2024年11月のサッカー

Index

  1. 11/01 ○ 川崎1-3鹿島 (J1・第35節)
  2. 11/02   名古屋3-3新潟(PK:5-4) (ルヴァン杯・決勝)
  3. 11/09 △ 鹿島0-0名古屋 (J1・第36節)
  4. 11/01 △ 京都0-0鹿島 (J1・第29節)

川崎フロンターレ1-3鹿島アントラーズ

J1・第35節/2024年11月1日(金)/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu/DAZN(見逃し配信)

 エレカシ宮本の大宮公演とかぶったせいで録画観戦となってしまった川崎戦。
 結果は中後監督就任後の初勝利! かつ次期監督候補と噂される鬼木率いる川崎からシーズンダブル達成という快挙!
 ――と素直に喜ぶには、今年の川崎は弱すぎた。ここまでの成績が11勝11分12敗って……。あんなに強かった川崎がまさか2年くらいでここまで勝てなくなってしまうとは。これぞまさに盛者必衰。まぁ、そんなこといったら、2019年から無冠がつづく鹿島もその体現者なわけだけれども。
 この試合については、十時過ぎにライブから帰宅して、妻子のおしゃべりをBGMに、酒をのみつつ観ていたので、いまいち集中力を欠いて、詳しく書けない。
 鹿島の得点は柴崎のクロスにあわせた知念のヘディング、右サイドの崩しから樋口が豪快に決めた一撃、「そんなシュート打てるのかよ!」とびっくりさせた三竿の右サイドからの芸術的なミドルの3本。
 前半の30分までに以上のゴールが決まり、その直後に脇坂が負傷交替してしまったこともあり、それからは比較的安心して観ていられた。
 まぁ、川崎に見事に崩されて、ワントップの山田新{やまだしん}のシュートミスに助けられた場面がふたつくらいあったので、そのうち一本でも決まっていたら、また別の結果になっていた可能性もなきにしもあらずって気がするけれど。
 そういう意味ではこの日は運にも助けられた。ここ数年、川崎相手の結果は不運すぎたので、ようやくサッカーの神様が帳尻をあわせてくれたって印象のシーズンダブルだった。
 鹿島のスタメンは早川、三竿、植田、関川、安西、樋口、知念、柴崎、仲間、師岡、優磨の4-4-2。
 ポポヴィッチ政権下ではトップ下に君臨していた名古をあえてスタメンから外し、三竿を右SBに起用してきたところが興味深かった。
 選手交替は仲間→名古、知念→船橋、優磨&柴崎&樋口→徳田&ミロサヴリェヴィッチ&津久井の5組。
 最後の交替のあとは、フォーメーションを3バックに替えて、津久井を右ウィングに配置した3-4-2-1にフォーメーションを替え、守りにいった。
 後半ロスタイムに山本悠樹という選手にセットプレーを直接決められてクリーンシートは逃したけれど、でもまぁ勝ったからよし。3ゴールはどれも美しかったし、途中出場の津久井がなんだかいい感じで、基本満足のゆく一戦だった。
 川崎のGKは前回の対戦時は上福元だったけれど、今回はチョン・ソンリョンが戻ってきていた。上福元はその後移籍してしまったし、今年の川崎はGKさえ固定しきれないくらい、コンディションに悩まされたということなのかもしれない。
 鬼木が去った来期のフロンターレがどうなるのか楽しみだ。
(Nov. 03, 2024)

名古屋グランパス3-3アルビレックス新潟(PK:5-4)

