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  5. 茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~
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トランスフォーマー/リベンジ

マイケル・ベイ監督/シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス/2009年/アメリカ/Amazonビデオ

トランスフォーマー/リベンジ (字幕版)

 トランスフォーマー劇場版シリーズの第二作目。
 調べてみたら第一作を観たのが2008年だから、続編を観るのはじつに十年ぶり。一作目が特別気に入ったわけでもなかったので、その後はスルーしていたんだけど、気がつけばこのシリーズも昨年公開された最新作でもう五本目になる。これだけ長くつづいているんならば、続編はそれなりにおもしろいのかもと思って、ならばAmazonプライムで観られるうちに観ておこうと思ったんでしたが……。
 あぁ、そういや、こんな映画だったよねと。派手なCGアクションに大仰なシナリオ、安直なギャグの連発という第一作の方向性はそのまま。主人公カップルもいまいち好みじゃないし、ジョン・タトゥーロは好きだけど、ここでの役どころはそれほど魅力的でもない(なんで出てるんだろう)。ということで、やはり観なくても後悔しない作品だったなぁと思ってしまった。
 でもまぁ、変形ロボットのCGアクションを楽しむものと割り切って、ドラマの部分に目をつむれば、それなりに楽しめる映画なのかもしれない(それにしちゃ長すぎるけど)。ここで終わるのも半端なので、懲りずに次回作も観る予定。
(Jun 11, 2018)

デッドプール

ティム・ミラー監督/ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン/2016年/アメリカ/WOWOW録画

デッドプール (字幕版)

 公開中のシリーズ第二作が好評なマーベルの異色作、『デッドプール』の一本目をようやく観た。
 この作品、シモネタ満載の下品な映画ってイメージを勝手に抱いていたら、意外とまともな話でびっくりした。まぁ、主人公の彼女は売春婦って設定だから、濃厚な濡れ場もあるけれど、それでもふたりの関係は極めて純粋。饒舌なギャグとアクションたっぷりの風変わりな恋愛映画という印象で、とてもいい出来だった。
 もうひとつ、個人的に知らなかったから意表を突かれたのは、この作品がX-メンの世界をベースにしていること。
 主人公のデッドプールは人工的に超能力を覚醒された不死身のミュータントって設定で、プロフェッサーXら主要キャラこそ登場しないけれど、見慣れないX-メンのメンバー二人と(不承不承)行動をともにすることになる。X-メンに無理やり加えられそうになったデッドプールが「プロフェッサーXはパトリックか、マカヴォイか」みたいなことを言うシーンがおもしろかった。
 不死身ってだけで特にスペシャルな必殺技を持たないデッドプールは、日本刀を振りまわして銃を撃ちまくる。でもってすごく饒舌でもある。
 そんな主人公のマシンガン・トークと血みどろのアクションが炸裂するこの映画は、マーベルの作品でありながら、どちらかというとタランティーノ作品に近いテイストを持っている。そこも人気の秘訣だと見た。
(Jun 10, 2018)

シャイラク

スパイク・リー監督/ニック・キャノン、ウェズリー・スナイプ、テヨナ・パリス/2016年/アメリカ/Amazonビデオ

シャイラク (字幕版)

 日本ではいまいち人気がないスパイク・リー監督のおそらく現時点での最新作。
 劇場公開されなかったので観る機会はないかと思っていたこの作品、なんとAmazonの制作だとのことで、ふつうにプライム・ビデオに上がっていました。ラッキー。
 とはいえこれ、出来はいまいちだと思う。
 タイトルの『シャイラク』は原題だと CHI-RAQ という綴りで、シカゴの「CHI」にイラクの「RAQ」をつなげた造語とのこと。もともとシカゴのことを CHI-TOWN と呼ぶスラングがあるとのことで、これを受けて、銃器による死者がイラク戦争のときの戦死者並だというシカゴの深刻な犯罪事情を揶揄した、わりと新しいスラングらしい。でもってこの映画では登場人物のひとりの名前でもある。
 ということで、冒頭からそうしたシカゴの悲惨な現実をライムに込めたラップ・ナンバー──歌っているのはシャライク役のニック・キャノンとのこと──を流しながら、真っ黒い画面にその歌詞を引用したシンプルな映像とともにこの映画は始まる。
 スパイク・リーの映画にしては地味で飾り気のないこのオープニングがその後のシリアスな内容を予感させる。そして冒頭から満員のライブハウスでの銃撃戦や、五歳の少女がギャング団の抗争に巻き込まれて死亡するという悲惨な事件がつづけざまに起こるって、やっぱ重い映画だと思わせる──のだけれど。
 こうした状況を前に、対立する黒人ギャング団の片方のボス、シャイラクの恋人であるリシストラタ(テヨナ・パリス)が、殺された少女の母親(『ドリーム・ガール』でアカデミー賞を受賞したジェニファー・ハドソン)の悲しみに心を打たれて、男たちに無益な抗争をやめさせるべく、仲間の女性たちとともに「争いごとをやめないならば、もうセックスはさせない」というストライキを始める……というところから、なんだか雲行きがあやしくなる。
 ここからのメイン・テーマとなるセックス・ストライキというアイディアはスパイク・リーのオリジナルではなく、なんでも『女の平和』というギリシャ喜劇を下敷きしたものなのだそうだ。
 そう、なんとこの作品のベースとなるのは喜劇なのだった。そこがおそらくいちばんの問題なのだと思う。序盤で展開されるシリアスな状況と、いざストが始まってからのある意味お気楽とさえいいたくなる展開とのギャップが僕にはどうにもしっくりこなかった。事態の収拾をはかった主人公カップルが公開セックスでどっちが先にいくか勝負するなんて展開はふざけるにもほどがある。
 この映画ではシカゴで始まったストが世界中の女性のあいだに広がってゆくというくだりがあって、アメリカの女性たちがストの際に連呼するスローガンの No Peace, No Pussy が字幕では「ノー・ピース、ノー・セックス」と意訳されていたので、さて、日本に来たらどうするんだろうと思っていたら、終盤になって注目の日本のシーンもあり。そこでは日本の女性たちが「平和がなければ、エッチもなし」とか連呼してました。その訳はちょっといいなと思った。
 そのほか、シャイ・ライツの『オー・ガール』にあわせて官能的なダンスを踊るシーンとかおもしろかったけれど(この世代の映画関係者ってあの曲が大好きだよね)、でもあれにしたって序盤の重さと対比させてしまうと、浮きまくっている感が否めない。
 カメラ目線で観客に語りかける謎の役どころのサミュエル・L・ジャクソンとか、少女の葬儀で熱烈なスピーチを行う牧師(だか神父)役のジョン・キューザックとか、配役も豪華で見どころも多いだけに、なんだかいろいろと残念な作品だった。
(May 27, 2018)

