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日本2-1ウズベキスタン

アジアカップ・グループF/2019年1月17日(木)/ハリーファ国際スタジアム(アラブ首長国連邦・アルアイン)/BS1

 森保一の得意技か?──就任半年にして二度目のスタメン(ほぼ)総入れ替えでのぞんだアジア杯グループリーグの第三戦。
 この日のスタメンはGKシュミット・ダニエル、DF室屋、三浦弦太、槙野、佐々木、MF塩谷、青山、伊東純也、乾、FW北川、武藤の11人。
 ということで、前の試合から連続出場したのは北川だけ。グループリーグ突破は決まったとはいえ、ここまで大胆なスタメン変更は珍しかろう。相手からなめてんじゃねーって怒られそう。
 でもこんなことができるのも、森保が日本代表の戦力について熟知しているからこそ。だってこのメンバー表を見て、代表にはふさわしくないと思う選手なんていないわけで。監督が違ったら、こちらがファースト・チョイスになってもおかしくない選手ばかり(──ってまぁ、僕ならば槙野は選ばないけれど)。観ているこちらも、こんな代表で大丈夫かとは思わない。
 実際にこの日の代表は、前の試合よりもいいサッカーを見せてくれた。乾とか、これまで森保に呼ばれなかったことに発奮して大暴れしてくれるかと思ったら、意外とめだっていなかったのは拍子抜けだったけれど。でも即席チームでちゃんと勝ちきった点だけでも十分だ。
 まぁ、ドローで終わって2位に甘んじると、次の対戦相手はオーストラリアだったので──そして準決勝で韓国と、決勝でイランと戦う公算が大なので──個人的にはそっちの山に入ったほうがおもしろいかなと思っていたんだけれど。首位通過できるのに、しないで欲しいというのもなんなので、結果オーライ。
 試合は前半残り5分になってウズベキスタンに先制を許すも、そのすぐあと武藤のヘディングで同点に追いつき、後半途中に塩谷の美麗なミドルシュートが決まって勝ち越し、そのまま逃げ切るという内容。
 ウズベキスタンのゴールは14番のシュムロドフという選手のもので、右サイドの突破から、最後は槙野と佐々木(かな?)のふたりのマークを受けながら、右のアウトサイトでこつんと技巧的なフィニッシュを決めてみせた。
 シュムロドフ、長身で体幹ががっしりしていて、センス抜群な感じがあるのがストイコヴィッチっぽかった。グループリーグの3試合で4得点もしているそうだし、まだ23歳だとのことなので、将来有望そう。
 その後の武藤の同点ゴールは室谷のクロスから。それまで攻めあぐねていたのが嘘みたいにあっさりと決まってしまって、なにそれって感じだった。
 塩谷の決勝ゴールは、それ自体は大会随一かってビューティフルさだったけれど、そのときに倒れていた相手選手がいたのが珠にきず。ルール上は問題ないとはいえ、いまいち気分がすっきりしない。
 この日は途中出場のカードを3枚使ったけれど、出てきたのは原口、遠藤航、冨安で(冨安は最後の1分足らず)、特に交替が効果的だったとも思えず。あいかわらず森保の途中交替の策には疑問が残る。
 さて、ということで次からはサドンデスの決勝トーナメント。最初の相手はサウジアラビア。次はヨルダンかベトナム。でもって準決勝はおそらくイラン。現時点でアジア最強という評判のイランに勝って、決勝戦で韓国と戦うってのがもっとも熱い展開。
 ──はてさて、どこまでゆけますやら。グループリーグの出来をみたかぎりでは、とても安心して観ていられそうにない。
(Jan. 19, 2019)

