2011年5月の映画
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24 - TWENTY FOUR- リデンプション
ジョン・カサー監督/キーファー・サザーランド/2008年/CS録画
放送からじつに3年も遅れて観た 『24 -TWENTY FOUR-』 の番外編(シーズン6と7のあいだに放送された)。
内容は、ジャック・バウアーが身を寄せていたアフリカの小国(架空の国とのこと)でクーデターが勃発。なりゆきで、またもや追われる身となってしまったジャックの逃亡劇と、ワシントンDCでの新大統領(今回は女性)の就任式の裏で行われる陰謀劇を同時進行で描いてゆくというもの。
2時間ドラマながら、リアルタイム・ドラマというこのシリーズのコンセプトはいちおう踏襲されている(正味1時間半しかないけど)。とはいえ、さすがにこの話を2時間で描くには無理がある。冒頭部分など、いきなり夜のシーンで、最初からドラマ本編の時間枠から逸脱しているし、本編にしても話の都合で無理やり詰め込んだ感がありあり。反乱軍に追われて森に逃げ込んだジャックと子供たちが、CM明けではいきなり街中にいるんだからびっくりだ。わずか数分で(しかも重症の子供を引き連れて)どんだけ高速移動しているんだ。
まあ、物語としておもしろければ、そうした設定の破綻も気にならないんだろうけれど、この特別編はその面でもいまいち。なんたってジャック・バウアーの出番が少ないし、CTUのメンバーはまったく出番なし。しかも主要な舞台はアフリカとくる。要するに、シリーズとしての継続性よりも、コンセプトを重視した作りになっている。そのくせ、そのコンセプトが破綻しているんだから、なにをいわんやだ。
とはいえ、それでもこれはシリーズでは唯一の単発エピソードだし、新女性大統領(チェリー・ジョーンズ)やシーズン7で悪役をつとめるらしい大物俳優(アンジェリーナ・ジョリーのお父さん)のお披露目という意味では、やっぱ観とかないわけにはいかないよなぁと。そういう作品。
(May 29, 2011)
大統領の陰謀
アラン・J・パクラ監督/ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード/1976年/アメリカ/BS録画
ウォーターゲート事件に大統領府が関与していることをスクープしたふたりの記者の姿を追うノンフィクション・ドラマ。
政治に無関心な僕は、若いころはこういう映画にはまったく興味がなかったのだけれど(タイトルが地味だし、メインキャストに美女がひとりもいないし)、年をとると、不思議と関心が広がるもので。いまの気分では、生半可なコメディよりは、こういうほうがよほど好ましく思える。
ウォーターゲート・ビルにある民主党本部へ盗聴器を仕掛けようとした男たちが捕まった。「誰の差し金で?」と取材を進めるうちに、ロバート・レッドフォード演じるワシントン・ポスト紙の新米記者ウッドワードは、ホワイトハウスにかかわりのある人物に行きあたる。思わぬ大事件へと発展しそうな予感に、彼が感じただろう興奮がヴィヴィッドに伝わってくる。
その後の取材が隠ぺい工作にあって思うように進まないところも、最近の原発事故絡みの日本政府や東電の隠ぺい体質を思い出して、思わず共感してしまう。とはいえ、日本ではその隠ぺい体質に、大手マスコミまで加担してしまっている感じだけれど。あぁ、いまの日本にもこういう正義感あふれるジャーナリストがいてくれたならなぁ……って、思ってしまった。
ということで、感じるところの多い、いい映画だったけれど、でも最後まで観ても、結局ニクソンの事件への関与については、まったくわからないのは、正直なところ拍子抜け。『大統領の陰謀』 というタイトルのくせして、大統領はほとんど出てこないとは思わなかった。
まあ、現実問題として、ニクソンがどれだけ事件にかかわっていたか、はっきりしないのかもしれないし、疑わしきは罰せずで、わかりもしないことをわかったように描かないというのは、作り手としては当然のことなのかもしれない……などと思う。
(May 29, 2011)