2013年3月のサッカー
Index
- 03/02 △ 鳥栖1-1鹿島 (J1・第1節)
- 03/09 ○ 鹿島3-2仙台 (J1・第2節)
- 03/22 ○ 日本2-1カナダ (親善試合)
- 03/23 ● 鹿島2-4F東京 (ナビスコ杯)
- 03/26 ● ヨルダン2-1日本 (W杯・最終予選)
- 03/30 ● 大宮3-1鹿島 (J1・第4節)
サガン鳥栖1-1鹿島アントラーズ
J1・第1節/2013年3月2日(土)/ベストアメニティスタジアム/スカパー!
スカパーがJリーグ全試合無料放送という大盤ぶるまいをしてくれたので観ることができた2013年のシーズン開幕戦。ありがとう、スカパー!
……とはいえ、結果はドロー発進。しかも、勝ち点を取り損ねたというよりは、むしろ負けなくてよかったという内容で、優勝を狙うクラブとしては、いささか不本意なオープニング・マッチだった。
さて、トニーニョ・セレーゾがふたたび指揮をとることになった今年のアントラーズ。選手では、新井場、興梠、増田らが移籍していなくなり(さびしい)、かわりに昨年のJ2得点王、ダヴィが入ってきて、野沢が出戻ってきたのが目玉というところ。
ということで、開幕戦のスタメンはGK曽ヶ端、4バックが右から西、岩政、青木、中田浩二、MFに柴崎、小笠原、野沢、ジュニーニョ、FWが大迫とダヴィで、フォーメーションは本来の4-4-2だった。やっぱりアントラーズはこの形のほうがしっくりくる。
新井場が抜けてどうする気かと思っていた左サイドバックには、中田浩二が入った。J2愛媛から前野という24歳のサイドバックを獲得したものの、現時点ではまだ中田浩二の経験値のほうが上だということなんだろう。
中田と青木がともにスタメンというのは、長年のファンとしては感慨深いものがある。それに岩政、中田、青木らが顔をそろえると、セットプレーのときには迫力があっていい。……というのは確かなんだけれど、それでもやはり中田のサイドバックでは、左サイドからの攻撃に関しては疑問が残る。サイド攻撃は彼の前にいるジュニーニョにお任せってことなのか。それだと4バックというより、左サイドにずれた3バックという感じ。強いときのアントラーズには、両サイドからのサイド攻撃が欠かせないと思うので、そういう意味では、この開幕戦の布陣は今後に不安を抱かせた。
おもしろかったのは、試合が始まってから背番号35の選手がいるのを見て、おいこりゃ誰だと思ったら、野沢だったこと。そうか野沢、今年は35なのか。オガサの40と同じで、出戻り組はクラブを離れた罰として、でかい番号を背負うのがお約束か。いや、でも中田浩二は6番つけてるな。まぁいいや。なんにしろ、おもしろかったです、野沢の35番。あ、いま気づいた。これって3+5=8ってことか。
なんにしろ、J2得点王ダヴィの加入に、中田浩二の左サイドバックへのコンバート、そして野沢の背番号が35ってあたりに新鮮さを感じさせつつ、基本は去年どおりといった印象の新生アントラーズだった。つまり、いまいち内容はよくない。
テレビ放送では、前半はアントラーズが相手を圧倒したようなことを言っていたけれど、僕にはけっしてそんな風には見えなかった。内容的には五分五分だったと思う。小笠原、ジュニーニョ、大迫のラインでは、いい感じでボールをつなげていたけれど、反面ダヴィ、野沢、柴崎のサイドはいまいちな印象。まだまだチームがまとまっていない印象を受けた。
反対に鳥栖はとても成熟したチーム力のようなものを感じさせた。
鳥栖でおもしろかったのが、10番の選手・
なんにしろ、鳥栖はとても手ごわかった。鹿島に運動量があった前半こそ、ある程度押し込むことができていたけれど、後半になって運動量が減るやいなや、圧倒的な鳥栖ペースとなってしまった。そして、豊田の個人技から同点に追いつかれ、試合終了間際には、またもや豊田にあわやの2点目を奪われそうになるという、危なっかしい展開(サイドバーありがとう)。ほんと、負けずによかったという試合だった。
