2019年10月のサッカー
Index
- 10/06 ○ C大阪0-1鹿島 (J1・第28節)
- 10/09 ● 川崎3-1鹿島 (ルヴァン杯・準決勝)
- 10/10 ○ 日本6-0モンゴル (W杯・二次予選)
- 10/13 ▲ 鹿島0-0川崎 (ルヴァン杯・準決勝)
- 10/15 ○ タジキスタン0-3日本 (W杯・二次予選)
- 10/18 △ 松本1-1鹿島 (J1・第29節)
- 10/23 ○ 鹿島1-0Honda FC (天皇杯・準々決勝)
- 10/26 札幌3-3川崎(PK:4-5) (ルヴァン杯・決勝)
セレッソ大阪0-1鹿島アントラーズ
J1・第28節/2019年10月6日(日)/ヤンマースタジアム長居/DAZN
このところリーグ戦5連勝中で、順位を4位まであげてきたセレッソが相手ってことで、難しい試合になるのは必至だろうなぁ……って思ってたんだけれども。
開始わずか6分にセットプレーから鹿島が先制。あとはひたすら守りきるって試合になって、思ったより簡単に勝ち点3がゲットできてしまった。試合内容はセレッソのほうが上だったのに、結果は鹿島のものという。最近仕事でセレッソ・サポの人となかよくしているので、あいすいませんって誤りたくなるような一戦だった。
この日のスタメンはGKクォン・スンテ、DF伊東幸敏、ブエノ、犬飼、町田、MF永木、白崎、セルジーニョ、中村充孝、FW土居、伊藤翔の11人。途中出場は遠藤、名古、綺世の3人。
なぜだか小泉、ウッチーがベンチにもいない(来週のルヴァンに向けて温存?)。でもって白崎をボランチで起用してきたのがこの日のポイント。白崎、とくべつ目立っていた感じはなかったけれど、走行距離は両チームで一番だったらしい。そりゃびっくりだ。僕が気がつかなかっただけで、とても貢献度が高かったらしい。
でもって、虎の子の1点は永木の左CKからファーで町田が折り返したボールに犬飼が頭であわせたもの。なぜか小池ではなく町田を左SBに起用した大岩采配ずばりな先制点だった。犬飼もようやく鹿島のCBらしいヘディングを決めてくれた。
とにかくその得点のあとはただひたすら守るだけだった。ボール支配率はセレッソが64%とかだし、シュート数は9-5、CKも12-4と、セレッソのほうが圧倒的に多かった。その数字どおり、より多くのチャンスを作っていたのはセレッソだった。
ソウザ(長いこと名前を聞かないから辞めたのかと思っていた)のキックはやたらと精度が高いし、ブルーノ・メンデス、ヨイッチらの外国人も強力だった。ひとつボタンを掛け違えていれば――たとえば、柿谷がクォン・スンテとの一対一のチャンスを止められなかったら――前半だけでセレッソが3点くらいは取っていそうな試合だった。
それでも終わってみれば決定力を欠いたセレッソはスコアレス。対する鹿島はひとつだけのチャンスを決めて勝ち点3をゲットするという。これぞ鹿島って一戦だった。
まぁ、でも後半最後のほう――上田綺世が出てきてから――は、相手にも疲れがあったのか、けっこう鹿島もボールを持てるようになったので、最後は比較的安心して観ていられてよかった。しかも、前の日にFC東京が――豊田のハンドが見逃される誤審のせいで――鳥栖に負けたので、これでついに鹿島が首位!
開幕戦で大分に負けたときに、今年はもう駄目だと思ったのが嘘みたいだ。
あ、でもこの試合ではセルジーニョが足を痛めて途中交代するアクシデントが! この期に及んでセルジーニョまで欠いたら、どうなっちゃうんだ。中2日で戦うルヴァン杯の川崎戦に向けて不安いっぱい……。
(Oct. 06, 2019)
川崎フロンターレ3-1鹿島アントラーズ
YBCルヴァンカップ・準決勝/2019年10月9日(水)/等々力競技場/フジテレビONE@スカパー!
