Coishikawa Scraps / Movies

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最近の五本

  1. ウェンズデー シーズン2
  2. 教皇選挙
  3. チェンジング・レーン
  4. デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム
  5. ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
    and more...

ウェンズデー シーズン2

ティム・バートン他・監督/ジェナ・オルテガ、エマ・マイヤーズ/2025年/アメリカ/Netflix(全8回)

 『ウェンズデー』のファースト・シーズンは主人公の魅力に全振りしたような作品だった。少なくても僕の印象ではそうだった。

 対するこのシーズン2は違う。ウェンズデーがなぜだか未来予知の能力を失ってしまって、一般人に近い存在になってしまうのが影響しているのか、肝心のウェンズデーが前のシーズンに比べると目立っていない。

 その分、彼女を取り囲む脇役たちが存在感を増している。エマ・マイヤーズ演じるルームメイトのイーニッド、ウェンズデーのストーカーとして新登場した透明人間の女の子アグネス(イーヴィー・テンプルトン)のふたりは主役を食わんばかりの勢いだし、ウェンズデーの弟パグズリー(アイザック・オルドネス)がネバ―モア学園に入学したのにあわせて、寄付がどうしたという話で父母(ルイス・ガスマンとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ!)まで学園で居住するようになって、アダムス・ファミリーの全員がレギュラーに昇格。ハンドがじつは……というサプライズまである。

 さらにはウェンズデーの元カレや前校長など、ファースト・シーズンで出番が終わったかと思っていたキャラが何人も引きつづき登場してくるし(すっかり忘れていて困った)、そこに今シーズンの重要キャラである時計仕掛けの心臓をもったゾンビや、新校長役のスティーヴ・ブシェミまでが加わるという。レディー・ガガも出演しているけれど、出番は一度だけだった(でもイメージ的にはぴったり)。

 そんな多彩なキャラに囲まれて、様々な事件が巻き起こり、物語は前作に増してにぎやかだ。ただおかげで主人公の印象が控えめ。そこだけがやや残念かなと。

 そんな今シーズンでもっとも出色のエピソードは、呪いのせいでウェンズデーとイーニッドが『君の名は。』なことになる六話目。いつもとは違う役どころを演じるジェナ・オルテガとエマ・マイヤーズの演技が素晴らしい。

(Sep. 13, 2025)

教皇選挙

エドワード・ベルガー監督/レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ/2024年/イギリス、アメリカ/Amazon Prime

教皇選挙(字幕/吹替)

 新しいローマ教皇を選ぶ選挙、コンクラーベをテーマにしたスリラー映画。

 主演のレイフ・ファインズは主席枢機卿として、コンクラーベを取り仕切る立場の人。それなりに人望もあるので、彼を教皇に推す人たちもいるようだけれど、彼自身にはそんな野心はなく、コンクラーベ後に身を引く覚悟を決めている。

 参加者全員の任意投票を何度も行い、最終的に全体の三分の二の票を得た人が新教皇になるとのことで、黒人司祭、革新派、保守派など、四人が有力候補として票を集めるのだけれど、それぞれにスキャンダル等が持ち上がり、ひとりひとりと脱落してゆく。さて、最後に選ばれるのは?――という話。

 結末にはいささか説得力がないように思うし、主要な登場人物がみんな同じ服を着た中高年男性なので、いささか華やかさには欠けるけれど、話としてはそれなりにおもしろかった。厳粛なクラシック音楽のサントラも印象的だ。

 見ていて気になったのは、司祭様たちが被っている赤い小さな帽子。どれだけ偉くなれようとも、少なくても僕はあんな帽子はかぶりたくない。あの帽子が嫌で司祭になりたくない人だって一定数いそうな気がする。

 そんな罰あたりなことを思うのは、僕がカソリック教徒ではないから?

(Sep. 9, 2025)

チェンジング・レーン

ロジャー・ミッシェル監督/ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン/2002年/アメリカ/WOWOW録画

チェンジング・レーン (字幕版)

 無謀な車線変更(=チェンジング・レーン)により接触事故を起こしたせいで、さんざんな目にあう二人の男性を描いたサスペンス・スリラー。

 若き日のベン・アフレック演じるエリート弁護士のギャビンが、出廷すべき裁判に遅れそうになって、事故を起こしたのが事件の発端。

 先を急ぐ彼は、無責任にもさっさと事故現場を立ち去ってしまう。でもって、その際に、裁判所に提出しなくてはいけない大事な書類を置き忘れてしまったことから、敗訴どころか詐欺罪での刑務所入りかってピンチに陥る。まさに自業自得。

 一方のサミュエル・L・ジャクソン演じる保険販売員のドイルも、離婚か養育権の調停を受けるため、同じ裁判所へ向かう途中だったのに、事故で車が動かなくなったせいで遅刻を余儀なくされ、それが原因で調停に失敗してしまう。

 かくして書類を取り戻すために違法な手段に打って出たギャビンと、家庭崩壊を余儀なくされて自暴自棄になったドイルによる報復で、事態は悪化の一路を辿ってゆく。

 もうベン・アフレック演じる主人公がひどい人で。交通事故は金でもみ消そうとするし、事務所の同僚(トニ・コレット)と浮気しているし、書類を取り戻すためにハッカーをやとって相手の銀行口座を改ざんして、その復旧を口実に脅迫するし、スプリンクラーを誤動作させてオフィスを水浸しにするし。いつ捕まってもおかしくないじゃんって行動の数々に同情の余地がない。

