2020年11月のサッカー
Index
- 11/03 〇 横浜FM2-3鹿島 (J1・第31節)
- 11/13 〇 日本1-0パナマ (親善試合)
- 11/14 △ 鹿島1-1川崎 (J1・第27節)
- 11/18 ● 日本0-2メキシコ (親善試合)
- 11/21 〇 仙台1-3鹿島 (J1・第28節)
- 11/25 ● 鹿島1-4柏 (J1・第29節)
- 11/29 〇 鹿島4-0浦和 (J1・第30節)
横浜F・マリノス2-3鹿島アントラーズ
J1・第31節/2020年11月3日(火)/日産スタジアム/DAZN
前節の名古屋につづいて、今節は勝ち点1の差で鹿島のひとつ下の7位につけているF・マリノスとの対戦。本当は十二月に予定されていた第31節がACLの都合で前倒しになったもの。スタメンは沖、小泉、犬飼、町田、永戸、永木、レオ・シルバ、荒木、エヴェラウド、土居、綺世の11人だった。
前節レッドカードをもらったファン・アラーノと、足を傷めた和泉が欠場ということで、こういう顔ぶれになった。和泉は予想外に重傷で、全治一ヵ月くらいかかるらしいから、今季はもうほぼ出番なしかもしれない。結局ほとんどいいところを見せてくれないまま終わっちゃいそうで残念。
――とはいっても、でもそのおかげでスタメンのチャンスを得た上田綺世が素晴らしいゴールで逆転劇の狼煙をあげてくれたのだから、結果オーライ。というか、和泉には悪いけれど、個人的には彼よりも綺世に対する期待値のほうが大きいので、これから綺世の出番が多くなりそうなのはまさに怪我の功名。もう優勝はないけれど(前節の負けで川崎に追いつけないことが確定していた)、ここからシーズン終了までの楽しみがちょっとだけ増えた。
横浜は仲川がなぜか不在(怪我?)で、あとGKの朴一圭が在日韓国人のため外国人枠に引っかかってACLに出られないからという理由で、鳥栖の高丘という人とJリーグでは珍しい交換トレードになっていた。ということでこの日のGKはマリノスにやってきたばかりの高丘。
試合は前半のうちに2点を先行される苦しい展開。1点目はこの日がひさびさのスタメンだという水沼で、2点目はエリキ。水沼のゴールは左サイドからのクロスに点であわせた技ありの1点。マークについた永戸と競り合いながらの得点だったので、最初は永戸のオウン・ゴールじゃないかと思ったくらいのきわどさだった。
エリキのゴールはカウンターから。最初のピンチは止めたのだけれど、そのあとジュニオール・サントスに渡ったボールをレオ・シルバがブロックしたところ、そのこぼれ球がゴール前に攻め込んでフリーになっていたエリキに渡ってしまった。さすがにあそこでブラジル人にボールを持たれたら止めらんない。アンラッキーな失点でした。
ということで、前半30分足らずで2失点という厳しい試合内容だったけれど、でもそこまでにも鹿島はサイド攻撃を中心にかなり分厚い攻撃を仕掛けられていたので、前半のうちに1点でも返せればどうにかなるんじゃないかと思っていたら、その期待に応えてくれたのが上田綺世だった。土居がDFラインの裏へと蹴り込んだボールに反応して、ジャンプしながらつま先でボールをトラップすると、そこから右足を一閃。思わず声が出てしまうほどのゴラッソを決めてみせてくれた。綺世うまいっ!
