2019年9月のサッカー

Index

  1. 09/01 ○ 清水0-4鹿島 (J1・第25節)
  2. 09/04 ○ 浦和2-3鹿島 (ルヴァン杯・準々決勝)
  3. 09/05 ○ 日本2-0パラグアイ (親善試合)
  4. 09/08 △ 鹿島2-2浦和 (ルヴァン杯・準々決勝)
  5. 09/10 ○ ミャンマー0-2日本 (W杯・二次予選)
  6. 09/14 ○ 鹿島2-0F東京 (J1・第26節)
  7. 09/18 ▲ 鹿島1-1広州恒大 (ACL・準々決勝)
  8. 09/28 △ 鹿島1-1札幌 (J1・第27節)

清水エスパルス0-4鹿島アントラーズ

J1・第25節/2019年9月1日(日)/IAIスタジアム日本平/DAZN

 たぶんJ1では初めて?――ひとつ前のACLの広州戦と同じ濃紺のユニフォームで戦ったJ1の清水戦。
 ただし同じだったのはユニフォームの色だけ。出場した選手は大きく違っていたし、スコアレスで終わったあの試合と違って、今回は景気よくゴールが決まった。そのうちの1点でも前の試合で決まっていればなぁ……。
 この日のスタメンはGKクォン・スンテ、DFが伊東幸敏、ブエノ、犬飼、小池、MFが三竿、名古のダブル・ボランチに、セルジーニョとレアンドロ、そしてツートップが遠藤と上田綺世という布陣。
 なんと土居と白崎がベンチにもいない。チョン・スンヒョンもいない。
 なぜ?――と最初は疑問に思ったけれど、そのあと中2日でルヴァン杯の浦和戦が控えていることを思い出した。おそらく清水と浦和を比較して、浦和のほうが手強いから、攻撃の中心であるふたりはその試合のために温存すべきと思ったんだろう。
 それにしても、ツートップが初スタメンの綺世と遠藤ってのもびっくりだ。でもって遠藤、FWサイドなのに存在感抜群だったし。綺世もPKをもらって2ゴールの大活躍だし。大岩采配、的中しまくりの一戦だった。
 得点の内訳は先制点が遠藤。ロングボールでDFの裏へ抜け出して、得意の角度から決めた。ジーコがいうところの「ゴールへのパス」って感じのファイン・ゴールだった。
 2点目は綺世がもらったPKをセルジーニョが決めたもの。綺世に蹴らせてあげたいところだけれど、あそこはやっぱチームのトップ・スコアラーに譲らざるをえないか。なまじそのあと2ゴールをあげているだけに、あそこでPKを決めていればハットトリックで大フィーバーだったのに……。惜しい。
 綺世のゴールはどちらもヘディング。1点目は右サイドからの永木(途中出場)からのクロス、2点目は左サイドからのクロス。どちらも決めて当然というフリーのチャンスだったけど、おそらくどちらもあそこにポジショニングしている綺世をほめるべきなんだろう。なんにしろ、加入から1ヶ月足らずで3ゴールはすごい。
 対する清水もドウグラスを中心にかなりチャンスは作っていたけれど、いかんせん決定力を欠いた。あと、三竿のあきらかなハンドが見逃される不運もあってノーゴールに終わった。後半途中からは、かつてアントラーズでプレーしていたドゥトラが出てきた。おー、そういや日本に戻ってきたってニュースを見た記憶が。なんて懐かしい~。
 清水は前回の対戦後にヤン・ヨンソンが成績不振の責任を問われて解任されてしまい、いまは元FC東京の篠田さんが監督を務めていた。北川も海外移籍してしまったし、チョン・テセもいないし、ファン・ソッコはベンチだし。あちらさんもいろいろと大変そうだ。
 そうそう、大事なことを忘れていた。この試合でついにウッチーが復帰しました~。わずか10分ちょいの出場だったけれど、シーズン終盤のこの時期に戻ってきてくれたのは心強い。伊東も復帰後これが初スタメンだったし、これで右SBはもう心配要らなさそうだ。――というか、この先、小泉を含めたこの三人をどうやって使うかで、やたらと悩みそうな……。
 まあ、なんにしろ、これでルヴァン杯2試合をはさんで、次はいよいよFC東京との首位攻防戦。勝ち点4の差がついているから勝っても首位奪取とはいかないけれど、それでも今シーズンの行方を占う大事な試合だ。必勝よろしく。
(Sep. 01, 2019)

