い出して、モルダーとスカリーと一緒に事件を捜査しているシーンまで登場するわ、最後には宇宙人まで出てくるわ。もうなにがなんだか。
 終始わけがわからないながらも、まぁ、Xファイルらしいっちゃらしい、このシーズンではもっとも印象的なエピソードのひとつだった。
(Feb. 12, 2022)

#1105 グーリー ~Ghouli~

 冒頭、夜中の廃船に入り込んだ女の子ふたりがお互いのことをモンスターだと思って殺しあうという事件が起こる。
 サブタイトルの「グーリー」は(多分)そのモンスターの名前。つまり『X-ファイル』によくあるモンスターもの?――とか思って油断していたら、意外や意外。これこそが今シーズンきっての最重要エピソードだった。
 女の子たちにはボーイフレンドがいて、じつはふたりの彼氏は同一人物――つまり二股。でもってその二股野郎が彼女たちに超能力でモンスターの幻影をみせた犯人で、じつはその青年こそがモルダーとスカリーの息子、ウィリアムだという話になるからびっくりだよ。なんだそりゃ。
 というとこで、里子に出されて一般人として成長したウィリアムが、その事件をきっかけに追われる身となり、ある特殊能力をつかって逃げおおせるまでを描いたのがこのエピソード。
 あたりまえのように最終話の『闘争 Part4』へとつづいてゆくので、最後まで観終わった今となると、記憶が混じってしまって、どこまでがどっちのエピソードだかいまいちはっきりしないのが困りもの。
(Mar. 07, 2022)

#1106 子猫 ~Kitten~

 ヴェトナム戦争に従軍したことのあるスキナー長官が、わけありな当時の戦友と会うために失踪して、モルダーとスカリーがその行方を追うよう命じられるという話。
 ヴェトナム戦争のときにアメリカ軍が謎の神経ガスを開発していて、それを吸ったスキナーの戦友が正気をなくして虐殺を始めた、みたいな過去のエピソードが冒頭にあるので、それと同じガスのせいで現代でもふたたび被害者が……という話なのかと思ったら、どうも違ったっぽい。サイコパスによる連続殺人の話っぽかった。
 でも最後にじつはやはり政府が……みたいなほのめかしがあるので、単なるサイコパスの話ではないのかもしれない。眠くてちゃんと集中して観れなかったので、細かいところがよくわからなかった。
 ――とはいえ、もう一回観てきちんと内容を把握したくなるような話でもなかったので、わからないことはわからないまま放置して次へ。あしからず。
 サブタイトルの「子猫」はスキナーの戦友のニックネーム。
(Mar. 07, 2022)

#1107 フォロワー ~Rm9sbG93ZXJz~

 シーズン11のすっとぼけエピソードその二――というか、これは全シーズン通してもっとも突飛なエピソードのひとつではと思う。
 モルダーとスカリーが「フォロワー」というカタカナ名のAI制御の無人寿司レストランにいる冒頭からもうムードが変。無機質な店内にいるのはモルダーとスカリーのふたりだけで、その雰囲気はまるでエドワード・ホッパーの絵のナイトメア版のよう。
 妙な空気に戸惑いつつ、ふたりが端末操作で寿司をオーダーすると、スカリーには普通の寿司が出てきたのに、モルダーにはへんてこりんな気持ちの悪い魚――ニュウドウカジカとかいうらしいです――が一匹まるまる出てくる(どう見ても食えない)。スカリー爆笑。
 クレームをつけようと厨房に乗り込んだモルダーは、無人のオフィスで魚をさばく赤い目のロボットに見すくめられて、すぐに退却。
 食事を諦めて店を出たふたりは、別々に帰路につく。自動操縦の無人タクシーを呼んで帰宅したスカリーは、どこからか届いたルンバもどきの自動掃除機に悩まされ、一方のモルダーはスマホでしつこく「チップ」を要求してくるサービスを拒否したことから、ドローンの襲撃を受けたりして、命の危険を感じる事態に陥り……。
 終始オフビートでユーモラスな馬鹿話なんだけれど、対立している相手が無表情なロボットやAIであるところに不気味な怖さがある。そこがこのエピソードの特筆すべき点だと思う。
 ちなみに英語のサブタイトルは「Rm9sbG93ZXJz」で、なんのことかと思ったら、"Followers"という英単語をBase64でエンコードした文字列とのこと。
 それはなに?――というのを説明すると長くなるので割愛。あぁ、なるほど。――と思った僕はキャリア三十年越えのプログラマ。
(Mar. 07, 2022)