これで形勢逆転。後半の頭から出来がいまいちだった荒木をさげて遠藤を入れ、途中で永木を三竿に入れ替えてからは、もう押せ押せ。中盤でのボール奪取がさらに顕著になり、やがてエヴェラウドに同点弾が生まれる。こちらのロングボールを相手DFがトラップしたところを横からかっさらったエヴェラウドが個人技を爆発させ、鮮烈なスーパーゴールをたたき込んでみせた。エヴェラウド、すっげー。
この同点ゴールのあと、ザーゴは土居、小泉をさげて、伊藤翔と特別指定選手の常本佳吾を投入。その伊藤翔のアシストから遠藤の決勝点が生まれたのだから、ザーゴ采配ずばりだ。いやー、伊藤の柔らかいアシストも遠藤のダイレクト・ボレーも素晴らしかった。この日の3ゴールはどれもほんと絶品だった。いいもん見せてもらいました。
これがJリーグ・デビューの現役明大生、常本もちゃんと戦力となっていた。まだ線はちょっと細い感じだけれど、この子はなかなか期待できそうだ。永戸もこの日はセットプレーをほぼすべてひとりで任されていて存在感抜群。これまででいちばんの好印象だった。そんな両サイドがしっかりと機能していたからこその怒涛の逆転劇でしょう。昨年度王者を相手に序盤の劣勢を跳ね返しての逆転勝利はとても価値がある。
鹿島はこの白星でついにFC東京を追い越して5位に昇格。これより上のクラブはどこも試合数が少ないので、ここから順位を上げるのは簡単ではないと思うけれど、でも残り6試合もあれば、まだまだ波乱はあり得る。ACL出場権をかけての残り6試合、いい試合を期待しているぜぃ。
さぁ、ということで次節はいよいよ川崎戦! どんなに強いのか、その実力を見せてもらおうじゃないか。
(Nov. 03, 2020)
日本1-0パナマ
親善試合/2020年11月13日(金)/グラーツ(オーストリア)/フジテレビ
日本代表、今年二度目のヨーロッパ遠征。
今回の遠征先はオーストリアで、最初の対戦相手はパナマ。選出されたのは前回同様、海外組のみで、スタメンはGK室屋、権田、DF植田、吉田麻也、板倉、長友、MF柴崎、橋本拳人、三好、南野、久保の11人だった。
なんとDF5人、MF5人で、FW登録なしという編成。DFラインは3バックだったけれど、DF登録の選手が5人いるんだから、実質的には5バックも同然。南野、三好、久保が並んだ最前線は期待度が高かったのに、でもうしろがDF5枚って……。だから森保はなぁ……って、このスタメンを観てまた彼の評価が下がってしまった。
今回の二試合では次のメキシコのほうが強敵なので、そっちに出てくる選手が主力ってことでしょう。だから今回は冨安や酒井宏樹を温存したのだろうし。久保や三好はそっちの試合で観たかったのに、でもこの試合で使われた彼らが次もスタメンで起用される可能性は低いだろう。もしも次も引きつづきあの二人を使ったら、ちょっとは森保を見なおすかもしれない。
いずれにせよ、この試合のいちばんの不満はうしろの選手の選択。3バックで戦うのならば、最低でも両サイドウィングの片方は伊東純也や原口のような攻撃的な選手を使ってほしい。実際にこの試合がおもしろくなったのは、後半途中に長友を原口に替えてからだったし(途中出場はそのほか遠藤航、鎌田、浅野、中山、酒井)。
調べてみれば、パナマはFIFAランキング77位だよ? そんな相手にPKの1点(もらったのも決めたのも南野)に終わったんじゃ駄目でしょうよ。しかも相手は後半途中にGKがレッドカードもらって退場しているんだよ? 数的有利な状況さえ生かせないんじゃ話にならない。
全員海外のクラブでプレーしているって時点で選手の質が過去最高なのは保証されているのだから、その選手たちをうまく活かせないのはひとえに監督の力量。やっぱ森保は駄目だろうって思わされた一戦だった。
パナマは2年前のW杯に出ていて、同じ年の森保監督就任後の2試合目で対戦したらしいのだけれど、まったく記憶に残っていなかった(とりあえず記録には残っている。その試合が冨安のA代表デビュー戦だったらしい)。
でもパナマ、思ったよりもよかった。積極的にパスをつないで攻めてきていたし、最前線のプレスも強烈だった。やっぱ最近はどこの国も平均的にレベルが上がっているなぁって思った。でもだからといって、PKでしか点が取れなくて当然ってほどの強敵ではなかったのも事実。もうちょっとがんばってほしかった。
注目の久保は思わず笑っちゃうような好プレーを二度ほど見せてくれたけれど、でも全体的にボールタッチ数が少なくて存在感が希薄。どちらかというと三好のほうがよかったと思う。あと、植田が思いのほかよかった。もともと対人が強いタイプなのが、海外でもまれてさらに成長している感があった。このまま順調にゆけば、ポスト麻也の位置を得る可能性もあるかもしれない。
