2024年10月のサッカー
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アルビレックス新潟0-4鹿島アントラーズ
J1・第33節/2024年10月4日(土)/デンカビッグスワンスタジアム/DAZN
ひさびさに勝ちました~。およそ2ヵ月ぶりの勝利。いやぁ、長かった。
新潟はこのところ3連敗中とのことで、14位に低迷しているクラブがそんな状態ならば、優勝を狙うクラブたるもの、勝ってあたり前――なんだけれども。
今年の鹿島は何連敗中とかいう相手との対戦をかなりの確率で取りこぼしてきているので、もしやしたらまたもや勝てないのでは?――という不安を感じないではいられなかった。
でも、そんな不安もこの日ばかりは杞憂で終わる。いやぁ、ほんと勝ててよかった。
前節濃野が途中交替したのは足をつったせいだと思っていたら、そうではなく半月板を損傷していたとのことで、この試合は欠場。せっかくルーキーイヤーに二桁得点まであと1点としていたのに、今期はもう出番なしかもしれない。だとしたら残念だ。
濃野の離脱により今季の定番だった4バックが組めなくなったことで、ポポヴィッチは三竿を最終ラインに入れた3バックを起用してきた。
ということで、この日のスタメンはGK早川、DF三竿、植田、関川、両ウィングが樋口と安西、ダブルボランチは柴崎と知念、二列目が名古と師岡で、優磨のワントップという布陣。途中出場はミロサヴリェヴィッチ、須貝、ターレス・ブレーネル、徳田の4人だった。ベンチには船橋と須藤という珍しい顔ぶれもいたのに、残念ながら彼らは出番なしで終わった。
試合が動いたのは前半12分。それまでは新潟のパスワークに押し込まれていた鹿島が、カウンターからぶ厚い攻撃をしかけ、最後は師岡のシュートがポストをたたいて跳ね返ったこぼれ球を優磨が体ごと押し込んだ。
優磨ひさびさに流れからのゴール!――と喜んだのもつかの間。リプレイを見たら、優磨をブロックしようとした新潟DFの足にあたってボールがゴールに転がりこんでいたので、記録はオウンゴールとなってしまった。でもまぁ、エースが絡んで早い時間帯に先制できたのは幸いだった。
そのわずか3分後には右サイドからのクロスをファーで受けた樋口がフリーのチャンスをしっかりと決めて追加点。
とはいえ、前節だって2-0から逆転されているので、まだまだ安心はできないよなぁ……と思っていたら、前半終了間際に右CKからのサインプレーで、樋口が芸術的なミドルシュートを決めて3-0! さすがにこれで勝利を確認した。
樋口は先制ゴールにつながる師岡のシュートのお膳立てもしているし、前半の3得点すべてに絡む大活躍で、彼を右サイドウィングに起用してきたポポヴィッチの期待に見事応えてみせた。
後半は8分に優磨が追加点。これも相手DFにあたってコースが変わったので、もしやまたもやオウンゴールかと思ったけれど、幸いそのまま優磨のゴールということで認められた。
さすがにこれで勝負あり。その後も無失点で試合を締めて、4-0という文句なしのスコアで鹿島が勝利をおさめた。ボール支配率は新潟が67%という試合にしてこの結果。サッカーでやっぱりわからない。
新潟はオーストラリア代表に選出されたというトーマス・デンがなぜかベンチスタートだった。後半途中に出てきてからはかなりの存在感だったので、なぜに彼をスタメンから外したのか謎。あとJ2からステップアップしてきたという24歳の長倉というFWがなかなか勢いのあるプレーを見せていた。
鹿島にとってはひさびさの勝利で喜ばしいことだけれど、濃野の不在とこの日の快勝により、この先も3バックが定着しちゃうそうなのはちょっと嫌だ。
とはいえ、いま現在のメンバー構成だと、これがいちばんいい形のような気はする。
【追記】いやしかし、まさかこの翌日にポポヴィッチの解任が発表されようとは……。
(Oct. 07, 2024)
鹿島アントラーズ0-0アビスパ福岡
J1・第34節/2024年10月19日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN
ポポヴィッチの解任について思うこと。
――なぜ鹿島はこうもこらえ性がないんだろう?