苦戦の原因はトニーニョ・セレーゾの采配にもあったと思う。とにかく動かない。最初の選手交替(ジュニーニョ→本田拓也、野沢→中村充孝を同時に投入)が86分ってのは、いい加減に遅すぎる。その前から相手に圧倒されていたんだから、どうせ本田を使うならば、勝っているうちに入れて欲しかった。
そういや、ジュニーニョをツートップとは別にMFとして使う布陣は、去年僕が期待していたにもかかわらず、ジョルジーニョがまったく試してくれなかった形で(少なくても僕が観た試合ではなかったと思う)、それをトニーニョ・セレーゾがこの復帰第一戦で試してきたのは、わが意を得たりの気分だったのだけれど(ジュニーニョもたまにボールを持ちすぎたり、残念なパスミスがあったりはしたけれど、なかなかいいプレーを見せてくれていた)、さすがに彼も若くはない。──というか、まわりもまた若くはない。
この日のスタメンで20代は、ツートップを組んだふたりと柴崎、西の4人だけだ。あとのメンツは軒並みオーバー・サーティー。経験値の高さは折り紙つきながら、スタミナの面では不安が残る。このメンバーでシーズンを通して戦う気ならば、早めの選手交替は必須だろう。さいわいベンチには本田拓也や中村充孝(よさそうな選手だった)のような選手も控えているのだから、選手交替をためらう理由はまったくない。というか、若い彼らを積極的に使わない理由がない。
なのにトニーニョ・セレーゾはこの試合、相手に同点に追いつかれ、残り時間が十分を切ってもなお、動こうともしなかった。その姿勢にはまるで納得がいかない。ほとんどのサポーターがそう感じたことだろう。
少なくてもきょうの試合からは、今年は去年とは違うんだという手ごたえは感じられなかった。どちらかというと、またもや今年も去年と同じ間違いをしでかしそうな印象さえ受けた。おかげで引き分けに終わったにもかかわらず、気分は負けに近い。うーん、せっかくの開幕戦なのに、このもやもやした気分はなに?
いや、開幕早々こんなネガティヴなことばっか書いてても仕方ない。少なくても、去年とは違って今年は負けなかったのだから、勝ち点1をよしとしよう。そしてリーグを通じてのシーズン初ゴールを奪ったのが大迫だったという事実を祝おう。
得点の場面はCKから、ニアにいたダヴィがヘディングで後方に流したボールを、大迫がダイレクト・ボレーで決めてみせたもの。セットプレーからではあったけれど、とてもきれいなゴールだった(あぁ、あれが決勝点であってくれたなら……)。
対する鳥栖のゴールは豊田。青木との競り合いに勝って、ヘディングでうまくボールを奪うと、そのままドリブルでゴールへと向かい、きっちりとシュートを決めてみせた。おいおい、うまいな豊田。伊達に去年19点も取っちゃいない。大迫とともに代表での前田の後釜を狙うライバルになりそう(FWといえば、レッズに移籍した興梠のことも気にかかる)。
なにはともあれ、今年も無事にサッカー・シーズンが始まった。震災の直後は、勝っても負けても引き分けても、ただサッカーが観られるだけで幸せだって思った、あの気持ちを忘れずにいよう。次節はホームで仙台との対戦。そりゃまた難しそうな……。で、その次は広島だって。なぜに最初の3節の相手すべてが去年のベスト5入りチームなんだ。ひどい。
(Mar 02, 2013)
鹿島アントラーズ3-2ベガルタ仙台
J1・第2節/2013年3月9日(土)/カシマサッカースタジアム/BS1
開幕戦を観たときには、今年も去年の二の舞じゃないかと思ったのだけれど、この第二節でかなり印象が変わった。去年とあきらかに違う点があるのがわかったから。
大迫とダヴィのツートップ。──これがかなり強力なんだった。
初戦ではあまりこのふたりが絡むシーンがなかったと思うのだけれど、この試合では随所でいい連係を見せていた。でもってこのふたりで3得点とくる。このところ成長の跡の著しい大迫に、J2得点王のダヴィのコンビ。これはもしや、J1きってのツートップなんではなかろうか。
さらに今年のポイントは、そんな強力なツートップのうしろにジュニーニョと野沢が控えていること。
