2006年5月のサッカー

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  1. 05/03 ● 鹿島0-1大分
  2. 05/07 ● 浦和4-0鹿島
  3. 05/09 ● 日本1-2ブルガリア
  4. 05/13 △ 日本0-0スコットランド
  5. 05/30 △ ドイツ2-2日本

鹿島アントラーズ0-1大分トリニータ

J1第11節/2006年5月3日(水)/カシマスタジアム/BS1

 アウトゥオリ監督いわく、自分が就任して以来、一番ひどい試合だったそうで。僕としても意義なし。ご贔屓のチームのこんなにひどい出来のゲームを見たのは、代表戦を含めてもひさしく記憶にないくらいだ。
 まあ、故障者だらけの現状を考えると、若干同情の余地はある。
 この日のスタメンはGK小澤、4バックが内田篤、岩政、大岩、石川、中盤がダイアモンド型で本田、増田、小笠原、野沢、そしてアレックス・ミネイロと田代の2トップという陣形だった。青木とフェルナンドのボランチ・コンビは二人とも欠場。新井場も故障中だし、開幕からずっと右サイドバックをつとめている内田だって、名良橋がプレーできていたらどうだったかわからない。代表候補に復帰した本山もコンディションに問題があるのかベンチ・スタート。そろそろ復帰が噂されている柳沢もまだベンチ入りならず。でもって曽ヶ端はどこへやら。こう考えてみると、スタメンのうち、半分が本来はサブの選手ということになる。これではチーム状態が安定しないのも仕方ない。
 しかしそういう苦しい台所事情があるにしても、この日の戦い方はいただけなかった。対する大分とはナビスコ・カップで2度対戦しているため、今期はこれで3度目の対戦となる。最初のゲームこそ大勝したものの、次の試合ではアウェイで1-0で負けている。で、それから一週間後の再戦となったこの試合では、ホームでも同じスコアでの敗戦。シャムスカ監督(僕よりひとつ年上)の言葉によると、前回の対戦同様、両サイドのケアを徹底する作戦が効を奏したとか。つまり大分は二度続けて同じ戦略で挑んできたにもかかわらず、アントラーズは前回の反省を生かせずに、再びその戦略にはまってしまったということになる。それが残念でならない。次の対戦ではきちんと借りを返してほしい。
 J1もワールドカップのための中断期間に入るまで、あと一試合。その最後の対戦相手が、現在リーグ最強の戦力を誇る浦和ってのがどうにも……。この日のアントラーズではとてもじゃないけれど勝てる相手とは思えない。うーん、中三日でどれだけ修正がきくのか、期待よりも不安の方が大きい。
(May 04, 2006)

浦和レッズ4-0鹿島アントラーズ

J1第12節/2006年5月7日(日)/埼玉スタジアム2002/BS1

 駄目だ~。降りしきる雨の中で行われた優勝候補同士の対戦は、どこが優勝候補同士だと自虐的にならずにはいられない一方的な結果に終わった。まあ前節の内容を考えれば、ある程度、予想のできた結果ではあるけれど、それにしても、うーん……。
 アントラーズは前節の布陣に若干手を入れて、田代の替わりに本山をFWに起用。トップ下には興梠を抜擢してのぞんだ。けれどもスリッピ-なグラウンドに転倒する選手が続出。レッズの選手はそういうことがなかったところを見ると、シューズの選択に問題があったのかもしれない。
 とにかくコンディションが悪い中、ミスが連発すること、すること。レッズのような強豪相手にあんな具合で勝てるわけがない。開始5分でマークがずれて小野をゴール前でフリーにして、きれいなゴールを決められ、さらにはミスからワシントンに2点目を奪われて、もうなすすべなし。後半にも小野の芸術的なループで追加点を許し、さらには終了間際にはPKまでとられて4-0の惨敗。連敗での中断期間入りという散々な結果になってしまった。
 まあ、ボランチの駒不足を攻撃的な選手で補おうとしたのだから、失点はある意味仕方ないだろう。でも2試合続けての無得点はなあ。大分戦に比べるとかなりCKもたくさんとって、得点の気配も感じられたのだけれど、それでも結局スコアレスに終わってしまったのでは、むなしいだけ。やはりサッカーというのはバランスが大事で、攻撃的な選手をそろえれば点が取れるというものでもないのだということを再確認された連敗だった。
 こういう状況だとリーグの中断は願ってもない。再開後はベスト・メンバーで戦えるよう、故障中の選手の復帰に期待したい。替わりに小笠原や本山が海外移籍でチームを離れてしまい、苦しいチーム事情は変わらないまま、なんてことも考えられるけれど。
 それにしても小野~。なにもアントラーズ戦で2ゴールも決めてくれなくって。代表戦までとっておいておくれ。
(May 07, 2006)