浦和レッズ2-3鹿島アントラーズ

YBCルヴァンカップ・準々決勝/2019年9月4日(水)/埼玉スタジアム2002/フジテレビTWO@スカパー!

 なんて強いんだ!――と思った前半から、なぜそんな展開に……という後半をへて、かろうじて勝利を収めたルヴァン杯のレッズ戦。アウェイでの第一試合。
 この日の鹿島のスタメンはGKクォン・スンテ、DF小泉、ブエノ、チョン・スンヒョン、小池、MF永木、レオ・シルバ、名古、白崎、FW土居、伊藤翔という顔ぶれ。
 やはり、前のJ1で土居、白崎がいなかったのは、この試合のためだった。でもまさか、セルジーニョ、三竿を使わないのは予想外。それに名古の右サイドでの攻撃的なポジションでの起用と、CBがブエノ、チョン・スンヒョンの外国人コンビだったのも(初だよな?)。 じつに前の試合と7人の入れ替えだそうだ。
 とくに驚きなのが最終ライン。ブエノは去年、レンタルで徳島にいたから、気がつけば、4バックのうち、もっとも所属期間が長いのは一年半前に加入したチョン・スンヒョンだよ? これでそれなりに守れるんだびっくりだ(まぁ、後半に2点も取られたけど)。
 対するレッズはまさかのエース興梠を温存。そんなんで大丈夫なのか?――と思ったら、やっぱ駄目。前半だけで3-0と鹿島にけちょんけちょんにされてしまう。
 先制点はブエノ。永木の右からのFKに頭できれいにあわせた(鹿島初ゴール?)。
 2点目は土居。レオ・シルバが左から斜めに入れたクロスに、ゴールライン際で頭であわせた(土居のヘディングって珍しい気が)。これも見事なヘッドだった。
 3点目は土居のシュートの跳ね返りを名古が決めたもの。名古もこれがプロ入り初ゴールとのことだし、きょうのゴールはレアものばっかりだった。
 なんにしろ、前半だけでアウェイでの3ゴール。これでもう準決勝進出は決まったも当然かと思ったら、後半にレッズの反撃にあう。早めの選手交替で出てきた興梠が58分に追撃弾。そのわずか2分後にセットプレーから槙野がヘディングを決めてあっという間に1点差。もしや3点差を追いつかれるかと冷や冷やだった。
 レッズの2ゴールはどちらもシュートのこぼれ球を押し込まれたもので、両方ともクォン・スンテが一度は止めているだけに惜しかった。失点こそ許したけれど、クォン・スンテは安定して優秀だ。
 途中出場は三竿、セルジーニョ、犬飼。セルジーニョは怪我をした土居との交替(無事を祈る)。あとのふたりは守備固め。交替でさがったのは小池と名古で、3枚のカードを使い切ってからは、どういうフォーメーションで守っているのか、いまいちよくわからなかった。
 まぁ、とりあえず無事に逃げ切れてなによりだ。さすがにホームで戦う第二戦で3失点はしないだろうから、これで準決勝進出はほぼ決まりでしょう。次の試合は安心して観ていられそうだ。
 それにしても、フジロックの放送を観るためにスカパーの契約を変更したので、ルヴァン杯まで観られるようになってしまった。今年はいささかサッカー観すぎな気がする。
(Sep. 04, 2019)

