2018 FIFAワールドカップ Russia (1)

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Index of Group Leagues (1)

  1. ロシア5-0サウジアラビア (A)
  2. エジプト0-1ウルグアイ (A)
  3. ポルトガル3-3スペイン (B)
  4. フランス2-1オーストラリア (C)
  5. アルゼンチン1-1アイスランド (D)
  6. ドイツ0-1メキシコ (F)
  7. スウェーデン1-0韓国 (F)
  8. コロンビア1-2日本 (H)

ロシア5-0サウジアラビア

グループA/2018年6月14日(木)/ルジニキ・スタジアム(モスクワ)/NHK総合

 五十代に入って初のFIFAワールドカップ、ロシア大会が始まった。
 ロシアはお隣の国だから、さほど時差がないだろうと思っていたら、さにあらず。さすがに広い国だからか──あと会場のほとんどがヨーロッパ寄りにあるせいか──第一試合のキックオフは日本時間で午後9時が標準。最後の試合は午前3時だったりする。
 このところ衰えいちじるしくて、ほぼ毎日午前零時には寝てしまっている男にこれはきつい。いったいどれだけの試合が観れるんだか──でもってどれだけ文章が書けるのか──まったくもって心もとない。
 でもまぁ、始まるとなったら放っちゃおけない。三十一のときに日本代表が初出場したフランス大会を初めて観てから今年でちょうど二十年目。通算六度目の大会。いつもどおり毒を食らわば皿までをモットーに、観られるだけの試合を観ようと思う。でもってできる範囲で文章を残します。おひまな人はおつきあいよろしく。
 さて、そんなわけで今回の開幕戦のカードはホスト国ロシアとアジア最終周予選で日本に勝ってグループ2位で大会出場を決めたサウジアラビア。
 もとよりヨーロッパのサッカーを観ない僕はロシアのことなどまったく知らないし、サウジには去年最終予選で戦っているのに(しかもに日本が負けているのに)どんなチームだったか、まったく記憶に残っていない。
 要するに知っている選手はゼロの、ほとんど知らない国どうしの対戦。正直いってあまり魅力的とはいえない開幕戦だったけれど、でも始まってみれば、そこはそれ。だてに四半世紀もサッカーを観つづけちゃいない。ちゃんと楽しく観られる。やっぱ国どうしがプライドを賭けて戦う真剣勝負は、どんな国どうしでも、どんなアバウトな結果に終わろうとも、おもしろいもんだなと思いました。
 聞けばロシアはホスト国としてポッド1に入っているくせして、FIFAランキングは70位で、グループ最下位だという。つまりサウジより下。それならば互角のいい勝負がみられるかと思ったら、とんでもなかった。7万人を超える大観衆の声援を受けたロシアが完勝してしまう。
 序盤こそサウジのほうが勢いがあったので、ロシアはちょっとやばいんじゃないかと思ったのだけれど、まったくそんな心配は不要だった。開始わずか12分に、左サイドからのクロスに8番のガジンスキーという選手が頭であわせて、あっという間に先制。練習かってくらい高くてどんぴしゃのファイン・ゴールだった。
 そうそう、試合が始まる前にロシアの選手たちをみて、でかい人ばかりだなぁと思ったんだ。まぁ、欧州ではあれくらいが普通なのかもしれないけれど、ふだんJリーグしか観ていない僕の目には巨漢の集まりに見えた。そんな高さが炸裂してのいきなりの先制点だ。やっぱアジアはフィジカルでは不利だよなぁって思った。
 ロシアはそのあと前半のなかばに、9番の選手がドリブル中に突然足を痛めて交替してしまったので(可哀想に……)、これはちょっとサウジに風が吹いたかと思ったら、結果的にはその交替がさらにロシアに味方した。
 かわりに出てきた6番のチェリシェフという選手(この人はあまり大きくない)が、前半の終わりにゴールを決めて追加点。右サイドからの崩しでファーに流れたボールを拾うと、サウジのバタバタした守備をおちついてかわし、豪快に決めてみせた。1点目もそうだけれど、ほんとサウジ、守備ひどすぎ。
 チェリシェフは後半の終了間際にも、もう1点、技巧的なシュートを決めている(なので当然この試合のMOM)。それよりも前には、これまた後半途中から出てきた22番のジュバという選手(高さが売りの元エースらしい)が、ピッチに立ってわずか1分でヘディング・シュートを決めている。でもって、後半のロスタイムには17番のゴロビンという選手が直接FKまで決める始末。
 ということで、ファイナル・スコアは5-0という一方的な試合になった。サウジは日韓大会でドイツに8-0という強烈なスコアで負けたことがあったけれど、あれにつぐ大敗じゃなかろうか。今回は相手がドイツのような強豪ではないだけに、なおさら哀れを誘う。中東の国は集中力が切れちゃうともろいよねぇ……。
 まぁ、一方的な内容だったとはいえ、緒戦から5ゴールも観られて、ロシア人も大盛りあがりで、まあまあいい開幕戦だったような気がする(あくまでサウジ以外の人たちにとっては)。
 それにしても、1点目が決まったあとにプーチンとサウジの国王らしき人がFIFAの会長をはさんで「いやぁ、ごめんね」みたいな感じで握手していたけれど、あの人たちって試合のあと、どんなことになってたんですかね。ちょっと気になる。
(Ju 15, 2018)

