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最近の五試合

  1. 06/28 ● 鹿島1-2岡山 (J1・第22節)
  2. 06/21 ● 町田-1鹿島 (J1・第21節)
  3. 06/14 △ 鹿島1-1広島 (J1・第20節)
  4. 05/31 ○ G大阪0-1鹿島 (J1・第19節)
  5. 05/25 ● 横浜FM3-1鹿島 (J1・第18節)
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鹿島アントラーズ1-2ファジアーノ岡山

J1・第22節/2025年6月28日(土)18:00/カシマサッカースタジアム/DAZN

 おー、小川諒也が移籍後初スタメン!

 おー、鈴木優磨のファインゴールで先制!――と喜んでいられたのは前半だけ。

 後半に2ゴールを奪われて逆転負け。これで対戦カードが二巡目に入ってから、3試合連続白星なしで、首位陥落まったなしとなった第22節・岡山戦。

 スタメンは早川、濃野、植田、キム・テヒョン、小川、三竿、船橋、小池、チャヴリッチ、レオ・セアラ、優磨の11人。

 復帰&移籍後初スタメンの濃野・小川の両SBに、船橋・三竿のダブルボランチ、でもって右サイドの攻撃的MFに小池を起用した4-4-2。

 鹿島は両SBが攻め上がってなんぼだと思っているので、濃野と小川という攻撃的なSBがそろったこの最終ラインはとても好みだ。

 小池の攻撃的MFとしての起用には疑問を覚えるものの(いい選手なのは間違いないけれど、柴崎や樋口以上だとまでは思わない)、この日は彼の見事なスルーパスから優磨の先制点が生まれているので、鬼木の勝ち。

 先制ゴールは前半17分。ゴール真正面でパスを受けた小池が一拍おいて出したスルーパスに、斜めに走り込んで最終ラインの裏へ抜け出した優磨があわせた。

 ファーサイドへと打ったシュートは、あたりは弱かったものの、絶妙のコースへと転がって、左のポストにあたってゴールへと転がり込んだ。オフサイドかと思ったらぎりぎりセーフだった。優磨も小池もナイス!

 ということで、エースのゴールで先制した前半は上出来だった。

 でも後半がいけない。

 50分に右サイドの深い位置までドリブルで持ち込んだルカオからの鋭いクロスに、江坂がピンポイントであわせて同点。さらに58分には逆転ゴールまで許してしまう。わずか10分足らずの逆転劇。

 2点目は神谷優太というボランチの選手に、ワンツーからビューティフルなスーパーミドルを決められた。

 あれはもうどうしようもない――のかな。いくらノーマークな選手だったからって、あの位置でフリーでシュートを打たれてしまう守備は問題じゃない?

 2点目の場面をリプレイで観なおしてみたら、相手の攻撃の起点となったのは、鹿島の自陣でのボールロストだった。相手のハイプレスに苦しみ、横パスで逃げまくったあげく、最後はキム・テヒョンが苦しまぎれに出した縦パスが相手に引っかかってしまって、反撃を受けている。そのプレーに限らず、後半に入ってからそういう場面か何度かあって、なんかまずそうだなぁと思っていたら、不安的中だった。

 柴崎や知念を控えにまわして、三竿や小池をスタメン起用したら、まずは守備ありきでしょう。その布陣で毎試合失点しているのは印象が悪い。どうせ守れないのならば、柴崎をスタメンで使って欲しい。デュエル王の知念だってもっと見たい。

 なのに、途中出場は溝口、樋口、松村、柴崎、ターレス・ブレーネルの5人で、残念ながら知念の出番はなかった。

 逆転を許したあと、小川&濃野の両SBを溝口&樋口に替えて、ここからは小池が右SBで、左が溝口。中盤もチャヴリッチを右に移動させ、樋口を左に入れた。その後チャヴリッチ&三竿を松村、柴崎とそのまま入れ替え、最後は船橋をターレス・ブレーネルと替えて、樋口をボランチに移動した。

 このところターレス・ブレーネルがいい感じで、この日も終盤にきわどいシュートを2本も打っていたのに、どちらもブローダーセンにファインセーブされた。立田の守備も印象的だったし、岡山の堅守はいまだ健在だった。この先よほどのことがない限り、今季の残留は確実だろう。