日本2-0パラグアイ

親善試合/2019年9月5日(木)/カシマサッカースタジアム/日本テレビ

 ひさびさ、コパ・アメリカ以来、2ヵ月半ぶりの代表戦。来週から早くもカタールW杯のアジア地区予選が始まるので、その調整のための親善試合。
 スタメンはGK権田、DF酒井宏樹、冨安、麻也、長友、MF柴崎、橋本拳人、堂安、南野、中島、FW大迫の11人。
 五輪代表もどきで戦ったコパ・アメリカのあとだっただけに、森保ジャパンの定番中の定番というメンバー構成だったことに、かえって驚いた。
 でもって試合が始まってみて、あぁ、そうだったと思う。
 うん、このメンツで戦うと強いんだったよ、日本代表。
 大迫、中島、南野、堂安、そしてボランチに柴崎。これでもう攻撃はばっちり。
 序盤こそパラグアイの守備の固さにてこずっていたけれど、時折みせるパス回しの美しいことときたらなかった。
 それに海外でもまれているいまの日本代表――この日のスタメンのうちJリーガーは橋本だけ――は球ぎわであたり負けしない。素晴らしいボール奪取からきれいにパスをつないで相手ゴールを脅かす。そうやって作ったチャンスから、最初は大迫、次は南野にゴールが生まれる。
 大迫のゴールは長友のクロスから。ニアに切れ込んだ大迫がそれをダイレクト・ボレーで決めた。南野のゴールは反対サイド、酒井からのクロスにあわせたもの。どちらもオフサイドぎりぎりのファイン・ゴールだった。
 あまりに一方的な内容に腹が立ったのか、前半の終わりに中島がリフティングでボールを運ぶ遊び心を見せて、うしろから猛チャージをくらうなんてシーンもあった。ああいうの、南米ではご法度なのか?
 後半の頭からは世界中の注目を浴びる久保建英が登場。尋常じゃないボールさばきと積極的なシュートでスタジアムを沸かせた。
 なんだろう、狭いところで難なくボールを操るあの技術は。残念ながら代表最年少ゴールはならなかったけれど、このままA代表にとどまって試合に出る機会をもらえれば、W杯予選中にゴールが生まれるのは確実だろう。
 そのほかにこの試合で途中出場したのは植田、原口、永井、安西、板倉の計6人。まぁでも、これだけ入れ替えるとさすがに前半のような連携のよさは望めない。後半はノーゴールに終わったこともあって、久保のひとり舞台って感じだった。
 そうそう、後半頭から植田が酒井宏樹と交替で入ってきてからは、冨安が右SBとして好プレーを連発していた。イタリアへの移籍後はサイドバックで起用されているとは聞いていたけれど、なるほどサイドでもすごい。二十歳そこそこで日本代表のレギュラーって時点ではんぱないとは思っていたけれど、カルチョの国でもちゃんと評価されちゃうとは。おそるべし、冨安。
(Sep. 05, 2019)

鹿島アントラーズ2-2浦和レッズ

YBCルヴァンカップ・準々決勝/2019年9月8日(日)/カシマサッカースタジアム/フジテレビTWO@スカパー!