エジプト0-1ウルグアイ

グループA/2018年6月15日(金)/エカテリンブルク・アリーナ/フジテレビ

 ロシアと同じグループAのもう一試合はエジプトとウルグアイと聞いて、なんとなく地味な印象を受けてしまっていたんだけれど、そういえばウルグアイにはスアレスがいるんでしたっけね。
 で、彼とのみならず、カバーニという選手は今年のフランス・リーグの得点王だぞと。さらには対戦相手のエジプトにはプレミア・リーグ得点王のモハメド・サラ―がいる(故障明けでこの日は出番なしだったけど)。メンバー表をみると、そのほかにも欧州主要リーグの選手がたくさんいる(まぁ、主にウルグアイを中心に)。
 ということで、僕が知らなかっただけで、欧州リーグのトップを極めた選手たちが共演する、意外と豪華な一戦。
 印象的にはどちらもしっかりとした守備から決定力のあるFWを生かしたカウンターを狙うタイプの国で、となれば絶対的なエースを欠くエジプトが不利なのはあきらか。それでもエジプトはスアレスの再三のミスに助けられたり、ガバーニの決定的なシュートをGKのエルシェナウイ(いかにもエジプト人らしい名前の難しさ)やDF陣の奮闘で防ぎ、なんとかスコアレスで試合を運ぶ。
 このままウルグアイはドロー発進か──と思わせた後半終了間際。右からCKを2番のDFヒメネスがヘディングであわせてウルグアイが先制。これが決勝点となってウルグアイがなんとか初戦白星を勝ちとった。
 ヒメネスの得点はマークが二人いたのにものともしない見事なヘディングだった(さすがアトレティコ・マドリー所属)。エジプトも惜しかった。でも善戦が認められてか、MVPは負けたエジプトのGKだそうだ。
 そういえば、エジプトにはトレゼゲという選手がいて、けっこう目立っていた。「セ」と「ゼ」が違うけれど、かつてフランスにいたトレセゲの親戚かなにか?──と思ったら、単に似ているからそう呼ばれているとかなんとか。
 サッカー選手ってネーミングがアバウトだ。
(Jun 16, 2018)

