2020年8月のサッカー

Index

  1. 08/01 〇 大分1-4鹿島 (J1・第8節)
  2. 08/08 ○ 鹿島2-0鳥栖 (J1・第9節)
  3. 08/16 △ 鹿島2-2神戸 (J1・第10節)
  4. 08/19 ● 横浜FC1-0鹿島 (J1・第11節)
  5. 08/23 △ 鹿島1-1G大阪 (J1・第12節)
  6. 08/26 〇 F東京1-2鹿島 (J1・第26節)
  7. 08/29 〇 柏2-3鹿島 (J1・第13節)

大分トリニータ1-4鹿島アントラーズ

J1・第8節/2020年8月1日(土)/昭和電工ドーム大分/DAZN

 今年初めて、勝てるだろうと思った試合にちゃんと勝ってくれた。先制されたときにはどうなることかと思ったけれど、その後にエヴェラウドがよもやのハットトリック。最後は後半ロスタイムに途中出場の3人の連携から伊藤翔のゴールが決まり、4-1という大勝で終わった大分でのアウェイの一戦。
 この日のスタメンに名を連ねた11人は曽ヶ端、広瀬、犬飼、町田、永戸、三竿、レオ・シルバ、遠藤、和泉、土居、エヴェラウドというメンツ。途中出場は白崎、永木、荒木、伊藤翔の4人だった。
 なぜかクォン・スンテがいなくて、曽ヶ端が今季初スタメン。あとファン・アラーノもベンチに入っていなかった。ここ半月くらいは週一試合しかないから、それなりに楽なのになぜいないのか。怪我でしょうかね。真相は不明。
 対する大分では、知っている名前は元鹿島の三竿雄斗と五輪代表の岩田智輝、川崎からレンタル中の知念慶の3人だけ。今年は天敵・藤本もいないし、さすがに2年連続じゃ負けないだろうと思っていたのに、いきなり開始5分で失点を許してしまう。
 決めたのはFWの高澤という23歳の選手(そんなに若く見えなかったけど)。ゴール向かって左寄りの高い位置でフリーでボールを持つと、思い切りよくミドルを打ってきた。これに曽ヶ端が逆をつかれ、あっさり失点。
 曽ヶ端、あそこで逆をとられるとは、やっぱ年齢的にもうそろそろ限界じゃないか……。
 彼がJリーグでプレーするのにふさわしくないとまでは言わないけれど、でもさすがにいまでも一流だというには無理がある。でもって、優勝を狙うチームのGKは一流でなくてはいけないでしょう。鹿島が必ず優勝しなくてはいけないチームだとするならば、曽ヶ端にはそろそろ身の振り方を考えてもらったほうがいいと思う。
 でもまあ、GKということでいうと、この日の大分の高木駿というGKもすごく安定感がなかった。和泉を倒してPKを与えた場面とか、あからさまに体当たりしているし。ヴェルディのユースから明大経由で川崎に入り、その後は川崎と千葉を行ったり来たりしてきたらしいけれど、さすがにこの日みたいなプレーをしていたら、川崎じゃレギュラー取れないよなぁって思ってしまった。
