X-ファイル シーズン10 (2016)
Page: Top 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 [Prev] [Next]
Index of Season 10
#1001 闘争 Part1 ~My Struggle~
シリーズ完結からじつに14年ぶりに復活した『Xファイル』の新シリーズ。
本国アメリカでは今年の一月に放送されたものが、日本ではパッケージ・リリースが先行されたために、本家FOXでは10ヶ月遅れでの放送となった。
旧作をぜんぶDVDで持っているのだから、これもパッケージで買うべき? とも思ったんだけれど、そこは節約生活のおり。契約中のスカパーFOXで観られるならば、そこで観るべきだろうと思ったら、放送されない、されない。
すっかり機を逸した感が強くて、いまいち気分が盛りあがっていないんだけれど、まぁ、『Xファイル』については、過去に全エピソードの記録が残してあることだし、このシリーズについても、一話ずつ適当に書いてゆきます。
さて、ということで、注目すべき復活の第一話目。
最初はやはり王道の宇宙人もので来た~。しかもいきなりCGで過去のUFO墜落シーンを描くという力の入りよう。
物語はテレビだかネット放送だかの人気キャスターからスカリー(ジリアン・アンダーソン)経由でモルダー(デヴィッド・ドゥカヴニー)に政府のUFO隠ぺい疑惑を暴く手伝いをしてくれ、みたいな依頼がきて、モルダーがふたたび表舞台に引っぱり出されるというもの。エイリアンによる誘拐被害者の女性やUFOの実物(!)なんかが登場して、過去のエイリアン事件がじつは……という衝撃の事実が判明。モルダーがいきなり本気モードになってスカリー困惑……というような展開になっている。
登場人物は、モルダーとスカリーにスキナー副長官(ミッチ・ピレッジ)、そしてかのスモーキング・マン(ウィリアム・B・デイヴィス)も──なんか悲惨な形で──登場(生きてたんでしたっけ?)。ひととおり顔見せをすませたって感じの一話目だった。さすがにドゲットさんとかはもう出ないんですかね。
まぁ、とりあえず、あのモルダーとスカリーのコンビを再び見られるってのは、それだけで感無量。モルダーがFBIに偉そうに押しかけて、旧Xファイルの資料がすっかりなくなっているのを知り、スキナーを責める一幕では、資料はないのに『I WANT TO BELIEVE』のポスター(見ため新品)だけが床に放置されているのがおかしい。
(Nov 27, 2016)
#1002 変異 ~Founder's Mutation~
第一話のサブタイトルが『闘争 Part1』だったから、二話目は当然そのつづきだと思っていたら、違った。『Part2』はシリーズの最終話までおあずけとのこと(なんとこのシリーズは全六話しかない)。
ということで、この二話目では、前の話のつづきをはしょって、いきなりモルダーとスカリーのコンビがあたりまえのようにFBIに復帰して、ミステリアスな事件の謎を追うという、昔ながらのスタイルに戻っている。なんの説明もなさすぎて、拍子抜け。
物語は、自分にしか聞こえない謎の不快音に苦しんだ男性が、鼓膜を突き刺して自殺するという事件(うわ~、こういうの苦手)の現場にかけつけたモルダーが、なぜだか「これはXファイルだ」ということを見抜いて、捜査に介入してゆくというもの。ひさびさのスーツ姿のモルダーが懐かしい。体格はずいぶん貫録がついちゃったけど。
事件のタイプ的にはXファイルではおなじみの超能力・ミュータントもので、出来映えはまあそこそこかなぁと。クライマックスで双子のやたらと強力な超能力者が出てきちゃうあたり、これはもしや『Xファイル』ではなく『Xメン』?──とか思ってしまうような話だった。
とはいえ、全編にわたって、モルダーとスカリーのあいだに生まれた子供、ウィリアム──そんな子いたんでしたっけ?──についての回想シーンがフィーチャーされているので、シリーズとしては意外と重要なエピソードかもしれない。
(Dec 11, 2016)
#1003 トカゲ男の憂鬱 ~Mulder & Scully Meet the Were-Monster~
Xファイルお得意のコミカルなエピソード。
過去にもシーズンごとに毎回一、二話はこういうのがあったけれど、今回も全六話と短いなかで、しっかり笑いを取りにきた。これでこそXファイル。
内容はこれまたお馴染みのモンスターもの。トカゲみたいな怪人に人が襲われて、Xファイルの出番となるのだけれど、それが実は……という話。
XファイルにもSNSの波が押し寄せてきて、過去のXファイル事件の多くが誤解かインチキだったのがわかったと嘆くモルダーが、みずからスマホ片手にパシャパシャ写真を撮りまくるバカっぽさが情けない笑いを誘う一編。
空想シーンながらスカリーが、らしからぬお色気シーンを演じていたりもします。若いころならばともかく、彼女もすでに四十代後半。しかもちゃんとしたラブシーンならばまだしも、シモねた系のギャグシーンだったりするもんで、申し訳ないけれど、ちょっとばかり見ちゃいけないものを見ちゃった気分に……。
(Dec 18, 2016)
#1004 バンドエイド・ノーズ・マン ~Home Again~