 いやー、きびしい試合だった。
 前の試合のあと「次はまさか3点も取られないから大丈夫だろう」みたいなこと書いたけれど、認識が間違っていた。3得点こそしたけれど、1点差での勝利だったから、この第3戦は2-0で負けたらアウトなんだった。それならありそうじゃん!
 でもって、試合は前半戦は完全に受け身。押されまくった挙句に、先制点を許して0-1で折り返すという苦しい展開。思っていたより難しい試合になった。
 この日の鹿島のスタメンはクォン、小泉、ブエノ、犬飼、小池、三竿、レオ・シルバ、セルジーニョ、白崎、伊藤翔、遠藤の11人。
 前の試合で途中交替した土居は、難なきを得たものの、大事をとってベンチスタート。これが影響したと思う。やっぱ今年は土居がいるといないでは、攻撃のリズムが違うので。実際にこの試合で鹿島の内容がよくなったのは、後半途中に土居が出てきてからだった(途中出場はあと永木とチョン・スンヒョン)。
 土居、ゴールこそ少ないけれど、攻撃時のつなぎでは非常に効いている。今年の鹿島のキーマンは絶対に彼だと思う。
 ということで、土居抜きで戦った前半はいいところなし。まぁ、一回くらい惜しいシーンがあった気はするけれど、結局無得点に終わってしまった。
 でもまあ、今年の鹿島は先制されても追いついてきたし、このままじゃ終わらないだろう――というか、終わって欲しくない――と思っていたら、後半の鹿島はその期待を裏切らないサッカーを見せてくれた。
 まあ、ところどころで危ないプレーはあったし、2点目も奪われはしたけれど、それでも後半に2ゴールを奪って試合をドローで終え、通算成績を5-4として、なんとか準決勝への進出を決めた。
 鹿島の同点ゴールは犬飼。セットプレーからのこぼれ球を珍しく足で押し込んだ。
 2点目を奪われたあとの同点ゴールは伊藤翔。カウンターからセルジーニョのアシストを受けてフリーのチャンスをきっちりと決めた。
 このどちらもシーンにも土居がひとつ前のプレーに絡んでいる。セットプレーからニアでワンタッチしてボールの軌道を変えたのが土居だったし、2点目の場面でボールをつないでセルジーニョのアシストを引き出したのも土居だった。ナイス聖真。
 レッズの2得点はエヴェルトンと関根。どちらも敵ながらあっぱれなファイン・ゴールだった。
 エヴェルトン、これまでの対戦ではたいして目立っていなかったのに、この日はとてもいいプレーをしていた。関根も夏の移籍で戻ってきてからの活躍が著しいっぽい。
 そのほかにも二試合とも目覚しい活躍をみせていた24歳の汰木{ゆるき}とか、関根のゴールをアシストした途中出場の荻原(19歳)とか、若手もちゃんと伸びてきている。リーグ戦では成績が上がらないから、ちょっと油断していたけれど、やっぱりレッズは強かった。
 レッズで不運だったのは、後半の途中にブエノのスライディング・タックルを受けた興梠が足を痛めて交替しまったこと。ブエノのタックル自体は素晴らしいプレーだったので、あれで興梠が怪我をしてしまったのは不運としかいいようがない。
 さて、ということでルヴァン杯のタイトル獲得まで残るはあと3試合。準決勝の相手は川崎だそうだ。もうひとつの山は札幌とガンバなので、やっぱ次の川崎戦がいちばんの難関だなぁ……。
(Sep. 08, 2019)