日本1-2ブルガリア

キリンカップ/2006年5月9日(火)/長居スタジアム/日本テレビ

 海外組がひとりも招集できず、国内でも日曜日に浦和-鹿島戦があったために、小野、長谷部、小笠原という中盤の中心選手がことごとくスタメンを外れるという、とてもじゃないけれどW杯を一月後に控えているとは思えない状況での開催となったキリンカップの初戦。対戦相手は元レイソルのストイチコフが監督をつとめるブルガリアだ。
 この試合で日本は、開始早々に1失点、試合終了間際に1失点と、どちらも、そりゃないだろうと言いたくなるようなチープな失点を許して黒星を喫した。ブルガリアは特別に強いチームだとは思わなかったのだけれど、それでもそこはヨーロッパでもまれているチームだ。やっぱり油断をしているとやられる。ゲーム内容では日本が圧倒的に押していたのに、いつもどおりの決定力のなさと、対照的な相手の1チャンスをものにする勝負強さの前に泣かされた。まるでワールドカップでの予選敗退のシナリオを見せられているような気分だった。
 今日のフォーメーションは3-5-2で、スタメンは川口、田中誠、宮本、中沢、加地、阿部、福西、村井、遠藤、巻、玉田。スタメンが報じられていた久保は足首の具合がどうとかで欠場した。トップ下はなんと遠藤。フォーメーションなんかどうでもいい、とにかく少しでも優先順位の高い選手に経験値を積ませるんだという、まず人ありきなジーコの方針がありありと表れたスタメンだった。
 まあ遠藤は結局、司令塔という感じではなく、どちらかというと福西、阿部とトリプル・ボランチで、自由にポジションを変えながら戦っていた印象だった。玉田が今回もとてもいい仕事をしていたこともあり──この試合で一番気に入った選手だった──、前半だけでチームのシュート数が10という内容で、非常に積極的にゴールを狙っているのが伝わってきた。だから前半はノーゴールに終わってしまったものの、印象は決して悪くなかった。
 ショックだったのは、前半40分頃の村井の負傷退場。ロングボールをジャンプしてトラップしようとして、左足を変な形にねじってしまった。倒れてすぐに自ら×を出していたくらいだから、かなり深刻な怪我だろう。W杯出場への最後のアピールの場で、まさか自分で自分に引導を渡してしまうなんて……。担架で運ばれている間も、その姿からは「終わってしまった……」という絶望感が漂っていた。気の毒でたまらなかった。
 村井が退場したあとはアレックスがピッチに立ち、5分もせずに前半終了。そのままのメンバーで始まった後半は、途中で小野と小笠原を投入してフォーメーションを4バックに変更。抜けたうちの一人は田中で、これは当然として、もう一人はなんと福西だった。僕はジーコは福西をボランチの中心として考えてるんだろうと思っていたので、この交替はちょっと意外だった。
 小野とオガサが入った直後はいい感じで攻撃に勢いが出たかと思われたのだけれど、それもつかの間。この日は小笠原がひどすぎた。全然動けていない。せっかくの出番にあの動きじゃ、残念ながら本番のスタメンは狙えないと思う。まったくがっかりさせる。小野の動きがいい分、なおさらオガサの動かなさが焦れったかった。まるで一昨日のレッズ戦のリピートを見ているようだった。中心選手にこれだけの差があれば、完敗するはずだ。
 その後、巻が1点を返して一時は同点とするも──巻は得点の直後に佐藤と交替させられてしまって、ちょっと気の毒だった──、後半終了間際に相手のセットプレーから決勝点を決められて、ジ・エンド。川口が目測を誤ったのか、誰もあわせられなかった遠目のフリーキックがダイレクトにゴールマウスに流れ込んでしまった。惨めな負け方だ……。
 1点目も開始早々、左サイドにぽっかりと気の抜けたようなスペースを与えてしまって、そこを簡単につかれての失点だった。あれはひさしぶりにスタメン出場した村井とDFたちとの呼吸が合わなかったからなのだろうか。理由はどうであれ、どちらも本番でやったら確実にアウトという失点だった。懸念されてきたディフェンスの脆さはこの時期になってもまるで改善されていない。これはもうどうにもならない気がしてきた。もしもディフェンスがこの状態のままで、課題の決定力不足が解消できないまま本番を迎えてしまったらば──。1勝もできずにドイツを去ることになるのは、想像にかたくない。
 そもそも今まで散々この時間帯に同点ゴールや逆転ゴールを決めてきたジーコ・ジャパンが、本番一月前の試合で、逆にそういうゴールで負けるというのが、なんとも嫌な雰囲気だ。去年もキリンカップは2敗したんだった。せめて次のスコットランド戦では、すかっと勝って、気持ちよくドイツへ旅立って欲しい。
(May 09, 2006)

