2014 FIFAワールドカップ Brazil (5)
Index of Quarter-finals
フランス0-1ドイツ
準々決勝/2014年7月4日(金)/リオデジャネイロ/テレビ東京
W杯ブラジル大会も残すところあと8試合。準々決勝の第一試合は、フランス-ドイツの好カード。
このあとも興味深い対戦がつづくし、残りもわずかだから、ここから先の試合は全部観ようと決めてはみたものの、さすがに金曜の深夜1時からの試合は眠くて集中し切れませんでした。残念無念。
試合は前半の早い時間にドイツがCKから5番のCBフンメルスのヘディングで先制して、そのまま逃げ切るという展開。
今大会では屈指の得点力を誇る両チームとはいえ、さすがにベスト4がかかった試合ともなると、そうそう大量得点は望めないものらしい。この日のドイツはクローゼがスタメンながら、結局不発で大会記録更新ならず。ミュラーも2試合連続でノーゴールに終わった。
でもミュラーは運動量が多くて好印象。18番のMFクロース(日本語だと名前がクローゼとまぎらわしい)もいい選手だし、エジルがいまいちなのが気になるものの、今大会のドイツはほんとタレントの宝庫だと思う。
フランスはベンゼマに何度かシュート・チャンスがあったのに決めきれず。でもベンゼマ、シュートをすべてちゃんと枠に飛ばしているところが好印象でした。エースたる者、そうでなくては。とにかくこの試合はドイツの守り勝ち。
そうそう、アルジェリア戦で書かなきゃと思いながら忘れていたのが、ドイツのGKノイアーの異常な守備範囲の広さ。この試合ではそうでもなかったけれど、アルジェリア戦では、なんだそりゃってくらいに頻繁にペナルティ・エリアの外へ出てきては、相手FWとギリギリで競りあってボールをクリアするそのプレーに、大いに笑わせてもらった。いやぁ、ノイアー、おもしろすぎ。かつてのオリバー・カーンといい、ドイツにはどうしてこうも個性的なGKが出てくるかな。
あとで調べたら、このノイアーくん、元シャルケ所属でウッチーのチームメイトだったんすね。というか、すでに前大会から出ていたのか。ぜんぜん記憶にない。
まぁ、なんにしろ、ドイツは監督のレーヴ氏、キャプテンのラームほか、前大会から連続出場している選手が多くて、今大会のなかではもっとも馴染みのあるチームなのに、そこにウッチーの友達までいるとなると、心情的にはなおさら応援したくなる。これで4大会連続のベスト4入りだそうだし、そろそろ優勝してもいいころだと思う。
──というか、今回のチームで優勝しなくて、いつするんだという気さえする。
(Jul 05, 2014)
ブラジル2-1コロンビア
準々決勝/2014年7月4日(金)/フォルタレザ/NHK
まえの試合のあと、2時間たらずの仮眠をとって起きてみましたが、さすがに眠くて眠くて片目を開いているのが精一杯。まったくまともに観れませんでした、ブラジル-コロンビア戦。
こちらも得点はすべてセットプレーから。ブラジルがCKからのチアゴ・シウバのゴールとダビド・ルイスの豪快な直接FKで先に2得点。勝負あったかと思った残り10分に、コロンビアがハメル・ロドリゲスのPKで1点を返して、そこからはコロンビアの反撃にブラジルが耐え忍ぶって展開になった(というか、なっていた気がする)。
しかし、この試合のもっとも重大な事件は、試合終了まであとわずかって、その時間帯に待っていた。
なにげないハイボールの競り合いで、うしろからコロンビアの18番DFスニガの膝蹴りを食らったネイマールが負傷退場。なんと脊椎にひびが入って全治数週間……。
いや、テレビで観ていても、そのあまりの痛がりように、こりゃまずいだろうと思ったんだ。よもや最悪の結果になろうとは……。
それにしても、いくら故意ではなかったとはいえ、相手に骨折を負わせるようなプレーにイエローカードが出ないどころか、ファールにさえならないっては、レフェリング的にどうなのかと思ってしまう。この日のレフェリー(スペイン人)は全体的に流す傾向が強かったとはいえ、さすがにあそこは取らないとでしょう。この大会の判定は人によってまちまちで、どうにも納得がゆかないものが多い気がする。
なんにしろ、ネイマールがそんな風に退場してしまった上に、その後はコロンビアの攻勢がつづいたので、そこから先のスタンドのブーイングがすごかった。
両国ともチームカラーが黄色だから、スタンドは基本真っ黄色。とはいえ、やはりその大半はブラジル人。で、そのブラジルのアイドルを怪我させた上に、母国の準決勝進出を阻もうと攻撃を仕掛けてくるコロンビア人、許すまじ!みたいな空気で、場内騒然。あれでもしコロンビアの同点ゴールが決まっていたら、どんなことになっていたことやら。コロンビアには悪いけれど、そのまま無事に終わってよかったと思ってしまった。
ということで、ブラジルはなんとか勝ち上がりはしたものの、次戦はネイマールを欠く上に、チアゴ・シウバが累積警告で出場停止という散々な状況。攻守の要を欠いた状態で迎えうつ準決勝の相手がドイツってのは、ちょっとシビアじゃないでしょうか。
いやでも逆に、これでもし優勝できたならば、それはそれで伝説級の歴史的快挙ってことになるのかな。まぁ、泣いても笑ってもあと2試合。どうなる、ブラジル。
