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2025-12-27『F1 ザ・ムービー』 New!
2025-12-23『THANK YOU SO MUCH』
2025-12-18『プレイグラウンド』
2025-12-15『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』
2025-12-09J1 第38節・鹿島-横浜FM
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高校のカフカ、一九五九 プリンス論(新潮新書)

最近の五本

F1 ザ・ムービー

ジョセフ・コシンスキー監督/ブラッド・ピット、ダムソン・イドリス、ケリー・コルドン/2025年/アメリカ/Apple TV+

F1R ザ・ムービー

 車も持っていないし、モータースポーツにも興味はないのに、不思議とこの手の映画は観たくなる。

 F1団体の全面サポートを受けたとかなんとかいう噂の、ブラッド・ピット主演のF1レース映画。

 ――だと思って観始めたら、いきなり最初のレースはF1ではなく、デイトナ24時間耐久だった。

 ブラピ、F1ドライバーじゃないじゃん!

 ――という意表をつく始まり方をしたこの映画。

 ブラッド・ピット演じる主人公のソニー・ヘイズは、30年前の若き日に事故でキャリアを棒に振ったレーサー。F1にこそ乗っていないけれど、ドライビングにおけるセンスは天才的で、様々なレースに参加しては結果を残している――らしい。

 そんな彼にかつてのチームメイトだったハビエル・バルデム(いまだに名前が覚えられない)から、自分がオーナーを務める新参F1チームで走ってくれないかとオファーがある。今季1勝もしていない彼のチームはこのままだと身売りせざるを得ないという状況にあり、ブラピの才能を知ったるかつての旧友が、その天才に一か八かの賭けをすることにしたわけだ。

 F1に復帰するには歳をとりすぎているブラピ(実年齢62歳!)に、チームも世間も疑いの目を隠さない。とくにチームの黒人エースドライバー、ジョシュア(ダムソン・イドリス)は反発することしきり。それでもソニーは持ち前の才覚と、反則ぎりぎりの手管を厭わないずるがしこさでもって、チームに多大な貢献を果たすようになり、周囲の信頼を得るのみならず、そのシーズンの主役のひとりになってゆく。

 年配者が若者とためをはって戦うという展開には、晩年の『ロッキー』を思い出させるところがあるし、F1のサーキットで世界中をまわりながら、でこぼこだったチームが徐々に団結してゆく展開には少年ジャンプ的な楽しさがあった。

 決して傑作とは思わないけれども、そんな風にマンガ的だからこそ、いずれまた観たくなるんだろうなって思った。

(Dec. 27, 2025)

THANK YOU SO MUCH

サザンオールスターズ / 2025

THANK YOU SO MUCH [完全生産限定盤A] [CD + SPECIAL DISC(Blu-ray) + SPECIAL BOOK]

 若い子たちの音楽ばかり聴いていた一年だけれど、せっかくだから最後にこの人たちを。

 今年の三月にリリースされたサザンオールスターズの十年ぶり、通算十六作目の最新アルバム。

 とかいいつつ。失礼ながら、僕はこのアルバムにまったく期待していなかった。

 先行シングルとして配信されていた『恋のブギウギナイト』『桜、ひらり』『盆ギリ恋歌』『歌えニッポンの空』などがどうにも好きになれなかったから。

 どれもサザンらしいといえばらしい曲だけれど、音作りが人工的すぎて、僕の趣味にはあわない。

 かろうじていいなと思えたのは『ジャンヌ・ダルクによろしく』と『Relay~杜の詩』くらい。それだって単発で聴いている限り、かつての曲ほどには夢中になれなかった。

 まぁ、とはいっても、わが青春のバンドと呼んでしかるべきサザンの新譜だ。聴かないわけにはいくまいと、迷わずにCDは買いました。そしていざ聴いて驚いた。

 いや、よくない、このアルバム?

 前述した楽曲が中心の序盤は、あぁ、やっぱりなぁって感じなのだけれど、原坊が歌う『風のタイムマシンにのって』や、大谷翔平の名前が歌詞に出てくる『夢の宇宙旅行』など、あ、意外といいかもって曲を経たあと、終盤になってこのアルバムのクライマックスと呼ぶべき二曲がやってくる。

 それが『悲しみはブギの彼方へ』と『ミツコとカンジ』。

 なに、このリトル・フィート・ファン丸だしな『悲しみはブギの彼方へ』って曲は?

 ――と思ったら、それもそのはず。これがデビュー前のアマチュア時代にやっていた曲だそうで。いまさらマジか?