ジュニーニョは去年は出番に恵まれず、実力を発揮しきれていない印象だったけれど、今年は2列目ながらスタメンで起用され、いきいきとしたプレーを見せてくれている。さらには出戻りの野沢──僕も去年は転職に失敗して、前に働いていた会社に半年で出戻っているので、彼のふるまいは他人事と思えない──も一年の不在が嘘だったかのようにチームになじんでいる(あたり前?)。セットプレーの精度の高さはあいかわらず大きな武器になっているし。
去年の2列目だったドゥトラや遠藤は、ドリブル突破ばかりが目立って、まわりを生かす場面が少ない印象だったけれど、ジュニと野沢はそんなことがない。それぞれに決定力がある一方で、まわりも生かせる。
さらにそんな彼らのうしろに、小笠原と柴崎という、それぞれの世代のトップレベルのボランチふたりが控えているってんだから、こりゃもしかして、この攻撃的布陣はJ1屈指なんではないでしょうか。
まぁ、この2試合とも後半から運動量が落ちて、押し込まれる時間帯がつづいているのは気になるけれど(スタメンは前節といっしょ)、それでも攻めている時間帯に関しては、どこからでも点が取れそうなワクワク感がある。こんな楽しみな感じはひさしぶりだ。
今年はアントラーズを優勝候補に押す意見が多いそうだけれど、正直、僕はそう聞いて疑問に思っていた。去年だって戦力的には決して悪くなかったのに、あの順位に終わっているわけだし、トニーニョ・セレーゾという人も過去の華々しい成績ほどに優れた監督なのか、いまいち疑問だからだ(失礼)。ましてや、今年のJ1で監督が変わったのは鹿島だけだという(セレーゾも二度目なわけだから、つまり今年のJ1は新任監督ゼロという珍しいシーズンなわけだ)。逆に継続性のある他のチームよりその分、不利な気さえしていた。
でも、この日の試合を観たかぎりでは、今年はもしや期待してもいいのではないかという気がしてきた。ベテラン勢が夏場の疲労に負けずに一年を乗り切れるようならば、マジで優勝争いに絡んでゆけるかもしれない。
まぁ、それもトニーニョ・セレーゾの采配しだいだ。名将の肩書きに偽りがないことを証明してくれると嬉しいんだけれど、どうにもこの2試合の終盤の押し込まれっぷりを観ていると、あまり期待しちゃいけない気がしてしまう。この試合では、後半途中で岩政が昌子と交替させられたり(原因不明)、途中出場の中村充孝や遠藤康がまったく存在感を示せなかったのも気にかかった。
なんにしろ、2失点した守備力にも不安を抱かせたりで、いくつか気にかかる部分はあるものの、攻撃陣がスキルの高さを見せつけ、それを上回る3ゴールで今季初勝利を呼び込んでくれたので、まあよかったって。そういう試合だった。
しまった、無料放送のない次の広島戦も観たくなってきてしまったぞ……。でもここは我慢だ。
(Mar 10, 2013)
日本2-1カナダ
親善試合/2013年3月22日(金)/ドーハ(カタール)/BS1
いよいよ来週は、勝てばW杯出場が決まるヨルダンとの一戦――ということで、その調整のため、日本代表にとっては因縁の地、カタールはドーハで行われたカナダとの親善試合。ピッチの芝生は青々として素晴らしかった。カタール、あなどれない。
この試合のポイントは、本田、長友のふたりが故障のため招集されていない上に、今野まで体調不良で欠場していること。要するに主力3人を欠いて、どうなるってところが注目だった。
でも結果はいまいち。やはり、本田がいないと中盤でボールが収まらない。現在のチームの強さを支えているのは、本田と遠藤のセンターラインなんだなと思った。彼らのどちらかが欠けると、どうにも攻撃が淡白になって、平凡な印象になってしまう。
本田のかわりに初めてトップ下でスタメン起用された香川は、残念ながら大好きなそのポジションで十分にアピールできたとは言えなかった。マンチェスター・ユナイテッドでハットトリックを決めるほどの選手だったら、もうちょっとやってくれないと。きょうの出来なら、乾のほうが上だったと思う。香川が抜けた穴は清武や乾で埋められるけれど、本田と遠藤の穴は誰にも埋められない──そんな印象を受けたこの一、二戦だった。
ということで、この日のスタメンは川島、内田、吉田、伊野波、酒井高徳、長谷部、遠藤、岡崎、香川、乾、前田の11人。