ポルトガル3-3スペイン

グループB/2018年6月15日(金)/フィシュト・スタジアム(ソチ)/NHK総合

 今大会のグループ・リーグ屈指の好カード、ポルトガル対スペインが大会二日目にして早くも実現。でもってこれがグループ・リーグうんぬん抜きで、もしかしたら今大会のベスト・マッチなんじゃないかって、ものすごい試合になった。
 この試合は午前3時キックオフだったので、前の試合のあとでひと眠りしてから観た(年をとると短い眠りでもぱっと目が覚めて便利だ。そのぶん疲れが取れないけど)。基本的に3時からの試合はスルーするつもりなのだけれど、翌日が土曜日となれば、さすがにこのカードは観ないわけにはいかない。
 試合前のいちばんの話題はスペインの監督が開幕の前日に変わってしまったこと。事情は大きく異なれど、よもや日本よりあとに監督が交替する国があるとは思わなかった。それもよりにもよってスペインのような強豪国が……。新監督が日韓W杯で韓国にPK戦で破れてベスト8で散ったときにキャプテンを務めていたイエロってのもなにげにすごい。
 なんにしろ、スペインは指揮官の交替で、微妙に不安定な状況にある。
 対するポルトガルは2年前のユーロで優勝しているという(知らなかった)。エースのクリスティアーノ・ロナウドはいまだ衰え知らずのようだし、優勝候補どうしの対戦とはいえ、こうなるとポルトガル優位なのでは?
 などと思っていると、試合はまずはそんな予想どおりの展開で始まる。開始わずか4分でC・ロナウドがPKを獲得してポルトガルが先制。そこまでポルトガル優勢で、ほとんどスペインがボールを触れない意外な展開から生まれたイージーすぎる先制シーンだった。
 ありゃー、さすがのスペインもこれはまずいんじゃ……と思っていたら、この劣勢を個人技で跳ね返してみせたのがジエゴ・コスタ。前大会ではいいところなく姿を消したこの人が、前半のなかばにパワフルな個人技でポルトガルのゴールをこじあけてみせる。なんだ、やはりやればできる子だったか(子ってルックスじゃないけど)。
 同点になったあとはスペインが持ち前のパスワークを発揮し始めたので、これでスペイン有利かと思ったら、その勢いに水をかけたのがまたもやロナウド。前半終了間際にカウンターから放ったGK真正面へのシュートがスペインGKデヘアの手を弾き、ボールはゆっくりとスペイン・ゴールに転がり込んでいった。
 ということで前半は2-1とポルトガルのリードで終了。どちらもミスが少なく、プレひとつひとつがスピーディーで精確。これぞ超一流どうしっていうものすごい試合だった。やばい、レベルが違う。よその国ではこんなすごい人たちがプレーしているって現実が羨ましすぎて、ちょっと泣きそうになった。
 でもまぁ、そのうちのひとりにして、もっとも上手いイニエスタが来月からはうちの国でプレーしてくれるってんだからね。彼の影響でJリーグもさらなる進歩を遂げてくれればなと思う。
 あとね、いまさらこんなことをいうのもなんだけれど、やっぱりクリスティアーノ・ロナウドがすごい。凄すぎる。単に技術的にすごいってだけではなく、カウンターで攻め上がるときのスピードとかも尋常じゃない。ふだんJリーグで観ている選手たちとはあきらかに次元が違う──というか、欧州でだって違うんじゃないだろうか。
 この人は別次元だわ。これは後半もう1点とってハットトリック決めちゃうんじゃないの?──と思ったら、本当にその通りになったので大笑いしてしまった。
 スペイン相手に3得点もする選手を同じグループのイランやモロッコ──初戦はイランが1-0で勝利(アジア勢初勝利おめでとー)──が止められるとは思えないので、下手したらグループリーグだけで大会新記録を達成しちゃうんじゃないかと思った。
 ──あ、でもこの試合の終了間際に足を痛めていたから、もしかしたら次節とか大事をとって出てこないかもしれない。大事に至らないよう祈っている。
 ポルトガルのリードで始まった後半は、ジエゴ・コスタがまたもやゴールを決めてスペインが同点に追いつき、さらには前半にPKを与えたDFナチョ・フェルナンデスが美しいカーブのかかったミドル・シュートを左ポストにあててゴールへと突き刺し、逆転してみせた。ナチョのシュートはその軌道がじつに美しかった。惚れぼれとした。
 これでスペインの勝利か──と思わせた試合を最後の最後でふりだしに戻したのがC・ロナウドのFK。
 ということで、以上6ゴールが乱れ飛んだ乱打戦。どれも印象的なゴールばかりで、サッカーのおもしろさがたっぷりと詰まった名勝負だった。
 いやぁ、真夜中にがんばって起きてよかった。大満足。
 今回のW杯、けっこう楽しいかもしれない。
(Jun 16, 2018)