#1108 親しき者 ~Familiar~

 黄色いレインコードを着た小さな男の子が不気味な人形に誘われて森に入り込み、なにかに襲われて殺されてしまうというスティーヴン・キングの『IT』へのオマージュみたいな始まり方をするオカルト・エピソード。
 その後もテレタビーズのバッタもんみたいなむちゃ不気味な幼児向けテレビキャラ(どういうセンスだ)に事件を担当する保安官の娘さんが殺されてしまい、事態が連続幼児殺人事件の様相を呈してきたことから、その土地にいた幼児犯罪の前科者が犯人ではと疑われてリンチを受けてしまう(この部分の展開もスティーヴン・キングっぽい)。
 もちろんモルダーはその人が犯人だなんて信じない。事件の背後に魔女や狼男の伝説をかぎつけた彼は、保安官の家に魔術に関する稀覯本が多数あったことから、黒幕は保安官なのではと疑って、その結果、事件の裏にあった愛憎劇を暴き出すことになる。
 まぁ、出来は平均的だけれど、最後にひとひねりあるし、それなりにミステリ色が強いこともあって、このシーズンではもっとも正統的な『X-ファイル』って気がした。
(Mar. 07, 2022)

#1109 必衰 ~Nothing Lasts Forever~

 往年の映画女優が人肉を食らって若さを保っていましたという猟奇的でグロテスクな話。
 これはもしや猟奇度ではシリーズ屈指の一本ではないでしょうか。
 冒頭から生きている人を殺して臓器を取り出す血みどろのオペ・シーンで始まるし、中心人物である女優さんはカルト教団化していて、信者は自らの命を差し出して解体されちゃうし。女優さんの悪行を似非医学で支える悪徳医師は、自らの命を長らえるために、女性と脊髄でつながっているし。もう、うへーって思ってしまうような気持ちの悪い猟奇シーンのオンパレード。自分の血を見ただけで貧血を起こして倒れてしまううちの子には絶対に見せられない。
 終始血みどろの呪われた話だけれど、宗教絡みってことで、最後はスカリーとモルダーが教会でキャンドルを灯して敬虔な雰囲気で終わる。無信心者のモルダーがスカリーに寄り添う情感漂うラストがせめてもの救いだ。
(Mar. 07, 2022)

#1110 闘争 Part4 ~My Struggle IV~

 スカリーとモルダー、彼らの息子のウィリアム、そしてスモーキングマンの因縁の結末を描くシリーズ最終話。
 まさかこのシリーズがこんなに暴力的な結末を迎えようとは……。
 『X-ファイル』はモルダーとスカリーがエイリアンやモンスターの存在を証明しようと奮闘努力する話だと思っていたのに、最後は捜査なんてそっちのけで、人類の滅亡をたくらむ悪人たちとドンパチして終わってしまったのがなんとも残念だ。
 こんなバイオレンスな結末は望んじゃいなかったよ……。
 続編のメイン・エピソードに『闘争』なんてタイトルをつけた時点で、すでに失敗が決まっていたも当然だったんじゃないかって気がしてくる。
 ほんと、この最終話に関しては、エイリアンもモンスターもオカルトもほぼ関係なし。ウィリアムが超能力こそ使うけれど、それも暴力的なものでしかないし(あまりにスプラッターだ)、おかげで全体的な印象はB級ハードボイルド・アクションのよう。スキナーが最後どうなったのかもよくわからない。そんな結末あり?
 少なくてもこんな結末ならば、僕はなくてもよかったよ……。
 結局、広げた風呂敷が広すぎたんだろう。
 考えもなく膨らませた話に無理やり決着をつけようとしたせいで、唯一無二の個性を持ったシリーズがこんなにいびつで不格好な結末を迎えてしまうなんて……。
 やはり未知のものは未知のままにしておいた方がいいってことだろう。
 謎は暴かれないからこそ魅力的なんだという証拠のような作品。
(Mar. 07, 2022)