ボランチでは柴崎がいまだに森保に偏愛されているけれど(でも出来はずっといまいちな気が……)、前半だけだった橋本にしろ、後半から出てきた遠藤航にしろ、誰が出てきても一定のレベルが保てている気がする。先月の中山雄太もよかったし、国内組でも蛍がいるし、アントラーズの三竿だって、間違いなく代表レベルだと思う。
そういう意味では、日本代表でもっとも戦力的に充実しているのはボランチなのかなと、この試合を観ながら思った。
(Nov. 14, 2020)
鹿島アントラーズ1-1川崎フロンターレ
J1・第27節/2020年11月14日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN
ここまで史上最強と呼ぶにふさわしい成績で首位を独走している川崎との対戦。今年はもう川崎の優勝が決まったも当然なので、その王者たるべきチームを相手にいまの鹿島がどんな戦いを見せてくれるのか、とても楽しみにしていたのだけれども……。
よもやこのタイミングで永戸が新型コロナに感染しようとは――。
朝一で感染者が出たというメールがきたときには、こりゃ今日の試合は中止だろうと思ったのだけれど、意外や意外、試合は予定通りに開催された。そのかわり、永戸の欠場は当然として、濃厚接触者と判断された杉岡、荒木、町田、関川、山田、常本の6人がベンチ外。
ということで、この日のスタメンは、沖、小泉、犬飼、奈良、脩斗、三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、土居、エヴェラウド、綺世の11人ということになった。
メンバー7人が使えない状況だった割には、意外と駒不足の感のない顔ぶれ。今年はなかなか選手層が厚いんだなと思った。
あと、途中出場で故障明けの広瀬陸斗が出てきたのもチームにとっては朗報(その他の出場者は、名古、遠藤、伊藤翔の計4人)。万全の状態では戦えなかったけれど、メンバーが替わっても試合内容はそれほど変わらないところに、チームとしての軸がしっかりしていることを感じさせた。前夜の日本代表と比べても、いまの鹿島のほうが強いんじゃないだろうか(そんなことない?)。
まあ、とはいっても先制したのは川崎。ファン・アラーノがバックパスをミスって、脇坂に渡してしまい、脇坂はそのままドリブルで持ち上がって、技ありのミドル・シュートを突き刺して見せた。脇坂、だてに今年から背番号8もらっちゃいないな。ファン・アラーノのミスはお粗末だったけれど、でもあのシュートは敵ながらあっぱれだった。
あと、川崎で目立っていたのが三笘。得点こそ許さなかったけれど、ボールを持つと危険な香りがぷんぷん。そのたびにファールで止めるのがやっとって感じだった。こちらもすでに二桁得点を決めているだけのことはある。A代表デビュー(もしくは海外移籍?)も秒読み段階だろうなって思わせる存在感だった。
そうそう、忘れちゃいけない。今シーズンでの引退を発表した中村憲剛もこの日はスタメンだった。それほどめざましい活躍はしていなかったけれど(されても困るけれど)、彼のプレーが観られただけでも十分な価値があった。アントラーズ戦で憲剛のプレーをみるのもこれが最後だと思うとさびしい……。
そのほか、川崎では小林悠が怪我で離脱中(ほんとよく故障するよね)。家長、田中碧らがスタメンを飾る一方、大島、斎藤学、山村らが途中出場だった。なんでこの人たちがベンチスタートなのって思わされる選手層の厚さ。
ま、そんなタレント集団の川崎相手ではあったけれど、でもこの日の鹿島は押し込まれっぱなしになったりはしなかった。失点は脇坂の1点だけに抑えたし、こちらは後半にエヴェラウドの同点弾で追いついたあと、あわやというチャンスを何度も作っていた。順位のみならず、得点、失点ともにリーグ1位(得失点差48ってなにごとだよ)というダントツの成績を誇る川崎を相手に(かろうじではあるけれど)ボール保持率とシュート数で上回っているのだから、内容的には互角だったといっていいと思う。足りなかったのはあと1点だけ。そういう熱戦だった。
エヴェラウドのゴールは広瀬のクロスから(広瀬、復帰早々大仕事えらい)。頭できれいにあわせた最初のシュートはチョン・ソンリョンに止められたものの、そのあとのこぼれ球にしっかりと詰めていて、二度目のチャンスを足でものにした。あすこでちゃんとこぼれ球に反応するのがさすがのひとこと。
そうそう、この試合で残念だったのはあと一歩で勝ちきれなかったことに加えてもうひとつ。後半ロスタイムに三竿がラフプレーでレッドカードをもらってしまったこと。
確かに危険なプレーだったかもしれないけれど、あれで一発レッドはなくない?