試合は前半にカナダのミスからボールを奪った日本が、岡崎のゴールで先制。カナダは序盤からしっかりとプレッシングをかけてきていたし、いい感じでパスをつなぐシーンもあって、おっ、侮れないかと思ったりもしたんだけれど、ときおり信じられないようなミスからピンチを招いていた。先制の場面もそのうちのひとつ。すでにW杯予選では敗退が決まっているそうだけれど、さもありなん。テレビの実況いわく、オランダでプレーしてる選手もいるそうなので、技術的にはそんなに悪くないはずだけれど、結局ああいう凡ミスの差が大きく勝負を分けるのがサッカーだろう。真面目に手間をかければ、もっと強くなりそうなチームなだけにもったいないと思った。
でもまぁ、そんな相手のミスを見逃さず、遠めから積極的にシュートを打っていった岡崎もえらかった。それもループ気味に相手GKの頭上を越してみせる、彼らしからぬ技ありのシュートだったし。それにしても岡崎、代表でこれだけゴールを量産していながら、いまだにペーペーにしか見えないところが逆にすごい。
前半はこの1点で終了。たまにおもしろいスルーパスなどもあったけれど、うまく前線につながらず、低調な印象に終始した。で、後半からザックは前田、岡崎を下げて、ハーフナー・マイクと中村憲剛を入れてくる。
憲剛が入ったことで、中盤のつなぎはスムーズになったけれど、劇的に変化したとまではいかなかった。そのうち相手の(この日初めての?)CKから失点を許して、同点にされる。
この場面で得点者をマークしきれなかったことへの懲罰か、もしくはその前に背中を痛めたためか、伊野波はその直後に交替になった(かわりは栗原。そういや今回は岩政が呼ばれていない……。そのほかの交替選手は大津、駒野、酒井宏樹。この試合では、ザッケローニは珍しく交替カードをすべて切った)。
きょうの出来ではこのままドローか……と思ったのだけれど、でもそこからもう1点を奪って、悪いながらも勝ち切ってしまうところが、いまの代表のすごいところ。
2点目は右サイドからの酒井のクロスに香川が飛び込んできて、ワンタッチでコースを変え、最後はペナルティ・エリア内でそのボールを受けたハーフナーが、狭いところを縫ってしっかりと決めたもの。サブ組がしっかりと絡んで、結果が出たのはよかった。
その後もカナダに攻め込まれて、終盤はやたらと川島の出番が多かったのはちょっとなんだけれど、でもまぁ、次の試合を考えれば、ここで川島がある程度仕事ができたってのは、チームを引き締める上で、かえってよかったのかなとも思う。
いずれにせよ、大事なのは次の試合だ。あらかじめ問題点があぶりだせただけでも、チームにとっては有意義だったんじゃないだろうか。まぁ、夜中の3時に観ているほうにとっては、あまりおもしろい試合とはいえなかったけれど。
(Mar 23, 2013)
鹿島アントラーズ2-4FC東京
ナビスコカップ・Bグループ/2013年3月23日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!
まさかこれほどこてんぱんにやられようとは──。試合前には想像だにできなかった結果に終わったナビスコカップ初戦。
なんたってFC東京とは相性がいい上に、あちらは今回、高橋秀人、権田に加えて、韓国代表のCBチャン・ヒョンスの主力3人が、代表に招集されていて不在とくる。それに対してこちらは代表選手ゼロ(涙)。リーグ戦ではとりあえず昨年度の上位陣と対戦しながら、いまだ負けなしだし、単純にこの状況でFC東京に負けるとは思えなかった。
──ところがだ。
このカップ戦初戦で、トニーニョ・セレーゾは思い切ってスタメンを入れ替えてきた。先発の11人はGK佐藤昭大、DF西、昌子源、植田直通、前野貴徳、MF梅鉢貴秀、本田拓也、遠藤康、中村充孝、FWダヴィ、大迫という顔ぶれ。
なんとレギュラーが大迫、ダヴィ、西の3人しかいない。あとはみんなサブ。センターバックのコンビなんて、これがデビュー戦となる大物高卒ルーキーの植田に、20才の昌子とくる。ベンチ入りしているメンバーも、レギュラー陣は柴崎と野沢だけで、小笠原や岩政、ジュニーニョら、残りはみんなおやすみ。いくらなんでもこのメンツで、FC東京相手に太刀打ちできるのかぁ?
