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  3. 天気の子
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クリード 炎の宿敵

スティーヴン・ケイプル・ジュニア監督/マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン、テッサ・トンプソン/2018年/アメリカ/Amazon Prime Video

クリード 炎の宿敵(字幕版)

 ロッキーのライバルだった黒人ボクサー、アポロの息子アドニス・クリードの活躍を描くシリーズ第二弾。
 このシリーズは『ロッキー』の遺産を生かそうって姿勢が徹底していてすごい。
 今回アドニスの前に立ちふさがるのは、『ロッキー4』のロシア人ボクサー、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレンが今回も引き続き演じている)の息子ヴィクター。ロッキーに負けて失意の半生を余儀なくされたかの人が、息子を鍛え上げてロッキーの弟子アドニスに復讐しにくるという話になっている。最終決戦のために、ロッキーがアドニスに非科学的で泥臭いトレーニングを強いる展開もあの作品をまんま踏襲していて笑えた。
 ということで目玉は『ロッキー4』のアメリカ対ロシアの再現なわけだけれど、その一方でこの作品はシリーズ二作目である『ロッキー2』も大きく意識している(まあ、二作目なので当然のことながら)。
 一作目で善戦むなしくチャンピオンに敗れた主人公が結婚して家庭を築き、新しい生活に悩みながらチャンピオンとしての人生を歩みだすという展開がもろロッキーと同じ。まぁ、アドニスの場合はロッキーとは違って、早々にチャンピオン・ベルトを手にすることになるけれど、そのあとで屈辱的な試合を経験して、チャンピオンの資質を問われる事態になるってあたりは、父親のアポロにかぶる。
 要するにこの映画はロッキーとアポロ、ふたりの物語をアドニスに託して換骨奪胎した内容になっているのだった。まあ、映画の演出自体はスタイリッシュな一作目のほうが個人的には好みだったけれど、今回もなかなかおもしろかった。
 あと、愛国心あおりまくりな印象だった『ロッキー4』とは違って、今回は敵役のドラゴ親子に対するまなざしが優しいところがいいと思った。
 ただ、邦題はなぁ……。原題どおり『クリード2』でいいじゃん。なんで『炎の宿敵』なんてサブ・タイトルつけるかな。ひとつ前に観たのは『ジュラシック・パーク/炎の王国』だし、どうして日本の配給会社はこんなに炎が好きなんだ。謎。
(Sep. 23, 2019)

ジュラシック・ワールド/炎の王国

J・A・パヨナ監督/クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード/2018年/アメリカ/Amazon Prime Video

ジュラシック・ワールド/炎の王国 (字幕版)

 ジュラシック・パークの新シリーズの続編。
 前作がどうなのよ?って出来だったので、あまり期待していなかったせいか、今回は意外とおもしろかった。
 物語は前作で放棄されたジュラシック・ワールド島(?)で火山活動が活発になり、ふたたび恐竜たちが絶滅の危機に陥っているってことで、恐竜たちを別の無人島へと移動させて生き延びさせようという計画が持ち上がり、そのための調査だと騙されて島へと派遣されたクリス・プラットとブレイス・ダラス・ハワードの主人公カップルふたり(前回の事件のあとで別れたらしい)が散々な目にあうというもの。
 『ジュラシック・パーク』に『ダンテズ・ピーク』や『ボルケーノ』を掛けあわせたような前半――どっちも観たことないですが――の展開は意外性があって派手だし、そこから一転して舞台をアメリカへと移し、シリーズの定番である子供の活躍シーンたっぷりの後半へとつながってゆく二部構成もなかなかおもしろかった。
 前作ではそれはないんじゃないの? と思ったヴェロキラプトルのブルーとオーウェンとの交流も、二作目にもなるとまあいいかって気になる(いい加減)。遺伝子操作でどんなに凶暴な恐竜を作っても、けっきょくTレックスには敵わないというお約束も健在。結末には『ジュラシック・パーク2』へのオマージュっぽさもあるし、『ジュラシック・ワールド』というタイトルを生かした締めのひとことがよかった。
 なにより今回の設定を踏まえて、おそらく確実に作られるだろう、このあとのシリーズ三作目でどんな展開をみせるのかが興味深い。
(Sep. 23, 2019)

