2011年9月の音楽
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Bon Iver
Bon Iver / 2011 / CD
ひさしぶりに音楽の感想を。
これは確実に今年の僕のベスト3に入る一枚。ジャスティン・ヴァーノンというソングライターを中心に結成されたアメリカのインディー・バンド、ボン・イヴェールのセカンド・アルバム。
この人(たち?)のファーストがあちこちで絶賛されていたので、前から気になっていたのだけれど、よくあるパターンでそちらを聴かずにいるうちにこのセカンドが出てしまった。で、まあいいやと思って、こちらから聴いてみたら、これがよかった。すんげーよかった。まさにこのジャケットの絵画のように、彩り豊かな音楽がアルバムの隅からすみまで響きわたっている。とても優しく、温かく、細やかで美しい。
印象としては2年前の僕のベスト・アルバムだったジ・アントラーズの『Hospice』、あれに極めて近い感じ。でもあのアルバムのような痛みの感覚はない。だだひたすら優しく温かい音作りが素晴らしい。まあ、最後のバラードだけ、なぜだかシンセとスネアの音に80年代的なチープさを感じさせるのが玉にきずだけれど(基本はアコースティックな音作りなのに、最後の最後になぜこの音?と思う)、それ以外は文句なしの出来。
これがあまりによかったので、さかのぼって噂のファーストも聴いてみたら、そちらはもっとアコースティク・ギターが中心のシンプルな音作りだった。もちろんそれもよいけど、音の印象はずいぶん違う。前回が極上のデッサンだとしたら、まさに今回はそこにさまざまな音で色をのせた水彩画か油絵という感じ。しかもその色使いが見事だ。派手すぎず、地味すぎず、完ぺきに隅々まで気配りが行き届いている。最高に気持ちのいい一枚。
でもこのアルバム、曲目がワンワードの人名や地名ばかりで、まったく覚えられない。
(Sep 26, 2011)