小石川近況
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2025-04-01 | 蹴 | J1 第7節・鹿島-神戸 New! |
2025-03-29 | 映 | 『正体』 |
2025-03-27 | 映 | 『夜明けのすべて』 |
2025-03-25 | 本 | 『薬屋のひとりごと13』 |
2025-03-22 | 本 | 『無垢の時代』 |
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鹿島アントラーズ1-0ヴィッセル神戸
J1・第7節/2025年3月29日(土)15:00~/カシマサッカースタジアム/DAZN
二連覇中の王者ヴィッセル神戸に勝って、ホーム無敗記録を27に更新! 2位の町田(今年も強いのか)に勝ち点3、それ以降のクラブには4以上の差をつけて、暫定首位から「暫定」の二文字が取れた。
代表ウィークを挟んだため前節からほぼ二週間ぶり。前の週のルヴァン杯一回戦からも一週間以上空いているから、スタメンはこれまで通りかと思ったら、意外や鬼木はふたりの選手を替えてきた。
ボランチには柴崎ではなく船橋を起用。そして左サイドの攻撃的なポジションは松村ではなくチャヴリッチを入れてきた。
ふたりともルヴァン杯に出場しているので、そのときの出来がよかったということなんだろうか。船橋は今年から背番号20を与えられているし、次世代の主力として期待されているのかもしれない。それにしてもキャプテン柴崎にベンチを温めさせたまま終わってしまうのは、いささか穏やかではない気が……。
あと、同じくルヴァン杯でひさびさのスタメン出場の機会を得たにもかかわらず、PKを失敗したという荒木が、今節も出番なしで終わってしまったのも心配の種。本当に彼は今後どうなってしまうのやら……。
まぁ、そんな風に心配な点はあるけれど、チームの状態はとてもよさそうだ。大迫、武藤という年間MVPふたりがスタメンに名を連ねた、ほぼベストメンバーの前年度王者――ベストと呼べないのは故障明けの酒井高徳が途中出場だったことぐらいだろう――をシュート3本に抑え込み、こちらはレオ・セアラの個人技から生まれた虎の子の1点を守り切ってのウノゼロでの勝利。これぞ鹿島という戦い方ができている。
レオ・セアラの決勝点は前半33分。起点はGK早川からのロングフィード。オフサイドポジションにいた優磨はプレーに関与せず、ゆっくり自陣へと戻ってくる。神戸のGK前川が前へ出してきてクリアすると誰もが思ったその瞬間。レオ・セアラが斜めに飛び込んできて、胸トラップでボールをかっさらい、着地後に相手DFと交錯しながら、爪先蹴りでボールをゴールへと押し込んだ。
空中で胸トラップして、そのままシュートまで持っていけちゃうフィジカルがすげー。ほんとこの人には驚かされてばかりだ。
(Apr. 1, 2025)
正体
藤井道人・監督/横浜流星、吉岡里帆、山田杏奈/2024年/日本/Netflix
藤井道人という人が監督した映画を観るのはこれが三本目。連続ドラマの『100万円の女たち』も入れていいなら四本目。
ほとんど日本の映画を観ないくせに、それだけの作品を観ているのは、もちろんファンだから――ではない。単なる巡りあわせ。
まぁ、そのうち三本が野田洋次郎絡みで、この映画の主題歌はヨルシカなのだから、音楽の趣味はきっと近いんだろうなと思う。
この映画を観ようと思ったのは、評判がよさとヨルシカに惹かれたからだったけれど、いやでもこれはよかった。これまでに観たこの人の映画ではいちばん好き。
高校生のときに冤罪で死刑宣告を受けた青年が、脱走して正体を偽りながら無罪を証明しようと逃走生活をつづけるというサスペンス・スリラー。
最初の逃走劇を観たあたりで、これでもしも横浜流星がやはり犯人でした、なんてどんでん返しがあったら嫌だなぁとか思ったりしたけれど、さすがにそんなことはない。
あとスリラーだからこれまでの藤井作品のように泣かせにきたりしないだろうと思っていたら、そんなこともない。
逆にいちばん泣けた。油断していた分、ラストは涙腺ゆるみまくりだった。
日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞をとった横浜流星の化けっぷり――変装四人分と高校生のときと事後の顔でじつに六人分の顔を使いわけている――はさすがに見事だし、物語も最初から最後までスリリングで目が離せない。藤井作品に限らず、この十年くらいに観た邦画のなかではこれがいちばん好きかもしれない。
惜しむらくは、吉岡里帆が絡む二度目の逃走劇でパパラッチに正体を見破られる不自然さと、クライマックスの逮捕劇の演出。前者はなぜ正体がわかったのか説明不足だし、後者は僕の趣味からするとちょっとあざとすぎた。もしかしたらどちらも原作通りなのかもしれないけれど、その二点がもうちょっと違った形だったら満点だった。すごく惜しい。
とはいえ、間違いなくおもしろかった。まだ三月だから気が早いけれど、もしかしたら今年のナンバーワンはこれかもと思うくらいに。
(Mar. 29, 2025)
夜明けのすべて
三宅唱・監督/松村北斗、上白石萌音/2024年/日本/Netflix
上白石萌音と松村北斗という超人気者ふたりの共演作だから、あたりまえのように恋愛映画だと思っていたら、これが違う。このキャスティングで、ここまで恋愛度の低い映画って、逆に珍しくないですか?
