2024年9月のサッカー
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鹿島アントラーズ2-2サンフレッチェ広島
J1・第30節/2024年9月14日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN
八月末の京都戦が台風のため中止になり、そのあとに代表ウィークがあったため、三週間ぶりのアントラーズ戦。対戦相手は前節、町田と勝ち点で並んで首位に立ったサンフレッチェ広島。
鹿島は直前の練習で三竿を最終ラインに入れた3バックを試していたそうで、試合前の予想フォーメーションは3-4-2-1だった。
4バック好きの僕としては、え、やめてって感じだったんだけれど、いざ試合が始まってみれば、三竿のポジションはボランチで、柴崎をトップ下に起用した4バックだった。
でも1点のビハインドでのぞんだ後半には、三竿を右CBにコンバートして、噂の3バックへと移行。最後までそのまま戦った。気に入らないけれど、まぁしょうがない。
ということで、スタメンは早川、濃野、植田、関川、安西、三竿、知念、名古、柴崎、師岡、優磨という11人だった。
ひさびさに知念が戻ってきた。今シーズンの彼は必要不可欠だから、彼と柴崎と三竿を併用するならば、この形がいちばん理想的だと思う。途中出場は樋口&ターレス・ブレーネル、藤井&徳田の4人。
いやしかし、広島は首位に立つだけあって強かった。序盤から押されまくり。
それでもなんとか右CKから知念のヘディングで先制したと思ったら、そのわずか2分後には新加入したばかりのイケメンのポルトガル人、ゴンサロ・パシエンシアにヘディングを決められて、あっというまに同点。この外国人、レベル高ぇ。
その15分後には、右サイドから攻め込んだ川辺が関川の股抜きでチャンスを作り、そこからのグラウンダーのクロスに松本泰志がピンポイントであわせて逆転。ぐうの音も出ない見事な連携だった。
昨シーズンにダブルをくらったクラブに今年は全部勝ったものの、それは前期の話。後期に入って再戦した神戸とF・マリノスには負けて、勝率は結局五割。
あぁ、やっぱ広島にもやっぱ負けちゃうのか……という失望感を拭い去ってくれたのは、十七歳のJ初ゴールだった。
後半29分から出てきた徳田誉が、その8分後に優磨らとの連携から見事な同点弾をゲット! 劣勢の試合を振り出しに戻し、なんとか勝ち点1をもぎとった。とりあえず広島にはこれで今季勝ち越しだ~。
いやしかし、徳田のゴールは見事だった。あれで17歳とは末恐ろしい。
広島は3週間も休みだった鹿島と違って、ルヴァン杯と天皇杯があって、ここのところ連戦で疲れもあっただろうに、内容的には鹿島を押していたあたり、やっぱ今年は強いなと思った。大橋と川村が海外移籍してしまって戦力ダウンしているはずが、パシエンシアみたいな優れた助っ人で補強するのだから、フロントもいい仕事をしている。
まぁ、鹿島の新外国人、ターレス・ブルーネルも悪くない。前回はプレー時間が短くてよくわからなかったけれど、この日はそれなりに出番があったので、個人的には好きなタイプの選手かもって思った。
(Sep. 15, 2024)
鹿島アントラーズ0-0柏レイソル
J1・第31節/2024年9月21日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN
ここから柏、湘南、新潟、福岡と、下位に低迷しているクラブとの対戦がつづく。優勝争いに絡んでいくには、ここからの四連勝が必須!――との期待もむなしく。柏レイソル相手にスコアレス・ドローに終わった一戦。
まぁでも、柏のスタメンを見て、あぁ、これはきっと楽な試合にはなんないんだろうなと思った。前線には細谷とマテウス・サヴィオという怖い選手がいるし、最終ラインが古賀太陽と犬飼という僕のお気に入りコンビなのもポイント高い。ボランチの戸嶋もあいかわらず目立っている。なにより全体的にプレスが厳しくて、好きなようにボールを運ばせてもらえない。
公式データだと、シュート数わずか7本だ。柏も6本だから、スコアレス・ドローは順当な結果なんだろうなと思う。
この日の鹿島のスタメンは、GK早川、DF濃野、植田、関川、安西、MF三竿、知念、樋口、仲間、FW名古、優磨という顔ぶれ。途中出場は師岡、ターレス・ブレーネル、徳田の3人だけだった。
なぜか柴崎がスタメンを外れて、出番なしで終わってしまったのが謎だ。ベンチには入っていたのだから怪我ってことはなんだろうし。中3日で天皇杯の準決勝があるから、その試合に向けて温存したのかもしれないけれど、本気で優勝を狙ってるならば、無得点の試合で貴重な攻撃のオプションを使わずに引き分けで終わるなんて駄目だろう。それがこの試合のいちばんの不満点。
これで5試合連続白星なしで、今節ふたたび首位に返り咲いた広島との勝ち点の差は9まで開いてしまった。鹿島のほうが1試合少ないとはいえ、これ以上離されたら本当に終わりでしょう。マジ気合を入れ直してほしい。
そういや、柏では後半途中から垣田が出てきた。柏に移籍してもそう簡単にレギュラーは取れないらしい。勝負の世界はきびしい。
きびしいといえば、ギリェルメ・パレジは練習で怪我をして治療のためブラジルへ帰国したとのこと。もしかしたら鹿島で彼のプレーを観ることはもうないかも。
新外国人が次々と怪我で離脱するの、なんなんだかな。
(Sep. 26, 2024)
湘南ベルマーレ3-2鹿島アントラーズ
J1・第32節/2024年9月27日(土)/レモンガススタジアム平塚/DAZN
シーズン終了のお知らせ。
水曜日の天皇杯・準々決勝、神戸はローテーションで全選手を入れ替えてきたのに対し、こちらはリーグ戦と同じベストメンバーで戦って、0-3で負けたと聞いて、今年もタイトル奪取はもう無理だろうと思っていたけれど、この黒星でそれが決定的になった。この大事な局面で、前半途中まで2-0で勝っていた試合に負けるクラブが優勝できるわけがない。
首位・広島との勝ち点の差は12まで開いてしまったから、広島が残り6節で4敗してくれない限り、鹿島はタイトルには届かない。ここまでの32試合で4敗しかしていない広島が、ここからそれと同じだけ負けるのを望むのは、さすがにミッション・インポッシブルすぎる。
広島だけでも無理筋なのに、今節2位に浮上した神戸と、3位に後退した町田(とはいえ鹿島に勝ち点9の差をつけている)にもそれ相当の負けを期待しないといけないわけで。無理をいうにもほどがある。鹿島が今シーズンも無冠に終わることがこれにて実質的に確定したといっていい。あーぁ……。
この試合に関しては、敗因はただひとつ。ポポヴィッチの消極性。これにつきる。
試合前のメンバー表に、サブとはいえチャヴリッチとミロサヴリェヴィッチの名前があったから、これはここからの追撃には追い風なのでは?――と思ったのに、なぜに彼らの出番が後半25分過ぎなんだ。おかしいでしょう?
