X-ファイル シーズン1
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Index of Season 1
- 序章
- ディープ・スロート
- スクィーズ
- 導管
- ジャージー・デビル
- 影
- 機械の中のゴースト
- 氷
- 宇宙
- 堕ちた天使
- イヴ
- 炎
- 海の彼方に
- 性を曲げるもの
- ラザロ
- 再生
- E.B.E.
- 奇跡の人
- 変形
- 闇
- 続スクィーズ
- 輪廻
- ローランド
- 三角フラスコ《終章》
#100 序章 ~Pilot~
ファースト・エピソードはシリーズのコアとなる異星人による誘拐事件(いわゆるアブダクション)もの。超常現象を専門に取り扱うFBIの異色部門Xファイル。その部の唯一の担当者である変人フォックス・モルダー(デヴィッド・ドゥカヴニー)のもとに、お目付け役としてダナ・スカリー(ジリアン・アンダーソン)が配属されてくるところからこの長大なシリーズは始まる。
さっそくオレゴン州沿岸の街で発生した連続変死事件の捜査に向かった二人は、そこで死体が人間とは思えないミイラに変わっているのを発見したり──その頭部には謎の物質が埋め込まれている──、時間が喪失するという怪異現象に遭遇したり、地元の保安官に捜査を妨害されたりと、相次ぐトラブルに見舞われる。最後は唐突にモルダーが、犯人は何年間も昏睡状態だった青年であることを見破り(なぜ?)、その青年が無意識で病院を抜け出して、エイリアンとコンタクトしようとしているところに行きあわせる。
見物人がいたせいか、青年とエイリアンとのコンタクトはならないものの、彼はこれを契機に正気を取り戻して、エイリアンとの遭遇についての告白を始める。けれどその証言の証拠となる唯一の品(スカリーが死体の頭部より摘出した謎の物質)は、シガレット・スモーキング・マン(ウイリアム・B・デイビス)により国防総省の倉庫に隠蔽されてしまい、事件の真相の謎は闇の中へ……、というのがこの序章の内容。
一時間ドラマとは思えない内容の濃さに加え、若き日のスカリーのブラジャー姿まで見られるという、サービス満点のオープニング・エピソードだった。
(Mar 13, 2005)
#101 ディープ・スロート ~Deep Throat~
第二話ではアブダクションと並んでシリーズのもうひとつの核となる、政府による異星人情報の隠蔽工作が描かれる。
アイダホ州エレンズ空軍基地でベテラン・パイロットが失踪した。この事件の調査に乗り出したモルダーは、空軍が墜落したUFOを研究して、軍事用に開発しており、失踪したパイロットはこの試験飛行のストレスから神経失調を起こして、機密漏洩を恐れた軍によって監禁されているのではないかと推測する。
見所はやっぱり軍の飛行場に侵入したモルダーが軍の開発したUFOと遭遇する場面。でもそのあとで捕まって記憶を消されてしまうなんてとんでもない展開だったのにはちょっとびっくりした。
タイトルとなっている『ディープ・スロート』は、内部告発者を意味するとのこと。ウォーターゲート事件で有名な言葉らしい。
(Mar 13, 2005)
#102 スクィーズ ~Squeeze~
メリーランド州ボルティモアで、被害者が密室で殺され、肝臓を抜き取られるという猟奇的な連続殺人事件が起こる。モルダーはエアダクトの枠に、異常に細長い指紋を見つけ(そこから推定される指の長さは25センチ!)、それがXファイルに保管されている百年前に起きた殺人事件の現場に残されていたものと一致するという事実を指摘する。モルダーはこの事実をもとに、その後まもなく逮捕された容疑者ユジーン・トゥームズ(ダグ・ハッチソン)に「あなたは百歳ですか」などのすっとんきょうな質問を投げかけて、その他の捜査官の冷たい視線を浴びることになるわけだけれど、当然正しいのはモルダーの方で、誤認逮捕ということで釈放された特異体質の真犯人トゥームズは、さらなる獲物を求めて犯行を重ねることになる。
『Xファイル』の人気の秘訣は、UFOばかりじゃなくて、こういうゲテモノ系のエピソードも多く含まれている点にあると思う。少なくても僕にとってはそうだ。このエピソードが一本目のDVDの中では文句なしに一番恐い(というか気持ち悪い)。
(Mar 13, 2005)
#103 導管 ~Conduit~