 つづく『ミツコとカンジ』(アントニオ猪木夫妻のことですよね?)は新曲だけれど、これまたその曲のテイストを踏襲した、オールド・スタイルのサザン・ナンバー。まさかそんなタイトルの曲に魅了されようとは予想もしなかった。

 初回限定盤についてきたボリュームたっぷりのインタビューによれば、大半の曲は桑田佳祐が片山敦夫らとスタジオで最新のレコーディング技術を駆使して緻密に音を組み立てたものなのに、この二曲はサザンのメンバーが一堂に会して、普通にバンドとしてレコーディングされたらしい。なるほど、気持ちがいいいわけだ。やっぱバンド・サウンドはこうでないと。

 ほんとこれだよ、これ。これこそ僕がずっと聴きたいと思ってきたサザンの音だぁ~!――と大盛り上がりだった。

 この二曲から、これまたピアノがフィーチャーされた『神様からの贈り物』を経て、配信シングルではもっとも感動的だった『Relay~杜の詩』で終わるという。この締めの部分が文句なしに素晴らしい。終わりよければすべてよし。こんなにあと味のいいサザンのアルバムはひさしぶりだ。

 とにかく、なにはともあれ、僕と同世代のサザンファンだったら、『悲しみはブギの彼方へ』と『ミツコとカンジ』の二曲だけは絶対に聴くべし。嬉しくて頬が緩むこと間違いなしです。ぜひ。

(Dec. 23, 2025)

プレイグラウンド

リチャード・パワーズ/木原善彦・訳/新潮社

プレイグラウンド

 リチャード・パワーズ三年ぶりの最新作。

 今回の作品では時系列の異なる三つの物語が同時進行で語られてゆく。

 メインとなるひとつめの舞台はマカテア島というポリネシアの島。かつてはリン鉱石が取れたことで栄えたものの、資源の枯渇とともに衰退(ここまでは実話)。現在は過疎化して、住民が八十人くらいしかいないこの島に、新たな開発事業の話が持ち上がる。その是非をめぐる住民投票の顛末が、群像劇として、最新時間軸で描かれる。

 ふたつめはその島で子供ふたりと暮らすアメリカ人夫婦、ラフィ・ヤングとイナ・アロイタ、そして彼らとかつて親密な関係にあったIT長者、トッド・キーンの物語。

 貧乏家庭に生まれた黒人のラフィと大富豪の息子トッドがいかに知りあって親友となったか、ポリネシアからの留学生だったイナとラフィが出逢ったことから、彼らの関係がどのように変わっていったかが、認知症が進行しつつあるトッドの回想談として、一人称で語られてゆく。

 最後はトッドが幼いころに憧れた女性海洋生物学者、イーヴリン・ポーリューの話。この人も現在はマカテア島の住人で、海で死ぬのが本望とばかりに、九十二になってなおスキューバダイビングに精を出す元気なお婆さん。女性学者の先駆けとして道なき道を歩んできた彼女の波乱に富んだ人生が幼少期までさかのぼって綴られている。

 博覧強記なパワーズのことだから、海洋生物学やAIや囲碁の話など、ディテールの蘊蓄うんちくもたっぷりだけれど、とにかく以上の三つの物語がどれもおもしろい。

 まぁ、それらが最後にどのように結びついてゆくのかと思っていたら、「え、それってあり?」と思うような落ちがつくのには、ちょっとだけ釈然としなかったけれども。

 それでもかつての作品ほどの難解さはないし(まぁ、だからといってすべてが理解できたといえないところが情けない)、読み物としてはとても楽しめました。

 きちんと読み取れなかった点も多々あったので、これはいずれ再読しないといけない。――というか、パワーズの作品はすべて一度といわず何度でも読み直したい。

(Dec. 18, 2025)

Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-

V.A. / 2025

Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-

 RADWIMPSデビュー二十周年を記念してリリースされたトリビュート・アルバム。

 参加アーティストの豪華さゆえ、リリース直後にこのアルバムの収録曲が配信チャートの上位を独占したことでも話題になったけれど、僕にとってもこれは本当に特別なアルバムだった。こんなにリリースを心待ちにしたトリビュート盤は初めてだ。

 だってさ。

 宮本浩次とずっと真夜中でいいのに。

 この両方の名前が一枚のアルバムのクレジットに並んでるんだよ?

 そんなものを目にする日が来ようと誰が思うかって話で。

 だって接点がなさすぎでしょう?

 いや、村山☆ジュンとか佐々木コジロー貴之とか、サポートメンバーはかぶっているとはいえさ。

 そもそもトリビュート・アルバムって、そのアーティストを好きなバンドが参加するもんだよね? ACAねはSNSで『なんでもないや』を弾き語りしていたりして、思春期にRADWIMPSの音楽を浴びた世代なんだろうから、参加していてもなんら不思議はないけれど、宮本は絶対にRADWIMPSなんてまともに聴いてないよな?