ザーゴを二年目の序盤で解任したところから始まり、相馬は一年たらず、レネ・ヴァイラーは半年も持たず、岩政も一年半、そして今回のポポヴィッチもシーズン終盤での解任。かつての栄光の記憶のせいで、結果を急ぎすぎている気がする。
石井、大岩、相馬、岩政と、これまでの解任劇での後任は、いまだ優勝争いの目があるシーズン途中でコーチをつとめていたOBがそのまま昇格するという形だった。でもって石井はその年にルヴァン杯、大岩は二年目にACL優勝という結果を残した。
思うに、このふたりが結果を出したことで、もしも招聘した外国人監督が駄目でも、鹿島イムズのなんたるかを知ったOBのコーチにあとを任せればなんとなるという間違った認識をクラブが持ってしまったような気がする。
でも、その後シーズン途中で同じようにコーチから昇格した相馬と大岩は結果を残せずにクラブを去り、勝利の方程式は崩れた。今回なんてタイトルの可能性が99%なくなった状態での監督交替だ。いったい後任の中後になにが望めるというんだろう? さっぱりわからない。
まぁ、ザーゴ――僕は彼のサッカーが好きだったので、二年目のシーズン序盤での解任は本当に残念だった――以来のクラブの迷走は、鈴木満氏の後任としてチームを引き継いだ吉岡宗重フットボール・ディレクターの責任の感が強かったので、今回その人の辞任が決まったこともあって、彼の肝入りで入ったポポヴィッチも一蓮托生でお役御免ということになったみたいな感じだけれど。
でもまだACL出場圏内に届く順位にいるのだし、来シーズンの続投がないと決まったにせよ、どうせならば今季は最後までポポヴィッチに任せて、最終順位がどういう結果になるのかを見届けたかったよ……。
というか、僕としてはもう一年くらいポポヴィッチにチャンスをあげてもいいと思うのだけれど。いくらなんでも一年で優勝できなかったら失格って。それは厳し過ぎってものじゃなかろうか。神戸が強くなったのだって、吉田孝行にちゃんと時間をあげたからだと思うんだけれどな。
うがった見方をすれば、もしもこのままポポヴィッチに最後まで任せて、ACL出場権を得て終わると、来年彼を解任する言い訳が難しくなるから、いまだ最終結果の出ていないこのタイミングでの解任となったんじゃないのかとも思える。それが解任理由の「総合的に判断した結果」なのではないかと。
まぁ、やはりポポヴィッチは吉岡氏ありきの人選だったので、吉岡氏が抜けた来期も彼にチームを託すという選択肢は、鹿島――というか社長のメルカリ小泉さん?――にはなかったということなんだろう。
吉岡氏の後任は中田浩二だというし、中後のサポートとして、ユース代表で指導歴を積んだ羽田憲司と、クラブのレジェンド本山の入閣が決まったので、もしかしたらこれを機に脱ブラジル路線の方針は撤回して、再びクラブの伝統であるジーコイズムの純血主義へ回帰するのかもしれない。まぁ、それならばそれはありかなとも思う。
さて、そんなわけでポポヴィッチのあとを受けて誕生した
前節3バックで快勝を収めたので、ポポヴィッチ続投ならばその形を踏襲してくるかと思っていたんだけれど、さすが中後は鹿島のOBだった。前節の結果を無視して、伝統の4バックに戻してきた。
中後監督が初めての試合で選んだ11人は、GK早川、DF須貝、植田、関川、安西、MFが柴崎、知念のダブル・ボランチで、二列目に藤井、名古、優磨、そして師岡のワントップという顔ぶれだった。途中出場は樋口、三竿、徳田、船橋、ブレーネルの5人。船橋はこれが今季初出場とのこと。おぉ、そうだったか。
プロパーのSB須貝がいるのだから、彼を使って4バックとするというのは個人的にはいいことだと思う。中盤に下がってプレーしがちな優磨を最初から一列下げて、師岡をワントップに起用してきたのも意外性はあったけれど、まぁよし。
じゃっかん疑問を覚えたのは、藤井の右サイドでの起用。今シーズンの彼は左サイドで躍動している印象だったので、右での起用はどうなんだと思った。あと、前節あれだけ活躍した樋口をスタメンから外したのも。やはり結果を出した選手には継続的にチャンスを与えるべきでは?
中後の示したスタメン表の変化は興味深かったけれども、結果的にこの試合では攻撃が活性化せず、シュート本数が一桁台で終わってしまったので、スコアレス・ドローという結果は初監督の采配としては成功とはいえない。上位3クラブが今節はすべて勝ち点を落としているので、なおさら勝ち点3が欲しいところだった。
まぁ、対する福岡はこの日も入れてクラブ史上初の4試合連続のクリーンシートだそうなので、相手の守備力が高かったって部分もあったんだろう。シーズン途中で離脱したキャプテン奈良は不在だったけれど、ドウグラス・グローリ、田代、宮という3バックはガツガツとあたりが強く、6番のキャプテン前も地味ながらいいプレーを見せていた。金森、小田の旧鹿島勢のプレーが観れたのも嬉しい。ワントップのウェリントンは関川とGKとの接触で怪我をして、途中から鼻の頭をテーピングでがちがちに固めてプレイしていた。
試合後のヒーローインタビューは福岡のGKの永石だったから、彼がこの試合のMVPなんだと思われる。でないと鹿島のホームゲームで相手GKがインタビューを受ける理由がわからない。まぁ、セットプレーからの知念のどんぴしゃのヘディングを止めたファインプレーもあったしねぇ。あれが決まっていればなぁ……。
ちなみに福岡を率いる長谷部茂利監督は今季で退任だそうだ。川崎の鬼木も今季での退団が決まったそうで、さっそく鹿島がオファーを出したというニュースが飛び込んできた。つまり中後は今季限りという方針なわけだ。ますます残り試合がモチベーション的に難しそうな……。
監督の解任といえば、後半戦に入ってからF・マリノスがキューウェルを、鳥栖が川井監督を解任し、レッズもヘグモを切ってスコルジャを呼び戻した。
おもしろいのはどのクラブも解任の発表が鹿島戦の直後だったこと。なんでうちと戦ったあとで次々と監督が替わっちゃうんだろうと不思議に思っていたら、当の鹿島まで解任グループに加わってしまったという落ちだった。とほほ。
いやでも、鳥栖の川井監督解任は愚行だと思った(後任は木谷という人)。確かに今季は下位に低迷していたけれども、戦力を考えれば十分よく戦っていたので(少なくても鹿島的には今年も手強かった)、シーズン途中での監督交替は悪手でしかないんじゃん?――と思わずにいられなかった。
そしたら、実際に鳥栖は監督交替後に一勝もできないまま、今節ついに降格一番乗りが決まってしまうというていたらく……。
あーあ。ほんとお気の毒さま。だから替えちゃ駄目だっていったのに。
(Oct. 22, 2024)