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インディペンデンス・デイ

ローランド・エメリッヒ監督/ウィル・スミス、ビル・プルマン、ジェフ・ゴールドブラム/1996年/アメリカ/iTunes Store

インデペンデンス・デイ (字幕版)

 せっかくだからディザスター映画の流れでもう一本。このジャンルといえば、まず思い出すのはこの人ってことで、ローランド・エメリッヒ監督の代表作『インディペンデンス・デイ』をひさしぶりに観た。公開から今年でじつに二十五年だそうだから、もしかしたら四半世紀ぶり?
 いやー、しかしこの映画はすごいや。なんかもう、なにもかもが、ど派手でイージー。
 基本的にはエイリアン侵略モノの定番って感じのシナリオを、当時の最先端のSFXで徹底的に派手に味つけして、そこにさまざまな群像劇――大統領とその女性補佐官と元旦那の三角関係とか、人種を超えたパイロットどうしの友情とか、黒人ストリッパーと瀕死のファースト・レディとの心温まるふれあいとか、アブダクション経験のある中年パイロットと家族の絆とか、政府によるエリア51の隠蔽とか――をてんこ盛りにしたもの。それが最後に悪玉エイリアンに対する全人類の勝利という一大カタルシスにいたるのだから、こりゃもう感動必死。公開当時の映画館では大統領の演説シーンで周囲にすすり泣きが起こっていた。信じられますか?
 でも、この映画で涙するほどに感動するには、そこまでにいたる過程に散りばめられた、まるで小学生の夢物語みたいな安直な設定の数々を素直に受け入れなくちゃいけない。なかでもジェフ・ゴールドブラムが演じる技術屋さんが当時のしょぼいコンピュータを使ってエイリアンの意図を次々と暴いてゆくという展開には、ウィンドウズが普及し始めたばかりの公開当時とは違って、誰もが普通にコンピュータに慣れ親しんだ現代人の感覚からすると、なかなか受け入れがたいものがあると思う。特に最後のコンピュータ・ウィルスに関するくだりは噴飯もの。
 エイリアン艦隊の母船にコンピュータ・ウィルスを仕掛けるという馬鹿げた発想は、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』を下敷きにしているとかいう話で、そう聞くと、ああ、なるほどとは思うけれど、それにしたって、いくらなんでもあり得なさすぎるよねぇ。ある程度のコンピュータの知識があったらならば、絶対にあんなシナリオは書けない。恥ずかしすぎて。
 ということで、地球人には絶対に作れないレベルの超巨大艦隊で押し寄せるエイリアンを、アメリカ人がF-18戦闘機で迎撃して地球を守るというこの映画。製作者による無知ゆえの無邪気さか、はたまた無理を承知でしらを切る確信犯的な厚顔さか、そのどちらかを受け入れなくては、素直に称賛するのは難しいと思われます。
 でもまぁ、はじめから馬鹿な話だとわかったうえで観るならば、とても少年マンガっぽい涙あり笑いありのおもしろい映画だと思う。個人的にはウィル・スミスがエイリアンを一発OKするシーンが好きです。
(Jan. 11, 2021)

ダンテズ・ピーク

ロジャー・ドナルドソン監督/ピアーズ・ブロスナン、リンダ・ハミルトン/1997年/アメリカ/WOWOW録画

ダンテズ・ピーク (字幕版)