ONCE ダブリンの街角で

ジョン・カーニー監督/グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ/2007年/アイルランド/Netflix

ONCE ダブリンの街角で (字幕版)

 『はじまりのうた』『シングストリート 未来へのうた』の監督、ジョン・カーニーの出世作。
 父親の掃除機修理店を手伝いながらストリートで弾き語りをつづける中年ミュージシャンが、彼の歌を聴きとめた移民の女の子との出逢いをきっかけに、本気で歌手デビューをめざして旅立つことになるまでを描いた恋愛映画。
 観ていて主演ふたりの年齢差がいまいちよくわからなかったのだけれど、調べてみたらグレン・ハンサードが1970年生まれ、女の子のマルケタ・イルグロヴァが1988年生まれだった。つまり映画公開当時で35歳と19歳(えっ!)。つまりその差は16歳。ひとまわり以上違う。
 『はじまりのうた』のキーラ・ナイトレイとマーク・ラファロも18歳違いだったし、ジョン・カーニーという人には年の離れた女の子になにかトラウマでもあるんだろうか──とか勘ぐりたくなる。
 まぁ、なんにしろこの年齢差が物語のひとつのポイント。さすがにひとまわりも違う女の子にはそう簡単には手は出せない(いや、正確には出そうとするんだけれど、早々に失敗する)。その後は女の子の側がわけありなこともあって、おたがいに想いをよせながらも素直になれないという、もどかしい関係がたっぷりの音楽とともに切なく描かれてゆく。
 映像的にはいかにも低予算って印象の映画ではあるけれど、主演ふたりの微妙な関係や音楽制作にまつわる喜びがとてもビビッドにつたわってくる良作。ジョン・カーニーの作品って悪人が出てこないところがいいと思う。
(May 13, 2018)

茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~

熊坂出・監督/宮治淳一、中沢新一、神木隆之介、野村修平/2017年/日本/BD

茅ヶ崎物語~MY LITTLE HOMETOWN~ [Blu-ray]

 桑田佳祐と中学の同級生だったという音楽プロデューサーの宮治淳一という人がみずからの故郷・茅ヶ崎がなにゆえ桑田や加山雄三らの突出した音楽家を輩出したのかを考察する本を書こうと思いたち、その取材内容を映像化。さらにそこにプラスして、桑田佳祐が彼のプロデュースで初めて人前で歌った高校時代の思い出を再現ドラマとしてつけ加えた変則的なドキュメンタリー・フィルム。
 前半は宮治氏が茅ヶ崎ゆかりの人々の話を聞いてまわり、人類学者の中沢新一が当地の民族学的な分析を語り聞かせるという内容で、非常にNHKドキュメンタリーっぽいつくり。で、後半は神木隆之介演じる高校時代の宮治氏が文化祭でライブハウスをやろうと思い立ち、中学時代の友人である桑田佳祐──演じるのは野村周平(桑田役にしてはカッコよすぎるけど)──をかつぎだして、桑田に音楽家としての第一歩を踏み出させるまでをフィクションとして描いている。
 ノンフィクションの前半は民俗学的な考察が多いせいでポップミュージック視点だと生真面目すぎるし──桑田佳祐がいちども登場しないのも残念だ──、後半のドラマはいかにも日本映画的な演出が多くて僕にはいまいちだった(男子高生の桑田が共学高校の文化祭にきて興奮のあまり勃起が収まらないなんて描写はいらない)。主演のふたりに加え、宮治氏の担任役で安田顕が出ていたり、高橋優が高校生役で弾き語りを披露していたりと、キャストが豪華なだけにもったいない。
 それでも最後の最後、桑田が初めてのステージでその後の天才の片鱗を見せたところから、烏帽子岩{えぼしいわ}での桑田ご本人の最新のライブパフォーマンスへとつながってゆくところにはちょっとばかりじんときた。
(May 13, 2018)