2010年2月の音楽
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- IRM / Charlotte Gainsbourg
IRM
Charlotte Gainsbourg / 2010 / CD
ベックがプロデュースのみならず、ほとんどすべての楽曲提供まで手がけたシャルロット・ゲンズブールの新作。
新作ったって、僕はこの人の過去の作品をひとつも聴いていないので、比較のしようがないんだけれど、これに関してはそんなことどうでもいいと思う。とにかく全編これぞベックという、隅から隅までベック印のアルバムに仕上がっている。
印象的には彼の最新作 『Modern Guilt』 のサウンド・プロダクションをそのまま踏襲して、ボーカルを全編女性に置き換えたといった感じ。あのアルバムの音がとても好きだった僕には、それだけでもうこたえられない。
そもそも僕はボーカリストとしてのベックにはそれほど思い入れがあったりしないし(失礼)、反対にシャルロット・ゲンズブールのいかにもフレンチ・ポップスという歌い方はとても好みなので、ベックの音+シャルロットの声というこの組み合わせは、なおさらツボだった。あんまりいいもんで、シャルロットの過去のアルバムも聴きたくなってしまった。
往年のロック・ファンならば否応なく思い出すだろう、レニー・クラヴィッツとヴァネッサ・パラディのコラボ、あれに負けずと劣らぬ傑作。早くも今年の僕のベスト10入り確定の一枚。
それにしてもなんでベックの作る音って、どうしてこんなにカッコいいんだろう。それほど難しいことをしているわけでもないのに、それでいてなぜだか毎回、「これは違う」と思わせるから不思議だ。魔法使いか、この人は。
(Feb 08, 2010)