オマーン0-1日本

アジアカップ・グループF/2019年1月13日(土)/ザイード・スポーツ・シティ・スタジアム(アラブ首長国連邦・アブダビ)/BS1

 勝つには勝ったけれど、それだけ。結果がすべてって試合だった。
 大迫が大会前に悩まされていた臀部の痛みが再発したということで欠場したこの試合。森保がかわりにワントップで起用したのは北川だった。
 北川は前の試合も途中出場していたけれど(書き忘れた)、特別にいい印象があったでもないし、あまりワントップってイメージでもないので、この起用には疑問を感じた。なぜ森保が北川を気に入っているのかわからない。実際にあまり存在感がなかったし、どうせワントップで使うならば僕は武藤が見たかった。 まぁ、武藤は後半途中からその北川と交替で出てきたけれど、あまりインパクトは残せなかったから、スタメンだったからって、活躍してくれたかどうかはわからないけれど。
 そのほかだと遠藤航がスタメンに戻ってきて、冨安が本来のCBに入ったのが前の試合とのスタメンの違い(槙野がベンチ)。
 前の試合とは違って、内容的は前半のほうがよかった。なによりこの日は南野がちゃんと活躍していた。ひとつも決められなかったとはいえ、なぜそれが決まらない?──って思ってしまうようなシュートを何本も打っていた。その点は好印象。反省点は決め切れなかったことだけ。まぁ、勝負は時の運だから、この日の南野と日本代表には運がなかったんだと思う。
 ──もとい。運がなかったのは南野だけ。日本代表は運に恵まれていたから勝てたというほうが正しい。決勝点のPKは主審がほかの人だったら取らなかっただろうし、長友のハンドだって、あれは絶対にPKだ。そのふたつの判定が逆転していたら、日本が負けていた可能性だってあったわけで。あぶねぇったらありゃしない。
 個人的に注目している柴崎は、やはりこの日もいまいち。前の試合よりもボール・タッチ数が少なくて、さらに存在感がなかった。セットプレーのキッカーを任されているので、ひとつくらい決めておけばまた印象も違ったんだけれど、いまのままだとなぁ……。
 とりあえず2連勝で決勝トーナメント進出が決まったので、次の試合は大幅にスタメンを入れ替えてくる可能性が高いから、おそらく次の試合、柴崎は出番なしだろう。もしもその試合で青山がいいプレーをするようならば、この先はそのままずっとベンチなんてこともありそうな……。
 なんにしろ、マレーシアの主審の不安定な笛に助けられて勝ったって印象の、どうにも気分がすっきりしない試合だった。
 そうそう、もうひとつ納得がゆかないのは森保の交替策。前の試合では北川ひとりしか使わなかったし、この日も武藤と伊東純也のふたりしか使っていない。どちらも1点差の試合だったから、動きにくかったのかもしれないけれど、乾とか塩谷とか、今回のチームには初招集の選手もいるんだから、少しでもプレーするところが見たかった。
 そういう意味ではウズベキスタンとグループ首位を賭けて戦う次の試合で、森保がどういう選手起用をしてくるのかは要注目だ。
(Jan. 14, 2019)

スリー・ビルボード

マーティン・マクドナー監督/フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル/2017年/アメリカ/WOWOW録画

スリー・ビルボード (字幕版)

 これは傑作。娘を殺された母親が、犯人がいつまでたっても捕まらないことに業を煮やして、郊外の広告看板に警察署長を責める広告を打って出たことから巻き起こる騒動をていねいに描いてゆく。
 この映画はとにかく人物の描き方がばつぐんに上手い。
 こういう設定だとウディ・ハレルソン演じる警察署長が悪役になりがちだけれど、ここでは人望の厚い、とてもまともな人物として描かれている。しかもガンをわずらっていて、余命幾ばくもないという設定で同情心をあおりつつ。
 逆に主人公のフランシス・マクドーマンドが、けっこう問題ありな人物だったりする。娘の死を引きずるのも、深い愛情ゆえというよりは罪悪感のなせる業のようだし。怒りのあまり火炎瓶投げちゃうにいたっては、単なる犯罪者だ。
 もうひとりの重要キャラがサム・ロックウェル演じる悪徳警官で、この人は短気で切れやすいレイシストで、序盤は単なる嫌なやつとしか思えない。そんな彼がまさか終盤になってあんな活躍をしてみせようとは……。
 その三人を中心に、脇役たちのひとりひとりまでがきちんと、それぞれ長所と短所を兼ね備えた人物として描かれる。単なる善人だとか、悪人だとかって、ひとことで割り切れるほど、人間って単純じゃないよねって。そんな視点のもとで織りなされる人間模様は、ひとことでは表現できない複雑な模様を描き出す。
 全体的にギスギスした空気の漂ういびつな物語なんだけれど、そのなかに時折ふと、なにげない優しさがすっと差し伸べられる瞬間がある。その感触が素晴らしい。
 新年一発目からとてもいい映画が観られてよかった。
(Jan. 06, 2019)