ひさびさにひどい試合だった。今年いちばん腹が立った敗戦だった。
なにがむかつくって、大岩がクォン・スンテではなく、曽ヶ端をスタメンで起用したこと。
なにゆえひとつ前のリーグ戦で無失点で勝っているレギュラーGKを替える? クォンが使えないならばともかく、ベンチ入りしているってことは怪我が理由じゃないってことだよな? それで3失点ってのは、なんの冗談だ。なまじ序盤から曽ヶ端のプレーに安定感を欠く印象があったから、不安的中でなおさら腹が立った。
この日の敗戦が曽ヶ端の責任だとはいわないけれど、でももしクォンがスタメンだったら、1点くらいは失点を防げたんでは? とないものねだりをしたくなってしまうのがなんとも腹立たしい。
そもそもこの日のスタメンはなんなんだ。
GK曽ヶ端、DF内田、チョン・スンヒョン、犬飼、小池、MF小泉、永木、レアンドロ、白崎、FW遠藤、上田の11人。
3日前と同じなのは犬飼と永木、白崎の3人だけって。いくらなんでも替えすぎでしょう? 最近好調のブエノがベンチとか、意味がわからない。でもって連続で使った犬飼は凡ミスばっかだし。なんなんだ、いったい。川崎をなめすぎだろー。
いやぁ、まぁ、前半は悪くなかったんだよな。とりあえず白崎の先制点は素晴らしかったし。レアンドロがドリブルで攻め上がり、隣を猛然と攻めあがった小泉がマークを引っぱり、レアンドロのクロスを白崎がダイビング・ヘッドで決めた。3人ともとてもいい仕事をした。
その後も同点にされるまでは、ねばり強いディフェンスができていたんだけれども、前半のなかばに守田のゴールで同点にされてからは、川崎のパスワークに翻弄されっぱなし。結局、後半は相手の勢いに押し込まれて、途中出場で故障明けの大島が出てきたとたんに2失点を喫して、逆転負けをくらってしまった。やってらんない。
ホームでの第2戦は2-0で勝てば決勝へゆける。とはいえ、今日みたいな試合をしていたんでは、到底フロンターレを0点に抑えられるとは思えない。4冠制覇をうたっていたくせに、どんどん雲行きが怪しくなってゆく。
そうそう、この試合、スタメンを大幅に入れ替えていたのは川崎も同じだった。あちらも憲剛や小林悠を温存していた。それでこの結果だもんなぁ……。
曽ヶ端の起用とスタメン8人の入れ替えにくわえ、この日は交替のカードの切り方にも不満をおぼえた。綺世→伊藤翔、ウッチー→名古、遠藤→聖真の3枚はまるで状況を好転させなかったどころか、ウッチーをはずしたとたんに2失点だからね。キャプテン・マークを託したベテランをそう簡単に下げてんじゃないよ、まったく。
綺世が絶好機を二度も逃したり、犬飼が気の抜けたプレーをみせたり、個々のプレーにも不満はあったけれど、きょうの敗戦はとにかく大岩采配への不満がすべて。リーグ戦で首位に立ったことで持ち直していた大岩の株がふたたび急落した一戦だった。
あぁ、日曜日の第2戦が観たくない……。
(Oct. 09, 2019)
日本6-0モンゴル
FIFAワールドカップ・アジア地区二次予選/2019年10月10日(木)/埼玉スタジアム2002/テレビ朝日(録画)
W杯・二次予選の二試合目。
あいにくThe Birthdayのライヴと重なってしまい、リアルタイムでは観られず。その日は帰りが遅かった上に、翌日も飲み会があったので、二日遅れの録画観戦となった。さすがに二日も遅れると情報は遮断できない。代表戦を結果がわかった状態で二日も遅れて観たのって、なんだかとてもひさしぶりな気がする。
さて、この日のスタメンはGK権田、DF酒井宏樹、冨安、吉田麻也、長友、MF遠藤航、柴崎、伊東純也、南野、中島、FW永井という組み合わせ。途中出場は安西、鎌田、原口の3人だった。
大迫が故障中ということで、ワントップは永井。でもって右SWが堂安ではなく、伊東純也ってところがちょっと意外な選択だった。