(Jul 05, 2014)
アルゼンチン1-0ベルギー
準々決勝/2014年7月5日(土)/ブラジリア/NHK
ネイマール離脱のショックいまだ漂う準々決勝2日目。優勝候補とされた国のうち、個人的にはこれまでに一度ずつしか観ていないアルゼンチンとベルギーの対戦。
メッシは前の大会で鳴かず飛ばずで終わってしまったので、W杯では運のない選手のように思いこんでいたけれど、この大会ではそんなことないようで。ちゃんと主役のひとりとして、アルゼンチンのキャプテン・マークをつけて、母国を準決勝へと導いてみせた。
いやしかし、僕はメッシのプレーをあまり観たことがないので、とびきり決定力とキープ力のあるドリブラーくらいの認識しかなかったけれど、この人、パス・センスもとんでもないな。数こそ多くないけれど、この試合ではなにそれってスルーパスでこちらの度肝を抜いてみせた。
まぁ、あれだけの破格の得点を決められるってのは、それだけキックの精度が髙くて、瞬間的な判断力がすぐれているってことなのだろうから、そのセンスがほかでも発揮されれば、ああいう芸術的なパスが出せるのも当然なんだろうけれど。
とにかくボールを持てばちょいとやそっとじゃ奪われない、味方へのスルーパスは芸術的、そしてなにより試合を決める決定的なシュート力を持っているという。よく指摘される運動量の少なさを除けば、あとはもう最強無敵のフットボーラーだというのがよくわかった。逆に無駄に動かない分、ここぞの活躍がよけいに光って見える気さえする。つねに運動量の求められる現代サッカーにあって、その存在がただひとり規格外。おそろしや、メッシ。
試合は前の2試合と同じで、FIFAランキング上位の国が前半のはやいうちに先制して、終盤に押し込まれつつも、結局そのまま最後まで逃げ切ってしまうというパターン。この大会はそういうふうに、前の試合をなぞるような展開の試合が多い気がする。
アルゼンチン虎の子の1点は9番イグアイン。中央のメッシが起点となって右サイドのディマリアから放たれたクロスが、ミスキックで相手DFにあたってコースが変わり、イグアインへのラッキーパスとなる。これをイグアインは一瞬で見切ると、ノートラップで右足一閃。見事ゴールネット左隅に突き刺してみせた。自分へと向かって斜めうしろから流れてきたボールを一瞬で見切り、そのままターンしながらノートラップでゴールへと流し込んでみせたところが絶品。この大会のベストゴールのひとつじゃないでしょうか。
負けたベルギーも、キャプテンの4番コンパニが黒人だったり、8番フェライニと6番ビツェルが、いまどき珍しい南波六太みたいなカーリーヘアだったりして、見た目が新鮮だった。──って、サッカーとぜんぜん関係ない。
(Jul 06, 2014)
オランダ0-0(PK4-3)コスタリカ
準々決勝/2014年7月5日(土)/サルバドール/TBS
この日も前の試合から中2時間。わずかの仮眠で観るには、やはり眠すぎた準々決勝最後の一戦、オランダ対コスタリカ。
とにかく眠い目をこすりながら観るにはつらい試合だった。コスタリカ、引いて守るばっかだし。この試合ではほとんどカウンターのチャンスもなく、前半はシュート0、後半もわずか3本とか。ここまで守備的なチームが準決勝に進出しちゃったら、それはちょっとまずいんじゃないかと思ってしまうレベル。
でも、対するオランダもこの日はぱっとしない。実力差のあるチームが一方的に攻め立てる、という試合はこれまでに何度もあったけれど、今回のオランダはカウンターが主体だから引いて守る相手にはあまり攻撃が活性化しないのか、とにかくこちらも前半はシュート数が6本とかだったと思う。
後半になって、いくらかコスタリカも攻めの姿勢を見せるようになったし、オランダもあと一歩というチャンスを多くつくるようになったけれども、あまりの眠さに前半で集中力を欠いてしまっていた僕は、ただ目を開いているのが精一杯。
結局、試合はコスタリカのねばり勝ちって感じで、延長戦まで戦ってなおスコアレス・ドローに終わった。あまりに力の差がはっきりしている分、そこまできてなおスコアレスって状況はさすがに感動的だった。コスタリカ、よくぞ120分間しのぎきった。GKのナバスがMVPというのも納得──というか、この人、これで3試合連続のMVPだって。それはそれですごい。
いやでも、この試合でなにがいちばんすごかったかって、最後の最後にオランダ監督のファン・ハールが切ったGK交替の奇策。スタメンのGKシレッセンという人があまりPKは得意ではないんだとかで、延長戦の終了まぎわに最後の交替カードを切って、PK戦だけのために控えのGKを投入してきたんだった。そんなのあり? この展開でそこまでカードを温存していたことにもびっくりだけれど。
これでそのGKが活躍してオランダが勝ったら神采配だなと思っていたら、かわりに出てきたGKクルル(ケロロ軍曹かっ!)が本当にPKを2本も止めて、オランダを勝利に導いてしまう。いやはや、びっくりだよ。ファン・ハール、おそるべし。
それにしても、120分間を無失点に抑えたにもかかわらず、最後に訪れたいちばんの見せ場を監督に奪われてしまったオランダの正GKシレッセンには同情を禁じ得ません。勝負は非情にもほどがある。
(Jul 06, 2014)