天皇杯の試合から中2日なんだよ。しかもスタメンはその試合とほぼ一緒。出ていないのはその試合で怪我をしたという知念だけだ(前節のスタメンから知念を外して仲間を入れた形)。疲れがたまっているのは考えるまでもないでしょう?
となれば、積極的な選手交替でチームを活性化しなくてどうする。
前半のうちに濃野の2ゴールで2-0として、さすがにきょうは勝っただろうと思ったのに――濃野ほんと孝行息子――前半の終了間際に優磨のボールロストからカウンターを食らい、鈴木章斗という若い選手に豪快なシュートを決められて2-1で前半を終えたのは確かに痛かった。ポポヴィッチはあの1点が敗因だと語っている。
まぁ、2点差のまま後半を迎えていたら、もっと余裕をもった試合運びができていたのは確かなんだろうから、あの1点を悔やむのはわかる。なまじ優磨のボールロストがファール気味のチャージからだったから、なおさら悔しい。この日も清水主審の判定はいろいろ難ありだった。
でもそれにしたって、その後のリアクションが消極的すぎた。チームのコンディションを考えれば、後半の頭からチャヴリッチを入れるような積極的な采配を切ってくれたっていいじゃん。
でもこの日もポポヴィッチは動かない。ようやく選手を変えたのは、後半20分に畑大雅、その2分後に福田翔生という若者たちにゴールを決められ、逆転を許してからだ。
お・そ・す・ぎ・だろっ!
1点のビハインドを追ってから、仲間&名古をチャヴリッチと藤井に替え、さらには柴崎&師岡をさげて、樋口とターレス・ブレーネルを入れ、最後は足をつった濃野をミロサヴリェヴィッチに替えたけれど、もうその時点ではチーム全体がガス欠気味で、同点ゴールが生まれる気配は感じられなかった。
最後のミロサヴリェヴィッチは、最初は足を引きずっていた優磨と替えようとしていたのに、先に濃野が足をつってピッチ外に出てしまったので、応急処置的に濃野との交替になった。そんなところにもポポヴィッチのリスク管理の甘さが見て取れる。
なぜそんなに選手が消耗するまで待たずに、後半の頭から積極的に選手を替えて、追加点を取りに行ってくれないかな。
対応が後手後手すぎる。
ほんとポポヴィッチの監督としての現時点での限界を感じさせた一戦だったと思う。
湘南ではキム・ミンテがキャプテンマークをつけていて、ゴールマウスは川崎からシーズン途中で移籍してきた上福元が守っていた。
あと、興味深いのは、この試合でゴールを決めたのが、鈴木(21才)、畑(22才)、福田(23才)、そしてわれらが濃野(22才)と、全員五輪世代だったこと。
湘南がそういう若い選手たちを積極活用して勝利を手繰り寄せたのに対して、鹿島のスタメンにはその世代の選手が濃野しかいないという現実が、いまの鹿島のチーム作りの欠点を物語っている気がする。まぁ、あちらさんは予算の関係上、若手を積極的に起用せざるを得ないという理由があるのかもしれないけれども。
理由はともあれ、鹿島にだって荒木、松村、染野といった若くて優秀な選手たちがいたのに、彼らの成長をうながしてスタメンに定着させることができず、みすみす移籍させることになってしまった。そんなことしていたら、将来をみすえて継続的に強いチームを作るのなんてどだい無理なのでは?
いまは長いことタイトルから遠ざかってしまっているせいで、タイトル奪取という目先の目的にとらわれすぎていて、育成という部分がおろそかになっている気がする。
まぁ、これはポポヴィッチだけが悪いわけではなく、フロントの問題だと思うのだけれど。土居聖真が移籍することになってしまったのだって、クラブの伝統的な価値観が揺らいできている証拠のように思える。
本気で鹿島が往年の強さを取り戻そうと思うならば、もっと長期的な視点にたって、若手を積極的に起用して、新旧世代を融合させてゆくような方針を強く打ち出して必要があるんじゃないか。――そんなことを思わされた一戦だった。
いやしかし、若い世代には才能ある選手がどんどん育ってきている気がする。日本サッカーの未来は明るいのかもしれない。
(Sep. 29, 2024)