 先制点の場面では曽ヶ端もあれだったけれど、鹿島の守備陣もよくなかった。あの位置で攻撃的な選手をフリーにしたら、失点をGKのせいにはできない。昔は日本代表がよくあのくらいの位置から失点してたよなぁって思った。ああいう失点をあまり見なくなったってことは、それだけ日本のサッカーが進化している証なんだろう。
 まぁ、そんなわけで先制されてはしまったものの、幸いリードを許していた時間はそれほど長くなかった。前半15分に相手の不用意なバックパスを奪ったエヴェラウドがGKと一対一のチャンスを冷静に決めて同点に追いつく。
 エヴェラウドはその後も和泉がもらったPKを決めて前半のうちに逆転。さらには後半に入って、遠藤の右サイドからのスルーパスから土居のナイスなアシストを受けて、最後は転びそうになりながら(危なっかしい)なんとかシュートを決め、ハットトリックを達成してみせた。
 このあいだの試合でエヴェラウドの決定力のなさをまるで日本人のようだと書いたけれど、この日の彼はひとあじ違った。やっぱブラジル人はこうでないと。しかしまぁ、このハットトリックで通算5ゴールとして、いきなり得点王ランキングの2位タイですよ。エヴェラウドが得点王争いに割って入るとは思ってもみなかった。――とはいえ、今年は柏のオルンガがやばいので(すでに8点)、得点王への道は険しいそうだ。
 ということで、この日のMVPは間違いなくエヴェラウド。でも後半のロスタイムに取った駄目押しの4点目も意外と大事だと思う。というのも、得点に絡んだのが、荒木、白崎、伊藤翔という、途中出場の3人だったから。しかもみんな出番はわずか10分足らずの一桁台。
 白崎が出てきたのは後半39分で、荒木と伊藤翔に至っては、ロスタイムが3分近く過ぎてからだ。プレー時間はわずか2分足らず。勝っている試合でわざわざ時間稼ぎのためにそんな選手交替させなくたっていいじゃん、モチベーションだだ下がりだろうよって、ザーゴ采配ににひとり文句をいっていたら、最後のワンプレーでそんな選手たちが見事な連携を見せてゴールを奪ってみせてくれてしまった。わずか2分でも取れるときには取れるもんすねぇ……。
 といことで、この日の試合は伊藤翔の今季初ゴールが決まってすぐに終了の笛。終わりよければすべてよしじゃないけれど、意外性のある結末がエヴェラウドのハットトリックに花を添えた気持ちのいい試合でした。
 そういや、試合前のセレモニーで大分の選手が通算100試合出場とかで花束を贈呈されていて、そのあとの記念撮影に奥様と一緒に三竿健斗が加わっていたので、なぜ? と思ったらそれが兄の三竿雄斗だった(そうか、もうそんなに出てるんだ)。節目の試合が兄弟対決ってなかなか感動的だ。
 三竿兄弟、ふたり並ぶとさすがによく似ていますね。できれば鹿島でもっと一緒にプレーさせてあげたかった。
(Aug. 02, 2020)