 もう一本つづけて火山が噴火する映画。驚いたことに、これも公開は『ボルケーノ』と同じ1997年だった。この年のハリウッドには火山の噴火を見たがっている人がたくさんいたんでしょうか? なんとも不思議。
 まぁ、火山の噴火とはいっても『ボルケーノ』の場合、都市部の地下からマグマが噴き出していくるっていう話で、問題は流れ出るマグマをいかにして防ぐかのただ一点って感じだったのに対して、こちらの作品は風光明媚なリゾート地(その名もダンテズ・ピーク)を舞台にした、そのものずばり休火山が噴火する話。噴火の予知から始まり、余震、本震、噴火、火砕流、強酸化した川下りと、噴火に絡んだイベントが目白押し。美しい自然と住み易さが自慢の土地が火山の噴火という天災によりディストピア化するビフォー・アフターのコントラストがすごい。
 五代目ジェームズ・ボンドのピアーズ・ブロスナンと『ターミネーター』のリンダ・ハミルトンの即席カップルによる恋愛劇も、とりあえずこちらでは出会いから一週間以上のスパンをかけて描かれるので、『ボルケーノ』と違ってとくに文句なし。
 まぁ、子供や老人を使った無理やりな演出や(お兄ちゃん運転上手すぎ)、冷めかけのマグマの上を自動車で突破したりするシーンの説得力のなさなど、なにそれな部分も少なくはなかったけれど、さいわい『ボルケーノ』とつづけて観たおかげで、僕にはまだこちらの映画のほうが楽しめた。
 ということで、もしも火山が噴火する映画を一本だけ観るとするならば、『ボルケーノ』ではなくこちらがお薦めです。少なくても火山の噴火という迫力満点のクライマックス・シーンがちゃんとある点だけでも、火山が出てこない『ボルケーノ』(名に偽りあり)よりも『ダンテズ・ピーク』を選ぶ理由にはなると思う。
(Jan. 11, 2021)

ボルケーノ

ミック・ジャクソン監督/トミー・リー・ジョーンズ、アン・ヘッシュ/1997年/アメリカ/WOWOW録画

ボルケーノ (字幕版)

 新春・大災害祭り(嘘。とくに祭っちゃいない)第一弾ってことで観た、ロサンジェルスでマグマが噴火するというパニック映画。
 僕はローランド・エメリッヒのディザスター映画を観るたびに、慎みがたりないだの、やりすぎだのと文句を書いてきたけれど、これを観てちょっと反省した。慎みが足りないのはエメリッヒという監督個人の問題ではないらしい。なぜって、これもまったく同じテイストだったから。次の『ダンテズ・ピーク』も同じような感じだったし、災害映画を過剰なドラマチックさで盛り立てるのが基本的にハリウッド流らしい。
 ロス市内でマグマが噴出したってだけで、もうじゅうぶん大変なのだから、あとはそれをきちんと描いてくれさえすれば、それだけで観る価値のある映画に仕上がると思うのだけれど、ハリウッドの人たちはどうにもそれでは満足できないらしく、なぜだかそこに余計なドラマを盛り込みたがる。それもたっぷりと。
 わずか一日か二日という話に、なぜにトミー・リー・ジョーンズとヒロインのアン・ヘッシュという女優さんのラブ・ロマンスが成り立つのか、僕にはまるでわからない。出会ったばかりの男女がいつ命を落としてもおかしくない状況でなぜ恋に落ちるんだか(恋に落ちるより先に命落とすって)。もとから知り合いだったのかもしれないけれど、だとしたら僕にはその設定が読み取れなかった。
 まぁ、そこはいいとしても、特にひどかったのはクライマックスで、トミー・リー・ジョーンズの娘さんが面倒をみていた幼い子供がどこかへ行ってしまって、彼女がそれを追いかけて危機一髪の目にあうというシナリオ。あれで助かりましたっていわれてもなぁ……。そもそも一緒にいたもうひとりの子はどうなったんだって聞きたい。
 地下鉄の運転手を救うために鉄道会社の重役らしい人が命を落とすシーケンスなんかも、その後を描かないので、深みのないお涙頂戴のいちエピソードって感じで終わってしまっているし。なんかもうほんと、いろいろと低レベルがすぎて残念だ。
 当時の特撮技術を駆使したんだろう火砕流の映像は迫力満点なので、あとはドラマの部分がもうちょっとマシだったらば、それなりの映画に仕上がっていただろうに。なんとも残念な出来の作品だった。
(Jan. 11, 2021)

【追記】この映画、2008年にも感想書いてました(つまり観るのも二度目……)。あまりのひどさに記憶を抹消したらしい。こんな映画の感想を二度も書こうとは……。

フォードvsフェラーリ

ジェームズ・マンゴールド監督/マット・デイモン、クリスチャン・ベール/2019年/アメリカ/WOWOW録画

フォードvsフェラーリ (字幕版)

