2012年7月の音楽
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- Sweet Heart, Sweet Light / Spiritualized
Sweet Heart, Sweet Light
Spiritualized / CD / 2012
スピリチュアライズド、通算7枚目のスタジオ・レコーディング・アルバム。
すでに20年のキャリアを誇るこのバンド──というか、ジェイソン・ピアーズという人のソロ・プロジェクト?──、じつは僕はつい最近まで聴いたことがなかった。名前はなんとなく知っているけれど、なぜだか自分とは関係ないものと思い込んでいた。
そんなバンドをいまさら聴くきっかけになったのは、3年前にリリースされたサード・アルバム 『Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space』(邦題『宇宙遊泳』)のリマスター盤。これがネットで絶賛されているのを見て、ちょっと興味が湧いたので聴いてみたところ、なるほど、これが素晴らしかった。なんで自分がこれまでこのバンドと出会っていなかったのが不思議に思ってしまうくらい。以来、旧譜をフォローしないといけないバンドのひとつとして、ずっと僕のリストの上位に入っている(まだ半分も聴けてないんだけれど)。
そんな中、リリースされたのが、この最新作。で、これもまた素晴らしかった。
いや、これって多分、ぜんぜん新しくはない。一聴したとたん、なにこの古めかしさは?と思ってしまうような音作りの作品だと思う。なんだかヴェルベット・アンダーグラウンドみたい。やたらと60年代末を思わせるレトロ感がある。
なんでこんなに古めかしく感じるんだろうと思って考えてみるに、おそらくそれはギターやオルガンやオーケストラのいかにも時代がかった音色に加えて、ドラムとベースのリズム隊がうしろに引っ込んでいるからではないかと思う。なによりまずはビート命って感じの現在のポップ・ミュージック・シーンにあって、この手のアプローチって珍しい気がする。
でも、そんな丁寧に作り込まれた懐かしい感触の音作りでもって、なんとも甘いメロディを奏でるこのサイケデリック・アルバムが、いまの僕にはとても気持ちいいのだった。聴いていると身体が溶け出してメロメロになりそうな極上のポップ・アルバム。今年の僕のベスト5入り確実な一枚。
(Jul 16, 2012)