アイオワ州スー・シティで少女の失踪事件が起こる。その土地がUFO目撃のメッカ、オカボジー湖の付近だと知ったモルダーは、それが宇宙人による誘拐事件だと信じて現地へと赴く。失踪した少女の弟ケビン(ジョエル・パルマー)はその失踪事件を契機に、テレビから謎の信号を読み取る特殊な能力を身につけていた。ケビンの紙に書き残した0と1の羅列を何気なくファイリングしたモルダーは、その夜、国家保安局員の団体さんに寝込みを襲われる。彼が送った落書きは、軍事衛星の発進した国家機密だったという……。
アブダクション・エピソードの第二弾。ここでは序章で軽く触れられただけだったモルダーが幼い頃に妹を誘拐されたという過去が大きくクローズアップされている。
床一面に広げられたケビンの落書きが、あるものを意味していたというエピソードは結構インパクトがある。デタラメな話だとは思うのだけれど、ちゃんと記憶に残っていた。物語的にも単なる誘拐もので終わらず、平行してミステリ・タッチの探偵劇が展開されている点もなかなかいい。
(Mar 13, 2005)
#104 ジャージー・デビル ~The Jersey Devil~
ニュージャージー州アトランティック・シティに野人あらわる。喜び勇んですっ飛んでいったモルダーだったけれど、噂が流布して観光収益に影響するのを嫌がった現地の警察──スプリングスティーンも歌っているように、アトランティック・シティはカジノで有名──に終始邪魔をされることになる。
モルダーのように仕事一筋の生き方はしたくないと、一般人とデートをしたりしてみるスカリー。なにもバツイチのサラリーマンを選ばなくてもいい気が……。
(Mar 21, 2005)
#105 影 ~Shadows~
ペンシルベニア州フィラデルフィアでテロリスト二人が異常な死を遂げる。CIAから超常現象の専門家として極秘の召集を受けた二人は、深入りをさせまいとする当局を無視して独自に調査を開始する。そこに浮かび上がったのは、自殺した上司の幽霊に守られている若い女性ローレン(エレン・ブレッドソー)だった。
僕の妻が指摘するとおり、このシリーズはスカリーが終始あぶない目に遭いつつも、それでいて徹底的に超常的な場面だけを見逃しているのがおもしろい。このエピソードでもそう。ポルターガイストによるラップ現象で荒らされまくったあとの部屋へ入ってきての一言、"Oh my God" がとてもおかしかった。
(Mar 21, 2005)
#106 機械の中のゴースト ~Ghost in the Machine~
ヴァージニア州クリスタル・シティの巨大IT企業の社長が、高層ビルを集中管理しているAIコンピュータによって殺害される。モルダーは昔の相棒ジェリー(ウェイン・デュバル)に引っ張り出されて事件にかかわることになり、国防省が目をつけているAIの生みの親の天才SE(ロブ・ラベル)と接触する。
スカリーの自宅のPCに、問題となっているAIが外部から侵入するってのはどうなんだろう? スカリーのPCは外部からのアクセス可の24時間稼動? 今から十年以上前で、まだウィンドウズ95もない時代の話なのを考えると、いまひとつ納得がいかない部分が多い話だった。
国防省絡みでディープ・スロートが二度目の登場を果たしている。
(Mar 21, 2005)
#107 氷 ~Ice~
アラスカ州アイシー岬にある北極アイスコア研究所で、研究員がお互いに殺しあって全滅するという事件が発生する。原因は氷床の奥深くに古代から眠っていた、宇宙から飛来したと思われる寄生虫。調査に出向いたモルダーたち二人を含む6人のパーティは、そのうちの一人がこの寄生虫にやられて死亡したことから疑心暗鬼に陥り、お互いを感染者ではないかと疑いあうことになる。
北極の研究所に閉じ込められた状況で仲間の誰一人信用できない状況におちいるという、『遊星からの物体X』+『レザボア・ドッグス』的な展開ははなかなか見応えがある。二匹が共生できない寄生虫っていうアイディアは相当強引な気がするけれど。そもそも頭ん中にそんなものに入り込まれた時点で死にそうだ。
(Mar 21, 2005)
#108 宇宙 ~Space~
フロリダ州ケープ・カナベラルにあるケネディ宇宙センター。ここでは栄光ある宇宙飛行士としてモルダーの憧れの的であるベルト大佐(エド・ローター)がスペースシャトル打ち上げの司令官をつとめている。この人がかつて宇宙遊泳の際になにかにとりつかれていて、それがなにやら悪いことをし始めたらしい。シャトルの打ち上げを妨害しようとしている何者かがいると職員の女性(スザンナ・トンプソン)から調査の依頼を受けたモルダーは、シャトル打ち上げに立ち会えて大喜び。
なんだかよくわからない話だった。あの変な顔はだからなに? なんのためにシャトルの打ち上げを邪魔しようとしていたんだ? わからなさ過ぎて気持ち悪い。そんなことは気にしないで『アポロ13』的なスリリングさを味わうべき話かもしれない。