今年のJはああいう謎のレフェリングが多い気がする。
(Nov. 16, 2020)
日本0-2メキシコ
親善試合/2020年11月18日(水)/グラーツ(オーストリア)/BS1
今年最後の代表戦にしてオーストリア遠征の二試合目のメキシコ戦。日本時間の朝5時キックオフの試合を早起きして観た。窓の外はまだ真っ暗だった。
スタメンはGKシュミット・ダニエル、DF酒井、麻也、冨安、中山、MF遠藤航、柴崎、伊東純也、鎌田、原口、FW鈴木武蔵という11人。
やはり久保のスタメンはなかった。それどころか、森保にとっては絶対的なレギュラーかと思っていた南野もいなかった。パナマ戦と連続出場したのは麻也と岳のふたりだけ。要するに9人も入れ替えて、しかもフォーメーションは4バックって……。
いや、俺は確かに4バックのほうが好きだよ? でもだからって、そうコロコロとフォーメーションを変えてどうすんだよと思う。メンバーもほぼ総入れ替えだし。いったいなんなの、この継続性のなさは。
思うに、森保にはこういうサッカーがしたいという明確なビジョンがないんじゃなかろうか。だからフォーメーションも選手もいつまでたっても決められない。こんな優柔不断な人に大事な代表を預けているのは苦痛でしかない。
この試合、前半の出来はよかった。いや、正確にいうと前半の前半、だろうか。そこまでの時間帯は何度もチャンスを作ったし、見ごたえのある戦いができていた。原口のミドルがGKのオチョア(メキシコで僕の記憶にある選手はこの人だけだった)に止められたのは惜しかったし、伊東もやたらと目立っていた(この先フルメンバーがそろったときに彼がどう使われるのか要注目)。あと足りないのは決定力だけって感じだった(なぜ決めらんないんだ、鈴木武蔵……)。
でもそんな好印象も時間とともに徐々に衰退してゆく。でもって後半に入るとスタジアムには深い霧が垂れ込めるようになり、その霧に視野とともに活力まで奪われたかのように、日本代表はすっかり勢いを失ってしまう。反対に後半になってギアをあげたメキシコに簡単に2ゴールを奪われる。でもって霧ですっかり誰がなにをしているのかわからないような中、そのまま逃げ切られてゲームセット。2020年最後の試合は、まさに五里霧中な結末となった。
後半から南野、橋本、久保、浅野、三好が出てきたけれど、そんなパスもつながらない霧の中では好プレーは望めない(俺なんか三好が出てたの気がついてないよ……)。
結局、後半は視界が不良な状況下で、メキシコとの地力の差が出てしまったように思う。悪コンディションをものともせず、正確なプレーであっという間に2点を取ってみせたメキシコはFIFAランキング11位というだけあって、さすが強かった。
スタメンでがっかりさせた森保は、そんな劣勢の後半でさらに株を下げた。だって、失点後にもまるで勝利への執念を感じさせないんだもの。
僕がふだん観ている鹿島のザーゴ監督は、負けている状況になるとフォーメーションもそっちのけで攻撃的な選手を入れてくる。思い切りよくボランチやサイドバックを削って攻撃的な選手を増やしてゆく。その姿勢には明確に勝利への執念が溢れている。ときにはバランスを崩して追加点を許すこともあるけれど、点を取らない限り負けてしまうのだから、あえてリスクを冒してでも点を取りにゆく――そんなザーゴの采配が僕は潔くて好きだ。
ひるがえって森保はといえば、この試合では前線の同じポジションの選手どうしを入れ替えただけ。そんなんでどうして攻撃のリズムが替わるっていうんだか。攻撃へのテコ入れのアイディア皆無なうえに、まるで冒険心や勝利への執念を感じさせない。もうつまんないったらありゃしない。
僕らはいつまでこの人のつまらないサッカーにつきあわされるんだろう。森保では世界に通用しないって、そろそろ日本サッカー協会にも気づいてもらいたいもんだと切に思います。ハリルホジッチより余程ひどいと思うんだけれどなぁ……。