フランス2-1オーストラリア

グループC/2018年6月16日(土)/カザン・アリーナ/NHK総合

 さすがNHKというべきか。
 この試合は午後7時のキックオフだったのに、放送権を持っているNHKはいつも通りに7時のニュースを放送していて、生中継は7時半になるまで始まらなかった。ニュースが大事なら大事でいいけれど、それならばBSで放送してくれればいいでしょうに。なにを考えているんだか、よくわからない。
 (【追記】2日後の韓国戦では最初の30分がNHK総合2というサブチャンネルで放送されていたので、この試合もきっとそちらで放送があったんでしょう。そのときにも、もしやとは思ったんだけれど、BSと違ってリモコンの「2」を押すとEテレが映っちゃうので、チャンネルの存在に気がつかなかった。ちくしょうNHK、わかりにくいぜ)
 というわけで、仕方なく7時半まで待った……かというとそうではなく。NHKが無料で配布しているW杯アプリというのがあって、そちらではちゃんと生配信があったので、最初の30分はそちらで観た。もしかしてアプリをダウンロードさせたくて、わざと中継を遅らせたわけじゃないよな? まぁ、ちゃんと高画質でまったく問題なく観られる立派なアプリだったけど(もしかしたらDAZNより観やすかった。ただし実況は英語)。
 というわけで、テレビではなくネット配信という新しい技術に頼って観始めたフランスとオーストラリアの一戦。
 おもしろいもんでこの試合、内容的にも今大会から採用された最新技術が結果を左右することになった。
 フランスの先制点は本大会から新しく採用されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の判定によって、いったんは主審によって流されたプレーがあとからファールと判定されたことによるPK。そして決勝点はバーにあたって斜めに落ちたボールがゴール・ラインを割ったか微妙なところを、前大会から採用されているというゴール・ライン・テクノロジーによってゴール認定されたもの。
 どちらも20年前にフランスが優勝したころなら、おそらく認められてなかったんじゃないかってゴールだった。オーストラリア、最新技術に足をすくわれるの巻。
 まぁ、でもオージーもがんばった。PKで先制されたときにはこれまでかと思ったけれど、そのあとすぐにこちらもPKを獲得して同点に追いついたし──こちらはVAR不要の明白なハンドだった──、その後もあの微妙なゴールの1点のみに抑えたんだから、負けたとはいえ大健闘だった。
 それにしても、フランスの10番をつけているエムバペ(またはムバッペ)は19歳だって。うちの娘やアントラーズの安部裕葵と同い年だよ。フランスのような強豪がこんな若い子にエース・ナンバーを託しているのに、後進国の日本はいったいなにやってんだろう。中島翔哉のようにすでに二十代なかばの選手を実績が足りないからって代表から外している現状って……。
 決勝ゴールを決めたポグバは中島と同世代じゃん。こんなことじゃいつまでたっても世界には追いつけない気がする。
(Jun 17, 2018)