日本0-0スコットランド

キリンカップ/2006年5月13日(土)/埼玉スタジアム2002/日本テレビ

 前々日ブルガリアがスコットランドに5-1という大差で負けた。おかげで日本のキリンカップ優勝の可能性はかろうじて残されたわけだけれど、それでもその条件が3点差以上での勝利となると、いまの日本代表にはかなり荷が重い。なんたって相手は日本が負けたブルガリアに圧勝しちゃったチームだ。日本の決定力不足はあいかわらずだし、季節はずれの冷たい雨も降っている。パスワークを身上とする日本には厳しいピッチ・コンディションだ。これだけ悪条件がそろってなお優勝できると思っていた人は百人に一人もいなかったに違いない。
 この試合のフォーメーションは4-4-2。川口、加地、宮本、中沢、アレックス、福西、小野、遠藤、小笠原、久保、玉田というスタメンだった。小野、小笠原がともに使える状況だということでの4バックになったのだろう。だとするならば海外組が加わって中盤の人材がさらに豊富になる本戦も4バックで戦うこととなるのがほぼ確実だと思われる。3バックか4バックかの結論は出たのではないかと個人的には思っている。
 この試合では、開始早々で失点してしまったブルガリア戦の反省を踏まえてか、いつにないスローな立ち上がりとなった。スコットランドがこの試合は2点差までならば負けても優勝ということで、思いっきり引き気味だったのも影響したのだろう。序盤の十五分くらいは退屈極まりない試合だった。
 その後は日本がボールを支配して、いいリズムで攻撃を仕掛ける時間が長く続いた。それでも得点には到らない。サイドからクロスを放り込むも、高さに跳ね飛ばされておしまい、みたいなシーンが連続する。得点の雰囲気がまるでしない。ああ、なぜそれが入らないと思ったのは、ポストを直撃した加地のミドルシュートと、小野がゴール前で見事なボールさばきを見せて、GKと一対一のチャンスを作った場面くらいだった気がする(本当になぜあれが決まらない……)。
 この日の一番の失敗はコンディションが不十分な久保のスタメン起用だったと思う。ワールドカップまで残り3試合しかないので、エースとして期待する久保に少しでも出場機会を与えて、実戦感覚を取り戻させておきたいと思うジーコの気持ちはわかるけれど、それにしてもこの日の彼は出来が悪すぎた。まるでチームに貢献できていなかった。加地のミドルがポストをたたいた場面で、その直後に跳ねかえりのボールを大きくふかしてしまったシーンが象徴的だ。あそこできちんと枠に飛ばせないのでは、ほかのFWと変わるところがない。久保に代えて最初から巻を起用していたならば、この試合は勝てたんではないだろうかと思えて仕方なかった。
 もしも残り一ヶ月で久保のコンディションが回復しないようならば、彼の本番での起用はかなりの賭けになってしまう気がする。久保の場合、動きの量と質と言う点では、ほかのFWに劣っている。柳沢のオフ・ザ・ボールでの動きの鋭さ、高原や巻のむしゃらさ。玉田のボールを持った時の瞬発力。そうしたものは彼にはない。それでも彼が絶対的なエースとしての期待を受けるのは、今までの試合で見せてきた圧倒的な決定力の高さゆえだった。でもこのところの彼は、コンディションの悪さゆえに、代表でもJリーグでもその決定力を欠いてしまっている。彼の復調が確実に日本代表の運命をわける鍵を握ることになりそうだ。
 前回の村井に続いて、この試合でのハプニングは、中沢が後半早々に相手との接触プレーで頭部に怪我をして退場したこと。ひと針縫ったらしい。大事に到らなかったようでなによりだった。交替で出場した坪井がこのところ好調で、中沢の穴を感じさせなかったのも頼もしかった。
 とにかく試合は最後まで攻め続けながらも得点をあげることかなわず、スコアレス・ドローに終わった。これでキリンカップは二年連続で最下位だ。困ったものだ。
 でもまあ今回のキリンカップは、ブルガリア、スコットランドともに適度な実力があって、W杯前のマッチメイクとしては、とてもよい出来だったと思う。スコットランドが初戦の大勝で受身に終始してしまったのがやや難ありだったけれども。
 それにしても優勝を狙うと言ってのぞんだ自国開催の大会で、二年連続最下位に終わってしまうチームが、ワールドカップでどれだけのことができるのか……。やはり期待よりも不安の方が大きい。
 大会に登録される二十三人が発表されるのは明日15日。ジーコがどのような選択をするのか、こちらも楽しみと言うよりは……。
(May 14, 2006)

