2014年2月の音楽

Index

  1. Warpaint / Warpaint
  2. High Hopes / Bruce Springsteen

Warpaint

Warpaint / 2014 / CD

Warpaint

 4年前のデビュー盤で僕を熱狂させたLAの4ピース・ガールズ・バンド、ウォーペイントのセカンド・アルバム。
 このアルバムはもう、『Intro』と題された一曲目──その名のとおり、二曲目の『Keep It Healthy』へとつながるイントロという位置付け──を鳴らされた時点で僕の負け。わはは、なにこれ。初期キュアーそっくりじゃん。次の曲のイントロとあわせて、歌に入るまで3分以上もあるところもキュアーを思わせる。
 もともと楽曲のよさを売りにするタイプのバンドではないと思うので──とはいえ、あれだけ盛り上がったファーストの曲を、恥ずかしながらほとんど覚えていない自分もどうかと思うけど──、いきなりこういう音を聴かせてくれた時点で、つかみはばっちり。
 前作に比べると、音作りはより低音重視というか、ビート感が強くなって、ギターよりもリズム隊が前に出ている感じ(プロデュースはフラッドとのこと)。それでもほの暗い情感をたたえた音楽性は、基本そのままだ。黄昏どきを思わせるこういうセンスが、陽光あふれる印象のロサンジェルスという土地柄から生まれているのがおもしろい。あ、でもあの土地にはドアーズの先例があるのか。
 なんにしろ、地味ながらも、もの憂い感覚が心地よい良作。彼女たちがファースト一発で終わらなくてとても嬉しい。ジャケットもとても素敵です。
(Feb 23, 2014)

High Hopes

Bruce Springsteen / 2014 / CD

High Hopes

 タイトル・ナンバーを含むカバー3曲──とはいっても、オリジナルは僕の知らない人たちの曲ばかり──に、『American Skin (41 Shots)』と『The Ghost of Tom Joad』の新録バージョンを含むブルース・スプリングスティーンのニュー・アルバム。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリスト、トム・モレロが過半数の曲に参加していることでも話題の一枚。
 先に書いた以外の曲もほぼすべて過去に書いた曲とのことで、要するにこれまでお蔵入りしていた楽曲の在庫整理的なアルバムらしいのだけれど、それでもレコーディング自体はすべて新録なので、アルバムとしての統一感はとても高い。言ってみれば、ストーンズの『Tattoo You』のボス版って位置付けの作品ではないかと。まぁ、あれに比べると地味だけど。
 あと、過去の作品だから、かつての音源が残っていたということなんだろうけれど、新作にもかかわらず、クレジットにクラレンス・クレモンスとダニー・フェデリシの名前がある。僕の場合、だから音がどうとか言えるレベルのリスナーじゃないけれど、それでも、いまは亡きバンド・メンバーに華を持たせるスプリングスティーンの心意気にはぐっとくる。
 まぁ、とはいえ『Born To Run』や前作『Wrecking Ball』のタイトル・ナンバーみたいに無条件に盛りあがれるアッパーな曲はないし、全体的にはスローな曲のほうがめだつ、良質ながらも地味めの作品だと思う。それでいて英米ほか世界中の音楽チャートで軒並み一位になっているのがすごい。ボス、いまだ世界中で愛されてんねぇ。
 若かりし日のヒーローがいまだ健在で嬉しい。
(Feb 23, 2014)