×と〇と罪と
RADWIMPS / CD / 2013
RADWIMPS、通算7枚目のスタジオ盤は、全15曲、トータルタイム77分という過去最大の力作となっている。
アルバムもこれくらい長くなると、なかなか繰り返し聴くのがつらかったりすることが多いのだけれど、この作品についてはそういうことがない。
iTunesの再生回数によると、リリースされてからの1ヶ月半ばかりのあいだに、僕はこのアルバムをすでに30回は聴いている。その間には正月休みで一週間ばかりぜんぜん音楽を聴かない時期もあったから、そう考えると一日一回は必ず聴いているってくらいの計算になる。
ここまで繰り返して聴ける作品って、最近ではそうそうない。この二、三年に限れば、まちがいなくこれ一枚だと思う。年間二百枚からの新しいCDを手にしていると、個々の作品はおのずと聴く回数が少なくなってしまって、いいなと思った作品でも気がつけば十回も聴いていない、というのが普通になっていたりする(面目ねぇ)。
そんな中でこれだけの回数、繰り返して聴いているのだから、それはもう、僕がどれだけこのアルバムが好きかの証拠以外のなにものでもないでしょう──と、言えればいいのだけれど。じつはそんなこともない。
正直にいえば、僕は今回の作品にも、そこまで夢中になっていない。野田くんの書く歌詞が以前よりもシニカルさを増して抽象的になり、なにを歌っているかがダイレクトに伝わってこなくなった分、過去の作品のように問答無用に惹きつけられるということがなくなった。同じように感じている人も多いんじゃないだろうか。
ただ、とはいっても、実際問題として僕は彼らの音楽を飽きずに聴きかえしつづけているわけで。好きでもない音楽だったら、こんなに繰り返し聴けない。いまもこの文章を書きながら聴きかえしているけれど、やはり飽きることがない。これくらい繰り返して聴けるってこと自体が、このアルバムがどれだけ優れているのかの──そしていまだに僕にとってRADWIMPSがもっとも重要なバンドであるという事実の──なによりの証拠だと思う。
今作でとくに気に入っているのは、アルバムの中ではもっともかわいい『アイアンバイブル』と『パーフェクトベイビー』の二曲。あと、先行シングルの『五月の蝿』と『ラストバージン』は、やはり別格かなという感じ。
(Jan 26, 2014)