日本3-2トルクメニスタン

アジアカップ・グループF/2019年1月9日(水)/アール・ナヒヤーン・スタジアム(アラブ首長国連邦・アブダビ)/BS1

 さぁ、アジア最強の座をかけた四年に一度の大会、アジアカップが始まった。
 でも中島翔哉がいない(泣)。
 クラブで怪我をしたんだそうだ。かわりに乾が招集されたけれども、森保ジャパンは中島がいるのといないのでは、まったく違うチームになりそうで嫌だなぁ……と思っていれば、やはり緒戦の出来はいまいち。正直、前半を0-1で終わったときには負けるかと思ったよ。いやぁ、アジア杯っていつもこんなだよなぁ……。
 今回は非常に故障者が多く、中島以外にも浅野、守田が離脱して、武藤よっちと塩谷が追加招集されている(塩谷、ひさしぶりだな~)。さらには遠藤航、青山らも体調不良でこの日は出られないという話だった。
 ということでスタメンはGK権田、DF酒井(高徳が代表引退を宣言したから今回からは酒井といえば宏樹)、麻也、槙野、長友、MF柴崎、冨安、堂安、南野、原口、FW大迫というメンバー。
 なんと冨安がボランチでの出場ときた。でもこの子はすごいなー。二十歳とは思えない堂々たるプレーぶり(ちょっとミスもあったけれど)。守備の子かと思っていたら、シュートもいいもの持っているし。とても自分の子と同い年とは思えない(見た目も)。五輪代表をすっとばして、あっという間にA代表に定着してしまいそう……というか、すでにはずしようがない印象あり。
 試合は前半、5バックでしっかりと守ってきたトルクメニスタンに手を焼いて、ほとんどいいところがなかった。でもって相手の7番に豪快なミドル・シュートをくらって先制を許してしまう。
 この失点は形が悪かった。こちらの攻めでなんかちょっとだけいい感じでボールがつながるようになったかな?――と思った瞬間に、堂安からの鋭いパスを柴崎が受けそこない、相手ボールにしてしまう。そこからの相手のカウンター、右サイドでのパス交換に様子見って体勢でいたら、ちょっと油断したすきに、どかーんと一発。すごいのをくらってしまった。
 このシーンが顕著だったけれど、柴崎がやはり今回もいまいち。果敢に縦パスを通そうとするのはいいけれど、引っ掛けてばかり。ワンタッチの無難なバックパスが多かったし、守備でのミスも目立った。まぁ、何度か素晴らしいパスを通したシーンもあったから、大会期間中に試合勘を取り戻して、本来のプレーを見せてくれるといいなと思う。でもいまの調子だと、青山や遠藤が戻ってきたら、この先スタメンでどれだけチャンスがもらえるか、怪しい気がする。
 さて、そんなわけで前半はあまりに不出来でどうなることかと思ったけれど、後半に入るとわずか15分で逆転してみせたのは立派。だてに優勝候補といわれちゃいないところを見せてくれた。
 同点弾、逆転弾はどちらも大迫。1点目は原口が左サイドから入れたボールをゴール正面で受けて切り替えし、見事なタッチでシュートへと持っていった。2点目は長友がゴール近くで相手の連携ミスをついて、ちょこんと蹴り出した先にフリーで詰めていた。
 前半は中盤まで下がってボールを受けるシーンが目について、ほんとにFWかって感じだったけれど、後半はしっかりFWらしい仕事をしてみせてくれた。いまだに大迫が日本代表のエースだといわれてもぴんとこないんだけれど、大事な緒戦で2ゴールの活躍はお見事でした。
 そのあと堂安にもゴールが生まれて、これで楽勝~かと思ったら、終盤にまたもやミスで招いたピンチからPKを与えてしまい、1点差に追い上げられて、最後の10分くらいはひやひやの展開。なんとかそのまま逃げ切れてよかった。
 柴崎もいまいちだったけれど、南野にまったく存在感がなかったのも気がかり。中島がいない大会だからこそ、南野には俺がエースだって活躍を期待しているんだけどな。まぁ、まだ最低でもあと3試合はあるはずだから、徐々に調子を上げれくれればと思う。
 トルクメニスタンはまったくなじみのない国ながら、イラン、アフガン、ウズベキスタンやカザフスタンと隣接した国とのことで、出来は意外と悪くなかった(少なくても前半は)。数こそ多くなかったけれど、シュート・シーンの迫力では日本を上回っていた気がする。このグループでいちばん弱いのがこの国だとしたら、この先も楽観はできなさそうだなぁ……。前回王者のオーストラリアも黒星発進だそうだし、やっぱアジアも年々、実力差が狭まってきているのを実感する。
 そういや、大会とは関係ないけれど、試合の前日に楢崎と中澤があいついで引退を発表した。小笠原や川口につづいて日本代表のレジェンドたちが次々と去ってゆく一方で、堂安や富安ら、若い選手たちが台頭してくる状況には、否応なく時代の変化を感じる。
(Jan. 09, 2019)

