2006年7月のサッカー
Index
- 07/15 J-EAST4-1J-WEST (JOMOオールスターサッカー)
- 07/22 ○ F東京2-4鹿島 (J1第14節)
- 07/29 ○ 鹿島2-0C大阪 (J1第16節)
J-EAST4-1J-WEST
JOMOオールスターサッカー/2006年7月15日(土)/カシマスタジアム/テレビ朝日(録画)
ワールドカップが終わり、Jリーグの再開を目前に開かれた恒例のオールスター戦。
とりあえずJリーグのファンとしては──家庭の事情で録画に頼ることになってしまったけれど──ひさしぶりに国内のトップ選手たちのプレーがいっぺんに見られて嬉しい。
今年はイーストがGK野澤(新潟)、坪井、中澤、茂庭の3バック、左右が内田篤人(初選出!)、鈴木慎吾(新潟)、ボランチ阿部、トップ下が小野と小笠原(もしくは小野はボランチ?)、柳沢、久保の2トップという布陣。対するウエストは川口、駒野、宮本、青山(清水)、兵藤(清水)、遠藤保仁、菊地、根本、パウリーニョ(京都)、佐藤寿人、玉田というメンツ。西のフォーメーションは3-4-3だろうか。知らない選手が多くて、ポジショニングがよくわからなかった。指揮を取るのは東がわれらがアウトゥオリ、西が大分のシャムスカ。
ぱっとメンバー表を見ただけでも東が日本代表、西が準代表という印象。試合内容の方もモロそのとおりの結果となった感じだった。やっぱり急造とはいえ、坪井、中澤、茂庭の3バックは、代表である程度一緒にやっているだけに、安定感が違う。加えて、中盤の底には阿部勇樹がいて、小野と小笠原が攻撃を組み立てるってんだから、東が強いのは当然だという感じだった。
でも前半はそんな豪華な布陣もあまり機能しない。なんたってヤナギと久保の2トップに全然ボールが納まらない。代表で結果を出せなかった柳沢と、無念の落選となった久保。二人とももうこの先、代表はないぞという出来だった。
その点、アピール度が高かったのが、後半からの出場となった巻。後半開始と同時に彼がピッチに立ってから、イーストの攻撃が突如として威力を増した。やっぱり運動量があってポストがこなせるFWがいると違うんだなと思わされた。代表入りを争った佐藤寿人と後半キックオフの前に握手していたのも、なかなかじーんとくるシーンだった。
巻と一緒に後半から出場した我那覇はいまひとつ遠慮がちな印象。もっと威勢のいいプレーを見せてくれるかと思っていたから、おとなしめなプレーに終始していて、ちょっと残念だった。
まあ残念といえば、この日はFWで存在感があったのは、巻とパウリーニョ、そして後半途中からの30分間の出場で2得点を奪って見せた甲府のバレーくらい。あとは最年長のゴン中山を含め、みんなあまり存在感がなかった。やはりオールスターでもFWの決定力不足が課題として浮かび上がっている感じだった。
しかしこの試合、お祭りゲームだとはいえ、例年にくらべて変にうわついたプレーが多かった気がした。中澤が自らが得たFKを蹴って先制点をあげたのはいいとしても(2度目はやりすぎ)、GK土肥のFKとか、茂庭の一人ボールまたぎとか、小笠原のリフティングとか。真剣勝負じゃないからということで、いつもは見られないような、良く言えば遊び心のある、悪く言えばふざけたプレーが目立った。次期代表監督が観戦していることを知らないでもなかろうに……。どれもオシムさんが嫌がりそうなプレーばかりで、彼らは自ら代表への道を閉ざしてしまっている気がした。
個人的には中澤と土肥のFKはなしだと思う。オールスターだからこそ、その道のスペシャリストである阿部や小林大悟のキックを見せることこそがサポーターへの真のサービスというものじゃないだろうか。その意味では、後半終了間際に小林大悟がファールでFKを得たシーンで、小笠原がそれを蹴っちゃったのも残念だった。オガサには若者に花を持たせてあげる余裕を見せて欲しかった。彼がすぐれたキッカーであることは日本中が知っているのだから、あそこはやはり今季リーグで6得点を稼ぎ出している小林大悟に、その技を披露させてあげるべきだったと思う。
まあとはいってもこの試合、カシマスタジアムでの試合だったし、史上最多票で出場を決め、試合中も精力的に動き回っていた小笠原に文句を言う人は少ないのかもしれない。内田篤人もその「逸材」(@テレビ解説)ぶりを世間に知らしめたし、アントラーズ・サポーターとしては、まあ満足のゆく内容だった。柳沢が不発に終わったのをのぞけば。
試合は前半に中澤が(生涯最初で最後の?)FKを決めてイーストが先制。後半になって、巻のヘディングとバレーの2得点で4-0と試合を決定づける。ウエストは最後の最後に途中出場の古橋のゴールで1点を返すのが精一杯だった。ワールドカップのあとだから、パススピードがやけに遅く感じられるという難点はあったけれど、それでも即席チーム同士が蒸し暑いなかで戦っているわりには、中盤からきっちりとプレスも効いていたし、まあ悪くない試合だったと思う。