 噂で聞いた話だと、アーティストの選定にはラッドのふたりは絡んでないそうなので、つまりバンドのスタッフかレコード会社の担当者が、宮本に参加を打診したということなんだろう。その人たちにとっては、宮本は上の世代の代表として、ラッドにつらなるアーティストのひとりとみなされたということだと思われる。

 なるほど、それならばわからないでもない。僕自身の感覚でも、両者は確実につながっているから。どちらもこの世界とうまくコミットできないことに深い孤独感を抱きながら、その破格の音楽の才能によって、自らと他者の両方を救いつづけてきたアーティストだ。それは、ずとまよにも同じことがいえる。

 エレカシとラッドとずとまよ。この三つのバンドは、僕の人生においては、間違いなく現時点での日本人アーティストのトップ3だ(まぁ、最近の宮本には全面肯定しにくいところがあるけれど。それはまあ置くとして)。

 このアルバムではそんな三つのバンドの名前が一堂に会している。

 ――のみならず。

 ここにはさらに、米津玄師、ヨルシカ、YOASOBIまで参加しているんだよ?

 現時点で名実ともに日本一のアーティストと呼んでしかるべき米津玄師に加え、バンド名に「夜」が入っていることから「夜好性」と称される、同時期にデビューした三バンド、ずとまよ、ヨルシカ、YOASOBIが勢ぞろいしているという意味でも話題性は十二分。

 ほかにも上白石萌音、SEKAI NO OWARI、Vaundy、ハナレグミ等、僕のライブラリに一応名前があるアーティストも多数参加(上白石さんは洋次郎とn-bunaが提供した曲を繰り返し聴いています)。さらにはいま日本一売れているバンド、Mrs.GREEN APPLEまでが加わるというね。

 これが特別でなかったらなにが特別だって話だ。

 このメンツだけでも十分なサプライズなのに、ここでは宮本がさらなるサプライズをかましてくれる。『おしゃかしゃま』なんて難しい曲を選んだだけでも驚きなのに、クレジットをみたら、そこにはH ZETT Mの名前が!(東京事変初代メンバーのヒイズミマサユ機です念のため)。プロデュースには宮本とヒイズミと村☆ジュンの名前が並んでいる。さらにさらに。演奏者のなかには、ずとまよの『機械油』でお馴染みの津軽三味線の小山豊の名前まである。

 いったいこのメンバーでどんな音を出しているんだと思ったら、いきなり三味線から始まる和風ダンスビートなアレンジはもとより、宮本のこれまでになく抑えの効いたボーカルが最大の驚きだった。多重録音されていて、裏ではいつものシャウトが聴けるけれど、表面は抑制しまくりの淡々とした調子。なにその歌い方? うちの子からは「宮本さんってこんなに静かな声が出せるんだ」と言われていた。これまでに一度も聞いたことのない宮本浩次がそこにいた。もうびっくりだよ。

 アルバム参加者の中で最年長者である宮本が、若い子たちにまじりながら、そんな風に「もっともアグレッシブな姿勢で音楽と向き合っているのは宮本なのでは?」と思わせる新機軸を打ち出してきているというだけでも、宮本ファンは絶対に聴いておくべき一枚だと思う。まぁ、好き嫌いはわかれる気がするし、僕自身も最初なんだこりゃって思ってしまったけれど(でも繰り返し聴いているうちに、これはこれでありかもと思うようになった)。

 あとはやっぱ、ずとまよが素晴らしいです。宮本には悪いけれど、『有心論』のカバーがこのアルバムではいちばん好き。鍵盤主体でストリングスをフィーチャーした高速アレンジはこれぞずとまよの真骨頂。ACAねのボーカルが自身の歌を歌うときよりもエモーショナルに聴こえるのは、きっと洋次郎の歌詞のせいだろう。いいもの聴かせてもらいました。

 そのほか、米津玄師が『トレモロ』でオリジナルを踏襲したカラオケかってくらいにまったくひねりのないカバーを聴かせてきたのにも意外性があったし、ヨルシカの『DARMA GRAND PRIX』(言われてみると見事にn-bunaらしい曲だった)でsuisがボーカリストとしてまた新しい表情をみせているのもヨルシカのファンとしては聴きどころのひとつ。参加者のうちで唯一名前しか知らなかったMy Hair Is Badは『いいんですか?』に意外なマッシュアップを加えてみせた発想が秀逸だった。アイディア賞はこの人たち。