でも結果的にはこの伊東の起用がずばり。伊東は右サイドから絶妙なクロスを連発して、3得点をアシストしてみせた。もともと攻撃力には秀でたものを持った人だったけれど、海外に出てなおさら精度を増している気がする。すげーよかった。堂安が出番なしで終わったのも納得の出来。
この日の6得点の得点者は、南野、麻也、長友、永井、遠藤、鎌田の6人。6ゴールが全員別の選手ってのもちょっと珍しい気がする(でもって、そのなかに中島の名前がないのも)。長友のゴールは10年ぶりだとか。あと、遠藤、鎌田はこれが代表初ゴール。そういう意味ではとてもレアなゴールも多い試合だった。
まぁ、相手のモンゴルが実力不足だった上に、前回のミャンマー戦同様、なぜにそれが決まらないってシーンがたくさんあったので、実際にはもっとゴールが決まっていてもおかしくなかったから、その点はややマイナスかなと。でもまぁ、6点も取っておいて文句をいったら罰があたる。
この試合での懸念事項は、試合の最後のほうで冨安が足を痛めて離脱してしまったこと。まぁ、若いからしばらく代表を離れるようなことになっても心配はいらないとは思うんだけれど、絶賛売り出し中だけにここでの怪我はやはり残念。
(Oct. 13, 2019)
鹿島アントラーズ0-0川崎フロンターレ
YBCルヴァンカップ・準決勝/2019年10月13日(日)/カシマサッカースタジアム/フジテレビONE@スカパー!
ああ、やっぱりこんな結果に……。
ルヴァン杯・準決勝の第2試合、鹿島は1点も奪えずにスコアレス・ドローで試合を終えた。2-0で勝たないと決勝に進めないという状況で、打ったシュート数が3-18だってんだから話にならない。惜しかったシーンは前半に綺世がダイビングヘッドでゴールネットを揺らしたシーンくらいじゃなかったろうか(でもあきらかなオフサイド)。結果はドローだけれど、攻めないといけない試合で攻撃を完璧に封じ込まれた点で、完敗としかいえない内容だった。憲剛や小林悠を先発させたフル装備の川崎はやはり強かった。
この試合のスタメンはクォン・スンテ、伊東幸敏、ブエノ、犬飼、小池、名古、永木、中村充孝、白崎、土居、上田綺世というメンツ。
今回は6人の入れ替えだけれど、個人的にいちばん残念だったのは、右SBがウッチーではなく、伊東だったこと。決勝進出をかけての大事な一番だからこそ、ここはチーム・キャプテンを引きつづき使って欲しかった。なまじ伊東のプレーが精度を欠いて、マイナスなイメージが強かっただけになおさらだ。
ACLもそうだったけれど、ここいちばんの大事な試合ではローテーションなど気にせず、現時点でもっとも信頼のできるスタメンでつづけて戦って欲しい。ウッチーも若くないからスタミナを心配したのかもしれないけれどさ。故障明けということならば、伊東だってどっこいどっこいじゃん。それだったらウッチーの経験値のほうがよほど頼りになる。
やはり使える選手を使わないで不甲斐ない戦いを見せられるのがいちばんたまらない。大岩の采配ってそういう傾向が強いのがイヤだ。なまじこの試合ではクォン・スンテがナイス・セーブを連発していたので、なおさら腹が立った。なんで前の試合でクォンを使ってないんだよぉ。
土居にしたってさ、試合後のインタビューで前の試合は出られなかったから……と無念そうに言っていたじゃん。今年の土居はボール・ロストが少なくて守備の面でも頼りになるんだから、こういう2連戦では無理させてもいいだろうよ。このあとのリーグ戦の相手が松本なのを考えればなおさらだ。もう本当にイヤになってしまう。
まぁ、この試合、開始わずか2分で犬飼が筋肉系のトラブルを起こして退場してしまうという不運もあった。それにしても、これで何人目のリタイアだ。