(Mar 29, 2005)
#109 堕ちた天使 ~Fallen Angel~
ウィスコンシン州タウンゼンドにUFOが墜落。ディープスロートのリークにより現場に駆けつけたモルダーが、軍に見つかって騒動を巻き起こす。モルダーはここでUFOオタクのマックス(スコット・ベリス)と出会うのだけれど、実はこの人にはエイリアンによる誘拐の前歴があり……。
政府と軍によるエイリアン情報隠蔽もの。モルダーを辞めさせてしまおうとしたFBIの上司に、なぜかディープスロートが密会して言う。「敵は飼い慣らせだよ、マクグラス君」。なんなんだかね。
(Mar 29, 2005)
#110 イヴ ~Eve~
コネティカット州グリーンウィッチでとある少女の父親がまったく出血もないまま血液の4分の3を失って殺されるという事件が起こる。同じ時刻にカリフォルニアでも、まったく同じ殺人事件が発生していて、その事件の被害者の娘は、前の事件の被害者の娘と瓜二つ。二人の少女がそっくりなわけは、サリー・ケンドリック(ハリエット・サンソン・ハリス)という女医にあるらしい。そして彼女はリッチフィールド計画という国家の極秘プロジェクトが関わっているとディープスロートが告げる。
浦沢直樹の『モンスター』を思い出させるエピソード。それにしても被害者が一体どうやって血を抜かれたかは最後まで謎のままじゃないか。
(Mar 29, 2005)
#111 炎 ~Fire~
念力で火を自在にあやつって英国の要人を殺害し続ける男(マーク・シェパード)が、次なるターゲットと狙った政治家とともにアメリカにやって来る。この事件を扱うため、一緒に渡米してきたのが、モルダーのオックスフォード時代の憧れの人で、今はロンドン警視庁の女性刑事フィービー・グリーン(アマンダ・ペイズ)。炎恐怖症のモルダーの前で、マサチューセッツ州ケープ・コッドの別荘が火に包まれる。
多分モルダーのラブシーンはこのエピソードがシリーズ初。でも失礼ながら、お相手の女性はあまり魅力的には見えない。
(Mar 29, 2005)
#112 海の彼方に ~Beyond the Sea~
いきなり現実主義者のスカリーが急死した父親の幽霊を見るところからこの話は始まる。主役を演じるのは昔モルダーが逮捕した死刑囚で、受刑中に霊界とコンタクトできる能力を身につけたという男ボッグズ(ブラッド・ドーリフ)。この男が、現在進行中の誘拐事件の被害者の居場所を教える代わりに、自らの刑を無期懲役に減刑して欲しいと申し出る。いつもはそうした話に飛びつくモルダーが奴は霊能力者なんかじゃないと断言する中、スカリーはボッグズが父親の大好きだった「海の彼方へ」を口ずさむのを耳にして、顔色を変える。
スカリーとモルダーの関係がいつもと逆転しているところがこの話のミソ。ボッグズにその霊能力をこれでもかと見せつけられたスカリーが、それでも最後は現実的な選択をするところが、らしくていい。父親を失って沈み込んでいるスカリーにモルダーが初めてファースト・ネームで呼びかけるシーンもシリーズとしては重要なポイントだろう。
(Apr 09, 2005)
#113 性を曲げるもの ~Gender Bender~
不特定の男女がゆきずりの相手との性交渉により過剰なフェロモンを摂取して心臓麻痺を起こして死ぬという事件が連続、二人は事件がキンドレッドという現代文明を否定して禁欲的な生活を送る宗教団体に関わっているとにらみ、調査におもむく。
超絶的なセクシャリティを持った謎の男相手にスカリーがクラクラしちゃう展開と、意表をついたエンディングが見もの。
キンドレッドという集団は『目撃者 刑事ジョン・ブック』で有名なアーミッシュをモデルにしたもののようだけれど、そのことで反感を買うのではないかと質問されたカーターが「彼らはテレビを見ないから大丈夫」と答えたという。なるほど。
(Apr 09, 2005)
#114 ラザロ ~Lazarus~
かつてのスカリーの教官であり、恋人であった捜査官ウィリス(クリストファー・オールポート)が張り込み捜査の最中、銀行強盗に撃たれて息絶える。スカリーによる懸命の延命処置により彼は九死に一生を得るのだけれど、ところが生き返ったウィリスの肉体には、本人ではなく、スカリーに射殺された銀行強盗デュプリの魂が宿ってしまっていた。
銀行強盗とFBI捜査官、二つの恋の物語。人は死ぬ瞬間にものすごい静電気を帯びるので、三途の川のほとりまで行って戻ってきた人はそれ以降、腕時計が狂ってしまって役に立たないって話は本当なんだろうか?