――と思ったんだったが、意外や意外、この人たちが前半は素晴らしかった。相手も新戦力の東慶悟を温存していたり、米本がいなかったりで(なぜ?)、フル戦力でなかったのを差し引いても十分な出来映え。内容的には確実にFC東京を上回っていた。前半のなかばには、大迫のクロス気味のシュートが直接決まって先制することができたし、こんなメンツでもFC東京と互角以上に戦えちゃうとすると、こりゃマジで今年は優勝を狙えるかもしれない──とまで思わせた。──前半が終わる直前までは。
それまでいい具合にはまっていたチームの歯車が狂い出したのが、前半の終わりのこと。それまでほとんど完璧に相手を抑え込んでいたのに、前半の最後の最後に、徳永のミドルシュートを渡邉千真がワンタッチしたそのボールに、誰ひとり反応しきれず。ボールはあっけなくゴールネットを揺らしてしまう。せっかくの前半のリードを守り切れずに終わったのが、なんとも痛かった。
さらにはこのプレーの前かあとに、大迫がゴールライン付近での接触プレーでアキレス腱に裂傷を負って、前半だけでリタイアしてしまう(全治に2週間ほどかかるかも、とのこと。とほほ)。これがさらに痛かった。
交替で後半頭からは野沢が出てきたものの、ツートップの一角として攻守に目覚ましい活躍を見せていた大迫を欠いて、チームはそれまでのバランスを失ってしまったみたいだった。これ以降、高めの位置ではボールが収まらなくなる。
さらには相手も後半開始と同時に東を入れてきた。この東に前野の裏のスペースをかき回されて、防戦一方となる。前野も前半は自慢の攻撃力を発揮して活躍していたのだけれど、後半は東のフォローに追われて、自由に攻め上がることもできず、逆に守備面での課題を突きつけられる形に。
とにかく後半はさんざんな出来だった。ルーカスの個人技から逆転を許すと、李忠成にも移籍後初ゴールを献上。その直後にダヴィのゴールで一度は1点差と追い上げたものの、間髪入れずに東にもゴールを許して、結局2-4という、前半には想像もしなかったスコアで惨敗を喫することになった。あんなにワンタッチのきれいなゴールが立てつづけに決まるのなんて、めったに見られない──というか、そんな敵のゴール、見たくない。
まぁ、失点が重なったのはしゃあない。CBコンビはよくて五輪代表って年だし。経験値の高いFC東京の攻撃陣を抑え込めなくても仕方ないと思う。高卒ルーキーの植田にはほろ苦いデビュー戦になってしまったけれど、まぁ、彼の場合はプロになったばかりだ。いい経験になったろう。
それよりも気になったのは、初めてのスタメン起用に答えられなかった中村充孝。即戦力と期待されて入ってきた割には、この試合ではまーったく存在感がなかった。いまのままでは、とても柳沢、興梠から背番号13を引き継いだ選手とは思えない。試合後の記者会見でトニーニョ・セレーゾが新しい外国人選手が必要というようなことを言ったというし、このままだと鳴かず飛ばずのまま、出番がなくなりそうな感じがする。
しかしまぁ、この試合ではベンチに控えのFWをひとりも置かなかったトニーニョ・セレーゾの采配にも難がある。今年はFWの選手層が薄すぎるのは確かだけれど、それにしたってジュニーニョくらい入れとけよなぁ。いくらツートップが強力だとはいえ、この日みたいに怪我もあるんだし。カップ戦だからって、相手をあなどりすぎじゃないかと思う。
ちなみに、この日のアントラーズみたいな布陣って、ベストメンバー規定とやらに違反しないのかなと不思議に思ったら、ベストメンバー規定は直前のリーグ戦5試合が基準になるので、まだ3節までしか消化していない現時点では、効力を発揮しないんだそうだ。なるほど。
でも、サポーターにとっては、普段は観られないサブの選手たちを観られるこういう試合も楽しいもの(内容には難があったけれど)。ベストメンバー規定なんて作った人たちは、そういうサポーターの心理をぜんぜんわかっていないと思う。