ミャンマー0-2日本

ワールドカップ・二次予選/2019年9月10日(火)/ヤンゴン(ミャンマー)/日本テレビ

 はやくも2022年のW杯カタール大会の二次予選が始まった。今回のグループリーグはW杯の翌年に開かれるアジア杯・中国大会の予選も兼ねているとのこと。
 さて、そんなW杯へとつづく戦いの初陣を飾ったスタメンは、権田(ポルトガル)、酒井(フランス)、冨安(イタリア)、吉田(イングランド)、長友(トルコ)、柴崎(スペイン)、橋本(東京)、堂安(オランダ)、南野(オーストリア)、中島(ポルトガル)、大迫(ドイツ)の11人。途中出場は伊東純也(ベルギー)、久保建英(スペイン)、鈴木武蔵(札幌)の3人だった。
 実況の人が「スタメンの所属リーグが全員違う」といっていたので、ほんとかよと思って、プレーしている国を併記してみた。
 なるほど。権田と中島がポルトガルでかぶっているけれど、フィールド・プレーヤーはみごとに全員違う。日本人もずいぶんといろんな国でプレーさせてもらえるようになったんだなぁと感慨深いものがある。
 まあ、なんにしろスタメンはひとつ前の親善試合とまったく一緒だったわけだ。要するに現時点でのベスト・メンバー。毎回苦戦必至の初戦ってことで石橋を叩いて渡る森保監督だった。
 対するミャンマーはFIFAランキングが135位で、33位の日本は文字通り桁違いの差がある。普通に戦ったら負けようがない相手――なんだけれども。
 この日はコンディションが悪かった。ピッチはでこぼこ、雨ざーざー。水もかなりたまっていたようで、パスがとまる、とまる。速いパスなんて通しようがない。
 こりゃ苦戦するパターンだなぁ……と思って観ていたんでしたが。
 開始から16分で、中島が得意の角度からミドル・シュートを決めて先制。その10分後には、今度は南野が堂安のクロスに頭であわせて追加点。前半早々に試合を決定づけた。
 南野のゴールは、最初に堂安が打ったシュートがGKにパンチングでふせがれ、その跳ね返りがふたたび堂安の足元へと戻ってきたところで、改めてクロスをあげて決めたもの。シュート・ブロックにあったあとの二度目のチャンスに頭を切り替えて、絶妙のクロスを入れた堂安もえらかった。
 いずれの得点も、パスが思うようにつながらない悪コンディションだからこそ、積極的にシュートを打っていこうという姿勢から生まれたゴールだった。素晴らしい。
 まあ、難があるとしたら、その2ゴールのあと、1つも決められなかったこと。打ったわ、打った、シュート数は30とかいうのに、これがまあ、まったく決まらない。ミャンマーのGKがよかったというのもあるけれど、日本にとっては、あと3点くらい取ってないとおかしいだろうって内容だった。まあ勝ったからいいけど。
 この試合でもっとも好印象を受けたのは橋本拳人。もともと守備力がある人なのは知っていたけれど、この試合では惜しいミドルを2本も放っていた(決まんなかったけど)。ボランチとしては柴崎より存在感あったんじゃないだろうか。遠藤航がベンチなのもなるほどな出来だった。
 あと、途中出場の伊東純也と鈴木武蔵のスピードが笑えた。伊東が速いのは知っていたけれど、武蔵もはえー。注目の久保も含めて、この試合で途中出場した3人はそれぞれに短い時間できちんと持ち味を出していた。
 いやー、選手層も厚いし、W杯の出場枠も拡大されたし、この分ならアジア地区予選は楽勝でしょう。
(Sep. 11, 2019)

鹿島アントラーズ2-0FC東京

J1・第26節/2019年9月14日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 いやー、これぞ鹿島って試合だった気がする。首位のFC東京を2位のアントラーズが勝ち点4の差で追うという史上初のシチュエーションが実現した首位攻防戦。
 この日の鹿島のスタメンは、GKクォン・スンテ、DF小泉、ブエノ、犬飼、小池、MF三竿、レオ・シルバ、セルジーニョ、白崎、FW土居、伊藤翔。
 調べたら、4月に味スタで対戦したときと同じのは5人だけ。半分以上のメンバーが入れ替わっている。
 対するFC東京は、林、室屋、渡辺剛、森繁、オ・ジェソク、大森晃太郎、高萩、橋本拳人、東、ディエゴ・オリヴェイラ、永井という11人。
 こちらも久保建英やチャン・ヒョンスが移籍しているけれど、4月との違いはそのふたりと、故障中の小川諒也がいないことだけ。
 要するにFC東京の戦力は前半戦とそれほど変わらない。――というか、久保が抜けた分は確実にマイナスでしょう。これならば、なんとかなるんじゃと思ったら、前半のわずか2分に鹿島が先制するラッキーな展開になった。
 貴重な先制ゴールはレオ・シルバの右CKから。これをブエノが相手DFと競り合いながら頭で流し込んだ。すんげーいいヘディング。ブエノ、その後もあわやというヘディングがあったし、ここんところ攻守に充実感がはんぱない。
 この1点で試合の方向性は決まったも同然だった。それ以降は攻める東京、守る鹿島という構図がはっきりする。もう目立っているのはDFばっかという。そんな試合になった。
 まあ、1点差だといつ追いつかれるかわからないから、もう1点欲しいなって思っていたら、後半33分にセルジーニョの見事なミドルが決まって追加点(セルジーニョはこれで今季二桁得点!)。そのまま無失点で逃げ切った鹿島が首位・東京との勝ち点の差を1に縮めた。
 この試合でおもしろかったのは、後半の頭に白崎を下げて名古を入れた大岩采配。首位攻防戦だからベスト・メンバーで臨んだけれど、先制したことだし、もう無理に追加点は狙うよりも次週のACLに向けて戦力は温存したいってことで、白崎を下げたんでしょう。思い切りのいいことするなと感心しました。
 最後に三竿が足を攣ったかなんかでチョン・スンヒョンと交替するというトラブルもあったけれど(もうひとつの交替枠は伊藤→上田)、それ以外にはとくに問題のない、すっきりとした勝利だった。いやー、よく守った。
 これでとりあえず優勝へ向けての第一関門は突破。このあとにまだ浦和、川崎、広島という前半戦にドローに終わった難敵が控えているし、直近では札幌やC大阪との上位対決もあって、あまり視界良好とはいえないけれど、それでもこの試合でもって、前半に負けた相手にはすべて雪辱を果たしたことになる。今年の鹿島はかなりいいチームになってきていると思う。
(Sep. 15, 2019)