(Apr 09, 2005)
#115 再生 ~Young at Heart~
その残虐非道な強盗殺人事件の現場には、かつてモルダーに逮捕され、獄中で死亡したはずの男からのメッセージが残っていた。専門家の鑑定によると筆跡は間違いなくその男バーネットのものだという。かつて逮捕の現場で自らがその男を射殺することを躊躇したがために、人質と捜査官の命を奪われた過去をトラウマとしてかかえるモルダーに、蘇った男からの挑戦状が次々と届く……。
このエピソードのクライマックスは『Xファイル』版『オペラ座の怪人』といった趣向だ。ま、怪人の正体にはまったくインパクトがなくていまひとつだけれど。
ふと気がつくと今回のDVD収録作4編はすべて生命の神秘に関わるもので、宇宙人ものが一本もなかった(少なくても表面的には)。別に宇宙人ものが好きなわけじゃないのだけれど、それはそれでさびしい気がする。そういえば第2巻も同じようにノン・エイリアンだった。このシリーズはわざとか、偶然かわからないけれど、意外とエピソードの傾向が偏っているらしい。
(Apr 09, 2005)
#116 E.B.E. ~E.B.E. ~
タイトルの「E.B.E.」とは「Extraterrestrial Biological Entity」の略で、地球外生命体、つまり宇宙人のことだそうだ。そのものずばりのタイトルどおり、このエピソードでモルダーは、政府が回収した宇宙人を運ぶトラックを追ってゆき、ついには政府の秘密施設に潜入する。モルダーのオタク仲間の三人組(ローン・ガンメンというUFO雑誌だか新聞を発行しているらしい)が登場して、ディープ・スロートがUFO絡みの政府組織の高官であることがあきらかになるというUFOファン垂涎の一話。
この話でおもしろいのが、モルダーがディープ・スロートに偽物のUFOの証拠写真をつかまされるエピソード。どうみたって偽物だろうという写真を前に、「こんなすごい証拠写真を見たことがない」と興奮するモルダーと、それを冷静にたしなめるスカリーの対比がおかしい。さらにその後、それが偽物であることが証明されて傷つき、「もう誰も信じらない」とのたまうモルダーには、おもわず笑ってしまう。
モルダーはUFO墜落現場でふたつのストップウォッチを同時にスタートさせて、調査後にその両者の時間が狂っていることから、そこが真の墜落現場だと確認している。見ている時には荒唐無稽な話だと思っていたのだけれど、あれは要するに、そういう場所には大きな磁場の乱れが発生するので時計が狂ってしまうということで、実は結構科学的なのかもしれないと思ってみたり。
(Apr 23, 2005)
#117 奇跡の人 ~Miracle Man~
死者を蘇らせ、不治の病を治す能力を持つ青年サミュエル(スコット・ベアストウ)。伝道師のハートレイ(ジョージ・ガーデス)はその奇跡の力を利用して信者を増やしていった。ところがある時、伝道集会の参加者がサミュエルと接触した直後に命を落とすという事件が起こる。死因が不審な点からFBIに協力要請があり、医学知識のあるスカリーが調査に赴く。彼女に同行したモルダーは、サミュエルに妹の誘拐事件にまつわる苦悩をずばりと指摘され、その力の信じることになる。しかしサミュエルは事件が神の意志に反した自分への罰だと自暴自棄になり、彼をよく思わない保安官に逮捕されることに……。
奇跡の人サミュエルの憂いを含んだ純真さ、ハートリイ神父の胡散臭いショーマンシップ、全身に大火傷を負いながらサミュエルに命を救われて生き延びた男バンスのマイケル・ジャクソンのような異相、それぞれが印象的。結末に若干ものたりなさをおぼえるものの、結構好きなエピソードだ。
(Apr 23, 2005)
#118 変形 ~Shapes~
アメリカ原住民の居住地付近にマニトウと呼ばれる狼男が登場。噛まれた被害者が同じように狼男化してしまうという、典型的な狼男もののエピソードだ。ネイティヴの保安官トスカニ役で、『ツイン・ピークス』でも保安官役を演じていた(らしい)マイケル・ホースが出演している。そちらではドゥカヴニーとニアミスしているみたいだけれど。
