2020年12月のサッカー

Index

  1. 12/12 〇 鹿島2-0清水 (J1・第32節)
  2. 12/19 △ 鹿島1-1C大阪 (J1・第34節)

鹿島アントラーズ2-0清水エスパルス

J1・第32節/2020年12月12日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 この時期に予定されていたACL出場クラブとの対戦が前倒しで消化済みだったため、今年の過密日程にもかかわらず、二週間ぶりの試合となった清水戦。毎週一、二試合はサッカーを観る生活があたりまえになっていたので、二週間も観る試合がないと、なんか調子が狂ってしまう感あり。
 先週末に2位のガンバ大阪が勝ち点を62まで伸ばしたため、アントラーズが2位になる可能性は消滅して、天皇杯出場の夢は果てた。残すはACL出場権を獲得できる順位内に入れるかだけが課題となっている。
 なんでも来季からは前年のACL優勝クラブにも出場権が与えられることになったそうで、日本のクラブ(今季はどこもJ1では振るわなかった)が優勝した場合、そのクラブにACL出場権が与えられえて、残る枠は三つとなるとのことだった。つまりその場合は4位になってもACL出場権は得られなかったのだけれど、あいにくFC東京とマリノスはラウンド16で脱落、ヴィッセルも準決勝で敗退したので、結局4位までがACL出場ということになるっぽい。めでたいんだか、めでたくないんだか。
 ということで、アントラーズとしては残り2節にしっかり勝って――なおかつ名古屋とC大阪の取りこぼしを期待して――4位までに滑り込むのが最優先課題。現在17位と低迷しているエスパルス相手に取りこぼしている場合じゃない。そういう意味ではきっちりと勝ち点3を取れてなによりの試合だった。
 この日のスタメンは沖、小泉、犬飼、町田、山本、三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、土居、上田、エヴェラウドの11人。要するに前節とまったく同じ。
 コロナで戦線離脱していた永戸が練習に復帰しているという話だけれど、まだコンディションが十分ではないのか、ベンチ入りしていなくて、左サイドは引きつづき山本。右サイドも広瀬がいちどスタメンで出たきり、ふたたび小泉に戻っているし、やはりその辺は現時点でのコンディション的に、ずっとプレーしてきたふたりのほうが上だというザーゴの判断なんだろう。
 対するエスパルスは今年就任したばかりのクラモフスキーが成績不振の責任を問われて10月末で解任。現在は平岡宏章という人が指揮を取っていた(僕より三つ年下)。
 今季は降格がないから、よほどのことがないと解任なんて話にはならないかと思っていたけれど、やはりあまり負けが込んで最下位に沈んだまま抜け出せないようだと実力を疑われても致し方ないんだろう。
 とりあえず清水はこの監督交替が正解だったらしく、11月以降は3勝2分1敗と好調に転じて最下位を脱出しているというので、この日の試合も難しくなるのかと思ったら、そんなことはなかった。前半15分までに上田の2ゴールが決まって、あっという間に勝負あり。その後いくつか危ないシーンもあったけれど、結局は無失点で終わっているし、結果的には順位差通りの楽勝だった。
 エスパルスは両SBがエウシーニョとファン・ソッコ、FWにはジュニオール・ドゥトラ(アントラーズにいたときと登録名が違う)というなじみの選手がいて、CBにしては小柄なヴァウド、ボランチにヘナト・アウグストという二人のブラジル人もいた。
 要するにフィールド・プレーヤーのうち半数が助っ人だった。外国人枠の五人を使い切っている。残りの日本人プレーヤーは代表歴のあるDF立田を除くと知らない人ばかり。しかも18歳の成岡とか、19歳の鈴木唯人とか、立田も含めて全員が24才以下。スタメンの日本人選手で三十を超えているのはGKの大久保だけだった。
 スタメンが経験値の浅い若手と助っ人ばかりというこのいびつなチーム編成に、現在のエスパルスの抱えている問題が透けて見えている気がした。
 この日の試合では序盤から幸先よく2ゴールが決まったので、大量得点の予感もあったにもかかわらず、その後は決めきれなかったのが唯一の不満点。綺世にはハットトリックのチャンスが二度ほどあったし、エヴェラウドにも惜しいシュートが二つほどあった。最終的な順位が得失点差で決まる可能性もあるので、できればこの試合で決められるだけ決めておきたかったんだけれどなぁ。まぁしゃあない。
 先制点はCKから。ファーに流れたところからエヴェラウドが打ったシュートは大久保に足で止められたものの、その跳ね返りを綺世がきっちりと決めた。
 2点目はカウンターからファン・アラーノの絶妙のスルーパスに綺世が抜け出し、GKとの一対一をかわして無人のゴールへボールを流し込んだ。綺世はシュート直後に後ろからきたファン・ソッコにチャージを受けてすっころんでいた。怪我しなくてよかったよ。
 怪我といえば、後半にはエヴェラウドが相手との接触プレーで出血して、そのまま鼻血が止まらずに遠藤と交替するという場面もあった。エヴェラウドもお大事に。その他の交替選手は永木、荒木、遠藤の計4人。
 さて、ということで今年のアントラーズの試合も残すところあとひとつ。この日の結果で5位以内は確定。でもって、最終節の対戦相手は4位のセレッソ大阪。この局面でACL出場をかけたライバルとの直接対決というのが熱い。
 ――まぁ、とはいってもセレッソは一試合少ないので、水曜日の鳥栖戦に勝てば勝ち点が62まで伸びて、鹿島が追いつく可能性は消えてしまうのだけれど……。
 できればその試合をドロー以下で終わってもらって、直接対決で決着をつけてくれないかなぁと淡い期待を抱いています。
(Dec. 13, 2020)