スカパーによると、三竿、レオ・シルバ、セルジーニョはみんな「左ハムストリング筋損傷」だという。退場したときの感じだと、犬飼も同じなんじゃないだろうか?(【追記】違った) ここまで多くの選手が同じところを負傷するとなると、トレーニングにどこか問題があるんじゃないかと思えてしまう。困ったもんすぎる。
まあ、ということでこの試合では、開始わずか2分で犬飼をチョン・スンヒョンに交替させざるを得なくなった。2ゴールが必要とされる試合で、開始早々にDFに交替カードを切らざるを得ない展開は、きょうはもう駄目だというフラグに思えた。ああ、まったく……。
後半頭から充孝→伊藤翔、後半途中で名古→レアンドロと残りのカードを切って、点を取ろうという姿勢はみせてくれたけれど、結局それらのカードも不発に終わり、最後までシュートさえまともに打てずに終わってしまった。そもそも休養十分の充孝を後半頭で見限る時点で、選手起用を誤った感があるよなぁ……。
この試合で唯一の救いがあるとしたら、それは負けなかったこと。川崎とは今年はこれで1敗2分。この先もう一試合リーグ戦での対戦が残っているから、通算成績をドローに持ち込めるチャンスはある。――というか、ここでの負けはその試合への布石だと思いたい。次は絶対に勝ってくれ。
ということで今年の鹿島のルヴァン杯はこれにておしまい。残すはJ1と天皇杯の2冠のみだ!
――と思って天皇杯に目を向けてみたら、残ったクラブがなにそれなメンツでびっくり。準々決勝の組み合わせが、神戸-大分、鳥栖-清水、鹿島-ホンダFC、長崎-甲府ってのはいったい……。
タイトル・ホルダーが鹿島しかいないじゃん。なにやってんだほかのクラブは。これでタイトル取れなかったら……って、逆に変なプレッシャーかかりそうでイヤだな。
(Oct. 14, 2019)
タジキスタン0-3日本
FIFAワールドカップ・アジア地区二次予選/2019年10月15日(火)/テレビ朝日
タジキスタンが手強かったのか、人工芝ゆえに難しかったのか。
――まぁ、両方かな。思いのほか、難しかったアウェイの一戦。
午後9時過ぎからのキックオフで、たまたま嫁さんがいなかったので、7時台から飲んでいたから――ひとりきりの食事で飲むなっていうのは無理な注文――サッカーが始まるころにはすでに酔っていて、なんかいまいち印象が散漫で、たいしたことは書けない。――まぁ、酔ってなくても一緒って話もある。
この試合のスタメンは権田、酒井、植田(ひさしぶり!)、麻也、長友、橋本、柴崎、堂安、南野、中島、鎌田の11人。途中出場は浅野、永井、久保の3人。
モンゴル戦のスタメンとの違いは、故障で離脱した冨安と、伊東、永井が外れて、植田、堂安、鎌田が入ったところ。でも、結果的にこれがよかったとは思えなかった。
鎌田、ドイツで活躍しているみたいだから、どれほど成長したのかと思ったら、ぜんぜんたいしたことないじゃん! とても大迫の代役は任せられない。なぜスタメンか、よくわからない。
その点は堂安も一緒。前の試合の伊東がよすぎたので、彼をベンチにおいておいて、堂安を使う意味がわからない。でもって前半はFIFAランキング115位のタジキスタンから1点も奪えずに終わってしまうし。
もしかしてやばいんじゃないの?――と思ったこの試合を救ったのは南野だった。後半8分に中島からのクロスを頭できれいに決めて先制点。さらにはそのわずか3分後に、酒井からのグラウンダーのクロスをワンタッチしてゴールへと流し込み追加点。あっという間に試合を決定づけた。
南野はこれで代表戦4試合連続ゴールとのこと。欧州CLでもリバプール相手に派手な活躍をしてみせたというし、ただでさえ日本代表きってのイケメンがこんなにゴールを量産したら、世界が放っておかないだろうって思わせる活躍ぶりだった。