 もう一本つづけて2019年のアカデミー賞・最優秀作品賞候補作品。大衆車メーカーのフォードがモータースポーツ界の雄フェラーリにルマン耐久レースで勝負を挑むという実話をもとにしたヒューマン・ドラマ。
 主演がマット・デイモンとクリスチャン・ベールだというので、このふたりがレース・ドライバーのコンビ役なのかと思ったら、そうではなく。
 ドライバーはクリスチャン・ベールの演じるケン・マイルズだけ。正確にはマット・デイモンの演じるキャロル・シェルビーもかつては名ドライバーだったのだけれど、心臓病のために映画の冒頭で引退を余儀なくされ、以降は自動車の製造販売に携わっている。
 そんなシェルビーさんのところへ、経営不振へのカンフル剤としてフェラーリの買収を企てながら失敗して屈辱を味わったフォードの社長から、雪辱を晴らすためのレース参戦への協力要請がある。シェルビーはルマンで勝つために必要なドライバーとしてマイルズを推薦するも、フォード側は大企業としての自分たちのブランド・イメージにヒッピー風のマイルズはそぐわないということで受けつけない。
 ということで、シェルビーとマイルズが頭の固い大企業の重鎮たちを相手に、いかにしてルマン出場を果たすまでになるかをこの映画は描いてゆく。タイトルは『フォードvsフェラーリ』だけれど、実際には「シェルビー&マイルズ対フォード取締役会」みたいな作品だった。
 フォードの名前が最初にあることから、レースよりは経営戦略を描いた池井戸潤作品のような映画かと思っていたけれど、企業との軋轢は終始描かれてはいるものの、作品の主体はレースに賭ける男たちのドラマ。クライマックスではルマンの模様がたっぷりと時間を取って描かれているし、いくつものレース・シーンが予想外の迫力でとても見ごたえがあった。あと、マイルズがイギリス人だからなのか、クリスチャン・ベールの演技が妙にイアン・ブラウンぽいのも一興だった。彼の奥さん役のカトリーナ・バルフという女の人もいい感じだ。
 いやぁ、それにしても2019年の映画は本当に良作揃いだった。まるでその翌年に新型コロナ禍で興行成績が底を打つのがあらかじめわかっていたかのような豊作ぶり。
 この年のアカデミー賞がなんで『パラサイト』なんだろうと思っていたけれど、こうして観てくると、あまりに粒ぞろい過ぎて票が割れた結果として、韓国映画ゆえにもっともエキセントリックな印象の『パラサイト』が勝ったのかもって気がした。
(Jan. 11, 2021)

1917 命をかけた伝令

サム・メンデス監督/ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン/2019年/アメリカ/Amazon Prime Video

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

 もう一本つづけて、ひとつ前の『ジョジョ・ラビット』と同じ年にアカデミー賞を争った戦争映画を。
 こちらは全編をワンカットであるかのように編集してみせた超絶技巧が話題になった作品。敵の罠にかかって大敗を喫しそうな前線を救うべく、作戦中止の命令を託されたふたりの兵士の姿をカメラが追ってゆく。
 始まるなり目的地にたどり着くまで八時間とかいう話になるので、そんなのをどうやって二時間足らずのワンカットで描くのかと思ったら、途中で車に乗ったり、気を失ったり、川を流されたり。なんだかんだで時間が過ぎて、青空のもとで始まった映画は、翌朝の青空の下で終わった。最初と最後だけは爽やかだけれど、あとの大半は爆風と弾丸と死体だらけ。
 噂のワンカットはほんとうに見事な出来映えだった。どうやって撮ってるんだよってシーンのオンパレード。途絶えることなく主人公たちの姿を追ってゆくそのカメラ・アングルの見事さが、これまでなくリアルな戦場の風景を脳裏に焼きつけてゆく。
 なにげにキャスティングも豪華で、主演のふたりこそ馴染みがないけれど、彼らが出会う将軍や大将らのお偉いさんの役で、コリン・ファース、マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチが出演している。
 モチーフを聞いて第一次大戦版の『走れメロス』みたいな映画かと思っていたら、まるでそんなじゃない。戦場に転がる屍体(人と家畜)のリアリティが凄まじい。観ているだけで屍臭が漂ってくるような切実な戦争映画だった。
(Jan. 04, 2021)