鹿島アントラーズ2-0サガン鳥栖

J1・第9節/2020年8月8日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 祝・今季初の連勝~。しかも二十歳のGK沖悠哉がデビュー戦でクリーンシート!
 ということでこの日のスタメンは沖、小泉、犬飼、町田、永戸、永木、レオ・シルバ、土居、白崎、エヴェラウド、伊藤翔の11人だった。途中出場は三竿、和泉、荒木、染野の4人。
 水曜日のルヴァン杯から中2日(結果は川崎に2-3で負けてグループリーグ敗退決定……)。その試合で3失点したこともあってか、ザーゴは曽ヶ端に替えて、ユース出身のGK沖をスタメンに抜擢してきた。あと、水曜の試合に出た三竿がベンチ・スタート、遠藤はベンチ外だった。でもって小泉が右SBで今季初スタメン。
 対する鳥栖で知っている名前は、高橋秀人、原川、原輝綺、松岡大起くらい。あと17歳の中野伸哉という選手がいた。
 スタメンに松岡と中野という十代の選手がふたりもいるのはすごいと思うけれど、逆にいえば、十代の選手に頼らないと戦えないほど、選手層が薄いってことでもある。そんなチームの負けていてはリーグ最多優勝の名がすたる。
 でもこの日の試合では、そんな相手とほぼ対等の展開になってしまう。最終的なボール保持率では(わずかばかりとはいえ)相手に上回られているのだから、決して褒められた内容ではなかったと思う。
 でも勝った。しかも今季初の無失点で。そこが大事。いまはなにより結果重視。首位の川崎に勝ち点15も離されている時点ではいまさら感があるけれど、それでも諦めたらそこで終わり。まだシーズンは三分の二以上も残っているのだから、残りはすべて勝つくらいのつもりで戦ってもらわないと。
 GKの沖については、被シュート6本という仕事の少なさだったので、いいとか悪いとか僕などには判断がつかないけれど、少なくても無失点で試合を終えたのだから自信にはなったろう。ザーゴの起用法からして、クォン・スンテが(首のけがから?)戻らないかぎり、このままスタメンがつづくと思うので、レギュラー定着へ向けてがんばってもらいたい。
 沖の起用に顕著だけれど、ザーゴは試合ごとに、それなりに納得のゆく形でチームに修正を加えてくる。そこは好印象。あとこの試合でも、前半をスコアレスで終えたあと、選手交替をしてから、交替選手の活躍で2得点している。このところはずっとそういう試合がつづいていて、交替策がうまくいっているのもいい流れだと思う。
 この日の先制点は、右サイドの小泉がファーに入れたクロスを染野(出てきたのに気がついていなかった)が頭で折り返し、それを和泉が胸トラップから決めたもの。和泉がようやく移籍後初ゴールを決めてくれたのがめでたい。
 駄目押しの2点目は、荒木のスルーパスを受けた染野が相手を引きつけておいて絶妙のヒールパスでボールを戻し、それを和泉がフリーのエヴェラウドにラストパス。エヴェラウドはこれをなんとか決めた(なんで彼のフィニッシュはいつもあんなに危なっかしいんだろうか)。
 1点目の起点はこの試合が初スタメンの小泉だし、和泉が移籍後初の1ゴール1アシスト、さらにはどちらのゴールにも染野が絡んでいる。その辺、ちゃんとザーゴの采配が機能している感があっていいと思う。
 ルヴァン杯の川崎戦での2得点はどちらも途中出場の伊藤翔で、その伊藤翔はこの試合にスタメンで出場しながら結果を残せず終わったけれど、でも前の試合で結果を残した選手に次の試合で引きつづきチャンスをあたえている点には好感が持てるし、途中出場の選手たちの活躍で得点ができているのは評価してしかるべき。ザーゴの選手起用がようやく結果に結びついてきているので、そろそろ安心して試合を観られるようになってきたかなって気がしている。
 とはいえ、今年は川崎が強すぎて、いまからじゃ、とうてい追いつける気がしない。
(Aug. 09, 2020)