試合はその後、後半も残り少ない時間帯に浅野が酒井のクロスをヘディングで決めて追加点。そのままスコアレスで逃げ切った日本代表が3連勝で勝ち点を積み上げた。
まあ、前半の出来はひとかったけれど、慣れない人工芝で怪我しないか心配な一戦だったし、無事に怪我人なしで勝ちきったのだから結果オーライ。
個人的な不満は久保の出番が遅かったこと。南野の2ゴールで勝ち越した時点で、すっかり楽な展開になったんだから、あとはファン・サービスで久保をさっさと出して欲しかった。
いまの日本代表のいちばんの問題は森保のサービス精神不足じゃなかろうか。
(Oct. 16, 2019)
松本山雅FC1-1鹿島アントラーズ
J1・第29節/2019年10月18日(金)/サンプロ アルウィン/DAZN
リーグ戦も残すところ、あと6試合。そのすべてに勝てば優勝なのに、この大事な局面になって、すっかり調子を落としてしまって、とてもそんな結果は望めなさそうな感じのシーズン終盤。現在降格エリア内の17位、松本山雅と引き分けているようじゃ、難敵揃いの残り5試合、とても安心しては観ていられない。
この日のスタメンはクォン・スンテ、内田、ブエノ、チャン・スンヒョン、小池、名古、小泉、遠藤、白崎、土居、綺世。で、途中出場が永木、レアンドロ、山口。
驚いたことに伊藤翔がベンチ入りしていない。19歳の有馬を入れるために、伊藤をはずすとは考えにくいから、おそらくコンディションの問題なんだろう。なんかもう、この大事な時期にいったいどうなっているんだか。
でもまぁ、スタメンの4バックを見た時点では、あ、これなら大丈夫だろうって思った。だって、ウッチー、ブエノ、スンヒョン、小池ならば、なんの問題もないじゃん? 少なくても降格争いをしている松本相手にならば、負けはないだろうって思った。
ところが――。
開始わずか9分でそんな松本に先制点を許してしまう。CKからのこぼれ球からシュートを打たれ、それを永井龍がヒールでワンタッチして角度を変え、ゴールへと流し込んだ。
今季ここまでわずか17ゴールという、J1でもっとも得点力のない松本を相手に、そんなの決めようと思っても決められないだろうって華麗な先制点を許すという、まずすぎる展開。こりゃ最初から負けフラグが立っちゃったじゃんと思った。
案の定、この試合の鹿島はまったく攻めの形が作れない。松本は得点も少ないけれど、失点も32と少なかった。失点の少なさではリーグ7位というだけあって、その守備力はさすがに高かった。鹿島はボールは持てども、まるで崩せない。前半はシュート数でも相手を下回る不出来のまま終了。
大岩は後半頭からウッチーに替えて永木を投入(なぜ?)、小泉をSBに移動させる。
さすがに後半になると松本の足も止まってきたので、前半に比べればまだましって内容になったけれど、でも満足のゆく内容には程遠い。綺世が相手にホールディングのファールを受けてPKを獲得して、これを自ら決めてくれたから勝ち点1はものにできたけれど、それがなければもう目も当てられないって試合だった。
松本は知っている選手が永井龍、水本、杉本太郎、田中隼磨(残り時間2分からの出場)くらいしかいない――しかも全員いつ移籍してきたんだよって外様選手ばかりの――ネームバリューの低いクラブだ。それでも守備はしっかりしているし、昨年度アジア王者をしてもなお簡単には勝たせてくれないあたり、やはりJリーグだなぁと思った。うちの国のサッカーって世界最高峰には遠いかもしれないけれど、決して簡単じゃないよな。
まぁ、とりあえずドローにしたおかげでFC東京とは勝ち点3の差がついたので、得失点差で大きくリードしている分、この週末での首位陥落は避けられるようだけれど、よもや来週の天皇杯でHonda FCに負けないよな?――って心配になってしまうような低調さだった。
ほんと、大丈夫だろうな?