それにしても、去年アラウージョが選出されなかったのと同じように、今年も現在得点王ランキング・トップのマグノアウベスが選出されていない。彼は去年のオールスターでMVPを取った選手だ。それが去年以上の活躍を見せている今年は選ばれていない。それじゃ、オールスターの名が泣くだろうと思っていたらば、マグノアウベスも得点王ランキング2位のワシントンも、そろって故障中だったそうで。それは残念でした。
(Jul 17, 2006)
FC東京2-4鹿島アントラーズ
J1第14節/2006年7月22日(土)/松本平広域公園総合球技場/MXTV
ワールドカップによる中断期間をはさんで、2ヵ月半ぶりに観るアントラーズ戦。
再開後の初戦だった前節は、ここまで意外な強さを見せて首位に立っている川崎との対戦だった。前半にフェルナンドがイエロー2枚もらって退場になったそうで、先制されつつもアレックス・ミネイロの2ゴールで一度は逆転に成功したのだけれど、結局耐え切れずにその後3失点。追いかけるチームとしては痛い敗戦を喫した。
これで中断をはさんで3連敗中だとのこと。本気で優勝を狙うつもりがあるならば、このFC東京戦はぜったいに落とせない一戦だった。戦力充実しまくりの浦和や、勢いのある川崎相手に人数的にビハインドとなった試合での負けはある意味しかたない。けれど鹿島同様、いまひとつ調子の上がらないFCにまで負けているようでは、ぜったいに優勝は望めないだろう。ということでとても大事な一戦だった。ところがこの試合が前半はさんざんの内容で……。
スタメンはGKがようやく怪我から復帰した曽ヶ端、4バックが内田篤人、岩政、大岩、新井場、中盤が青木、小笠原、新外国人ファビオ・サントス、本山。2トップがヤナギとアレックス・ミネイロ。出場停止のフェルナンドも含め、ようやくベスト・メンバーが顔をそろえられるようになった。巻き返しはこれからだといいたいところなのだけれど、だにしかし。
やっぱり新外国人が中盤にいる影響だろうか。思うようにボールがまわらない。FC東京のディフェンスもとても良かったのだろう。見所のない試合展開のまま、ルーカスにミドルシュートを決められて先制を許してしまう。本当におもしろくない前半だった。
救いとなったのは前半ロスタイムの同点弾。右サイド、内田からのクロスを、“ど”がつくくらいフリーだった小笠原がヘディングで押し込んだ。ゴール前に人がたくさんいたから、一瞬止められたかと思ったけれど、無事にゴールラインを越えてくれた。
これで同点。イーブンでハーフタイムに入れたのはとても大きかった。展開としては、W杯での日本-ブラジル戦と一緒だ。当然アントラーズがブラジルの立場だから、これは4-1で鹿島の勝ちだな、などと、それまでの出来の悪さを忘れたように、呑気なことをいって後半の始まるのを待つことができた。
地味だった前半とは打って変わって、後半は打ち合いの派手な展開になった。まずは内田篤人の積極的なミドルシュートが決まって勝ち越し(なんて頼りになる十八歳だろう)。再びルーカスのミドルを許して同点にされるも、途中出場の野沢の右CKを大岩が頭であわせて勝ち越し。最後はこれまた途中出場の深井が、相手のミスからGKと一対一のチャンスを得て、これをきちんと決めて、試合のゆくえを決定づけた。
2失点した守備力や、攻撃面での連係のなさなど、まだまだ問題点は多いけれど、それでもまあ、勝ててなによりという試合だった。いまはとにかく結果第一だ。
いや、それにしても、好きなチームがすっきりと勝ってくれるのを観たのは、じつに何ヶ月ぶりだろう。ワールドカップの日本代表は1勝もできずに終わってしまったし、アントラーズも3連敗中だったし。やっぱり勝つと気分いいなあ……。しみじみ。
(Jul 23, 2006)
鹿島アントラーズ2-0セレッソ大阪
J1第16節/2006年7月29日(土)/カシマスタジアム/BS1
新外国人ファビオ・サントスは20歳。ずいぶんと若い選手だった。それでもアウトゥオリのお墨付きでブラジルからやってきた選手だ。母国ブラジルではユースの代表にも選ばれたことがあるそうだし、いまが伸び盛り。アウトゥオリは内田篤人の起用にあきらかなように、将来性を買った若手にはおおいにチャンスを与える監督だ。当然のごとくファビオ・サントスはJ再開後の4試合でずっとスタメン起用されている。
このあおりを食ったのが本山だ。FC東京戦こそ、フェルナンドの出場停止によりスタメンだったけれども、それ以外はすべてベンチ・スタート。途中出場で見事な活躍を見せるという、かつてのスーパーサブ時代を思い出させるような状況になってしまっている。