鼻にバンドエイドをまいた謎の怪人がホームレスを迫害する人々を殺して歩くというオカルト・ホラーのエピソード。
腐敗したフランケンシュタインみたいな怪人が人々を力任せに引きちぎって殺すという、その殺人シーンの残酷さが見どころって感じの、いわばXファイル版『13日の金曜日』みたいな作品。
ただ、そんなふうに悪趣味な連続殺人を描くいっぽうで、スカリーの母親が危篤に陥るという、シリーズとしてはけっこう重要な話も展開されている(スカリーがじつは四人兄弟で、兄と弟がいるって、前にそんな話ありましたっけ?)。そして、モルダーとスカリーが子供を養子に出したって話がふたたび取り上げられている。
この話、メイン・ストーリーは猟奇的なのに、エンディングはとてもしんみりと叙情的で、なんだかそこんところのバランスがいまいちな気がする。主人公の悲しみを共有させて感動させるならさせる、スプラッターで怖がらせるなら怖がらせるで、できればどちらか一方にして欲しかった。
ファースト・シーズンでスカリーの父親の死を扱ったエピソードと対になる作品と考えると、お母さんのほうがこういうエピソードってのは、ちょっとばかり不憫だ。
(Jan 03, 2017)
#1005 バビロン ~Babylon~
テキサスで発生したイスラム系の青年による自爆テロという、もしや『X-ファイル』ではなく『24』かってオープニングで始まるこの話。
植物人間状態になって生き残ったテロの犯人から、仲間たちの情報を引き出すために、Xファイル的な手法が使えないかと、若き日のモルダーとスカリーを思わせる男女ふたりのFBI捜査官(ロビー・アメルとローレン・アンブローズ)がモルダーたちを訪ねてくる、というのが最大のポイント。
この依頼に対して、モルダーとスカリーはそれぞれ別行動をとって助け船を出す。当然スカリーは科学的に、モルダーはXファイル的に。
でもって、ここでのモルダーの側のアプローチ──マジック・マッシュルームでラリって、幻覚のなかでテロリストの潜在意識に接触するとかそんな感じ──がこのエピソードのいちばんの見どころ。テンガロン・ハットをかぶって『パルプ・フィクション』みたいな悪乗りのダンスを披露するモルダーに苦笑せずにいられない。その幻覚シーンのエキストラで、ローン・ガンメンの面々が再登場しているのも、シリーズのファンにとっては要チェック・ポイント。
それにしても、自爆テロという深刻な時事ネタを取り入れながら、いっぽうでモルダーに馬鹿をやらせて笑いを誘う演出には、ちょっとばかり時代の空気を読めない感じが漂っている気がする。
(Jan 03, 2017)
#1006 闘争 Part2 ~My Struggle II~
新シリーズの最終話。
オープニング・タイトルで「THIS IS THE END」とうたっているので、シリーズ・トータルでも本当にこれが最後の話なんだろう。
それにしては評判がいまいちだなぁと思っていたら、観て納得。こりゃ駄目だわ。これで終わりとかいわれたら、そりゃ誰だってがっかりしてしまう。
僕は時系列的には一話目の『闘争 Part1』のつづきがこの最終話で描かれ、そこでモルダーとスカリーがFBIに復帰して、あらためて二話目につながってゆくのかと思っていたら、そうではなかった。
いきなりあれから六週間後とかいっちゃって。つまり二話目でいきなり二人がFBIに復帰したことに対する説明はいっさいないらしい。それとも一話目にあったのを僕が見逃したか。いずれにせよ気分はすっきりしない。
ま、なにはともあれ、これは第一話のつづき。ただし、ひとつ前の五話目に出てきた若きFBI捜査官、アインシュタインとミラーのふたりが引きつづき登場して、スカリーとともに、X-ファイル版・人類補完計画か、はたまた『復活の日』かという、人類滅亡の危機に立ち向かう……というような大仰な話になっている。
でもって、その間、基本的にモルダーは別行動。しかも最初から最後まで、傷だらけでぼろぼろ。
これがなー。まぁ、若いふたりはなかなかいいキャラなんだけれど、でも僕らが見たかったのは、モルダーとスカリーの活躍なわけです。このエピソード最大のがっかりポイントのひとつは、ほぼ全編にわたって、モルダーとスカリーが顔をあわせない──しかもモルダーにはほとんど活躍の場がない──このシナリオだと思う。レイエス捜査官(アナベス・ギッシュ)がサプライズ登場していることもあって、なんだかモルダーが不在だったシーズン9のダイジェスト版を観たような気分になってしまった。
でも結局、それよりなにより、いちばんの問題はラスト・シーンだ。その部分が『闘争 Part1』のラストを繰り返すような形になっていることから、描かれずに終わったそのあとには、悲惨極まりない悲劇が待っているとしか思えない(少なくても僕はそう受け取った)。
誰ひとりハッピーになれないあの結末はなに?
なにゆえこれほどまでの人気作品の結末で、ここまで暗澹たる気分を味わわないとならないんだろう?
本来ならば2012年に起こるはずだった最後の事件──このエピソードでは「じつは今回の事件は2012年から始まっていたんだ」という無理やりなセリフがある──が四年遅れでこんな悲惨な形で描かれようとは思ってもみなかった。ほんと残念無念の極み。
バイバイ、モルダー&スカリー。あなたたちとのお別れがこんな形になろうとは……。
(Jan 06, 2017)