魔術の殺人

アガサ・クリスティー/田村隆一・訳/クリスティー文庫/早川書房/Kindle

魔術の殺人 (クリスティー文庫)

 ミス・マープルが女学生時代の友人の屋敷に滞在して、その家で巻き起こった殺人事件を解決する話。
 物語は「あの家でなにかよくないことが起こりそうだから、あなた助けに行ってあげてちょうだい」と別の友人から頼まれたマープルさんが、貧乏して生活に苦しんでいるという口実で、キャリイ・ルイズという旧友のもとに身をよせるところから始まる。でもって、クリスティーお得意のパターンで、全体の三分の一くらいかけて、その家の人間模様をじっくりと描いてゆく。
 やがてその家の主人が興奮した精神病患者の青年に書斎に閉じ込められて、拳銃を突きつけられるという事件が起こる。二発の銃弾が発射されるも、弾はそれて被害なし──のはずが、その最中に別の部屋で訪問客のひとりが射殺されていたことがわかる。
 密室での騒動の裏で殺人があったって時点で、読者としてはどうしたってその部屋にいたふたりを疑わずにはいられないわけだけれど、でもそのあとキャリイ・ルイズが毒殺されるのではと被害者が心配していたことがわかり、実際に砒素が見つかるにいたって、彼女の夫(密室にいた片方)が愛する妻を殺そうとするはずがないとマープルさんが断言する。
 あれ、じゃあ犯人は誰?――と思わされた時点で僕の負け。『魔術の殺人』なんてタイトルなのだから、そこに手品的なトリックがあることが明らかなのに──原題は『They Do It with Mirrors』で、意訳すると「彼らは手品に鏡を使う」──、僕にはそれが見抜けなかった。まぁ、「魔術」というほどのトリックではないので、やや名に偽りありな気がしちゃうけれど。
 僕自身はトリックを見抜けなかったのにこんなことをいうのもなんだけど、やはりクリスティーのミステリとしては平均的な印象なので、謎解きうんぬんよりはむしろマープルさんと旧友とのやりとりに漂う同窓会的な温かみがいちばんの読みどころかではないかと思います。
(Jan. 06, 2019)


【相棒】
しろくろや

【過去のコンテンツ】
過去の噂

【Shortcuts】
音楽 CD/DVD / コンサート / エレカシ / 購入CD
作品 / 作家 / 翻訳家 / 読了 / 積読 / クリスティ
映画 作品 / 監督 / 俳優 / 公開年
蹴球 日本代表 / Jリーグ / 鹿島 / W杯

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02/20『ワカコ酒(12)』 新久千映
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