2005年11月の音楽
Index
- Bootleg Series Vol.7: No Direction Home / Bob Dylan
- グッジョブ / Rip Slyme
- A Bigger Bang / Rolling Stones
- Honeycomb / Frank Black
- Early 21th Century Blues / Cowboy Junkies
- Drawing Restraint 9 [SOUNDTRACK] / Bjork
- Magnolia [SOUNDTRACK] / Aimee Mann
- Peddlin' Dreams / Maria McKee
Bootleg Series Vol.7: No Direction Home
Bob Dylan / 2005 / CD
ディランについては、主要作品15枚がセットになったSACDのボックスを買って以来、これらをきちんと聴いて1枚ずつちゃんと文章にしようと思いながら、それができないがゆえにすべてが保留となるという、悪循環が続いてしまっている。マーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリーのサントラであるこのブートレッグ・シリーズの最新作も、そういうわけで「これを聴く前に聴くべきアルバムがたくさんあるから……」という思いの前に宙ぶらりんとなっている。馬鹿な話だと思う。
なんにしろざくっと聴いた印象では初期音源の "This Land Is Your Land" のカバーと、二枚目のロック寄りになってからの音源がやたらとよかった。
(Dec 25, 2005)
グッジョブ
Rip Slyme / 2005 / CD+DVD
ちゃんと聴いていないと言えば、このリップ・スライムもそういうグループで。このベスト盤は赤塚不二夫のイラストがメンバー数分のバージョン差し替え可能な初回限定版のパッケージに惹かれて、即予約したもの。さすがにシングルばかりだから、ノリがよくて楽しい。
おまけのDVDもかなりいけている。シングル曲のPVをメドレーにした12分ばかりのビデオ・クリップだけれど、編集がなかなか見事で、とてもよくできていると思った。国内アーティストのボーナス特典としては、これまでにもっとも感心させられた作品。
(Dec 25, 2005)
A Bigger Bang
Rolling Stones / 2005 / CD
ローリング・ストーンズ、8年ぶりの新作。ラジオで初めて1曲目の "Rough Justice" を聴いたときには、その若々しさに感動したものだったけれど……。
アルバム通して聴いてみると、やはり90年代以降のストーンズの作品という感じで、可もなく不可もなくという印象を受けてしまう。やる気のみなぎった、いい作品だと思うのだけれど、あまり愛着は持てない。やはり何度聴いてもダリル・ジョーンズのベースは、ストーンズにはタイトかつファット過ぎる印象がある。
(Dec 25, 2005)
Honeycomb
Frank Black / 2005 / CD
フランク・ブラックの新作はカソリックスではなく、往年のベテラン・スタジオ・ミュージシャンをバックに迎えての作品となった。スティーヴ・クロッパーやスプーナー・オールダムらが名前を連ねている。そのせいなのかは知らないけれど、これがリラックスした雰囲気の、とても気持ちのいい音のアルバムに仕上がっている。前作といい、これといい、ピクシーズでの来日公演といい、このところのフランク・ブラックは調子がよさそうで喜ばしい。
(Dec 25, 2005)
Early 21th Century Blues
Cowboy Junkies / 2005 / CD
"Sweet Jane" や "Powderfingar" など、昔から人の曲をカバーさせたらば右に出るバンドはないんじゃないかという素晴らしいセンスを発揮してきたカウボーイ・ジャンキーズ。その新作が『二十一世紀初期のブルース』と題したこのカバー・アルバム。オリジナルも2曲含んでいるけれど、それ以外はすべてカバーの全11曲。ディラン、スプリングスティーン、ジョージ・ハリスン、ジョン・レノン、U2など、個人的にはおなじみのアーティストらの楽曲をカバーして聴かせてくれているのだから、これが楽しめないはずがない。あいかわらず淡々と渋くて格好いい。
(Dec 25, 2005)
Drawing Restraint 9 [SOUNDTRACK]
Bjork / 2005 / CD
ビョークの最新作であるこの作品は、マシュー・バーニーという前衛彫刻家が撮った映画のサウンドトラック。映画の方は日本の茶道と捕鯨をテーマにしたドキュメンタリーとかいう得体の知れないものらしい。
サントラである本作も、それに合わせて、やはり得体の知れない内容になっている。ビョーク自身のボーカルものはほとんどなく、ダンス・ビートも皆無。和楽の管楽器である笙をフィーチャーしたりもしていて、馴染みにくいことこの上ない。
極めつけは9曲目の "Holograpihc Entrypoint" 。これが十分近くに及ぶ「能」の楽曲で、お経みたいなのが延々と続くのだった。ノムラ・シローさんが唄、オークラ・ショーノスケさんがお囃子。日本語なのに何を歌っているんだか、よくわからないという、ていたらく。まさか自分ちのステレオで英語の訳詞カードを読みながら、お経を聞く日が来るなんて思ってもみなかった。
いや、いくらビョークの作品とは言っても、これは聴けない。一度聴いたのみで放置しっ放しになってしまっている。
(Dec 25, 2005)
Magnolia [SOUNDTRACK]
Aimee Mann / 2005 / CD
同じサントラでも、前のビョークのものとは違い、こちらの『マグノリア』のサントラは見事に聴きやすい。ただ、映画を見ていないからなんでこうなっているのかわからないのだけれど、最初の9曲がエイミー・マンの楽曲、残りがスーパートランプやガブリエルの曲という変な構成になっている。どうせならば全曲エイミー・マンで統一して欲しかった。エイミー・マンだけをお目当てにしていると、若干消化不良な印象の残ってしまう一枚だ。なにはともあれ "Momentum" は名曲。
(Dec 25, 2005)