 ということで、いろいろ形を変えながら、同点を目指したけれども、結局追いつけずに試合終了。2位の柏(!)に勝ち点41で並ばれてしまった。昨年無敗を誇ったホームで今季はもうふたつめの黒星。

 試合前、鹿島と岡山はともに失点18で、リーグ2位タイの堅守を誇っていた(1位は広島)。そんな両者の対戦だから、1点を争う勝負になるのは必至。前半のうちに先制したので、あとは2点目さえ取ってしまえば、ゲームは決まりだろうと思っていたのに、まさかその2点目を先に取られようとは……。

 気がつけばこの2ヵ月で複数得点したのが1試合しかない。やっぱ2点目が取れるようにならないと苦しいよなぁ。

 後半戦に入ってから広島、町田、岡山と、守備がいい3バックのクラブとばかり当たっているのも不運な巡り合せだ。でもって、このあとも、川崎、柏って。なにその日程? この状況で次が川崎とか、ほんとやだ。勘弁してほしい。

 そういや、ネーミングライツで7月からスタジアム名が変わることが発表されたので、カシマサッカースタジアム名義での試合は当面はこれが最後だ。

 うーん、なおさら勝って終わりたかった。

(Jun. 29, 2025)

町田ゼルビア2-1鹿島アントラーズ

J1・第21節/2025年6月21日(土)16:00/町田GIONスタジアム/DAZN

 J1昇格2年目の町田は、序盤戦こそ首位につけたこともあったけれど、その後は勝ち点が伸びず、最近は10位前後を行ったり来たりしている。

 理由は明確。去年はリーグ最少失点を誇った堅守が綻び、前節までに24失点しているから。つまり毎試合1失点はしている計算になる。得失点差は±0だし、それではなかなか上位には食い込めない。

 でも、去年から失点が増えたからといって、守備力が下がったかというと、そんなこともない。GKは日本代表の谷晃生だし、昌子、菊池流帆、岡村大八という3バックは間違いなく強固だ。

 対する鹿島も失点の少なさはリーグ2位。そんな堅守を誇る両チームの対戦だけあって、1点を争う固い試合になるのは必至――かと思わせておいて。

 こういう試合に限って、今年の鹿島は意外と早い時間帯に得点が入っちゃうんだよなぁとか思っていたら、やはり予想通りの展開になった。

 ただし先制したのは町田。前半6分に鹿島のミスから生まれたチャンスを相馬がきっちりと決めて勝ち越した。なんか今年は鹿島にいたことのある選手にやられる比率が高い気がする。

 この日の鹿島は樋口・三竿のダブルボランチに、ターレス・ブレーネルがトップ下という布陣だった。

 樋口は故障明け後は初のスタメンだったのに、失点につながる致命的なミスをおかしたのは彼だった。自陣の中盤深い位置で、浮き球を処理しようと右足のアウトサイトで変なキックをして、攻めあがってきていた敵三枚の前にボールを落としてしまう。

 あれはなんだったんだろう? 詰めてきていた植田へのバックパス? なにをしようとしたのかさっぱりわからない謎のプレーだった。相手にとって得点につながる絶妙なパスとなった点では、ある意味オウンゴールに近かった。

 その後に2点目を許してさらなる劣勢となったこともあり、懲罰というわけではないのだろうけれど、樋口は前半だけで交替。後半からは船橋が出てきた。

 町田の2点目は、前半34分。ロングスローかと思ったスローインを普通に入れてつながれ、最後は下田北斗からのクロスを岡村がヘディングでズバッと決めた。こちらは完璧にマークがずれて、なすすべなしだった。あれがスローインからワンセットでデザインされたプレーだったとしたら黒田監督あっぱれだ。

 後半の鹿島は溝口、樋口、ブレーネルをさげて、小川、船橋、濃野をいれ、チャヴリッチを右に移して反撃に出た。

 この日のベンチには、前節と同じDF4枚と、柴崎、知念、船橋のボランチ3人、あとは松村しかいなかった(加えてGKの梶川)。どうやら荒木、田川が離脱中らしい。要するに控えのFW勢が全滅。それゆえDFが4人もベンチ入りしているわけだ。

 ということで、その後にチャヴリッチと交替でピッチに立った知念は、ひさびさにFWとしてプレーすることになり(移籍後初?)、惜しいヘディングを一本打っていた。あれが枠に飛んでいればなぁ……。最後の交替はレオ・セアラ→松村。