 そんな風に聴きどころの多いアルバムだけれども、僕の個人的な好みを越えて、このアルバムでいちばんすごいと思ったのは、Mrs. GREEN APPLEだった。

 トリビュートという祝祭空間において『狭心症』なんて極北な曲に手を出すとは、ずいぶん怖いもの知らずだなと思っていたら、どうやら覚悟なしでその曲を選んだわけではなかったらしい。ボーカルの表現力もアレンジの出来映えも最上級。これ以上ないだろうって完璧なカバーに仕上がっていて驚いた。

 なによりオリジナルの息が苦しくなるような切実さが薄れて、あの重い曲がシリアスさを失わないまま、ちゃんとポップソングとして聴けるようになっているのがすごい。どんな曲でもポップスならしめるセンスという点では、ポール・マッカートニーに通じる才能を感じた。この人たちの人気はちゃんとした実力に裏打ちされているんだなと思いました。いやはや、恐れ入った。

 そんなわけで、参加者のメンツ的にも、収録曲の完成度的にも、間違いなく史上最強のトリビュートアルバムではと思います。

 ――そう。思うのだけれども。それなのに。

 これを聴くと、どうしたってRADWIMPSのオリジナルが聴きたくなってしまう。

 宮本はがんばっているし、ずとまよは大好きだし、ミセスもすごいとは思うんだけれど、これらの楽曲を聴くにあたっては、どうしたってオリジナルには敵わない。野田洋次郎のボーカルがないともの足りない。

 そんな風に、いまが旬ってアーティストたちの演奏を通じて、結局はRADWIMPSというバンドの魅力を再確認させられることになった一枚。

 とりあえず二十周年おめでとう!

(Dec. 15, 2025)

鹿島アントラーズ2-1横浜F・マリノス

J1・第38節/2025年12月6日(土)14:00/メルカリスタジアム/DAZN

 やっったああぁーーー、9年ぶり9度目のリーグ優勝! 通算21冠達成!!

 いやぁ、鬼木すごいわ。2018年にACLで優勝して20冠を達成してからの7年間、誰にも成し遂げられなかったリーグ制覇を、就任1年目にして実現してしまうのだから。マジ名将。まちがいなく森保退任後の日本代表監督候補の筆頭だろう。だとすると来年の夏にはお別れってことなってしまう。それは困った。

 でもまぁ、素晴らしいのは中田浩二もだ。フットボールダイレクターに就任してチームの強化責任者となってすぐ、鬼木を招聘して、レオ・セアラ、小池、キム・テヒョンらを補強、荒木、松村もレンタル先から呼び戻して、シーズン途中で怪我人が出ると、即座に小川諒也やエウベルを獲得してみせた。彼ら新戦力がいてくれたからこその優勝だ。フロントって大事なんだなぁって思った。

 鹿島がみごと優勝を決めたこの最終節のスタメンは、GK早川、4バックが濃野、植田、キム・テヒョン、小川、ダブルボランチが知念と三竿、二列目に松村、荒木、優磨を配して、レオ・セアラのワントップという布陣。途中出場は田川、小池、津久井の3人だけだった。

 優勝のかかったこの大一番に荒木、松村をスタメン起用してきた鬼木はさすがだった。この先のことを考えれば、このふたりに自分たちがチームを優勝へ導いたという成功体験をさせるのは、とても大事なことだから。

 実際にふたりはこの試合で大きな仕事をしてみせた。荒木は先制点、松村は追加点のアシストを決めている。松村は1点目にも絡んでいるし、守備でも気合のこもったプレーを見せてくれていて最高だった。この日のMVPはレオ・セアラで文句なしだけど、僕の選ぶ陰のMVPは松村。きょうみたいなプレーができるならば、来年はレギュラー確保も夢じゃないだろう。

 でもまぁ、彼らが作ったチャンスをきちんと決めて、この日2ゴールで得点王を確実にしたレオ・セアラはさすがだった。結果的にはノーゴールでも得点王だったわけだけれども。彼の21ゴールが今年の栄冠をもたらしたのは間違いなし。移籍してきてくれてありがとう!