(Oct. 18, 2019)
鹿島アントラーズ1-0Honda FC
天皇杯・準々決勝/2019年10月23日(水)/カシマサッカースタジアム/BS1
ひさびさにアントラーズの天皇杯の試合がテレビで生放送されたのに、たまたまライヴと時間がかぶってしまい、帰宅後はライヴの余韻でサッカーを観る気になれず。週末になってようやく録画で見た準々決勝のホンダFC戦。
相手はJFLのクラブなので、ふつうならば、なんの心配もいらないはずなのだけれど、今回はちょっと不安があった。なんたって鹿島はこのところけが人続出で調子を落としているし、ホンダFCはここまで札幌、徳島、浦和というJリーグ勢を破って勝ち上がってきている。
ここでアジア王者の鹿島まで負けるようだとJリーグのブランドにひびが入りかねない。おまけにトーナメントの同じ山の反対側に勝ち上がっているのは両方ともJ2のクラブなので――いったい今季のJ1勢はどうしちゃったんだ――、ここで鹿島が負けると、決勝戦にJ2かJFLのクラブが出場することが確定してしまう。
天皇杯のベスト8に残ったクラブのうち、ACLで戦えるだけの戦力のあるのは、おそらく鹿島だけって状況なので、今年のタイトルは絶対死守しないといけない。
まぁ、イニエスタのいる神戸がACLに出場したら喜ぶファンが海外にたくさんいそうだけど、イニエスタやビジャは年齢的にJ1とACLの両方にフル出場するのは無理だろうから、神戸がACLに出たところで、ぬか喜びに終わる可能性が高い。
今回の天皇賞は鹿島が死に物狂いで獲らないと、Jリーグの沽券にかかわる。――というか、アマチュアが獲得する可能性だってなくはない天皇杯の王者にACL出場権を与えるレギュレーションが間違ってんじゃないかって気がしてきた今回の天皇杯だった。
だって、ホンダFC、強かったよ? それも格上相手にべた引きで守ってカウンターとかじゃなく、ちゃんとボールを保持して互角の戦いを仕掛けてきて、ことシュート数では14-7と鹿島を上回ってみせる出来。アマチュアの企業クラブでもこれくらいのサッカーができちゃうのかって、素直に感心した。年間通して戦えるかどうかはわからないけれど、ことこの一試合の内容だけならば、じゅうぶんにJリーグで通用すると思った。
さすがJFL王者。だてに3連覇とかしていない。近年のJリーグもクラブ間の格差がほとんどないし、日本サッカー界ってなにげに充実しているよねって思った。
対する鹿島のスタメンはGKクォン・スンテ、DF伊東、チョン・スンヒョン、町田、小池、MF永木、名古、遠藤、白崎、FW土居、有馬幸太郎の11人。
FWに高卒ルーキーの有馬を起用してきたのと、ブエノをベンチからはずした点を除けば、ほぼレギュラーって布陣。相手がJFLだから、最近の大岩ならばもっとガラッとメンバーを入れ替えてみせそうなところだけれど、取りこぼしは許されない一戦だから慎重に戦おうと考えているのがわかるメンバー構成だった。
でもまあ、この日も出来はいまいち。ホンダのハイプレスに苦しみ、前半はシュート1本に押さえ込まれてしまう。
それでも後半、遠藤のピンポイントクロスに相手CBのあいだに入り込んだ土居が頭であわせてなんとか先制。聖真、らしからぬ見事なヘディングだった。ナイス。
結局、この1点を守りきって、鹿島がなんとか準決勝へと駒を進めた。でも後半の終盤には伊東のハンドを主審が見逃したり、決定的なシュートがポストに嫌われたりで、かなり運に救われた感あり。昨年度アジア王者の貫禄なし。
