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  3. 犬ヶ島
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キャプテン・マーベル

アンナ・ボーデン&ライアン・フレック監督/ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン/2019年/アメリカ/ユナイテッド・シネマとしまえん

Captain Marvel The Official Movie Special

 この映画、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のひとつ前の作品でなかったら、わざわざ映画館で観ようとは絶対に思っていなかったと思う。
 だって地味でしょう? 誰ですが、キャプテン・マーベルって。
 『ブラックパンサー』も地味だったけれど、あちらが『シビル・ウォー』で顔出しを済ませていたのに対して、こちらはその正体がまったく不明なまま(少なくてもアメコミ知識ゼロの僕らにとっては)。派手なコスチュームを着た女性が仁王立ちしているポスターを見て、これはおもしろそうだと思う人ってあまりいないのではないかと思う(そんなことないですか?)。
 でもって時代設定は1990年代で、アベンジャーズ以前を描くという。それならわざわざ『エンドゲーム』の前に観ておかなくてもいいんじゃん? とか思いつつ、でもまぁ『インフィニティ・ウォー 』のラストになにやらそれらしいほのめかしがあったからなぁ、とりあえず観ておかないわけにはいかないよなぁ……と思って、なんとなく惰性で映画館へと足を運んでみたらば。
 これが予想外のおもしろさだった。期待値が低かったせいか、思いのほか盛り上がってしまった。
 この映画、まずは冒頭のエピソードが宇宙を舞台にしているところに意外性がある。え、キャプテン・マーベルって宇宙人なの?──というのは、実は彼女自身にもわからない(過去の記憶を失っているので。そもそもこの時点ではキャプテン・マーベルなんて呼ばれていない──というか、最後まで呼ばれなかった気がする)。
 でもってそんな彼女ヴァース(ブリー・ラーソン)がわけあって地球に降り立ち、若き日のニック・フューリー(サミエル・L・ジャクソンがCG加工で若返ってんのがすごい)と出会って、過去の記憶につながるある人物の痕跡を辿って行くというのが前半のだいたいのあらすじ。
 この映画の特徴は、そんな主人公の自己探求譚を、これでもかというコッテコテな90年代ロックをBGMに描いてみせた点。でもってそこが僕に対しては特にアピールが高かった点でもある。
 自分が二十代のころに聴いていたガービッジやノー・ダウト、ニルヴァーナ、ホールなんかの代表曲に乗せて、ナイン・インチ・ネイルズのTシャツに革ジャン姿の美女がハーレーをかっ飛ばすなんてシーンをみせられたら、そりゃニヤニヤせずにはいられないだろうって話で。
 これまでブリー・ラーソンって特別に美人だとか、可愛いとか思ったことがないんだけれど、でもこの映画の彼女はじつに凛々しくて格好いい。彼女がオスカーの主演女優賞を獲った『ルーム』(テーマが苦手でこれまで観る気になれないでいた)も、この映画のおかげで観てみたくなった。
 まぁ、物語自体にはそんなに意外性はないし、主人公も過剰に強すぎるとは思うんだけれど(彼女がいればサノスなんて一発でKOできちゃうんでは?)、それでもそういうところも含めて安心して楽しむことのできる、おもしろい映画だと思う。
 そうそう、あと、アベンジャーズ(復讐者)がなにゆえにアベンジャーズと命名されたのか、その理由があきらかにされるという意味でも実は重要な作品。
 これを観てますます『エンドゲーム』が楽しみになった。
(Mar. 31, 2019)

アントマン&ワスプ

ペイトン・リード監督/ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー/2018年/アメリカ/Amazon Prime Video

アントマン&ワスプ (字幕版)