まぁ、なんにしろ、こてんぱんにやられました。このお返しはぜひ次のリーグ戦で。
(Mar 24, 2013)
ヨルダン2-1日本
ワールドカップ・最終予選/2013年3月26日(火)/ヨルダン/テレビ朝日
引き分けでも世界最速でW杯出場が決まる、しかも相手は前回の対戦で6-0で勝っているヨルダン。──そう聞いたら、そりゃもうW杯出場は決まったも同然……と思ってしまうのが人の
この日のスタメンは川島、内田、今野、吉田、酒井高徳、長谷部、遠藤、清武、香川、岡崎、前田の11人。前のカナダ戦では体調不良のため欠場した今野、清武が戻ってきて、伊野波、乾が抜けた形。今野はともかく、憲剛や乾がいい仕事をしたにもかかわらず、清武を選ぶあたりがザッケローニらしい。慎重というか、保守的というか、頑固というか。
ザッケローニのそういう生真面目な気質は日本人に通じる気はするけれど、そのいっぽうで新しいもの好きな国民性もまた日本らしさだと思うので、その点ではザック氏はいまひとつアピールが足りないと思う。選手交替はいつも後手後手だし、ときには積極的に変化を与えられるんだってところも見せて欲しい。
この日の試合に関しては、入り方は悪くなかったと思う。いきなり清武と香川のコンビネーションから相手ゴールに迫ってみせて、おーっと思わせてくれたし。
ただ、その場面が象徴的だったと思うのだけれど──清武が自らゴール前に侵入しながら、シュートを打たずにマイナスのラストパスを選択して、チャンスをふいにした──あいかわらず日本の選手は自らシュートを打とうとしない。とくに清武。なぜにゴールにいちばん近い位置にいる選手が、自分より遠くにいる選手にパスするかな。
対するヨルダンは、高めの位置でボールを持つと、猪突猛進にゴールを目指してドリブルを仕掛け、思い切りよくシュートを打ってくる。決定機の数では日本のほうが多かったかもしれないけれど、そういう場面の迫力ではヨルダンのほうが上だった気さえする。――というか、その結果としてのスコアがこの日の1-2なんじゃないかと思わずにいられない。
最初の失点はセットプレーだったから、まぁ仕方ない。このチームはセットプレーに弱いし、(いいとはいわないけれど)それくらいはまだ想定内。ただ、前半ロスタイムってのがよくなかった。そして後半の2失点目はなおさらいただけなかった。左サイドからカウンターを受けて、酒井、吉田が振り切られてシュートまで持っていかれた。それもたったひとりの選手に単独で、だよ?
解説でゴン中山が「吉田にはカードをもらってでも止めて欲しかった」と言っていたけれど、まさにそのとおり。あり得ないだろう、負けている試合で、あんな淡白なディフェンス。試合後のインタビューも受けてないようだし、この試合で僕の吉田麻也に対する評価はガタ落ちだ。ちゃんと敗戦の弁を語れよなぁ。
酒井高徳はいい感じのプレーも多かったけれど、失点のあと、途中交替することになったのがマイナス・イメージ。長友ならば絶対フル出場しているだろうし。負けている試合でサイドバックが途中交替させられるってのは、どうにも不甲斐ない(それとも悪いのは替えたザッケローニ?)。
まぁ、試合はそのあと、いっときだけ盛り上がりをみせた。清武の華麗なワンタッチパスから香川がDFラインの裏へ抜け出して、みごとなゴールを決めて1点差に追い上げると──ようやくマンUレギュラーの実力を見せてくれた──、その直後にウッチーがPKをもらって、やったっ、これで同点!──と思ったもつかの間。PK職人・遠藤がまさかのPK失敗……。どうせ失敗するならば、コロコロPK蹴ってくれーっ。
その後も日本は途中出場のハーフナーの高さを生かして攻め立てるものの、シュートはあたりそこねやGK真正面ばかりで、ゴールは遠かった。乾を残り5分ちょいという時間帯まで出さなかったザッケローニの采配も疑問だ。乾、時間が短くてほとんどボールに触れていなかったし。負けてんだから、元気な選手はもっと早く出していただきたい。