鹿島アントラーズ1-1セレッソ大阪

J1・第34節/2020年12月19日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 鹿島アントラーズ2020年の最後の試合。
 前節で4位のセレッソ大阪が負けてくれたおかげで、勝ち点の差はわずか1。つまりこの直接対決に勝ちさえすれば、ACL出場の可能性の高い4位で終われたはずなのに、残念ながら結果はドロー。スタート・ダッシュに失敗したツケがたたり、2020年の鹿島は5位で終わった。あぁ、無念……。
 今年最後のスタメンを飾った11人は、GK沖、DF永木、犬飼、町田、杉岡、MF三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、土居で、FWが綺世とエヴェラウドという顔ぶれだった。
 小泉が故障したかなんかで、右SBは永木(なぜか広瀬ではなく)。あと、左SBも当初は山本脩斗が出ると発表されていたのだけれど、試合前のウォーミングアップで怪我をしたんだかなんだかで、杉岡が急遽出場することになった。両サイドが永木と杉岡って形は今季初なんじゃなかろうか。でもその点を除けば、あとはベスト・メンバー。――って、いやもとい。
 前節での接触プレーで鼻骨骨折して手術を受けたというエヴェラウドもフェイスガードをつけてのプレーだったから、万全とはいえなかった。視野が狭くなる分、持ち前のヘディングの強さを発揮しきれていない感があった。まぁ、とはいえ、それでも出場できてよかったけれど。今季はほんとこの人に助けられた。この試合でも勝ち点1をもたらしたのはエヴェラウドのゴールだった。ほんとエヴェ様々。
 対するセレッソ大阪は、ロティーナ監督が今季限りで退団することが発表されている。リーグで4位に入る好成績を残した監督を解任するとはびっくりだよ。セレッソのフロントはいったいどんだけ望みが高いんだ。なんでもロティーナのサッカーは守備的でつまらない、みたいなことが解任の理由らしいのだけれど、この日の試合を観ていても、そこまで極端に守備的な気はしなかったけどねぇ。
 確かにボール保持率は鹿島の65%だというから、受け身の内容ではあったんだろうけれど、試合内容自体は拮抗していたと思う。
 本当にセレッソは守備はよくて、鹿島はなかなかツートップにボールが収められなかった。攻撃でも清武、坂本、片山といった選手たちの攻め上がりにひやりとさせられる場面も少なくなかった。この日はベンチスタートだった柿谷(なんと来季は名古屋って噂だ)も、後半途中から出てくると、あいも変わらぬセンスのよさを感じさせるプレーを見せていた。ブルーノ・メンデスは今季限りで契約解除だそうで、そのせいかGKのキム・ジンヒョンとDFマテイ・ヨニッチ以外には外国人がいなかったけれど、とくに戦力不足は感じさせなかった。