しかしここ数年の本山を見守ってきた一人としては、こうした扱いを受けるのもしかたないのかなと思う。背番号10にふさわしいだけのプレーを見せてきていれば、こんな風にベンチに甘んじるはずはないのだから。アウトゥオリという新しい監督にとっては、いまの本山よりも二十歳のブラジル人の方がスターティング・メンバーにふさわしいと映ってしまったということだ。まあ、それだけのポテンシャルを持った外国人が加入したということ自体はチームを応援する者としては嬉しいことなのだけれど、その一方ではじき出されたのが本山だというのには、どうしても苦い思いを抱かずにはいられない。
小笠原と本山がW杯後の海外移籍を希望していたなんて話もあったけれども、日本代表が本大会を不本意な成績で終わった今、いいオファーがあるとも思えない。特に本山は、クラブでスタメンを奪われるような状況では、なおさら無理だろう。そもそもオシムさんが所属クラブがどこであるかよりも、そこでどんなパフォーマンスを見せているかを重視すると公言している状況では、下手な海外移籍は命とりだ。
それにしても所属クラブが海外であろうと、コンスタントに出場していないならば意味がないというオシムの発言の正しさは、この日の大久保のプレーが証明していたように思う。スペインから戻ってきた大久保には、かつての恐さがなくなっていた。まだチームにフィットしていないだけなのかもしれないけれど(部分部分では、おっと思わせるような切れも見せていた)、それにしても以前Jでプレーしていた時の彼は、もっともっと存在感があった。スペインでの2年間のベンチ生活が、彼からかつての輝きを奪ってしまったような気がしてならない。
なんにしろ、そんなふうに本山がスタメンをはずれた状況に複雑な思いを抱きながら見守ったセレッソ戦だった。
スタメンは本山の代わりにフェルナンドが入った以外、FC東京戦と一緒。これが今のアントラーズのベスト・メンバーということになるんだろう。
セレッソはここまでわずか1勝というていたらくで、去年首位を争ったのが嘘のような状況にある。まだリーグ戦も半分を終えていないというのに、すでにJ2降格が取り沙汰される始末だ。いくら相性が悪いとはいえ、優勝を狙うならば、こんなところを相手に取りこぼしてはいられない。
とはいえ、この日も前半のパフォーマンスはいまひとつ。どうも今年のチームは前半の出来がよくない気がする。
この試合でおもしろかったのは、後半開始時の選手交替だった。本山が入ることになったのだけれど、代わりにはずれたのがなんと内田篤人だ。右サイドバックを引っ込めて、あまり守備的なプレーが期待できない攻撃的MFを入れるという意表をついた選手交替。去年までのパターンで考えられるのは、小笠原をボランチの位置へとさげて、青木を右サイドバックへコンバートするという形だけれど、この日のアウトゥオリ采配はまるで違った。後半キックオフののち、さて誰が右サイドにいるのかと思ったらば、それがなんと背番号7番。え~っ、新井場じゃん。空いた左サイドバックのポジションには、ファビオ・サントスが入っていた。なんてこった。
なんでもファビオ・サントスは左サイドならばどのポジションでもプレーできるのが売りのユーティリティ・プレーヤーなのだそうだ。それにしてもこのフォーメーションのチェンジには意表をつかれた。思わず笑ってしまった。
さらにいえば、アウトゥオリは残り15分でこのファビオ・サントスをベンチにさげ、中後を入れて、再び新井場を右サイドに戻すという変更を加えている。新井場くん大忙し。このあとは中後が左サイドバックに入ったんだろう(未確認)。こんな風にDFラインをいじくっていて、なお無失点で終わっているのだから、アントラーズの守備力もそれなりに安定してきたというか、それともセレッソが得点力なさすぎなのか……。どちらとも判断のつきかねる、微妙なところだ。
とにかくそうやってフォーメーションを変えながらも、ゲームは終始アントラーズが支配していた。それでも得点に到らないという展開だった。シュートがポストやバーに弾かれるシーンがあり、これは攻めながらもスコアレスで終わる嫌なパターンかと思われたのだけれど、残り5分を切ってようやく均衡が破れる。鹿島らしい流れるようなパスワークから、ゴール前で本山が相手DFと競りあいつつ、つぶれながらフェルナンドにボールをつなぐ。フリーでのシュートチャンスを得たフェルナンドが外すはずがない。これをきちんと決め、その1点が決勝点となった。彼は前節も新潟相手に決勝点となるFKを決めているそうだ。出場停止明けの2試合連続ゴールはあっぱれ。
そのわずか2分後には、再び本山が絡んでアレックス・ミネイロの駄目押しゴールが決まる。セレッソにはチャンスらしいチャンスも与えなかったし、終わってみれば快勝という内容だった。
ラッキーなことにこの第16節は、鹿島よりも順位が上のチームがすべてドローに終わった。おかげで首位川崎までの勝ち点差はわずか3に詰った。よし、いい感じだ。
(Jul 30, 2006)