この映画で上白石萌音が演じるのは、PMS(月経全症候群)という症状に悩む女性。一方の松村北斗もパニック障害という精神疾患に苦しんでいて、ともにその症状のせいで人間関係や日常生活に支障を来している。
彼らは病気のためにそれぞれの職場を離れざるを得なくなり、救いの手を差し伸べてくれた小さな町工場で職を得て、そこで出会って同僚となる。でもってお互いに病気持ちであることを知って、次第に親しくなってゆく。
ふつうならばそこからロマンスが始まるだろうところで、まったくそういう気配もないのがこの物語のおもしろいところ。ふたりきりでアパートの部屋で過ごしたりするくせに、そこから恋愛関係が発展していったりしない。お互いに好意は寄せつつも、あくまで親しい仕事の同僚以上にはならない。
そんなふたりの微妙な距離感から生まれるぬくもり。その感触がこの映画の全編を貫いているような気がする。
PMSを患う上白石さんは、生理の時期になると自分が制御できなくなり、無気力になったり、ヒステリーを起こして人にあたってしまう。とうぜん周囲との関係はそれでギスギスするのだけれど、演じているのがおっとりとした上白石萌音だからなのか、その演技は不思議と嫌悪感を抱かせない。それどころか逆にコミカルな雰囲気さえ漂わせる。深刻な話なんだから笑っちゃいけないだろう思いつつも、何度かくすりとしてしまった。
松村北斗もそこは同じで、本人たちが深く悩んでいるのは間違いないのだろうけれど、不思議と深刻なムードにはならない。説明的な描写の少ない淡々とした演出と、ポロンポロンと鳴るおだやかな音楽に負うところも大きいのかもしれない。
とにかく激しいところのほとんどない、全編にわたって非常におだやかな作品。おかげで盛り上がりには欠けるけれど、いろいろと過剰さばかりが溢れる世の中だからこそ、たまにはこういう映画があってもいいかなと思った。
(Mar. 27, 2025)
薬屋のひとりごと13
日向夏/ヒーロー文庫/主婦の友社/Kindle
ようやく西都編が終わって、ここから新章スタート!――かと思いきや。
前巻までが慌ただし過ぎたせいだろうか。今回はほとんど物語が動かない。いままでになくおだやかな印象の一冊だった。
まぁ、猫猫が都に戻ってきたら、なぜだか羅半にモテ期が訪れていたり、緑青館の三姫のひとり女華の過去になんらかの秘密があることが匂わされたりと、今後への伏線らしきエピソードがいくつか埋め込まれているのだけれど。
それでもやはり今回はとてものんびりとした一冊だなぁと思っていたら、ラストにすごい爆弾が仕込まれていた。
前巻でようやく壬氏との関係を受け入れた猫猫が、いきなり彼と大人の関係に!
――とか思わせておいて。
やっぱそう簡単にはいかないぜというのがマンガやラノベのお約束。
初夜に備える猫猫の準備周到さが失笑を誘った。
壬氏には同情を禁じ得ない。
(Mar. 25, 2025)
無垢の時代
イーディス・ウォートン/河島弘美・訳/岩波文庫
二十世紀初頭に活躍したアメリカの女性作家、イーディス・ウォートンの代表作にして、マーティン・スコセッシ監督の『エイジ・オブ・イノセンス』の原作。
僕はこの人の『イーサン・フロム』という作品を大学の授業で読んだことがある。
不勉強でほとんど原書を読まなかった僕にとって、英語で読んだことのある数少ない作家のひとりなので、その存在はつねに気にはなっていたのだけれど、日本では知名度が低いため、これまでほとんど翻訳が出ていなかった。
ん? でもこの作品は映画化されているんだから、普通に考えるとそのタイミングで翻訳が出るよな?――と思って確認したら、やはり『エイジ・オブ・イノセンス』公開当時に新潮文庫から
なんで気がついてないんだろう? 当時はまだインターネットが使えなかったので、刊行を見逃したか、はたまた映画のポスターを使った表紙が趣味ではなかったので、あえてスルーしたか。いや、文庫の新刊をチェックしていないとか当時はあり得ないはずだから、後者の確率が高い。映画はいまいち好みではなかったし、きっとそのせいでスルーしてしまったんだろう。
いずれにせよその作品の新訳版が『無垢の時代』とタイトルを変えて岩波文庫から刊行されたのが二年近く前のこと。このたびは見逃さすにゲットして、ようやく読みました。『イーサン・フロム』も知らないうちに白水Uブックスに入っていたので、手に入るうちに入手しておかないと。
さて、そんなこの作品は十九世紀末のニューヨーク社交界を舞台にした恋愛劇。
若くて美しい令嬢メイと婚約中の主人公ニューランド・アーチャーの前に、ヨーロッパの伯爵と結婚したかつての知り合い、エレンが姿をあらわす。
はっきりと書かれてはいないけれど、ふたりのあいだには若いころにロマンスがあったらしく――終盤にニューランドがエレンのお祖母さんから「あなたたちが結婚しなかったのが残念だわ」とか言われるシーンがある――エレンの存在はニューランドのメイとの幸せな日々を徐々に蝕んでゆく。
ウォートンの文体は端正で、いかにも古典という味わいがある。ただ、前述したとおり、ふたりの関係性が曖昧なので、前半の第一部はいまいちもやもやした感触を残したまま、ニューヨークでの上流階級の風俗描写に費やされている感があって、いささか盛りあがりを欠いた。
その第一部の最後でようやくニューランドが態度をあきらかにしたと思ったら、事態が急転してふたりの関係はふたたび暗礁に乗り上げてしまう。このふたりの結ばれそうで結ばれない関係性と、結ばれたとしても決して幸せにはなれそうもないシチュエーションがこの小説の肝だろうと思う。
舞台が十九世紀ということもあって、全体的に古典的な印象なのに、最後の一章だけいきなり時代が変わる構成に意外な現代性を感じた。
ラストシーンの余韻がやる瀬ない……。
(Mar. 16, 2025)