鹿島アントラーズ2-2ヴィッセル神戸

J1・第10節/2020年8月16日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 キックオフ時刻を勘違いしていて(19時だと思ったら18時半だった)、不覚にも冒頭10分を見逃したヴィッセル神戸戦。
 この日の注目ポイントは鹿島のGKが山田大樹だったこと。中3日で行われたルヴァン杯での清水戦で公式戦デビューを飾ったユース出身の18歳。
 前節スタメンだった一学年先輩の沖は体調不良のため、PCR検査は陰性だったそうだけれど、大事をとってベンチを外れたとのことだった。
 ひさびさにクォン・スンテがベンチ入りしていたのに、そのクォンを差しおいてチーム最年少のGKをスタメンに起用してくるってのは、それだけザーゴが山田の実力を認めているということなのか。まだよくわからない。この日の2失点は形が悪すぎて、GKのよしあしを判断できるようなシーンがあまりなかったし。でも2試合連続で2失点しているので(清水戦は3-2)、次あたりクォン・スンテがスタメンに戻ってくるかもしれない。
 町田が累積警告で出場停止とのことで(警告多すぎ)、スタメンにはもうひとりの十代、関川の名前もあった(9月生まれなのでまだ19歳)。ベンチには奈良の名前もあったので、この起用が正しかったのかは若干疑問。わざわざ移籍してきたのに、十代にスタメンを奪われる奈良の心中やいかに……。
 まあ、ということで、この日の鹿島のスタメンはGK山田、DF広瀬、犬飼、関川、永戸、MF三竿、レオ・シルバ、遠藤、和泉、FW土居、エヴェラウドという顔ぶれだった。
 対する神戸は古橋が怪我で離脱中で、かわりに19歳の小田裕太郎という選手がスタメンに抜擢されていた。あとはイニエスタがいて、両サイドに高徳と西がいて、ボランチに蛍、最終ラインにはフェルマーレンとダンクレー、GKは飯倉というのが主なメンツ。途中出場で小川慶治朗、藤本、サンペールなども出てきた。
 先制したのは神戸。左サイドからのイニエスタのCKをファーに流して折り返し、ゴール真正面にいたダンクレーが豪快なジャンピング・ボレーを決めた。
 あの場面はファーのケアがまったくできていない鹿島の守備がいただけない。これで今季はセットプレーから7失点だそうだ。セットプレーの守備に問題がありすぎる。ザーゴ、現役時代はDFだったそうだけれど、本当なんだろうか。
 でもまあ、とりあえず前半のうちにエヴェラウドのゴールで同点に追いつけたのはよかった。エヴェラウドはこれで4試合連続ゴールでいまだ得点王ランキング2位タイ。この日のゴールも広瀬のクロスからのどんぴしゃのヘディングだった。なんでこのところの彼のヘディングはいつもあんなにやすやすと決まるんだろう? 不思議。
 ということで前半のうちに同点に追いつきはしたものの、後半16分には郷家に思い切りのいいシュートを決められて、ふたたび追う立場になってしまう。ダンクレーも郷家もどちらも今季初ゴールだそうだ。なんでそんな選手たちにあんなに見事に決められちゃうかなぁ……。
 でも、この試合でおもしろかったのは、そのあとのザーゴの選手起用。なんとFW2枚をそのまま残して、MF4人を一気に入れ替えてきた。交替で出てきたのは、永木、ファン・アラーノ、荒木、染野。つまりここからは永木のワン・ボランチということになる。よもや三竿とレオ・シルバを両方とも下げちゃうとは……。ふたりとも交替させたことは過去にもあった気がするけれど、同時に下げたのはおそらく今回が初めてだと思う。
 さらにはその10分後には最後のカードを切って、SBの広瀬を松村に替えてみせるからびっくりだ。そこから先、右SBを誰がつとめていたのか、不覚にも僕は知らない。
 ザーゴ、いざというときは思い切りよく攻撃的なカードが切れるのはすごいと思う。
 しかも結果的にこの選手交替が功を奏する。攻めて攻めて攻めまくったあげく、ロスタイムの最後のワンプレーで、荒木に劇的な同点ゴールが生まれたのだから。その前から、なぜ決まらない? って不思議に思うような怒涛の攻勢を見せていたのが、最後の最後にみのった。
 いやー、それにしても最後の荒木のプレーは見事だった。ペナルティエリア内の密集地帯にするっと入って、染野のラストパスをトラップして足元に収めると、一瞬でゴールへとねじ込んで見せた。まるで絶頂期の香川真司かと思うような鮮やかなプレーだった。
 駄目だ、あんなプレーを見せられちゃったら、荒木が海外から引き抜かれる日もそう遠くないだろうなぁ……。
 まあなんにしろ、試合はその同点ゴールが決まってすぐに笛。GK山田のデビューから荒木の同点ゴールまで、相手の小田なども含めて、十代の選手の活躍が目立った一戦だった。
 日本サッカーの未来はきっと明るい。
(Aug. 17, 2020)