(Nov. 19, 2020)
ベガルタ仙台1-3鹿島アントラーズ
J1・第28節/2020年11月21日(土)/ユアステックスタジアム仙台/DAZN
アウェイでのベガルタ仙台との一戦。変則日程でACL出場組とのアウェイでの試合がすべて前倒しになってしまった関係で、年内のアウェイの試合はこれが最後。残り4節はすべてホームだそうだ。
この日のスタメンは沖、広瀬、犬飼、奈良、山本、永木、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、土居、エヴェラウド、上田の11人。途中出場は遠藤、伊藤翔、小泉、松村、名古の5人。
前節で故障から戻ってきた広瀬が復帰2戦目にしてスタメンに返り咲き。広瀬が不在のあいだ、ずっとスタメンを守ってきた小泉がベンチとなった。小泉もずっといいプレーをしていたと思うのだけれど、やはりSBでのファースト・チョイスということになると広瀬に分があるらしい。小泉、腐らないといいけど……。
対する仙台はスタメンの外国人がGKのヤクブ・スウォビィクと前回対戦時にはいなかったブラジル人DFのパラのふたりだけ。今季の移籍の目玉(でも開幕当時から故障で離脱していて、十月になってようやく戻ってきた)クエンカも途中出場だった。
そのほか、スタメンでネームバリューがあるのは兵藤慎剛くらい。あと、あえてつけ加えるならば、元鹿島の赤崎(でも出番は前半だけ)。途中出場で長沢や関口も出てきたけれど、ほんと知っている選手はそのくらいだった。
ということで、仙台はあきらかに選手層が薄い印象。結果として最下位に沈んでいるのもなるほどなという感じだった。
でもそんな仙台相手に、この日の鹿島は圧倒的に押しまくりながら、GKスウォビィクの好守にはばまれて、前半は無失点に終わってしまう。
このまま後半もずるずるといくようだと、ちょっとまずいかも……と思っていたら、そんな悪い流れを断ち切ってくれたのがエヴェラウドだった。後半わずか2分にファン・アラーノからのクロスに頭できれいにあわせて先制。さすがエース、頼れる。それにしても、なんでエヴェラウドのヘディングっていつもあんなにどんぴしゃなんだろう。素晴らしい。
その後も鹿島はファン・アラーノ、綺世のゴールが決まって勝負あり。長沢のゴールで1点は許したけれど、そのシーン以外はとくに危なげなく勝ち点3をものにした。
ファン・アラーノのゴールは高い位置で相手ボールを奪ったところからの個人技で、ボール奪取にはエヴェラウドもひと役買っている。綺世のゴールは右サイドに開いたエヴェラウドのアシスト。ということでこの日の3ゴールすべてにエヴェラウドが絡んでいる。もうその貢献度はんぱなし。エヴェラウド、得点ランキングも単独2位だし、今年はベスト・イレブンへの選出もあり得るんじゃないだろうか。
なにはともあれ、これで鹿島はFC東京をかわして4位に浮上。好調の2位ガンバに勝ち点6の差をつけられてしまったから、天皇杯出場は難しそうだし、2試合少ないセレッソ大阪が勝ち点3の差で6位につけているから、まだ5位に下がる可能性もあるけれど、それでも現在の調子ならば、それより下の順位に下がることはまずないだろう。セレッソとは最終節に直接対決があるから、もし抜かれても再逆転が可能だし。
いやー、開幕当初はFC東京に追いつくのさえ難しいと思っていたのに、暫定とはいえ、そのFC東京を追い抜いて、ACL出場圏内に到達したのだから上出来でしょう。
序盤戦こそ失敗したけれど、その後しっかりとチームを立て直して結果を残したザーゴに拍手を送りたい。
(Nov. 23, 2020)
鹿島アントラーズ1-4柏レイソル
J1・第29節/2020年11月25日(水)/カシマサッカースタジアム/DAZN
残り4節すべてホームだから、全勝して終わって天皇杯へのわずかでも望みを!――という期待もむなしく、今季いちばんの惨敗に終わった柏戦。やっぱ今回もオルンガを止められなかった。
