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Recent Notes

  1. Versatile / Van Morrison
  2. The Visitor / Neil Young
  3. Pacific Daydream / Weezer
  4. Colors / Beck
  5. RESTART/今を歌え / エレファントカシマシ
    and more...

Versatile

Van Morrison / 2017 / CD

VERSATILE [CD]

 前作『Roll With The Punches』からわずか四ヶ月という短いインターバルでリリースされたヴァン・モリソンの最新作。
 その前作が(二曲目の『Transformation』がいかにもヴァン・モリソンってバラードだったのを例外として)「ド」がつくほどのブルース・ナンバーばかりが並んだカバー・アルバムだったと思ったら、つづく今作もホーン・セクションを従えてオールディーズを中心に歌った同じような性格のアルバムだった。
 つまりストーンズの『Blue & Lonesome』や、ポール・マッカートニーの『Kissed On The Bottom』、ディランの最近の三枚とかのヴァン・モリソン版。この世代の人たちは誰もが年を取ってから若かりし日に愛した音楽をみずから再現してみたくなるものらしい。
 ただ、ヴァン・モリソンがほかの人たちと違うのは、それが純然たるカバー・アルバムではないところ。前作のタイトル・ナンバーはオリジナルだし、このアルバムの一曲目もそう。どちらのアルバムにも、カバー曲に混じって自身の曲が入っている。それも新曲だけではなく、昔の曲のリメイクもある。
 要するに新旧、自他を問わず、歌いたい歌を歌いたいように歌っているということなんだろう。でもってそれらの曲が全部、違和感なくヴァン・モリソンの音楽になっているところがやはりさすが。
 『Keep Me Singing』ではずいぶん枯れちゃったなぁと思わせたヴァン・モリソンだけれど、この二枚ではそんなこともなく、とても元気で楽しそうだ。やっぱ好きな音楽を自由にやっているからでしょうかね。このままずっと元気でいて欲しいです。
(Jan 28, 2018)

The Visitor

Neil Young + Promise of the Real / 2017 / CD

THE VISITOR [CD]

 ニール・ヤングがウィリー・ネルソンの息子ルーカスのバンド、プロミス・オブ・ザ・リアルと組んで録音した二枚目のスタジオ・アルバム。
 前作ではニール・ヤングらしからぬギター・アンサンブルが新鮮だったこのコラボだけれど、あいだに一枚ライブ盤の『Earth』をはさんだことで──つまり一緒にツアーをまわって親睦を深めたことで?―─なにやらスタンスが変わったみたいだ。このアルバムの音はまるでニール・ヤングのソロやクレイジー・ホースとの共作と変わらない感触に仕上がっている。つまり今回はまったく違和感なく、これぞニール・ヤングと思える音が聴ける。少なくても僕個人の印象としてはそう。
 ニール・ヤングという人は本当にいい耳を持っているんだろう。この人の作品って、作品によっていろいろと方向性は変わるけれど、音響的な面ではつねに一定の水準を超えていて、退屈を感じさせることがない。ポール・マッカートニーさんなんかだと音響的にコンサバすぎて刺激が足りないと思うことが多いのに、ニール・ヤングの作品でそう思ったことってほとんどない気がする。
 このアルバムでも、一曲目のノイジーなギター・サウンドから、『Children of Destiny』でのオーケストラをフィーチャーしたぶ厚い音作り、十分を超えるラスト・ナンバーでのアコギの穏やかな響きまで、楽曲ごとに多種多様な音作りをしながら、アルバム全体では一本芯の通った統一感がある。で、それがいま現在鳴っていてしかるべきロック・サウンドとして僕の耳には届く。
 何度目かわからないけれど、やっぱりニール・ヤングっていいよなぁと思った。
(Jan 28, 2018)

Pacific Daydream

Weezer / 2017 / CD

PACIFIC DAYDREAM [CD]