 交替カードをすべて使い終わった後半40分、優磨がしてやったりのプレーで菊池のファールを誘ってPKを獲得。これを自ら決めて1点差としたときには、このまま同点、逆転も狙えるかと期待したものの、残念ながら反撃もそこまで。そのまま町田に逃げ切られた。

 まぁ、首位には立っているものの、毎試合出来はいまいちで、厳しい戦いを強いられているので、この日みたいに相手のプレーがうまくはまれば、黒星も致し方なし。

 町田は前述の選手らのほかにも、前、望月ヘンリー、西村なども存在感があったし、途中出場で中山雄太なんかが出てくるのも侮れない。優勝争いに絡んでこられると面倒だから、このまま順位表の真ん中あたりに留まっていていただきたい。

 なんでも、この日の来場者数13,828人は、スタジアムの最多入場者数の新記録なのだそうだ。そう聞いて驚いた。えっ、それしか入んないのか!――って。

 でも、気になって調べたら、柏、湘南、横浜FC、岡山のスタジアムもどっこいどっこいだった。カシマスタジアムって立派なんすね。

 とはいえ、町田は仮にも首都・東京を本拠とするクラブなんだから、このままJ1で戦いつづけるのならば、もうちょっとなんとかした方がいいのでは――とか思ったけれど、まぁ僕なんかが心配するまでもなく、関係者はいろいろ考えているんだろうな。

(Jun. 24, 2025)

鹿島アントラーズ1-1サンフレッチェ広島

J1・第20節/2025年6月14日(土)18:00/カシマサッカースタジアム/DAZN

 代表ウィークを挟んで二週間ぶりのJリーグ。

 実際には水曜日に天皇杯の二回戦があったので、中二日での試合だったけれど、それでも怪我人続出の折、このタイミングで十日ばかりブレイクが入ったのはありがたい。おかげで離脱が心配されたレオ・セアラも無事スタメン出場を果たした。

 あと、この中断期間中に鹿島は、小川諒也と千田海人ちだかいとのDF二枚を緊急補強した。さすがにいきなりスタメンはなかったけれど、この日はふたりともベンチ入りしていた。

 千田についてはこれまで知らなかった――東京V戦でスタメンだったらしいけれど、まったく記憶にない――のでなんともいえないけれど、小川の加入は確実にプラス。この日は残り10分強という時間帯に出てきて、セットプレーのフェイントに参加したりして、はやくもチームに馴染みつつあることを感じさせた。

 それにしても、両サイドに小池・小川という代表歴のあるSBを補強できたのは、レオ・シルバの獲得と並んぶ今季最大の収穫だ。安西だって代表歴はあるし、濃野だって去年のベストイレブンだから、このまま順調にいけばいずれ代表に呼ばれるだろうし。つまり、いまや両SBに代表レベルの選手が四枚もいることになる。いやはや、贅沢この上なし。

 この試合では濃野がようやく故障から戻ってきて、津久井もベンチ入りしていたので、DF登録の選手がベンチに四人もいた(反対にFW登録はゼロ)。

 まぁ、小川と千田は新加入後の顔見世的な意味で登録されたのだろうから、今後もこういう体制になることはないんだろう。そもそも植田とキム・テヒョンのコンビが安定しているので、CBの千田にはスタメンの機会があるかもわからない。津久井も本来はCBなのに、今季はSBとして起用されているわけだし。キム・テヒョン、千田、津久井によるCBのレギュラー争いも後半戦のちょいとした見物だ。

 さて、そんなわけで心配だった最終ラインの駒不足も解消されて、大いなる期待とともに再開したリーグ戦後半の一発目。対戦相手は難敵・サンフレッチェ広島。

 広島は現在5位だけれど、それは消化試合がひとつ少ないからで、それを勝つと仮定して勝ち点3を加えると、2位の京都を上回る順位になる。要するにこの試合は実質的には暫定1位と2位の戦いといっても過言ではなかったわけだ。