最初はモルダーへの反感をあらわにしていたネイティヴの老人が、モルダーが彼らの伝承を笑わずに真面目に話を聞く姿に気を良くして、「君は一部のネイティヴ・アメリカンよりもよっぽど我々の信仰にオープンだ。フォックスという名前はインディアンの名前だから、どうせだからランニング・フォックスかスニーキー・フォックスに改名すべきだ」みたいなことを言うシーンがおもしろい(字幕はちょっと違っているけれど)。
ネイティヴ・アメリカンに関する部分では、死体をミイラみたいに包帯でぐるぐる巻きにして火葬する風習にはちょっとびっくりさせられる。
(Apr 23, 2005)
#119 闇 ~Darkness Falls~
太古の森で作業をしていた森林伐採隊の作業員三十人が、作業の妨害を目論む環境テロリストともども姿を消した。調査に赴いたモルダーたちは、そこで何かの繭の中に閉じ込められて干乾びた男性の死体を発見する。そこには伐採により解き放たれた、人を襲う突然変異のダニがうようよしていた。光を嫌うその夜光虫は昼間は人を襲わない。けれど一行の車はタイヤがパンクしていて、徒歩では陽のあるうちにその森を抜け出すことは不可能。無線はテロリストに破壊され、外界と連絡が取れない。深い森の奥に閉じ込められた一行の頼りは発電機のみ。けれどその燃料のガソリンもついに底をつく日が……。
『氷』に似たタイプの閉じ込められ型パニック・ストーリー。虫がらみの点も共通しているし、どうも僕は『氷』とこのエピソードのエンディングを取り違えていたらしい。とにかくまさかと思うような衝撃的なエンディングを含めてかなりインパクトが強い作品だった。
(Apr 23, 2005)
#120 続スクィーズ ~Tooms~
『スクイーズ』のユジーン・トゥームズが釈放されて、さあ大変という話。彼の特異体質に関するモルダーの主張は、法廷の常識的な判断力の前では真面目に受け取ってもらえず、トゥームズの刑はスカリーを襲った件のみとなって、ごく短期で釈放されてしまう。自分の仮説を信じて疑わないモルダーは、トゥームズが次の獲物を狙うと信じて、日夜を徹した監視を開始する。
30年前にトゥームズの犠牲になって行方不明となった被害者の遺体を、退役した老刑事がベテランの直感で見つけてしまうというご都合主義なエピソードもかなりXファイル入りって感じがする。
いつ出てくるんだろうと思っていたスキナー(ミッチ・ピレジ)がこの回になってようやく登場した。
(May 08, 2005)
#121 輪廻 ~Born Again~
迷子の少女ミシェル(アンドレ・リプマン)と話をしていた刑事がいきなり窓から身を投げた。数日後にミシェルと同じバスに乗り合わせていた元刑事が不可解な事故で死亡した。彼らはどちらもある事件に関わっており、ミシェルはその事件のあった年に生まれていることから、モルダーは彼女が事件の際に殺害された刑事の生まれ変わりだと主張する。
口髭の刑事と無表情な少女の対比が不気味さを高めている。少女が殉職刑事の生まれ変わりであるという証拠が少しずつあきらかになってゆく過程に見ごたえがある。
(May 08, 2005)
#122 ローランド ~Roland~
知的障害者の清掃員ローランド(ゼルコ・イバネク)が科学者を殺害して、難解な数式を書き残すシーンから始まるエピソード。今は亡き研究者のひとりが彼の双子の兄弟で、その脳が冷凍保存されていることから、その人が兄弟を操って自分の研究を横取りしようとしている研究者たちに復讐しているのだという結論にいたる。
このエピソードでは超常現象が研究の完成という実質的な結果をともなっているため、さすがに現実主義者のスカリーも「不思議としかいいようがない」と言いつつ、その事実を認めている。
(May 08, 2005)
#123 三角フラスコ《終章》 ~The Erlenmeyer Flask~
警察に追われ、銃弾を受けて、緑色の血を流す謎の男が登場。ディープ・スロートによりその男性の存在を示唆されたモルダーは、彼のあとを追って、人体培養の水槽が並んだ実験室に辿り着く。そしてスカリーも捜査中に押収した三角フラスコから、地球外生命体の動かぬ証拠を手にすることに……。
ファースト・シーズンの最終話は怒濤の展開の連続。その果てについにスカリーが地球外生命体の証拠をまのあたりにするクライマックスには(その証拠の妙な滑稽さに失笑しつつ)ファンとしては興奮必至だ。続きを期待せずにはいられない。
(May 08, 2005)