 そうこうするうちに前半がスコアレスで終わり、後半も途中から広瀬、遠藤、荒木、松村を入れて攻めたてるも得点を奪えず。後半も38分を過ぎ、このままスコアレス・ドローか……という時間帯になって、意外な伏兵・右SBの松田陸のミドル・シュートが決まってセレッソが先制する。
 おいおい、松田って右利きだよな。なんだよ、その見事な左足のシュートは。やられたー。
 勝たない限りは4位になれない鹿島としては、正直これで終わったと思った。そこまでさんざん攻めあぐねてきて、残り10分たらずで逆転するのは至難の技だろうと。
 ところがここから鹿島の怒涛の反撃が始まる。杉岡のロングボールを相手DFと綺世が競り合い、そのこぼれ球をエヴェラウドがしたたかに決めて同点にしたのがなんと後半45分。そこからのロスタイム5分の攻防は見ごたえ満点だった。逆転まであと一歩というところまでセレッソを追いつめた。しかし残念ながらあと1点は及ばず――。
 ラストプレーの波状攻撃から最後に綺世が打ったヘディングがポストをたたいたところでジ・エンド。鹿島の来季ACL出場の夢はついえた……。
 でもまぁ、最後の最後まで見ごたえのある試合でした。
 全日程を終わってみて、後半戦では鹿島より上の順位にいるクラブにはひとつも勝てていないのだから、この順位には納得のひとこと。圧倒的な成績で優勝を決めた川崎はともかく、ガンバ、名古屋、セレッソのうちの一つでも勝っていれば、4位以内だったのになぁ。上位クラブとの直接対決を落としつづけりゃ、そりゃ順位は上がらないよねぇ……。
 今年ザーゴが見せてくれたサッカー自体には、だいたいのところ満足しているのだけれど、序盤の4連敗と後半戦での直接対決での勝負弱さは常勝軍団の名にはふさわしくなかったと思う。でも今年のサッカーに磨きをかけることができれば、来年はもっといい成績が残せるはず――って、でもそれもエヴェラウド次第って気がするな。
 オルンガ(圧巻の28ゴール)につぐ得点王ランキング単独2位という好成績を残したエヴェラウドにはすでに中国からの高額のオファーがあるという話だし、来年も鹿島でプレーしてくれるかは未知数だよねぇ……。でも、できればもう一年だけでも彼と綺世のツートップを観たい。残留祈願。
 ということで、今年のJ1はこれでおしまい。優勝した川崎フロンターレは、26勝5分3敗、得点88(当然リーグ1位)、失点31(名古屋の28につぐリーグ2位)、得失点差はじつに57(2位グランパスが17だから、その差は40!)という圧倒的な数字を残している。あまりにダントツすぎて、笑わずにはいられないレベルの強さだった。
 でもあれだ、その川崎に対して、鹿島は1敗1分とはいえ、負けたのは谷口のオフサイドが見逃された誤審のせいだからね。試合内容はどちらも五分だったと思うし、実質的には負けてないも同然(負け惜しみ)。来年こそは雪辱を果たしてくれると信じてるぜい。
 とりあえず、川崎には来年もこの好調を(主に海外で)維持して、ACLを制覇してくれることを願ってやみません。もう内弁慶はやめていただきたい。
(Dec. 20, 2020)