 対するサミュエル・L・ジャクソンは、相対的に最初のうちは気の毒なのだけれど、相手の悪辣さに激高して報復に出てからは、あわや大惨事って交通事故を起こしたり、ローン窓口の人にやつあたりしてコンピュータを投げ出したり、それはないんじゃんって行動を取るようになってしまう。

 とにかく主演の人気俳優ふたりの行動があまりにひどくて苦笑が絶えない。作り手はべつに笑わそうとはしていないのかもしれないけれど、苦笑いなしには見られない。これはそういう映画だった。でもって僕はそこのところがけっこう好きだった。

(Aug. 09, 2025)

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム

ブレット・モーゲン監督/デヴィッド・ボウイ/2022年/ドイツ、アメリカ/Apple TV

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム (字幕版)

 デヴィッド・ボウイのキャリアを貴重な未発表映像たっぷりで辿るドキュメンタリー・フィルム。

 「神は死んだ」というニーチェの言葉を引用したボウイのテキストから始まるこの映画。

 有名なメリエスの『月世界旅行』が一瞬登場するほか、しっぽの生えた女の子が宇宙飛行士のミイラをのぞき込む映像等、この映画のオリジナルなのか、ボウイのミュージック・ビデオの一部なのか、はたまたボウイが愛した映画の一シーンなのか、出自が不明なフィクション映像もあるけれど、そうした演出上インサートされた映像をのぞけば、あとはすべてボウイのライブやインタビューやツアー映像から成りたっている。

 説明的なナレーションはなしで、話を進めるのはすべてインタビューなどで発せられたボウイ自身の言葉。それらを絡めて数多のライブシーンやインタビュー映像やプライベートショットをコラージュして、デヴィッド・ボウイという稀代のポップ・アイコンの姿を描き出してゆく。

 いってみればボウイのキャリアを映像のイメージ力だけで辿ってみせる二時間越えのミュージックビデオとでもいったような作品。

 映像だけでボウイの人生を辿るというその性格上、この映画は動画が少ない最初期は割愛して、『ジギー・スターダスト』の時期から始まる。晩年もあまり映像が残っていないらしく、『レッツ・ダンス』の時期までが中心という印象だった。

 コアなファンにとっては感涙ものの内容かもしれないけれど、全体的に説明が足りないので、僕のようにボウイについてよく知らない人間には向かない作品だって気がした。途中で観るのをやめてボウイのアルバムをちゃんと聴き返したくなってしまった。

 自分がいかにデヴィッド・ボウイを知らないかを思い知らされた一本。

(Aug. 05, 2025)

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

コリン・トレヴォロウ監督/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード/2023年/アメリカ/WOWOW録画

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(字幕版)

 ジュラシック・ワールド・シリーズの第三弾。

 来週末に公開される四本目はキャストが一新されているので、これが三部作の完結編という位置付けになるらしい。

 舞台となるのは前作で逃げ出した恐竜が世界中に拡散して、人間と恐竜が共存するようになった世界。そのため地域限定だった旧作とは違い、街中でクリス・プラットがバイクに乗って恐竜とカーチェイスもどきを繰り広げるなんてーンもある。そんな風に人々の暮らしの中にあたりまえのように恐竜がいるというシチュエーションが今作のポイント。

 ただ、クライマックスの舞台となるのは恐竜保護区の島なので、そこからは過去作と同じテイストになってしまう。どうせならばずっと市街地とかで話を進めてもらった方がおもしろかったのではと思う。まぁ、その辺は作り手の都合とかもあるんだろう。

 物語としては前作の子役イザベラ・モートンがひきつづき出演。主演のふたりを親代わりに疑似家族としてひっそりと暮らしていた彼女が、その特殊な遺伝子を狙う巨大企業の手先に誘拐されてしまい、彼女を助け出すべく、クリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードのカップルが奔走することになる。

 一方で遺伝子操作により誕生した巨大なバッタかイナゴ(でっかい昆虫って気持ち悪い)が世界中の食物を食い散らかして、このままだと食糧危機により人類が滅亡するのではという話が持ち上がる。

 この問題の解決のために登場するのが、初代『ジュラシック・パーク』の主演だったサム・ニールとローラ・ダーン。前作でシリーズに復帰したジェフ・ゴールドブラムも引きつづき登出演しているし、新旧三部作の主要キャストが一堂に会するこの豪華キャストも本作の見どころのひとつだと思われます。

 ただ、旧三部作を最後に観てから二十年以上たっていて、内容をほとんど忘れている身としては、サム・ニールらが再登場したからといって、そうそう感動もできない。

 恐竜に関しても「史上最大の肉食恐竜」という歌い文句のギガノトサウルスが今回の目玉らしいのだけれど、ティラノザウルスとの大きさの差がいまいちぴんとこなくて、そのすごさが伝わらなかった。

 ということで、作品のセールスポイントがいまいち上手く響かなくて、残念ながら盛りあがりはそこそこだった。

(Jul. 31, 2025)