ドイツ2-2日本

2006年5月30日(火)/ドイツ・レバークーゼン/テレビ朝日(録画)

 日本時間では31日の午前4時55分キックオフだった、ワールドカップ開催国、ドイツとのアウェイでの対戦。初戦のオーストラリア戦まで2週間を切って、残された親善試合はあとふたつ。そういう意味でも大事な一戦だった。
 しかし加地が怪我をしちゃうとは……。強豪ドイツと五分に渡りあって引き分けた喜びよりも、加地がうしろからのチャージを受けて捻挫して、おそらく本戦には出場不可能だろうということの方がショックだ。まだ正式な発表はないけれど、翌朝に松葉杖をついていたなんて噂もあるので、おそらくアウトだろう。なんでここまできて……。
 両サイドバックは日本代表のウィークポイントだというのに、キリンカップでの村井といい、今回の加地といい、貴重なそのポジションの人材がたて続けに二人も失われたことは非常に痛い。さらには田中誠も肉離れで離脱ときた(茂庭が代わりに招集された)。そろそろDFの持ち駒を使い果たしてしまった感がある。まいった。
 彼らの離脱はチームとして痛いだけではない。それぞれの失望の激しさを思うと、ファンとしてもとても悲しくなる。そういう意味でいうのならば、当確と思われていながら落選した久保もそうだ。そう、彼は今回の大会にも参加できなかった。ジーコの決断はある意味、非情ですごいと思ったけれど、それでもやはり久保が代表にいないのは残念でならない。本当になぜここまできてみんな……。
 ゲームに関しては、まあこれくらいはできるだろうという内容だった。このチームが3バックで戦う時の典型的なパターンというか。相手にある程度攻め込まれながらも、耐えに耐えて、数少ない効果的なカウンターでゴールを狙うという展開。その数少ないチャンスが、それなりにシュートで終わっていたから、印象としてはよかった。でも今日くらいのドイツが相手ならば、もう少しやれただろう。4バックだったらば、絶対もっとおもしろかったんんじゃないかと思えてならない。なんで3バックなんだ? なんで小野も小笠原も出番がないんだ? うーん、それだけは嫌になってしまう。
 なにはともあれ、高原の2ゴールはお見事でした。本戦でもちゃんと活躍してくれますように。
(May 31, 2006)