アルゼンチン1-1アイスランド

グループD/2018年6月17日(土)/スパルタク・スタジアム(モスクワ)/NHK総合

 過去の大会ではいまいち活躍できていなかったクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックの大活躍でスタートを切ったので、ではもう一方の天才、メッシはどうかというのが注目されたアルゼンチンの初戦。対するはこれがW杯初出場のアイスランド。
 結果からいえば、メッシはC・ロナウドとは対照的でお気の毒だった。まるでサッカーの神様がふたりを比較するために同じだけのチャンスを与えているんじゃないかって展開だったために、なおさら違いが目立った。
 ともにPKのチャンスをもらいながら、ロナウドが決めたそれをメッシは外した。ポルトガルは試合終了間際にC・ロナウドのPKで同点に追いついたけれど、メッシは最後のチャンスに与えられたFKを決められず、アルゼンチンは勝ち越しに失敗した。
 結果的にはどちらもドローで終わっているわけだけれど、優勝候補のスペインと引き分けたポルトガルと、人口35万人という小国アイスランド(でもFIFAランキングは22位と高い)と引き分けたアルゼンチンでは、その勝ち点1が持つ意味は大きく違ってくる。アルゼンチンにとっては残りの2試合がクロアチアとナイジェリアってのもなかなかタフだろう。
 まぁとはいえ、アイスランドも見事な戦いっぷりだった。身長190センチを超える巨漢だらけのチームが、そのフィジカルを頼りに肉弾戦を仕掛けてくる。そのシンプルで迷いのない戦いっぷりはなかなかインパクトがあった。アグエロの個人技で先制されて意気消沈するかと思いきや、それから5分もせずに同点に追いついてみせた。その反骨精神はあっぱれだった。さすがヴァイキングの子孫。居酒屋で同席したら危なさそう。
 個人的にこの試合で失敗だったのは、週末だってんでつい酒を飲んでしまったこと。午後10時という比較的早い時間帯のキックオフだったから、大丈夫かと思ってひとつ前のフランス戦から飲んでいたら、この試合の後半になってものすごい睡魔に襲われて、ついうとうとしてしまった。
 そういえば前の晩は3時に起きてポルトガル戦を観たんだった。仮眠2回で4時間ちょいしか寝てなかったんだった。しまった、油断した。やっぱW杯期間中は酒は飲んじゃいけないらしい。ほんともう若くないな。
(Jun 17, 2018)

ドイツ0-1メキシコ

グループF/2018年6月17日(日)/ルジニキ・スタジアム(モスクワ)/BS1

 今大会はホスト国ロシアの快勝にはじまり、ウルグアイ、フランスなどの強豪国が苦しみながらも順当に勝ち点3をあげ、ポルトガルとスペインの頂上対決がドローに終わるなど、それまでが実力通りの結果ばかりだったから、グループリーグでは番狂わせはないのかと思っていたけれど、やはりそうは問屋が卸さない。前日にアルゼンチンがアイスランドと引き分けたのにつづき、この日はなんと前回王者のドイツがメキシコに黒星。さらにはこのあとの試合ではブラジルがスイスと1-1で引き分けた。
 まぁ、アルゼンチンやブラジルはときに安定感を欠く印象があるし、負けたわけではないので、そこまで驚きはないけれど、ドイツは別だ。なんたって僕がW杯を観るようになってからドイツがグループリーグで負けたのはこれが初めてなのだから。
 調べてみたら、東西ドイツが統一されて最初の参加となった1994年のアメリカ大会以来、ことグループリーグではこれまで無敗。スペインやイングランドはグループリーグで敗退したことがあるし、イタリアやオランダなんて今大会は出場さえできていない。そんな中にあって、欧州でもっとも安定感があり、グループリーグは突破してあたり前という印象があったドイツが初戦で負けようとは……。メキシコ大金星。
 まぁ、メキシコも強いんですけどね。でも優勝できるほど強いかというと、そこまでの印象はない。この試合もドイツに押しこまれながら、カウンターに勝機を見出しての勝利だったし。後半はカウンターで時おりビック・チャンスを作りながら、一度も決めきれなかった。あの辺の詰めの甘さが強豪国と思えない要因な気がする。
 とにかくドイツの負けは驚きだった。ふだん海外のサッカーを観ない僕にとっては、ほとんどの国が知らない選手ばかりの今回の大会にあって、ドイツは知っている選手がたくさんいる珍しい国だ。ノイアー、ミュラー、エジル、クロース、ボアテング、フンメルスら、主力には前大会から連続出場の選手たちも多いし、監督も変わらずレーヴだ。同じ指揮官のもとで戦い、経験豊かな選手たちを数多く擁する前回王者が、なんで初戦で負けると思うだろう?
 ──って、でもまぁ、この日のドイツは負けても納得の戦いぶりだった。とにかくカウンターのケアは甘かったし(もう1、2点とられてもおかしくなかった気がする)、後半の攻めも単調で力任せなイメージがあった。これが初戦だというのに、最後はノイアーまで攻め上がって、なりふりかまわぬパワープレーまでしてみせるし。さしものドイツもああいう展開になると焦るものらしい。
 殊勲の決勝ゴールを決めたのメキシコのロサノは22歳。われらが日本でいちばん若いのは、出番のなさそうな23歳の植田。だから日本ももっと若いアタッカーを連れてこないとさぁ……。
(Jun 18, 2018)

