2014年4月の音楽

Index

  1. RAY / BUMP OF CHICKEN
  2. St. Vincent / St. Vincent
  3. Waiting For Something To Happen / Veronica Falls

RAY

BUMP OF CHICKEN / 2014 / CD

RAY(通常盤)(予約特典ステッカー無し)

 BUMP OF CHICKEN、メジャー5枚目のオリジナル・アルバム。
 前作『COSMONAUT』以降にリリースされたシングル6曲がすべて収録されていて、なおかつ1曲目の『WILL』は、WILLPOLISツアーのオープニングCGで使われているインストナンバー。つまり、全14曲のうち、まっさらな新曲は半分の7曲のみという、ややさびしい内容ではあるのだけれど。
 それでも意外と新鮮な気分で聴けるのは、楽曲の並びが絶妙だから。1曲目が『WILL』で始まり、序盤に新曲群を中心に配して、終盤が感動的なスローバラードのシングル曲中心になるという構成は、バンプのライブを観ている感覚にとても近いものがある。
 いわば、BUMP OF CHICKENのライヴ・バンドとしての魅力を、アルバム単位でフルに追体験させてくれる──これはそんなアルバムに仕上がっていると思う。アルバムとしてのトータルでの完成度はとても高いんじゃないだろうか。
 聴きなれたシングル曲も、この流れのなかで聴くと、また違って聴こえるから不思議だ。──とはいえ、まぁ、やはりさんざん聴いた曲が多数ふくまれているため、アルバム全体としてのリピート率はいつもより低めになってしまっている。
 個人的には、『虹を待つ人』と『ゼロ』という、バンプの歴代ナンバーの中でもとくにお気に入りの2曲が新曲群と一緒に並んでいる前半が好きだ。
(Apr 27, 2014)

St. Vincent

St. Vincent / 2014 / CD

St. Vincent

 セイント・ヴィンセント、4枚目のソロ・アルバム。
 トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンとのコラボだった前作からは、バーンの陰に隠れて、存在感控えめかなという印象を受けたのだけれど、この新作を聴いてみて、おや?っと思った。
 それというのも、このアルバムのリズムの感触が、かなりあのアルバムに似ているから。なんだか、あのアルバムではホーンを主体に組み立てていたことを、ここではホーンをシンセに替えてやってみた、みたいな感じがある。
 もしかして、僕の認識が間違っていて、あのアルバムでもセイント・ヴィンセントの貢献度には、並々ならぬものがあったのかも……とあらためて思ってしまった。
 なにはともあれ、彼女が自らの名前を冠したニューアルバムは、多様なリズム認識と骨太なベースラインが印象的な作品。あいかわらずこの人の音楽には、ほかの誰とも比較できない個性がある。
 ただ、これまでよりシンセ色が強く出ていて、ギターが引き気味の音作りゆえに、僕個人としては、いまいち愛着が湧かずにいるという。そこはちょっと残念。
(Apr 27, 2014)

Waiting For Something To Happen

Veronica Falls / 2013 / CD

Waiting for Something to Happen [Analog]

 ロンドンの男女混合バンド、ヴェロニカ・フォールズのセカンド・アルバム。
 去年リリースされたころに買ったアルバムだけれど、最近になってアマゾンでアナログ盤が激安で売っていたのを見つけて、思わずまた買ってしまった。CDとLP、2枚も持っているのに感想を書いてないというのもなんなので、いまさらながら取り上げておきます。
 音楽的には、爽やかな女性ボーカルをフィーチャーしたナチュラルなギター・サウンドのバンド。ふわっとした女の子のリード・ボーカルを男性陣のコーラス・ワークが支えて、なんとも屈託のない音を聴かせてくれる。
 ファーストはもう少し憂いを含んでいたような気がするんだけれど(単に秋枯れイメージのジャケットのせいかもしれない)、このセカンドはふっきれたように明るい。序盤に軽やかでスピード感のある楽曲が並んでいて、とても気持ちよく聴ける。
 個人的にとくに好きなのが、2曲目の『Teenage』。これは去年の僕のソング・オブ・ジ・イヤーのうちのひとつ。明るい旋律にちょっとだけ軽くマイナーが入るサビメロの終わりの部分と、それにつづくギターのフレージングが、もう好きで好きでたまらない。この曲一曲だけのために、アナログまで買ってしまったといっても過言ではありません。
(Apr 27, 2014)