鹿島アントラーズ1-1広州恒大

AFCチャンピオンズリーグ・準々決勝/2019年9月18日(水)/カシマサッカースタジアム/日テレNEWS24@スカパー!(録画)

 くー、痛恨。アントラーズ、あと1点が奪えず、アウェイ・ゴール数に泣いてACL準々決勝で散るの巻……。
 まずは前のJ1で、白崎が前半だけで交替したのはこの試合のための温存ではなく、単に怪我だったらしい。足をつったのかと思っていた三竿も同じく。残念ながら、この日のスタメンにもベンチにもふたりの名前はなかった。
 ということで、スタメンはクォン・スンテ、小泉、チョン・スンヒョン、犬飼、町田、永木、レオ・シルバ、セルジーニョ、名古、土居、伊藤翔の11人。
 要するに前回アウェイで戦ったメンバーから、怪我のふたりをはずして、永木と名古を入れた形だった。
 アウェイで相手を0点に押さえ込んだ4バックで、この日もあわよくば無失点で……という狙いだったんじゃないかと思うけれど、そのミッションは達成できず。前半残り5分を切った時間帯に、CKから9番タリスカに見事なヘディングを決められて、いたい痛い先制点を許してしまう。
 この場面でタリスカのマークについていたのが町田だった。相手が見事だったのは確かだけれど、守備重視で起用したんだろう町田のところで失点したのが痛い。決して町田が悪かったとは思わない――というか、基本的にはいいプレーをしていた。ただ、得点に絡むクロスという点では小池のほうが結果を残しているのだから、その小池のかわりに使った町田のところで失点して、かつ得点の面でも2試合で1点のみに終わっているのは、どうにも作戦ミスな気がしてしまった。
 この日は相手のGKが当たっていたのも不運。後半6分という速い時間帯にレオ・シルバが打ったシュートがセルジーニョにあたってゴールネットを揺らすラッキーなゴールで同点に追いついて、その後も優勢に試合を運んでいたから、これならばあと1点くらいは取れるだろうと思ったのに、結局その後は無得点に終わってしまった。
 途中出場で出てきた3人――相馬と綺世と山口――がひとりもシュートを打てずに終わったのも想定外(たぶん打ってない)。この大事な試合でほとんど仕事をできずに終わるとは、三人とも、やっぱまだまだ若いのかなぁと思った。
 とくに山口はひどい出来だった。ひさびさの出番なのに、あれじゃあなぁ……。試合勘が足りないのかもしれないけれど、出てきたからにはもっと戦ってくれないと。――というか、J1でも使っていない山口をこの大事な局面で使うなよなぁ、大岩。あそこで最後に入れるんならば、ウッチーでしょう?
 なまじその時間帯になると、スタメンの聖真あたりは疲れからプレーの精度が落ちてきていたので、途中出場で元気なはずの山口がチャンスでシュートを打てずにボール・ロストをするのを見せられるのはとても残念だった。
 まあ、とはいえこの試合、僕は不覚にも忘れていて、しなくてもいい残業をしてしまい、生放送で観られなかったんだった。大事な試合を失念するようなやつに文句いわれたくもないよねぇ……。ごめんなさい。
 ああ、しかし今回の対決ではパウリーニョに1点も取られなかったし、決定的な仕事もさせなかったけれど、それでもまたもや彼のいるチームを相手に苦汁を舐める羽目に……。ほんと、パウリーニョとは相性が悪すぎる。
(Sep. 18, 2019)