 ウィーザーもデビュー当時からつかず離れずで聴きつづけて、はや二十数年。
 ファースト、セカンドを除くとその後は特別に愛着のある作品もないので、Apple Musicで聴けるのならばそろそろCDは買わなくていいかなと思っていたのだけれど、このアルバムは一聴したとたんになぜだかとても気に入ってしまって、結局CDを買うことになった。地球を背景に女の子がブランコに乗っているちょっぴり和風なアートワークも素敵だったので、思わずアナログ盤を買いそうにさえなったりもした。
 いやでもこれ、音楽的にはとくにすごいところはないと思う。というか、旧作と比べてファンの評価は低めみたいだし。それでも僕にはこのアルバムはとても気持ちよかった。ひとつ前のベックの新譜と同じで、この人たちの音楽のポップさにはおいそれとは否定できない魅力がある。
 今作を聴いていてちょっと意外だったのは、思いのほかギターが目立っていないこと。ウィーザーってギター・バンドの印象が強かったんだけれど、このアルバムではあまりギターが前に出ていない。かといってほかの楽器が突出しているでもない。バンド全体のアンサンブルで、持ち前のメロディのよさを引きたてて、心地よく聴かせる感じ。この音の感触ってなんとなくビーチ・ボーイズに近い気がする(そのものずばりの『Beach Boys』なんて曲もある)。
 ウィーザーってデビュー当時から印象はぜんぜん変わらないんだけれど、うかつな僕が気がつかないだけで、じつは音楽的な姿勢に関してはちょっとずつ変化を重ねてきていたりするのかなと思ったりした。
 まぁ、(紅白歌合戦にたとえれば)このところ圧倒的に紅組優勢な僕の音楽ライフにあって、肩ひじ張らないポップさでもって楽しませてくれる白組の中堅バンドって点で、ウィーザーはベックと並んで貴重な存在かもしれない。
(Dec 30, 2017)

Colors

Beck / 2017 / CD

COLORS [CD]

 ベックのこの最新作はとにかくポップ。ラスト・ナンバーの『Fix Me』こそ前作『Morning Phase』に収録されていても違和感のなさそうなバラードだけれど、それ以外の曲──オープニングを飾るアルバム・タイトル・ナンバーの『Colors』からそこにいたるまでのほぼ全曲──が乗りがよくて踊れる曲ばかり。ポップ度に関してはかつての『Midnite Vultures』と双璧を出すのではないでしょうか。
 ただ、『Midnite Vultures』がファンキー路線で躁状態の吹っ切れてた作品だったのに対して、今回はマイナーの泣きメロが差し色のように入った曲が多い。サウンド的にも『Modern Guilt』みたいに、なんだかわからないけれどすごいって感じはなく、ベックにしては平均的だ。それらの相乗効果でもって、なんとなく歌謡曲的な敷居の低さを感じさせるアルバムに仕上がっている。
 んなわけで音響的な刺激が乏しいぶん、評論家的な目線からすると評価はいまいちって作品かもしれない。でも僕にはこのアルバムの乗りのよさは文句なし。こんな気持ちよく聴けるアルバムを否定できるわけがない。2017年にもっとも楽しんで聴けたロック・アルバムのうちの一枚。
(Dec 30, 2017)

RESTART/今を歌え

エレファントカシマシ / 2017 / CD

RESTART/今を歌え(初回限定盤)(2CD+DVD付)

 エレカシの記念すべき五十枚目のシングルとのこと。もうそんなになるのか、すげーなぁと素直に感心してしまった。
 一曲目の『RESTART』は企画ものの時代劇のタイアップ曲だというのでどんなもんかと思っていたけれど、これが予想外にいい曲だった。『ズレてる方がいい』もそうだけれど、時代劇とのタイアップって、下手にラブソングを意識しなくていい分、宮本に向いているのかもしれない。
 とにかく、このところのシングルの中ではもっともパワフルだし、無骨なリズムと男くさいメッセージが宮本らしくていい。とくにサビの「お陽様は東から、俺はこの場所から」というフレーズが最高にいいっ。
 昔からあてもなくどこかへ行こうとばかり歌っている宮本だけれど、この曲では「俺はこの場所から」と現在地点を明確にすることで、前へ進もうって意志の強さに説得力を持たせることができていると思う。その部分を聴くたびに毎回胸が熱くなる。
 カップリングの『今を歌え』もテレビドラマのタイアップ曲とのことで、こちらは最近のエレカシらしい静かなバラード。これも悪くはないけれど、かといって特別つよくは惹かれず。でもライヴで聴かせてもらったときには、その抑え気味な演奏がとても好印象だった。
 いやでも、とにかく『RESTART』がいいです。ジャケットのアートワークは最近のシングルではもっともかっこいいし、初回限定盤についてくるボーナス・ディスクには僕個人がファンになって以来初めて見逃した今年の野音の音源──それも『曙光』『too fine life』『男は行く』などのエピック・ソニー時代の名曲を含む──が十四曲収録されている。
 三十周年のアニバーサリー・イヤーのとりを飾るシングルとしては出色の内容なのではないかと思います。
(Dec 29, 2017)