この試合を見て、やっぱいまの日本代表には本田と長友がいないと駄目なんじゃないかと思った。サッカーの質うんぬんの問題以前に、彼らがいないと、おとなしい選手ばかりになってしまって、どうしても勝つんだってアグレッシヴさが足りなくなる気がする。
まぁ、なんにしろこれで最終予選も残すところあと2つ。次の試合は6月にホーム最終戦のオーストラリアだ。強敵とはいえホームだし、さすがに2連敗はしないだろうと思うけれど、もしも本田の怪我が長引いて出れないなんてことになったら、不安でたまんないだろうな……。いやでも、最大限の盛りあがりは必至の一戦だ。楽しみにその日を待ちたい。
さぁこい、オーストラリア──。
(Mar 27, 2013)
大宮アルディージャ3-1鹿島アントラーズ
J1・第4節/2013年3月30日(土)/NACK5スタジアム大宮/スカパー!(録画)
BSスカパー!で当日の深夜に録画放送があったので、結果を見ないように気をつけて、翌日の午前中に観た一戦──なのだけれど。
前の晩にいっしょに食事をした義妹夫婦が、会話の途中で負けたようなことを漏らしていたので(試合は午後3時からだった)、負けたのかとは思っていたんだけれど、それにしても1-3なんてスコアとは。
前半はともかく、後半はいいところがほとんどなかった。ベテランが多いせいか、どうにも去年から、こういうパターンがばかりな気がする。やっぱ、過去の対戦成績が10勝1敗5引き分けなんて分のいいクラブ相手にこういう試合をしているようじゃ、優勝は難しかろう。
大宮がとくべつ出来がよかったとも思わない。東が抜けた上に、外国人ふたりが欠場というメンツには、あまり怖さがなかった。
ただ、あちらは最後まできっちりとプレッシングをかけて、こちらの攻撃の芽を摘みつづけてきた。3-1のスコアになってもなお、運動量はあちらが上だった。それはあっぱれ。その運動量の差が結果に反映されてしまったという感じの一戦だった。大宮は去年の終盤に怒涛の追い上げで残留争いを抜け出して以来、いまだに無敗記録がつづいているらしい。恐るべし。
鹿島のスタメンは曽ヶ端、西、岩政、青木、中田、柴崎、小笠原、遠藤、野沢、ジュニーニョ、ダヴィで、怪我で離脱した大迫の替わりに遠藤を入れて、ダヴィのワントップという形。
やはり大迫の穴が痛い。そして興梠が抜けたのがつくづく痛い。ダヴィはがんばっているけれど、やはりFWが彼だけでは、ボールの収まりが悪い。今年はジュニーニョをFWで起用しないで左サイドに固定するならば、即戦力のFWの補強が急務だと思う。
とはいえ、この試合も前半だけなら、こちらのゲームだった。カウンターから柴崎が打ったシュートのこぼれ球をダヴィが決めて、早めの時間に先制もした。相手との相性を考えれば、こりゃもうもらったって試合だった。
ところが前半のうちに、相手のミドルシュートで同点にされてしまう。さらには後半の序盤には大宮にペースを握られ、きっちりと崩されて逆転を許し、さらにはミドルシュートでもう1点を奪われて勝負あり。3失点のうち、2点がミドルシュートってところがいただけなかった。プレス甘すぎ。その点は相手と対照的だ。
そうそう、後半の途中からは本山が出てきた。今季初出場でしょう。これは嬉しかった。プレーもさすがだった。でもパーマかけちゃって、髪型はちょっと本山らしくなかった。
同じく途中出場の中村充孝も、ひとつふたつ、おっと思わせるようなプレーはあったものの、やはりこれといった結果は残せず。
もうひとりの交替は前野で、彼もリーグ戦はこれが初出場。いまみたいな状況だと、若くて攻撃力のある彼なんかはスタメンで使ったほうがおもしろいと思う。3点目は中田浩二のサイドからだったし、守備力重視で中田を選んで3失点するくらいならば、前野をスタメンで使ってみて欲しい。
あぁ、なんにしろ、これで今年もふたたび二桁順位だよ……。
(Mar 31, 2013)