鹿島アントラーズ1-1北海道コンサドーレ札幌

J1・第27節/2019年9月28日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN

 ラグビーW杯の開幕戦へ配慮したのか、なぜだか先週末はJ1がなかったので、ACLの広州戦から十日ぶりとなるアントラーズの試合。今年はサッカー観っぱなしな印象なので、これくらいあいだが空くと、ひさしぶりだなぁって気分になる。
 この日のスタメンはクォン・スンテ、内田篤人、ブエノ、犬飼、小池、小泉、レオ・シルバ、セルジーニョ、白崎、土居、上田綺世という組み合わせ。
 ウッチーがようやくスタメンに復帰。でもって小泉がボランチ起用ときた。
 なぜ小泉がボランチ?――と思ったら、よく見れば彼はMF登録だった。つまりボランチが本職かい! しかも柏の前に所属していたのは新潟で、実況の人いわく、そのころはレオ・シルバとはコンビを組んでいたとか。なんと。そういう経歴の人とは知らなんだ。どうりでサイドバックとしては、とくに可もなく不可もない印象だと思った。
 でもってこの日の小泉はなるほど、永木からスタメンを奪うだけのプレーを見せてくれていたと思う。三竿が怪我をしてボランチが駒不足ってときに小泉がその穴を埋められるのはでかい。今年の補強はほんとうに見事のひとことだ。
 そんな思いは前半27分にレオ・シルバが筋肉系の故障で途中交替にしてしまったから、なおさら強くなる。あぁ、三竿につづいて、レオ様まで……。今年はいったいどうなってんだ。故障者と移籍が多すぎでしょう。これでよくも首位争いをしているもんだよ。まったく恐れ入る。
 対戦相手の札幌は、今年もここまで上位に食い込んできていて、決してあなどれない相手だった。とはいえ、この日はチームの得点ゲッターの鈴木武蔵とジェイが出場停止。これは有利か――と思ったら、それでもアンデルソン・ロペスやらルーカス・フェルナンデスといったブラジル人に、チャナティップなんかもいる。あいかわらず福森のキックの精度も高い。でもって前半11分には、進藤という23歳のDFに先制点を許してしまう。
 あの場面はなぜかマークがずれてしまっていたのが痛かった。進藤、CBのくせして、これで今季6ゴール目だそうだ。なんか最近のJリーグって若いいい選手多いよねぇ……。
 なんにしろ、札幌は強かった。後半の頭にセルジーニョが右足をちょこんと当ててGKの頭の上を越える技ありのループシュートで同点にしてくれたから勝ち点1は拾えたけれど、後半の最後のほうにきわどいシュートを浴びるシーンもあったし、負けてもおかしくない内容だった。まぁ、こちらも惜しいシュートがあったし、内容的には互角だったと思う。コンサドーレ、あなどれない。
 でもまぁ、こちらは天皇杯で中2日での試合だったし、その辺の影響もあったのかもしれない。天皇杯では中村充孝のよもやのハットトリックでマリノスに快勝したそうなので、途中出場でその充孝が出てきたときには、もしやこの試合でも……と期待したのだけれど、さすがにそう上手くはいかなかった(途中交替はあと永木と伊藤翔)。
 まあ、とりあえず勝ち点1を積んだことで、この日は試合がなかったFC東京と勝ち点で並び、得失点差で上回って暫定1位になったのは、ちょっと感慨深かった。まぁ、一日天下に終わっちゃったけど……。それでもFC東京が松本相手に引き分けて、勝ち点が開かなかったのは幸いだった。
(Sep. 29, 2019)