でもまあ、結果が出てなにより。12月に行われる準決勝の相手は長崎に決まった。そのころにはセルジーニョらの故障者も戻ってきているだろうから、よもやJ2で二桁順位のクラブ相手に負けることはないだろう。よほどのことがない限り、決勝進出は間違いないでしょう。
さあ、新国立競技場での元日決戦まであと1勝。なにとぞよろしく頼みます。
(Oct. 27, 2019)
北海道コンサドーレ札幌3-3(PK:4-5)川崎フロンターレ
JリーグYBCルヴァンカップ・決勝/2019年10月26日(土)/埼玉スタジアム2002/フジテレビ
ルヴァン杯の準決勝・第一戦で鹿島が川崎と戦ったとき、両チームのゴールマウスを守っていたのはどちらも日本人だった。
今年の開幕時点ではどちらもレギュラーGKは元韓国代表――クォン・スンテとチョン・ソンリョン――だったから、おやっと思った。
もっとも、リーグ戦でスタメン出場しているクォン・スンテを温存して曽ヶ端を先発させた鹿島とは違い、川崎のGK新井章太は9月のなかばからJ1でも先発で起用されていた。要するに実力でチョン・ソンリョンからレギュラーの座を奪ったわけだ。
申し訳ないけれど、僕は新井の名前を知らなかったので、三十過ぎの選手が経験豊富な元韓国代表のGKからスタメンの座を奪い取ったという事実が、いまひとつぴんときていなかった。ん、この人ってそんなにいいGKなの?
――という僕の疑問にひとつの答えを出してみせたのが、この決勝戦だったように思う。
前年度J1王者の川崎フロンターレがコンサドーレ札幌と延長戦まで戦って3-3の死闘を演じたこの試合。川崎に初のカップ戦タイトルをもたらしたのは、PK戦で2本のシュートを止めてMVPに選ばれた新井章太だった。
しかも優勝を決めた最後のシュートは、がっちりと胸元でボールをキャッチすると、ラグビーW杯にあやかって、そのまま走り出してトライを決めるパフォーマンスつき(なにやってんだか)。PKをあそこまで完璧にキャッチしたの、初めて見た気がする。
いやしかし、なんともすごい決勝戦でした。
川崎有利の予想をくつがえす、前半わずか10分の札幌・菅の先制点。
このまま1-0で終わるのかと思った前半ロスタイム最後のワンプレーで生まれた川崎・阿部の同点弾。
後半も得点が動かず、このまま延長戦かという時間帯にゴールを決めた小林悠の決定力に脱帽。
そのあとまさかの後半ロスタイム最後のセットプレーからの札幌の同点弾。
延長前半6分には、謎のVAR判定があって、谷口がイエロー改めレッドの判定を受けて退場になってしまう。
そのファールからの直接FKを福森が決めて札幌が勝ち越し。
さすがにこれで勝負ありかと思った川崎を救ったのが小林悠のこの日2点目のゴール。
そして優勝の行方はPK戦へ――。
どちらが勝ってもルヴァン杯では初優勝という両雄の戦いは、川崎のカップ戦初タイトルで幕を閉じた。
この日の川崎は(おそらく延長戦を視野に入れて?)中村憲剛と小林悠をベンチ・スタートさせた。でもって、結果的には途中出場の小林悠が後半と延長戦で2ゴールをあげてチームにタイトルをもたらしたんだから、その点では見事な采配だったってことになるんだろう。鬼木監督、お見事でした。
調べてみたら、3年前にナビスコ杯がルヴァン杯に名前を変えた最初の大会で、PK戦でタイトルを獲ったのがペトロヴィッチ監督率いるレッズだった。
その年に日本で初の栄冠を手にしたペトロヴィッチが今年はPK戦で泣き、川崎が初のカップ戦タイトルを獲得したという――。
いろいろとドラマチックな――ルヴァン杯史上に残るような――最高の決勝戦だった。
(Oct. 27, 2019)