横浜FC1-0鹿島アントラーズ

J1・第11節/2020年8月19日(水)/ニッパツ三ツ沢球技場/DAZN

 嗚呼、なんて駄目な負け方なんだ……。
 まあ、ゴールは水物。ひさびさに無得点に終わったのは仕方ない……と思っていたけれど、調べてみたら相手の横浜FCは今季リーグ最多失点のチームじゃん……。そんなクラブ相手に無得点って……。
 しかもこの日は失点の形が最低だった。ゴール前の混戦で相手FWの手にボールが当たったのをみて、みんなで「ハンドだ!」ってアピールしたものの、主審はファールの判定を下さず。その時点では町田の足元にあったボールを、つまらないアピールでもたついているあいだに相手に奪われて、最後は皆川にフリーで決められた(皆川のプレーを見るの何年ぶりだろう?)。
 そりゃ目の前で相手の手にボールがあたったら、ハンドのアピールをしたくなるのはわかる。でもあの場面、ハンドをとってもらえなくたって、マイ・ボールなんだから、なにも問題ないじゃん! 余計なアピールしてないで、足元のボールをさっさとクリアしろよ、町田~。GKの山田のキープの邪魔してんじゃないよ。
 とにかくこの日の失点は今季ワースト失点の有力候補だわ。ほんと駄目過ぎた。結局その駄目な失点を挽回できずにそのまま敗戦だもんなぁ……。いやぁ、ストレスたっぷりの試合だった。
 この日のスタメンは山田、小泉、奈良、町田、永戸、三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、和泉、土居、エヴェラウドの10人。途中出場は永木、遠藤、染野、荒木、松村の5人だった。
 山田が2試合連続のスタメン、最終ラインは永戸以外の3人を入れ替えて、そのうちのひとり、奈良はリーグ戦初出場。あとファン・アラーノがひさびさのスタメン復帰と、スタメンにはけっこう意外性があった。
 でもファン・アラーノと和泉がそろってスタメンに定着していた序盤の印象がよくないので、なんか今日はそのふたりのスタメンのせいで不出来だったんじゃないかって気がしてしまう。ふたりにはそういう偏見を跳ね返すようなプレーを期待してるんだけれどなぁ……。ファン・アラーノは運動量は多いのにまるでチャンスに絡まないし、和泉はシュートは打てど、まるで決まらないのはなんなんだろうなぁ……。
 対する横浜FCといえば、カズ、俊輔、松井大輔というレジェンドたちが在籍していることで注目を集めるクラブだけれど、この日は3人ともベンチにさえ入らず。
 監督は元レイソルの下平。彼にとってはあの3人より若い選手たちのほうが上ってことなのか?――と思ったけれど、やっているサッカーをみて、なるほどと思った。
 こちらがボールを持つと素早く寄せてきて、ふたり三人でガンガンとつっかけてくる。その徹底したマークがしつこいこと。きょうの試合がストレスフルだった理由はこの守備のせいが大きかった。確かにああいう守備がベースだと、運動量のある若い選手を優先的に起用したくなるのもわからなくない。なぜこんないい守備ができるのに、リーグ最多失点なんてことになっているんだか。不思議。
 しかも横浜、単に守備的なわけではなく、けっこうちゃんとパスがまわせる。先制して後半受け身になったせいもあってか、最終的なボール保持率は鹿島が61%だそうだけれど、ハーフタイムの時点ではほぼ互角だった。前半は押し込まれる時間帯もあったし、下位争いをしているからといって、決して勝ってあたりまえって相手でもなかった(だからって負けていいというつもりはないけど)。
 メンバーをみても、GKは六反だし、最終ラインには伊野波やヨン・ア・ピン、元川崎のマギーニョがいて、いちばん前は一味和成と皆川佑介というツートップ。出番はなかったけれど、ベンチにはレアンドロ・ドミンゲスの名前もあった。
 まぁ、みんな昔はどこでプレーしてたんだっけ? って思ってしまうような選手ばかりだけれど、でもそれなりにネームバリューも実績もある。伊達にJ1に昇格してきたわけじゃないのねって思いました。
 まぁ、なんにしてもきょうの試合はあのぶざまな失点がすべて。上位のクラブとはそれなりにいい試合をしているのに、どうして下位相手に取りこぼすかな。鹿島の伝統が泣いているぞ、きっと。
 裏では首位の川崎が2位のC大阪相手に5-2の大勝でリーグ再開以来無傷の10連勝のリーグ新記録を達成している。
 C大阪はここまでの総失点が6だというので、川崎を止めてくれるんじゃないかって期待していたのに、そんな相手に5得点の圧勝ってなにごとだか。今年はもう川崎の三冠が決まったも当然なんじゃないだろか。恐ろしや。これで鹿島と川崎の勝ち点の差は早くも20だって。話にならねぇ……。
 調べてみたら、僕が鹿島と横浜FCの試合を観るのはじつに13年ぶりだった。前回は2007年、オリヴェイラ監督就任後に開幕5戦白星なしで始まって、大逆転優勝をなしとげた年。その年に最初に勝った相手が横浜FCだったらしい。
 同じように新監督のもとスタート・ダッシュに失敗した今年だけれど、この横浜FC戦の黒星があの年との違いを象徴している気がする。
(Aug. 19, 2020)