 今年いちばんの注目作『アベンジャーズ/エンドゲーム』の劇場公開まであと一ヶ月。さすがにそれは映画館で観ようと思っているので、となれば、直近のマーベル作品二本もその前に観ておかないわけにはいかない。
 ということでまずは『アントマン』シリーズの第二弾。これはAmazonで配信版をレンタルした(なぜかiTunesで借りるより100円安かったので)。
 今回の話は『シビル・ウォー』での大あばれの責任を問われた主人公のアントマンことスコット・ラングが政府から二年間の自宅軟禁を受けている、という設定で始まる。
 知らないうちにピム博士&ホープの親子(マイケル・ダグラスとエヴァンジェリン・リリー)も政府から追われる身になっていたりするし、僕のようにMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の流れがきちんと追えていない人間にとっては、いきなりなぜそんなことに?……と思わないではいられない展開。
 でもまぁ、そういう細かいことがわからなくても、たいして困らずに楽しめちゃうのがマーベル作品のいいところ。この映画の場合、そうした伏線のみならず、量子がどうしたという科学的な部分もちんぷんかんぷんだけれど、それでも特に問題なく楽しむことができた。
 前作『アントマン』がそうだったように、基本コメディ・タッチなのはこの新作も同様。一作目では笑いがやや空回りしているように感じてしまったけれど、今回はそうした作風や登場人物になじみが出てきたせいもあってか、前作よりも素直に笑いながら観ることができた。とくにアントマンの友達ルイスを演じるマイケル・ペーニャのマシンガン・トークがやたらとおかしかった。
 物語は量子の世界に入り込んで死亡したと思われていたホープの母親(なんとミシェル・ファイファー)が生きているかもしれないから確かめようという話と、ドラえもんの便利グッズ的なピム博士の携帯ラボを狙う人たちの争奪戦がふたつの柱になって進んでゆく。
 『ブラックパンサー』同様にアベンジャーズのキャラはまったく出てこないので、これまた独立性の高い作品だなぁと感心してみていたら、最後の最後、マーベルお約束のエンド・クレジットのあとにとんでもないシーンが……。
 あぁ、それで『インフィニティ・ウォー』にはアントマンは出ていなかったのかと大いに納得しました。マーベルすげえ。
(Mar. 24, 2019)

犬ヶ島

ウェス・アンダーソン監督/2018年/アメリカ、ドイツ/WOWOW録画

犬ヶ島 (字幕版)

 変な映画を撮らせたら唯一無二の監督、ウェス・アンダーソンによるストップ・モーション・アニメーションの第二弾は、日本(のような国?)を舞台にした超へんてこりんな映画だった。
 独善的な小林市長により犬たちがゴミの島に隔離されたメガ崎市(この地名は好きだ)。市長の養子として育てられた主人公の小林アタリ少年は、飼い犬(というかガードマン犬)のスポッツを救うため独力でその島へ渡って……というような話はこの映画の場合、ある意味どうでもいい気がしてしまう。
 とにかく、この映画の肝はウェス・アンダーソンが描くエキセントリックすぎる日本の風物。「近未来の」みたいな肩書きがあったと思うんだけれど、どこが未来だってくらいに、この映画の日本には昭和臭がぷんぷん。それも僕らの子供のころの懐かしい昭和ではなく、ウェス・アンダーソン独自のヴィジョンにより珍妙に歪められた、キッチュでスーパー・エキセントリックな昭和の日本。
 もとより、誰が撮ってもバッタもん感の漂うストップ・モーション・アニメでもってそんなものを撮った日には、そりゃもうとんでもなく変なものが出来上がるのも道理。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のハロウィン・タウンよりこの映画の日本のほうがよほど異世界に思えてすごい。
 さらには「出演者たちは全員それぞれの母国語を話します」とかいっちゃって、日本語と英語がでたらめに入り混じるのもこの映画の特徴(犬もしゃべる)。音声のみならず、映像でも日本語と英語が雑多に乱れ飛ぶ。エンド・クレジットでは全キャストとスタッフの名前が英語とカタカナで紹介されている。
 ここまで遠慮なく日本語と英語が──あと人間と犬が──混在して入り乱れた映画はいまだかつてなかったのではと思う。本当にむちゃくちゃ個性的な怪作。
 といいつつも、正直なところ僕個人がいまいちこの映画に盛りあがれないのは、ひとえに人間のキャラクター・デザインがあまりに魅力的でないから。そういう人って少なくないのではないでしょうかね。犬はかわいいんだけれどねぇ。人がなぁ……って。そうでもないのかな。
 もっと人間のキャラクター・デザインがキュートだったら絶賛していたかもしれない。なまじ超個性的なだけに、好きっていいきれないのが残念な作品。そういや『ファンタスティックMr.FOX』もこんな感じだった気がする。
 あと、声優陣はアンダーソン作品の常連さんのビル・マーレイ、エドワード・ノートンらのアカデミー賞関係者多数(でもほとんどが犬の役)に、日本から野田洋次郎やオノ・ヨーコさん、池田エライザらも参加した豪華キャストだというのに、肝心の小林アタリ役のコーユー・ランキンという少年がとても下手なのが痛い。おそらく日系アメリカ人で日本語がそれほど得意じゃないんじゃないだろうか。この子のセリフの部分だけまるで学芸会のよう。子供でもいいから、主役にはせめてもう少し日本語が上手い子を連れてきてほしかった。
(Feb. 27, 2019)