 もちろん優磨もね。この試合ではそれほど目立っていなかったけれど、一年間最高のプレーを見せてくれた。今年の年間MVPが彼でなかったら驚きだ。

 いや、でも今年よかったのは彼らだけじゃない。守っては早川がスーパーセーブを連発して、日本代表デビューを果たすまでになったし、植田直通は全試合フル出場・警告なしという素晴らしい成績を残した。関川の故障後に相棒をつとめたキム・テヒョンも成長著しく、この試合でもハイボールを跳ね返させたら、向かうところ敵なしの勢いだった。ボランチと両SBもローテーション気味の起用にめげずにがんばってくれた。

 そういや、今年は前半の出来が悪い試合が多かったのに、この試合は珍しく前半からよかった。マリノスの守備が最近の相手よりも緩かった、というのもあるのかもしれないけれど(降格争いに巻き込まれたわけがわかった気がした)、それでも序盤からボールを支配して、前半は相手のシュートをゼロに抑える安定ぶり。おかげでレオ・セアラの先制点が生まれてからは、安心して観ていられた。まぁ、後半ロスタイムに途中出場の天野にゴールを許すまでは。最後がちょっと締まらなくて、いささかはらはらしてしまったけれども、でもまぁ、それもいい経験だ。終わりよければすべてよし。最高のシーズンの終わり方だった。

 優勝を決めたあと、優磨が植田と三竿に抱きついて泣いていたのには、さすがにこちらも涙を誘われた。優勝監督インタビューでの鬼木の晴れ晴れとした表情もよかった。やっぱプレッシャーすごかったんだろうなぁって思った。ほんといい顔してました。お疲れさま。

 今になってこんなことを言うとあとだしジャンケンみたいだけれど、今年は3連覇したころに近い感じがあった。あの頃も決して最強って感じではなかったのに、不思議と結果がついてきていた。今年もそう。ことやっているサッカーに関しては、柏、広島、町田なんかのほうが完成度は高くて、鹿島より強いんじゃないかと思っていたのに、結果的に頂点に立ったのは鹿島だった。

 数えてみたら、全23勝のうち、2点差以上つけて勝ったのは7試合しかない。つまり残りの7割は1点差の勝利だったわけだ。ドローも含めれば、8割以上が1点差以内。そういうあたりもこれぞ鹿島の伝統って気がする。

 まぁ、でも今年はまだ鬼木がやりたいサッカーには程遠い内容だったんだろうし、来年以降、チームがとう変わってゆくのか大いに楽しみだ。――って、だからこそ、マジで日本代表監督として引き抜かれそうなのが気がかり。代表監督を任すのは、願わくばあと4年後にして欲しい。よろしく。

 裏では柏も勝ったので、結局最終的な勝ち点の差はわずか1(あぶねー)。いやぁ、ほんと最後まで厳しい戦いだった。京都が3位で終えたのもすごい。この2チームは監督が変わらないんだろうし、来年はなおさら厳しい戦いになりそうだなぁ……。

 ということで2025年のJ1はこれにて終了。優勝は鹿島で、2位・柏、3位・京都。降格は横浜FC、湘南、新潟の3チーム。昇格は水戸、長崎に、プレーオフ準決勝を勝ち抜けた千葉、徳島のどちらか。千葉が昇格すると、ひさしぶりにJ1にオリジナル10が揃うそうなので、がんばって昇格してきて欲しい(ごめん徳島)。

 来シーズンは半年たらずの百年構想リーグを挟んで、8月からの開幕。優勝してACLの出場も決まったし、忙しい一年になりそうだ。

(Dec. 09, 2025)



【相棒】
しろくろや

【Shortcuts】
音楽 作品 / ライブ / 会場 / 購入 / エレカシ
作品 / 作家 / 翻訳家 / 出版社 / 読了 / 積読
映画 作品 / 監督 / 俳優 / / シリーズ / ドラマ
蹴球 鹿島 / Jリーグ / 日本代表 / W杯

【新譜】
01/07あまりもの / 奥田民生
01/14Cry High Fly / aiko
01/23Somebody Tried To Sell Me A Bridge / Van Morrison
02/06Tenterhooks / Silversun Pickups
02/20Prizefighter / Mumford & Sons
03/04二人称 / ヨルシカ
03/11禁じ手 / 椎名林檎
03/20The Mountain / Gorillaz
06/10I AM HERO 「俺と、友だち」盤 / 宮本浩次
06/10I AM HERO 「最高の日、最高の時」盤 / 宮本浩次

【コンサート】
12/27RADWIMPS@有明アリーナ
01/10宮本浩次@日本武道館
02/28ずっと真夜中でいいのに。@日本武道館
10/28BUMP OF CHICKEN@有明アリーナ

【新刊書籍】
01/07『消失』 パーシヴァル・エヴェレット
02/26『書簡型小説「二人称」』 n-buna

【準備中】
12/22ずっと真夜中でいいのに。@東京ガーデンシアター
12/25忍法相伝73

【過去のコンテンツ】
Coishikawa Scraps Bootleg 2.0