 ということで、(仮)がつくとはいえ、さすが首位決戦。締まった試合になる。

 なによりやっぱり広島が強い。ポジショニングが的確なのか、パスを通す隙がない。日本代表のGK大迫に、塩谷、荒木、佐々木の3バック(ここもなにげに全員代表歴ありだ)、川辺と東峻希のダブル・ボランチに、右が中野就斗、左が今季注目度ナンバーワンのルーキー中村草太、二列目に前田直輝とジャーメイン良、そしてワントップが柏から移籍してきたばかりの木下という布陣。

 僕にとって馴染みがないのは中野だけで、ほかには代表級の選手がずらり。

 そんな選手たちがJリーグアウォーズですでに二度も優秀監督賞を受賞しているスキッベ監督のもと、堅牢な守備ブロックを敷いて挑んでくるのだから、強いのも道理。

 前回の対戦時には移籍してきたばかりの前田にしてやられたけれども、今回も移籍直後の木下がちゃんと戦力として存在感を発揮しているのを見て、あぁやっぱスキッベはすぐれた監督なんだろうなぁと思った。

 この試合では鹿島のボール保持率63%という数字が示す通り、終始こちらがボールを回す展開がだったものの、なかなか崩すにはいたらなかった。

 そうこうするうちに、広島に一瞬の隙をつかれて先制を許してしまう。

 左サイドでの競り合いからこぼれ球を拾って深い位置へと侵入した中村が、そこから蹴り込んだマイナスのクロスに、東が飛び込んできてヘディングを決める。ボランチの攻撃参加をマークしきれなかった。みごとな崩しにお手上げ。

 まぁ、その得点場面以外にはとくに危なかったシーンは記憶にないから、ほんとあれだけ。あとは攻め込んでは、相手の守備に跳ね返されるシーンばかりだった。

 鹿島のスタメンは、早川、小池、植田、キム・テヒョン、溝口、三竿、船橋、松村、チャヴリッチ、優磨、レオ・セアラの11人。なぜか荒木は欠場だった。

 後半は22分に船橋&松村→樋口&濃野という交替を行い、その後に小池&溝口の両サイドSBと三竿を、小川、柴崎、ターレス・ブレーネルに一気替えした。

 濃野は最初は高い位置でプレーしていて、小池が下がってから本来のSBのポジションに移動した。ひさびさの出場だったけれど、攻撃的なセンスのよさが随所に発揮されていてよかったと思う。こういうプレーがつづけば、今季初ゴールが生まれるのもそう遠くないだろう。とはいえ残念ながらこの日はノーゴールに終わった。

 敗色濃厚だった試合を引き分けに持ち込んだ貴重な同点ゴールが生まれたのは後半ロスタイム。樋口の左CKを植田がファーで折り返し、そのこぼれ球をゴール前の密集地帯にいたレオ・シルバが押し込んだ。今季12点目! 依然得点王ランキングトップ!

 セットプレーから植田がファーで折り返したボールを中で決めるという得点パターンもすっかり確立されていきた感がある。逆にいうと、なぜ敵のチームは警戒していないんだって話だから、今後は厳しいマークにあうかもしれない。

 なんにしろ、この1点でなんとか勝ち点1をもぎとり、広島の勝ち点2を削りとった。ここで優勝争いのライバルに差を縮めさせなかったのは大きい。

 まぁ、広島には今季の負け越しが決まってしまったけれど、もしかしたらまだ天皇杯で雪辱のチャンスがあるかもしれないので、次の機会に期待しよう。

 それはそうと、今季はアクチュアル・プレーイング・タイムをプレミア並みにしようとかいって、微妙なファールを流すことが多いけれど、この日の谷本主審のジャッジはいろいろ難ありだった。レオ・アラがペナルティエリア内で倒されたのにPKにならないし、そのことに抗議した曽ヶ端にはイエローカードを出したりするし。試合終了後には鬼木がわざわざ審判団のところへ話しにいっていた。ポジショニングが悪くて、プレーの邪魔になるシーンもあったし、あれでは批判されても致し方ない気がする。

(Jun. 17, 2025)

ガンバ大阪0-1鹿島アントラーズ

J1・第19節/2025年5月31日(土)18:00/パナソニックスタジアム吹田/DAZN

 J1も今節で前半戦終了。アントラーズは勝ち点40でみごと首位での折り返し!