鹿島アントラーズ1-1ガンバ大阪

J1・第12節/2020年8月23日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 唐突に現役引退を発表した内田篤人のラスト・マッチ――。
 対戦相手が海外移籍を早々に打ち切って日本に戻った昌子源のいるガンバ大阪ってのも、なかなかな巡りあわせだった。
 この日の鹿島のスタメンはGK沖、DF広瀬、犬飼、関川、杉岡、MF三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、和泉、FW土居、エヴェラウドの11人。ベンチ入りしたサブはクォン、内田、永木、遠藤、荒木、染野、上田の7人だった。
 さて、ベンチ・スタートのウッチーにどれだけ出場時間が与えられるのかが注目されたこの試合。今年は交替枠が5つもあるわけだし、さすがに出番なしで終わることはないだろうけれど、とはいえ、ここしばらくリーグ戦ではベンチ入りさえしていない選手だ。もしかしたら出番はロスタイムだけ、なんてことも考えられるのかと思っていたらば……。
 さすが、持っている男は違いました。前半わずか16分に広瀬がまさかの負傷退場。この日ベンチ入りしていたDFはウッチーだけだったので、いきなりそこから75分以上、出ずっぱりということになった。しかも三竿から託されたキャプテンマークを巻いて――。
 でも、ひさびさにプレーしているのをみて、あぁ、なるほどと思った。走れねー。まあ、いきなりのスクランブル発進で準備が足りなかったのかもしれないけれど、それにしてもサイドバックがあの運動量ではさすがにきつい。膝はテーピングでガチガチで痛々しかったし。ああ、本当に引退は仕方ないのか……と思った。
 それでもウッチーは最後までがんばった。それどころか、0-1で劣勢のまま終わるかと思った試合で、最後に同点ゴールの起点にさえなった(やっぱ持ってる人は違う)。試合後のセレモニーでの飾らない態度もとても立派でカッコよかった。あぁ、この人がもてるのわかるわ……と思いました。
 ということでウッチーのラスト・ゲームは1-1のドローに終わった。
 先制点はガンバ。前半わずか6分に左サイドから倉田に崩され、ファーへのグラウンダーのクロスを小野瀬にあっさり決められた。小野瀬、あきれるほどフリーだった。今年の鹿島はあいかわらず守備がなっちゃいない。
 まぁ、この日の左サイドは関川、杉岡という珍しい組み合わせだったから、連携が悪いのは致し方ない部分もある。しかもそっちサイドは前が和泉だし。彼はいまいち守備での貢献が低い気がする。小野瀬のところは戻ってマークについて欲しかったよ、和泉……。
 その後もボールは支配しているんだけれど、開始早々の失点を挽回できないまま、試合は終盤までもつれ込んだ。
 この劣勢をひっくり返すべく、ザーゴが途中出場で送り込んだ選手は、遠藤、綺世、荒木、染野の4人(綺世が怪我から戻ってきたのがめでたい)。でもって、ロスタイムの同点ゴールをアシストしたのがそのうちのひとりの荒木だった(高い打点できれいにヘディングを決めたのはなんと犬飼)。
 GKの沖もいい守備を見せてくれていたし、若い子たちのプレーがはつらつとしていて楽しい。なんだかこのところ、荒木と染野が出てくる後半の残り15分くらいがいちばんいいサッカーをしている気がする。でもまぁ負けなくてよかった。
 ガンバは昌子と三浦というA代表のCBコンビに、韓国代表のキム・ヨングォンを加えた3バック、そしてGKが日本代表の東口だってんだから、これで守備が悪いはずがなかろう――と思ったんだけれど、昌子がスタメンで起用されるようになったここ3節はひとつもクリーンシートがなかった。あらら。
 でもまぁ、中盤から前には井手口、矢島、宇佐美、パトリックらがいて、アデミウソンや小野裕二、渡邉千真なんかがベンチなんだから、やっぱ選手層は厚いよね(あ、そういえばこの日はヤットがいなかった)。これで昌子が加わったDFラインが安定しだしたら、そうとう手強い相手になりそうだ。
 ま、なんにしろ、この試合はウッチーが主役。試合終了後に幼い愛娘ふたり――結婚してたのか!――を連れてスタジアムを一周するうしろ姿は、なんとも清々しく柔らかい空気に包まれていた。14年間お疲れさま!
(Aug. 24, 2020)