天気の子

新海誠・監督/声・醍醐虎汰朗、森七菜/日本/2019年/ユナイテッド・シネマとしまえん

天気の子

 新海誠の最新作『天気の子』を映画館で観た。
 『君の名は。』のときには、映画館に行くべきかさんざん悩んだ末に観てしまったので、結局観るのだったら、悩むだけ無駄だと思ったので、今回はぐずぐずせずにさっさと観に行った。まあ、RADWIMPSのファンとしては、ラッドの最新作を大音量で聴けるってだけでも映画館に足を運ぶだけの価値はあるだろうとも思ったし。でもって、実際に見事に感動させてもらいもした。
 この作品でまず印象的なのが、舞台である東京・新宿を描いたその作画。
 緻密で美しい風景描写は新海誠の特徴のひとつだけれど、今回の作品ではその「美しさ」のベクトルが『君の名は。』とは確実に違っている。
 ここでの風景はあいかわらず緻密で高品質はあるけれど、美しいばかりじゃない。雨が降りしきるなか、バニラの広告トラックが走り、風俗のスカウトが徘徊する新宿の風景はうす暗く猥雑でいかがわしい。
 この映画で新海誠は、歌舞伎町という街や、東京というメトロポリスの持つ負の部分をあえて描いてみせている。まあ、主人公が高校生なので、物語全体がダークサイドに流れたりはしないから、ある程度は安心して観ていられるけれど、それでもこの清濁が混交した世界観は『君の名は。』にはなかったものだと思う。
 でもって、個人的にはそこで描かれる風景が、けっこう自分のプライベートとリンクしているも一興だった(仮にも新宿区民なので)。あ、このバス、うちの前を通ってるやつだとか、この風景知ってる! とかいうがあちこちにあって楽しかった。
 あと、この映画でなにより重要なのが、物語のクライマックスにおける意外性たっぷりの展開。あの結末は昨今の全体主義的な風潮に対する新海誠からのメッセージなんだろうと思う。そしてそれは野田洋次郎という人が作ってきた歌の世界とも深くリンクする。
 そのせいもあるんだろう。クライマックスでラッドの歌が流れ出した瞬間のなんて感動的なこと!
 正直なところ、先行してサントラを聴いていた時点では、僕は映画の中でその音楽を聴いて自分がこんなに感動するなんて思ってもみなかった。野田くんの歌が聴こえてきた瞬間に、胸の中に熱いものがどんと襲ってきて、びっくりしてしまった。
 『君の名は。』同様、僕はこれが完全無欠な傑作だとまでは思わない。大人が高校生を主役に据えて映画を作っている時点で、ある種のモラトリアム臭は避けられない。ところどころ素直に受け入れにくいところもある。
 それでもこの映画から受けた感動はまぎれもないものだった。できればすぐにでももう一度観なおしたいくらいに、心に引っかかるところのある作品だった。
(Sep. 09, 2019)

ジョン・ウィック

チャド・スタエルスキ監督/キアヌ・リーヴス、ミカエル・ニクヴィスト/2014年/アメリカ/Netflix

ジョン・ウィック(字幕版)

 この秋に第三作が公開されるキアヌ・リーヴス主演のバイオレンス・アクションの一本目。
 続編が作られるくらいだから、少なくても最初のやつはおもしろいんだろうと思って観てみた。キアヌ・リーヴスの映画を観るのもすごくひさしぶりだ。
 マフィアのボスの馬鹿息子に亡き妻が残した愛犬を殺された殺し屋が、復讐のためにマフィアを全滅させるという話で、いざ戦いが始まってからは、全編これ銃撃戦の嵐。どこを切ってもガン・ファイトと格闘シーンしかないんじゃないかって印象の作品だった。ということで、おもしろかったけれど、若干単調かなと。
 とりあえず、マフィアのボス(ミカエル・ニクヴィスト)が伝説の殺し屋である主人公(実は組織の恩人)を相手に息子がトラブルを起こしたと知ってショックを受けるシーンがよいです。この馬鹿息子が、なんてことしてくれちゃったんだよ~ってあの感じ。あれがこの映画の醍醐味でしょう。まあ、もうちょっとケレンミがあってもよかったかなと思うけど。
 あと、殺し屋たち御用達のホテルとか、殺人後の死体処理を手がける掃除屋さんとか、殺し屋業界のディテールの設定がおもしろかった。
(Aug. 13, 2019)

レディ・バード

グレタ・ガーウィグ監督/シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ/2017年/アメリカ/Amazon Prime Video

レディ・バード (字幕版)

 カリフォルニア州のサクラメントという保守的な都市で生まれ育った高校生の女の子のいびつな恋と友情を描く青春映画。要するに『JUNO/ジュノ』とか『ゴーストワールド』とかを思い出させるタイプの作品――って、たんにどれも高校生の女の子が主人公ってだけで、共通点は少ない?
 この映画のポイントは主人公のクリスティン(シアーシャ・ローナン)の性格付けだと思う。特別な才能があるでもなく、美女ともいえず、平凡な生まれ故郷での平凡な毎日にうんざりしている平凡な女の子。
 でもそんな彼女には、その平凡さに埋没したままでいることをよしとぜず、変化を求めて行動を起こす積極性がある。動きがあるところには、必ずなんらかの影響が出る。彼女が行動することで生まれた波紋が彼女の生活にさまざまな変化をもたらしてゆく。まあ、たいてい、あんまりいいことにはならないけれど。
 タイトルの『レディ・バード』はクリスティンが自分で自分につけたニックネーム。要するに「お蝶夫人」みたいな?
 まぁ、お蝶夫人の場合は自分からそう名乗っているわけじゃないだろうけど。一方こちらの主人公は親に与えられた名前が好きじゃないので、自らレディ・バードを名乗り、まわりにも自分をそう呼ぶように要求する。
 英語が得意じゃないので、趣味がいいんだか悪いんだかわかりませんが。おそらくあまりクールじゃないんだろうなって気がする。そのへんのずれ加減がこの映画の性格をもっとも雄弁に物語っているように思う。
 いずれにせよ、思春期の女の子の葛藤をシニカルなユーモアをもって描いているあたりが女性監督ならでは。こういう映画は男性には撮れないよなと思う。
(Aug. 13, 2019)