スタメンは沖、小泉、犬飼、奈良、山本、三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、土居、エヴェラウド。意外や、小泉がスタメン復帰を果たした。
対する柏で驚いたのは、GKが元神戸のキム・スンギュだったこと。
去年ACLの外国人枠の都合で契約解除されて韓国に帰ったのに、一年せずに戻ってきてたのか! あ、そういや中村航輔が移籍するかもしれないって噂だったから、オフシーズンに補強したんだっけ(今回中村は怪我で離脱中)。それにしてもわずか半年でJリーグ復帰とは……。サッカー界には昨今の日韓関係の悪化とかぜんぜん影響ないのかな。まぁ、ないに越したことはないですけどね。
柏では前回の対戦時にはいなかったクリスティアーノも復帰していた。オルンガや江坂に加えてクリスティアーノもって。そりゃ危険じゃん?――と思ったら不安的中。
前半にトリッキーなCKから北爪という選手があさってに打ったシュートでアンラッキーな先制ゴールを許し(あれってレオ・シルバのオウン・ゴールじゃないの?)、後半にオルンガ、クリスティアーノそれぞれに1ゴールずつを奪われて、さらには後半ロスタイムには途中出場の神谷という選手にまで駄目押し弾をくらい、計4失点で惨敗を喫した。
まぁね。クリスティアーノと神谷のゴールは1点のビハインドを追ったあとのカウンターだから、まあ仕方ない。負けている状態だと前がかりになりがちな今年のザーゴ采配ならそういうこともありなん(今日は特にフォーメーションを崩したりはしていないんだけど)。
そういう意味では痛かったのは、やはり後半一度は同点に追いついたあと、残り15分という時間帯にオルンガに許した決勝点。それもカウンターからだったけれど、マークについた犬飼がみごとな切り返しで翻弄され、フォローにいった奈良も止めきれずに、いともあっさりと決められてしまった。鹿島のCBコンビ、まるで太刀打ちできず。オルンガ、役者が違う。
……というか。決定力だけでなく、ポストもうまいし、視野も広くていいパスも出すし、守備意識も高い。アフリカ人だけあって身体能力も桁違い。まったく、なんちゅう選手なんだか。来年もそのまま柏にいたら、そのほうが驚きってレベルだよ。まったく。この日のゴールが今季25点目ですって。J1で20得点以上ってひさびさに聞いた気がする。
鹿島のゴールはレオ・シルバのミドルがキム・スンギュに止められたそのこぼれ球を、ファン・アラーノがゴールラインぎりぎりから折り返したクロスがキムのファンブルを誘い、わずかにゴールラインを割ったもの。ファン・アラーノのゴールかと思ったら、あれはオウン・ゴールらしい。
なぜレオ・シルバに当たって入った鹿島の失点がオウン・ゴールじゃないのに、こっちはオウン・ゴールなんだ? ボールがゴールへ向いていなかったから? たぶんそういうことなんだろうな。よくわからないけど。
ま、今日の試合は、前半は完全に相手ペースだった。前半の鹿島はミスが多くて、出来がいまいち。でも後半はよくあるように盛り返して、同点ゴールのあと、遠藤、伊藤翔、広瀬を入れてからはすっかりこちらのペースだったので、こりゃ勝ち点3取れそう……とか思っていたら、結局オルンガにゴールを決められてしまい、ふたたび形勢逆転。そのあと永木、名古を入れても、もう攻撃のリズムは取り戻せなかった。シュート数も相手のほうが多かったし、ひさびさに力負けした感じの試合だった。
柏はネルシーニョ監督をはじめ、コロナ陽性者が何人か出たために、二週間ほど試合が中止になっていて、復帰後初の前節はコンディション不十分で鳥栖に負けたそうだけれど、この日はそんな病み上がり感はまったくなかった。どうせならば、そのまま弱ってくれればよかったのに……。いまは10位だけれど、試合数が少ないもんだから、まだ鹿島の順位を超える可能性もあるんじゃん! いやはや、思わぬ伏兵だった。