 ──と。そんなふうに素直に喜んでばかりもいられない試合だった。

 まずは試合内容がよくない。シュートわずか3本。それでよく勝てたもんだ。

 おまけに後半途中で安西が足を痛めて交替してしまう。

 筋肉系のトラブルっぽいから、おそらくしばらくは戻ってこないんだろう。ここまでチームを攻守の要のひとりとして支えていた彼の離脱は痛すぎる。

 そもそも、去年不動のレギュラーだった4バックのうち、濃野、関川、安西と三人も怪我で戦線離脱してしまうなんて、そんなのあり? こんなに怪我人が多い状態で首位ターンできたのは奇跡的じゃなかろうか。

 この試合のスタメンは前節のメンバーから三竿を柴崎に替えた11人だった。

 柴崎・船橋のダブルボランチという前節後半と同じ形でスタートしたのは今季初――のはず。

 得点はレオ・セアラ。キム・テヒョンからのロングフィードを相手DFと競りあいながらみごとなトラップで受けて、詰めてきたGK一森をかわすため、ちょこんと蹴りだしたボールがそのままコロコロとゴールへと転がり込んだ。

 前節につづいてシュートしたわけではないのに決まったラッキーゴール。――っていや、もしかしたら狙ったのかもしれないけど(だとしたら失礼)。その後も無人のゴールへとボールを追っていたので、あのまま入らなくても難なく蹴りこめていたとも思う。いずれにせよ、あのトラップですでに勝ちだった。お見事。

 それにしても、神戸戦での早川につづき、今回はキム・テヒョンのアシスト。GKや最終ラインからのフィード一本で点が取れてしまうレオ・セアラの得点力は間違いなく今季の強みだ。

 まぁ、とはいってもこの試合ではそのゴールが前半9分。チームの総シュート数3本で、そのうち2本がレオ・セアラってことは、あと1本、誰かが打っただけで、それ以外の時間はずっと守っていたことになる(対する相手のシュート数は16!)。どんだけ劣勢だったんだって話だ。

 まぁ、ガンバは強かった。今季は序盤出遅れたせいでいまいち成績がよくないけれど、宇佐美、ファン・アラーノ(もはや鹿島よりガンバにいる期間のほうが長くなった)、 スウェーデン人FWのデニス・ヒュメットらの前線は強力だし、シーズン序盤に広島からレンタル移籍してきた満田がイスラエル人ボランチ、ネタ・ラヴィとコンビを組む中盤も効果的だった。両SBの黒川と半田陸(23歳)の攻め上がりも効いていたし、中谷と福岡のCBコンビもいい。内容は完全にガンバが上だった。ポストやバーを叩くシュートが二本以上あったし(そのうち一本はファン・アラーノ!)、この内容で負けたら、なかなか受け入れがたかろう。

 でも、勝った鹿島がラッキーだったかというと、そうも言い切れない。

 後半15分に安西が怪我をした場面では、同時にレオ・セアラも股関節を押さえてしゃがみ込んでしまい、急遽の交替を余儀なくされた。おかげでこの場面では津久井、田川、樋口、三竿の4人を一気に投入するという珍しい形になった(ダブルボランチも一気替え)。

 この交替策で疑問だったのは、津久井を左SBで起用したこと。津久井はファーストプレーでクリアしようとしたボールを空振りして、いきなり絶体絶命のピンチを招いていたし、その後も安定感を欠いた。

 聞けば左SBは練習もしたことがないというし、だったら両サイドできるという噂の小池を左にまわした方がよくない? まぁ、ガンバは黒川、ファン・アラーノのいる左サイドの危険度が高いから、そちらを信頼できる小池に任せたかったということなのかもしれないけれど。

 いずれにせよ、安西が抜けるだろう次節以降の両SBの起用法は要注意だ。

 ちなみに津久井は小池復帰後、途中出場するようになってからは、なぜだかずっとヘッドギアをつけて出場していたのに、この日は最初のミスのあとにそれを外した。

 「ミスをヘッドギアのせいにしようと思った」みたいなすっとぼけたことを言っているらしいのだけれど、後半ロスタイムに接触プレーで頭を切って出血したのを見て、あぁ、ヘッドギアをつけたままならば無事だったかもしれないのに……って思ってしまった。とりあえず無事を祈ってます。

 いずれにせよ、チームとして首位に立ってはいるけれど、次節以降はどうなるか予断を許さない。新生・鹿島アントラーズの底力が試される厳しい後半戦になりそうだ。

(Jun. 05, 2025)