YBCルヴァンカップ・決勝/2024年11月2日(土)/国立競技場/フジテレビ

 リーグ戦9位の名古屋と16位の新潟という、今季は優勝争いにまったく絡めなかったチームどうしの対戦となったルヴァン杯・決勝。
 去年、初優勝を果たした福岡につづき、今年も伏兵・新潟が決勝進出。リーグ戦では結果が振るわないクラブでも、カップ戦ならばタイトルに手が届いてしまうという。こういうところにも昨今のJリーグの戦力均衡化の影響が見て取れる。
 まぁ、今年は低迷したとはいっても、かたや過去4冠のオリジナル10の名古屋と、いまだ降格の可能性を残す新潟だ。結果は名古屋有利という予想は揺るがない。
 去年の福岡のように、新潟が先制する展開になれば、また話は別なんだけれど、この試合で先制したのは名古屋。新潟のGK阿部航斗から最終ラインへのパスがそれたところを、永井が見逃さずに奪ってゴールを決める。阿部は痛恨のミス。
 永井は前半のうちにもう1ゴールを決めて、2-0として、グランパスの優勝と、自らのMVPを決定づけたかと見せた。
 ところが――。そのまま終わらないのが昨今のJリーグ。
 新潟が後半9分に途中出場のダニーロ・ゴメスというブラジル人からのクロスを谷口海斗が決めて2-1と追い上げる。
 もとより攻めていたのは新潟だったので、1点差となるともうわからない。なんたって、最終的なシュート数は新潟の22に対して、名古屋が10だ。新潟の圧力がはっきり数字にも表れている。
 果たして、後半ロスタイム残り1分を切った時間帯に、途中出場の小見がペナルティエリア内で倒されて、VARの介入によりPKを獲得。これを本人が決めて土壇場で同点に追いついた。
 延長戦では名古屋があっさりと得点を決めたので(PKを献上した中山という選手のゴールだったのも何気にドラマチックだ)これで勝負ありかと思ったら、そのあとにまた小見が活躍。同点ゴールを決めて、試合はPK戦へともつれ込んだ。今年は鹿島も小見のゴールで勝ち点を落としているし、リーグ戦ではわずか2ゴールなのに、ここぞで結果を出す勝負強さはたいしたもんだ。
 まぁ、最終的にはPK戦をオールクリアした名古屋の優勝ということになったけれど、そんなふうに最後までもつれにもつれた熱戦は、部外者が観ていても楽しかった。PK戦での勝利だったから、今期で退団が決まっているランゲラックがMVPという結果も出来すぎだった(前半の大活躍が報われなかった永井はちょっと気の毒)。
 この試合には初タイトルを熱望する新潟サポーターが3万5千も集まったそうで、入場者数62,517人は史上最多とのこと。新潟はサポーターもあっぱれだった。
 そんなにたくさんのサポーターの期待を裏切ったことに対する申し訳なさもあったんだろう。PK戦で唯一シュートを外してしまった長倉幹樹{ながくらもとき}は、敗戦が決まったあとピッチに泣き崩れたまま起き上がれず。表彰式になってもまだ泣いていた。
 自分の失敗でタイトルを逃したとはいえ、あそこまで泣けるのって逆にすごい。長倉の未来に幸あれ。
(Nov. 07, 2024)

鹿島アントラーズ0-0名古屋グランパス

J1・第36節/2024年11月9日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 ルヴァン杯・決勝から一週間後のJリーグ。優勝したグランパスの対戦相手が鹿島だった。二週つづけて名古屋の試合を観るのは、僕としてはレアだ。
 鹿島のスタメンは快勝した前節・川崎戦と同じで、名古屋もルヴァンと同じ三國ケネディエブスを真ん中にした3バック。中盤には稲垣、和泉、森嶋司らがいて、FWは永井のワントップという布陣。
 試合は鹿島がボールを保持して、名古屋がカウンターを狙う構図で、膠着した内容のまま前半を終了。後半勝負だと思っていたら、58分に優磨がレッドカードをもらって退場してしまう。
 サイドライン際で椎橋にファールを受けた優磨は、胸から体当たりする格好で抗議にいって相手を倒してしまう。これをみた上田益也という主審の判定は赤……。
 殴ったとか蹴ったとか、直接手を出したわけではないので、いささか厳し過ぎる気がしたけれど、まぁ、倒しちゃったことは事実だしなぁ……。
 優磨がレッドカードをもらったのはこれが初めてとのこと。暴れん坊なイメージに反して、意外と紳士な優磨さんだった。
 結局この退場劇がすべてだった気がする。そのまま試合はスコアレス・ドローで終わってしまった。
 数的不利になったことで選手交替が難しくなったからだろう。最初のカードを切って仲間を名古に替えたのが後半27分。その後の樋口→津久井は残り5分を切ってから、柴崎&師岡→船橋&徳田はロスタイムに入ってからだった。
 まぁ、10人になってからも、最後までそれなりに攻めてはいて、劣勢な印象は受けなかったのはよかった。
 名古屋のユンカーは怪我で離脱してベンチ外。もっとも彼はルヴァン杯でもサブだったし(パトリックもしかり)、鹿島も出場選手は全員日本人だったから、スタメンに名前があった外国人は、両チームあわせてランゲラックひとりだけだった。最近のJリーグは日本人主体がトレンドのような気がする。
 この試合に引き分けたことで、鹿島は勝ち点58で5位に後退。残り3試合すべて勝っても67までしか伸ばせず、首位にいる神戸には追いつけないことが確定した。これにて優勝の可能性は消滅。残りの3節は消化試合になってしまった。
 それでも、これまでだと3位以内に入ってACL出場権を得るべく最後まで健闘を……とか思うところだけれど、今季からACLが二部リーグ制になってしまい、4位で終わると二部リーグの出場権が与えられることになるので、それだったらこのまま5位で終わったほうがすっきりしていいんじゃないかって気がしてしまう。
(Nov. 11, 2024)