オリエント急行殺人事件

ケネス・ブラナー監督・主演/ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー/2017年/アメリカ/WOWOW録画

オリエント急行殺人事件 (字幕版)

 ケネス・ブラナーが自らポアロを演じて監督もつとめたアガサ・クリスティーの代表作の劇場リメイク版。先月観たのに感想を書くのを忘れていた。
 シドニー・ルメット監督の74年バージョンの出来がいいからだろうか。この映画はその先達との違いを引き出すことに気を取られすぎて、いささか奇をてらいすぎてしまったような感がある。
 ケネス・ブラナー演じる名探偵ポアロのキャラクターは、よくいえば新しい。悪くいえばちっともポアロらしくない。
 だってあのポアロが容疑者を追っかけて走り回ったり、ピストルを振りかざしたり、女性の写真に向かって愛をささやいたりするんですよ? そんなのあり?
 トレード・マークの口髭もこっけないほどに大きいし、ここでのポアロはクリスティーのそれとは違った、アメコミ調にアレンジされたニュー・バージョンだと思う。
 いってみればガイ・リッチーの『シャーロック・ホームズ』と同じ系統。でもガイ・リッチーのホームズの場合は原作から乖離したアクティヴさが見事にはまっていたけれど、こちらの恋するポアロにはどうにも「コレジャナイ」感が否めない。オリエント急行に乗る前に原作にはない寸劇をはさんでみせたもの僕としては蛇足に思えた。
 でもまぁ、いろいろつっこみどころのある作品だけれど、僕はこの映画、それなりに好きだったりする。原作と比べると違和感はあれど、そのぶんリミックス・バージョン的なおもしろみがある。
 出演している俳優陣もルメット版に負けずに豪華だ。ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のレイです念のため)、ジュディ・デンチ、ウィレム・デフォー、そしてジョニー・デップと、これだけの俳優が一堂に会しているだけでも一見の価値あり。
 あと、オリエント急行が雪山を駆け抜けるシーンなど、CGあればこその映像美もたっぷりと楽しめる。長くなりがちなミステリにもかかわらず、上映時間が二時間足らずとコンパクトなのも好印象。これだけの内容にもかかわらず、あまり評判がよくないのは、やはりリメイクゆえなのか……。
 まぁ、とりあえず続編(『ナイルに死す』?)の噂もあるようなので、この新生ポアロがこの先どんな活躍を見せてくれるのか、つづきを楽しみに待ちたい。
(Feb. 27, 2019)

バード・ボックス

スサンネ・ビア監督/サンドラ・ブロック、トレヴァンテ・ローズ、ジョン・マルコヴィッチ/2018年/アメリカ/Netflix

Bird Box: The bestselling psychological thriller, now a major film (English Edition)

 もう一本、つづけてネットフリックスのオリジナル作品。サンドラ・ブロックが主演で、サントラがナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナー&アティカス・ロスだってんで観ることにしたホラー映画──いや、もしくはテレビ版だから二時間ドラマと呼ぶべきなのかな。ネット配信の時代の映画の定義がいまいちよくわかりません。ま、観た感じはまったくの映画だった。
 内容はほとんどの人が死に絶えた世界で、幼い子供ふたりを抱えたサンドラ・ブロックが謎の目的地へたどり着くべく、目隠しをしたままボートで河を下ってゆくというもの。そのシーケンスと平行して、どうして世界が滅びたのか、なぜ彼女たちは目隠しをしないといけないのか、その理由が六年前の回顧シーンとして描かれてゆく。
 目隠しをしたまま河を下ったり、森の中をさまよったり──しかも子供連れで──そんなことできるかいっ! って感じだし、世界が滅びたあと、どうやって人々が生活しているのかも説明不足で、あれこれ説得力を欠くきらいはあるのだけれど、でも全編にわたって緊張感に満ちていて、なかなか見応えがあった。スティーヴン・キングっぽくておもしろかったです。
 競演の黒人俳優トレヴァンテ・ローズ(『ムーンライト』で売り出した人らしい)も好印象だし、ジョン・マルコヴィッチが出ていたりもして、キャスティングも魅力的。こういう映画が配信サイトのオリジナル作品として観られちゃうんだから、そりゃ時代も変わるよなぁと思う。
(Jan. 27, 2019)