FC東京1-2鹿島アントラーズ

J1・第26節/2020年8月26日(水)/味の素スタジアム/DAZN

 僕は二日前までこの試合があること知らなかった。FC東京との次の試合は十月末だとばっかり思い込んでいたから、ネットで水曜日に第26節の試合があるという情報をみて、最初はなにかの間違いだと思った。日曜日に第12節を観たばかりなのに、なぜ水曜日に第26節? そんなはずなかろうと。
 でもどこを見てもそう書いてある。はて、もしかして俺は夢を見ているのか、はたまた寝ているあいだに時空の歪みかなんかに迷い込んでしまったのかと思った。
 まぁ、結局は単にACLの日程の関係でスケジュールが変更になって、十月に予定されていた試合が知らないうちに前倒しになっていただけだった訳だけれども。
 ――ということで、僕につかの間の非現実感を味わわせてくれたFC東京とのアウェイの一戦。
 FC東京とは前回ホームで戦ってからわずか一ヵ月での再戦となった。10月末ならばそろそろコロナ騒動も一段落してスタジアムで観られるかも……と期待していたのに、さすがに観客上限五千人の入場制限中の八月平日開催では無理だった。ちくしょうめ。
 さて、この日の鹿島のスタメンは沖、小泉、犬飼、関川、永戸、永木、三竿、ファン・アラーノ、荒木、土居、エヴェラウド。途中出場はレオ・シルバ、和泉、奈良、遠藤の4人だった。
 前節で怪我をした広瀬は全治2ヵ月とのことで、右SBは小泉(なぜウッチーの引退試合でレギュラーSBが故障しちゃうかな……。伊東や山本脩斗はどこ行っちゃったんだ?)。あと最近活躍いちじるしい荒木がスタメン起用された。
 対するFC東京はディエゴ・オリヴェイラと永井がそろってベンチ・スタート。前回同様、契約上の理由でレアンドロもいないし、森重なんかベンチにさえいなかった(キャプテンマークはなんと渡辺剛)。完全になめられている。
 スタメンには渡辺のほかにも、原大智、内田宅哉、中村拓海といった五輪代表世代の若者が名を連ねていた。外国人は3人で、僕が知っているのはアダイウトンだけ。あとはアルトゥール・シルバとジョアン・オマリという人(後者はなんとレバノン人だそうだ)。GKは最近売り出し中の波多野ではなく林彰洋(さすが元代表、ナイス・セーブ連発)。あとは高萩、三田、小川諒也というのがスタメンの顔ぶれ。
 中2日の過密日程だから、長谷川健太がフレッシュな若手に期待したってことなのか。でもこのメンツに負けるわけにはいかないだろ――と思っていたのに、やはりこの試合も鹿島は先制されてしまう。
 失点は前半の37分。このまま前半はスコアレスで終わりかな……と思っていたら、右サイドを上がった中村拓海にペナルティ・エリアへ切り込まれ、三竿の股抜きでスルーパスを通されて、これをクリアしようとした関川のオウン・ゴールを誘発してしまう。なんでこう毎試合、しなくてもいいような失点ばかりするかな……。
 でもこの試合の鹿島はひと味違った。後半に入ってすぐにファン・アラーノのアシストでエヴェラウドの同点ゴールが生まれる。
 ファン・アラーノが浮き球で最終ラインの裏を狙ったラストパスに見事反応したエヴェラウドのシュートはいったんは林に止められたものの、そのこぼれ球を自身できっちりと決めた。エヴェラウド、えらい!
 さらにはそれから10分もしないで、今度はファン・アラーノの移籍後初ゴールが生まれて逆転に成功する。
 こちらは荒木のアシストから。DFの裏をとってそのボールを右足でトラップしたファン・アラーノは、浮いたボールが落ちてくるところを左足のダイレクトできれいに決めてみせた。林、一歩も動けず。おー、なんて美技!
 ファン・アラーノはこの日シュート4本で1アシスト1ゴールの大活躍で、ようやくブラジル人らしいところをみせてくれた。これで調子に乗ってくれるといいけれどねぇ。さてどうだか。
 ちなみに先制点(関川のオウン・ゴール)をアシスト(?)した中村は東福岡高卒で、荒木のいっこ上の先輩だそうだ。すげーな、東福岡。先輩後輩がこの試合1アシストずつ。さすが本山の母校。若くしてうまい選手が多い。
 FC東京はその後、ディエゴ・オリヴェイラや永井を入れて反撃に出たけれど、きょうの鹿島は守備もよかった。セカンド・ボールがきちんと拾えていたので、これなら大丈夫だろうと思った通り、そのまま逃げ切って4試合ぶりの勝利をものにした。途中交替はすべて逆転のあとで、奈良が入ってからは3バックも試していた。
 まぁなんにせよ、ここ2年、負け越していたFC東京に今年は勝ち越せたのはなによりだった。暫定だけど順位も10位まで上がった。4位のFC東京との勝ち点の差は7だ。優勝はともかくACL出場権はまだ諦めなくても大丈夫みたいだ。
(Aug. 26, 2020)