京都サンガFC0-0鹿島アントラーズ

J1・第29節/2024年11月17日(日)/サンガスタジアム by KYOCERA/DAZN

 前節ではこのまま5位で終わったほうがいいんじゃないかとか書いてしまったけれど、3位以内に入ってACLエリートに出られるならば、それに越したことがない。
 で、現在3位の町田とは最終節に直接対戦がある。現時点での勝ち点の差は5なので、この試合(8月末に中止になった第29節の振替)に勝ってその差を2に詰めておけば、最終節での逆転が可能。つまり残り3試合すべて勝ち切れば、町田を抜いて3位で終われる!
――という取らぬ狸の皮算用をしていたのに、スコアレス・ドローに終わって自力での3位確定が消滅してしまった。そんなとほほなアウェイでの京都戦。
 前節で退場した優磨が出場停止だったので、この日のスタメンは優磨のかわりに名古を入れて、フォーメーションを師岡のワントップにした4-2-3-1だった。
 中後体制になってからレギュラーの座を失っていた名古がひさびさに先発。名古にとっては自身の存在意義を証明する意味で重要な試合だったはずだけれども、残念ながら前半の彼はいいところなしで終わってしまう。
 こりゃ前半だけで交替になっても仕方ないんじゃないかなと思ったのだけれども、後半頭から田川を投入してきた中後がかわりに下げたのは、名古ではなく仲間だった。
 前半の印象だけでいえば、だんぜん仲間のほうがよかったので、この交替策は意外だった。でもこれは中後のファインプレーだったと思う。あのまま名古を下げてしまったら、彼にとってもダメージが残ってしまっただろうし、後半の名古はちゃんと鹿島の攻撃に寄与していて、前半の悪印象を払拭していた。
 その他の途中出場はターレス・ブレーネル、徳田、津久井の計4人。
 なんにしろ、これで中後が監督になってから4試合で3回目のスコアレス・ドロー。守備が安定しているのはいいけれど、決定力不足が課題。藤井やチャヴリッチら、攻撃に特徴がある選手をベンチから外しての結果だけに、来年へ向けてのチーム編成にも影響しそうなところが気がかりだ。
 対する京都は夏場の補強で獲得したラファエル・エリアスという99番の選手が13試合で11ゴールという素晴らしい成績を残して、残留決定に貢献。彼にスタメンを奪われる形で、豊川は後半からの出場だった。
 エリアスは後半になってその実力を発揮していたけれど、でも彼よりも好印象だったのが9番のマルコ・トゥーリオ。FWなのに守備にも手を抜かないその献身性がとても好印象だった。
 あと、GKの太田岳志もファインセーブでMVP級の活躍だった。太田って誰よと思って調べたら、ずっとJ2でプレーしていて、去年初めてJ1でのプレー機会を得た33歳の苦労人。今年もずっとク・ソンユンの控えに甘んじていたのに、なぜだか3試合前からスタメン起用されていた。なんだか今年はこれまで名前も聞いたことがなかったGKの好プレーに阻まれてノーゴールに終わった試合が多い気がする。
 まぁ、太田だけではなく、早川にもチームを救うファインセーブが二つくらいあったし、この試合はお互い打ち合いながらGKのファインセーブに救われたので、ドローという結果は順当だった気がする。
 京都は前半戦は降格圏内に沈んでいたのに、的確な補強と曺貴裁{チョウキジェ}監督への信頼でJ1残留を成し遂げたのが素晴らしい。策もなく監督交替に踏み切って降格一番乗りを決めた鳥栖とは対照的だ。
 さて、これでいよいよJ1も佳境。全チーム残すところ2試合ずつとなり、優勝の可能性は神戸、広島、町田の3チームに絞られた。降格は鳥栖が決まり、札幌がほぼ確定的、残る一枠は新潟、柏、磐田の3チームのいずれか。
 次節で神戸の優勝と、降格2チームが決まる可能性がある。さてどうなるJ1?
(Nov. 18, 2024)