横浜F・マリノス3-1鹿島アントラーズ

J1・第18節/2025年5月25日(日)14:00/日産電器スタジアム/DAZN

 7連勝中で首位にたつアントラーズと、7連敗中で最下位の横浜F・マリノスという、対照的なオリジナル10クラブどうしの対戦。

 いや、でもこのマリノスの不調にはびっくりだ。次節で今季も半分終了というこの時点で、ここまでわずか1勝って。いくらなんでもひどすぎる。

 あまりの出来の悪さに、新監督として迎えたイギリス人のスティーブ・ホーランドを4月の下旬でさっさと解任。その人の下でヘッドコーチを務めていたオーストラリア人のパトリック・キスノーボにあとを託すも、調子はあがらず。新監督の就任後もひきつづき負けつづけて、現在7連敗中って。そんな話、聞いたことないぞ。

 まぁ、失点はリーグ最多で、得点も最下位争いしている始末。得失点差は断トツ最下位。守っては新加入のトーマス・デンとコンビを組むのが本来はSBの松原だし、去年の得点王アンデルソン・ロペスがここまで1得点で、しかもそれが開幕戦でのゴールだというのだから、苦戦しているのも当然かもしれない。

 この試合、ACLで消化が遅れていた関係で、水曜にも試合があったマリノスは中3日だったし、これはもう鹿島の8連勝は間違いなしかと思ったら――。

 前半30分までに3失点を喫して、ころっと負けました。

 まぁ、連勝が途切れるときなんて、得てしてこういうもんだ。

 この日の鹿島はディフェンスが緩すぎた。3点ともスコアラーへの寄せがまったくなかったし、相手のシュートも上手かった。あまりに気持ちよく決められすぎて、かえってさばさばした気分になってしまった。

 1点目は攻撃を跳ね返したあとのこぼれ球をダイレクトで決めた永戸のミドル。

 2点目、3点目はヤン・マテウス。最初のシュートはカウンターから右サイドで得たフリーのチャンスを落ち着いて決め、二本目はゴール正面からループシュートを放ってみせた。今季ここまで2得点の選手に、こうも見事に決められようとは……。

 マリノスは宮市がまた怪我で離脱中だったりして(なんで彼はあんなに怪我が多いんだろう)いろいろ台所事情は苦しそうだけれど、それでも終盤になって天野やエウレルが出てくるくらい選手層は厚いので、おそらくこのまま降格圏内に沈みっぱなしってことはないだろうと思う。まだシーズンは半分残っているわけだし。

 とにかく、ここまでのマリノスの成績が、あまりのインパクトで、いきなり対戦相手の話ばかりになってしまった。

 対するこの日の鹿島は、早川、小池、植田、キム・テヒョン、安西、三竿、船橋、チャヴリッチ、荒木、優磨、レオ・セアラというスタメン。

 レオ・セアラと荒木がスタメンに戻ってきた一方で、知念がベンチを外れていた。なかなか万全な体制にはならない。

 鹿島の1点は、前半36分のレオ・セアラ。ペナルティ・エリア内で倒れていたところへきた荒木からのパスが足先にあたって絶妙なループシュートになったもので、狙って決めたのではないと思うけれど、早くも二桁得点達成となる貴重な1点だった。ラッキーな面はあったけれど、そこまでの崩しに優磨らも絡んで作ったチャンスだったので、いい得点だったと思う。

 鬼木の采配では、後半の頭から三竿を柴崎に替えて、柴崎・船橋という攻撃的なダブル・ボランチにしたところがおもしろかった。そこからは攻撃も活性化したし。あと2点返して追いつくぜってメッセージとしてよかったと思う。

 ただその後は、荒木→松村、船橋&レオ・セアラ→樋口&田口、チャヴリッチ→溝口と交替カードを使っても、あまり効果的とは思えず。終始ボールを回していたのは鹿島だったけれど、結局後半は無得点に終わってしまい、今季初の2点差での敗戦となった。ここまでの負けはすべて1点差だったので、2点差をつけられたまま、その差を詰められずに終わってしまったのが残念。

 とにかくこの試合は前半の3失点がすべてだ。あんなに簡単に得点を与えていては、そりゃ勝てませんって。さっさと切り替えて、次だ次。

(May. 26, 2025)