柏レイソル2-3鹿島アントラーズ

J1・第13節/2020年8月29日(土)/三協フロンテア柏スタジアム/DAZN

 FC東京戦から中2日。この日も先制されながらなんとか逆転処理を収めたアウェイでの柏戦。
 柏といえば、去年のJ2最終戦でひとり8得点という、なんだそりゃな記録を残して、今年はJ1で得点王ランキングを独走しているオルンガがいる。どんなにすごいんだろうと対戦を楽しみにしていたのだけれど、そんな呑気なこといっている場合じゃなかった。みごとにしてやられました。
 いや、前半に関しては問題なかった。これといってシュート・チャンスを与えなかったし、なんだオルンガたいしたことないじゃん、とか思っていたんでしたが――。
 前半に退場者を出してひとり少なくなった柏がカウンター主体に切り替えたせいもあってか、後半だけで2ゴールを許すていたらく。得点王ランキング2位にいるエヴェラウドをサポートする意味でも無失点に抑えたかったのに、さらに差が広がるのを許してしまった。対するエヴェラウドはノーゴールなので、エース・ストライカー対決では完敗。でも試合には勝ったからよしという試合だった。
 まぁ、失点の場面では、どちらもオルンガにボールが渡ったのには、ちょっとしたアクシデント感があった。1点目の場面はリプレイを見るかぎりはオフサイドだし、2点目もきちんと崩されたというより、途中のワンタッチのディフレクションでたまたまオルンガにボールが渡ってしまった、みたいな形だった。
 でもオルンガはそれをきちんと決めてみせた。どちらもここぞというコースに狙いすましたように強烈なシュートを打ち切るその精度の高さに脱帽。足もやたら速いようだし、身体も強そうだし、1試合8得点は伊達じゃないみたいだ。残念ながら止めきれなかった。
 でもこの試合の鹿島はそんなオルンガのゴールで二度まで先行されながら、それでもなんとか逆転して勝利を収めた。そこが大事。しかもこの日の3ゴールはどれもこれも素晴らしかった。
 最初の同点弾は三竿のミドル。土居聖真のシュートがブロックされた跳ね返りを拾った三竿は、シュートコースに四人も柏の選手がいたのをものともせず、その頭上を越えるきれいなシュートをゴールネット左に突き刺して見せた。
 二度目の同点弾は永戸の高速クロスを相手DFと競り合いながらニアに飛び込んだ土居が右足でワンタッチしてファーのゴールポストぎりぎりに流し込んだもの。すんげー美技。
 そのわずか二分後の決勝ゴールも土居聖真。三竿の右サイドからのアーリークロスに頭であわせた。この日は土居は途中出場だったにもかかわらず、3ゴールすべてに絡んでみせている。聖真、えらいっ!
 いやはや、オルンガのシュートも素晴らしかったけれど、ほんと鹿島の3得点もどれも美しかった。こんなにきれいなシュートばかり5本も観られる試合って貴重でしょう。それが勝ち試合だったらなおさらだ。2失点もしているので試合内容がよかったとはいえないけれど、それでもとてもおもしろい試合だった。中2日の厳しい日程のなか、水曜に試合がなかった相手に走り負けてなかったのも立派。
 まぁ、柏さんからすると前半だけで怪我でふたりの途中後退を余儀なくされ、さらには退場者まで出てしまうという展開は不本意すぎただろう。クリスチアーノも離脱中だったし、本来の力が出し切れなかった感があるのは想像に難くない。フル戦力で戦ったら、こんな風には勝てなかったかもしれない。その点はラッキーだった。でもこちらもオフサイドの誤審で失点しているので恨みっこなしということで。
 この日の鹿島の出場選手はスタメンが沖、小泉、犬飼、関川、永戸、三竿、レオ・シルバ、ファン・アラーノ、和泉、染野、エヴェラウドで、途中出場が荒木、土居、遠藤、綺世、永木の5人だった。
 対するレイソルの試合を観るのは3年ぶりらしいのだけれど、ネルシーニョ監督や中村航輔(祝J1復帰。さっさと代表にも戻って欲しい)、大谷らはともかく、そのころにはいなかった江坂とかヒシャルジソン(字面は韓国人か東欧人っぽいけどブラジル人)とか、なんとなく見覚えがあるのはなぜだろう?
 去年のJ1昇格が決まる試合とか観たんだっけ? ぜんぜん記憶になくて困ったもんです。
(Aug. 30, 2020)