この日は裏の試合で川崎が2位ガンバを5-0と圧倒して優勝を決めた。残り4試合を残しての優勝は、3試合を残して優勝した2010年のグランパスを超えての新記録とのこと。でも、正直もっと速く決まるかと思っていた。まぁ、とはいえ勝ち点も勝利数も現時点ですでに新記録だという話だし、川崎があらゆるJリーグ記録を塗り替える一年になるのは間違いないだろう。
なんでこんな強いチームがACLに出てないんだよ――って思ったら、去年4位だった川崎のACL出場を阻んだのは、天皇杯決勝でヴィッセルに負けた3位アントラーズだった。あぁ、ほんとごめんなさい……。
(Nov. 25, 2020)
鹿島アントラーズ4-0浦和レッズ
J1・第30節/2020年11月29日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN
柏にぼろ負けした前節の鬱憤を晴らすようなレッズ戦での快勝。しかもひさびさのクリーンシートだし、文句なしの一戦。
この日のスタメンは沖、小泉、犬飼、町田、山本、三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、土居、上田、エヴェラウドという顔ぶれ。
新型コロナの濃厚感染者だということでチームを離れていた町田が復帰。ベンチには荒木も入っていた(でもこの日は出番なし)。途中出場は、遠藤、永木、松村、広瀬、伊藤翔の5人。
レッズは今季限りでの大槻監督の退任を発表したばかり。なんでも今年から3年計画でチームを優勝に導くはずだったらしいのだけれど、結局1年で解任だそうだ。なんなんだろうな、その笑い話みたいなのは。
そのほか、レッズでの話題といえば、興梠が9年連続での二桁得点というリーグ新記録にリーチをかけているそうだけれど、この日は不発。相棒のレオナルドも思ったほどゴールを量産していないし、柏木、岩波、鈴木大輔、阿部勇樹といったあたりの選手たちは名前もない。
汰木とか途中出場でFKを任されていた伊藤涼太郎とか、若手にいい選手はいるようだけれど、でも先に名前をあげた選手らを使わず、武藤とか杉本とかをサブに甘んじさせておいて、4-0で負けるような試合をしていちゃ駄目だろうって思う。
この日の鹿島の得点は1点目が綺世のヘディング。元日本代表の槙野の前に飛び込んで、エヴェラウドからのクロスに豪快に頭であわせた。
後半に入ってからの2点目も綺世のミドル。レッズの寄せがあまいところを見逃さず、ぐいっと右足を振りぬいたナイスシュートだった。3点目はエヴェラウドの今季17得点目。相手のミスからボールを奪ったファン・アラーノからのパスをフリーで受けて、GK西川との一対一を冷静に決めた。4点目は土居のアシストでレオ・シルバ。
以上、計4点は今季チーム最多タイとのこと。失点も許さなかったし――毎試合、沖がいい守備しているのも大きい――ほんと文句なしの快勝だった。
そういや、終盤は三竿を残したまま永木を入れて、三竿を最終ラインにさげて3バックで守り切ったのだけれど、最初は4バックだったレッズもその時間帯はフォーメーションを3バックに替えていた。
勝っているこちらが守備固めでDFの枚数を増やすのはわかるんだけれど、なぜ負けているレッズまで最終ラインを増やしているのやら。ザーゴならば絶対にそんなことをしないぞ。その点だけ見ても、やっぱ大槻よりもザーゴのほうが上だよなぁって思う。少なくても僕にはザーゴ采配のほうがしっくりくる。
まぁ、なんにしろこれで11月の日程はすべて終了。あとは師走の2試合を残すのみだ(ちょっとさびしい)。ACL出場権を手に入れるには前後のチームの失速を待つしかない状況だけれど、それも残りをすべて勝ってこその話。最後の2試合にしっかり勝って、勝ち点6を積み上げたうえで天命を待とう。どうぞよろしく。
(Nov. 29, 2020)