スウェーデン1-0韓国

グループF/2018年6月18日(月)/ニジニ・ノヴゴロド・スタジアム/NHK総合

 日本代表の出番を翌日に控えて、ひと足先に韓国が登場。
 所属するのはドイツが負けて波乱必死のグループFで、対戦相手はスウェーテン。でもって、結果は豪州同様、ビデオ・アシスタント・レフェリーにPKの判定を食らっての0-1での敗戦。
 まあ、この試合については韓国の攻撃力のなさかすべてだと思う。シュートかわすか5本、そのうち枠内0なんてんでは、さすかに勝てない。守備ではそこそこがんばっていたけれど、とにかく攻撃がまったく形になっていなかった。ちょっとでも相手をあわてさせたシーンは、ク・ジャチョルのヘティング・シュート1本だけたったんじゃないだろうか。それだって枠を捉えられていなかった。
 攻撃的なポジションには、トッテナムで大話躍しているというソン・フンミンや、おなしみのキ・ソンヨン(童顔の彼がいまやキャプテンってのにはびっくりだ)、ク・ジャチョル、バルサの下部組織に所属していたという、途中出場の20歳の10番イ・スンウ(韓国まで未来に投資しているとは……)ら、海外でプレーしている選手が揃っているのに、なせにあんなに得点の匂いがしないのか不思議なくらい。去年E-1選手権で日本をこてんばんにした韓国がなんでこんな試合をしちゃうかな。
 スタメンにはFC東京のチャン・ヒョンスや元・鹿島のパク・チュホ(おお、まだ代表にいたんだ)なども名を連ねていたし、途中からは神戸のチョン・ウヨンも出てきたから、もうちょっといい試合を期待していただけに残念だ(まぁ、あまりいい試合をされても悔しいけど)。
 なせだか、この試合では新旧Jリーグ勢にとって残念なことが多かった。パク・チュホは前半のなかばに味方からのミス・パスがラインを割りそうになった場面でジャンプをして足を痛め、早々に交替になってしまうし(あんなプレーでW杯がおしまいなんて無念以外のなにものでもないだろう)、彼と交替で出てきた元・鳥栖のキム・ミヌはVARの餌食になってPKを与えてしまう。
 Jリーグから選ばれているふたりのGKは、チョ・ヒョヌという去年までKリーグ2部でプレーしていた選手にスタメンを奪われて出番がなかった。そのGKがなかなかいいプレーをしていたので、今後もJリーガーふたりの出番はないかもしれない。でも、あんな氣志團みたいなヘアスタイルの選手に本大会で突然レギュラー奪われるなんて、ちょっと屈辱的な気分じゃなかろうか。
 スウェーデンはプレイオフでイタリアを破って本大会に暹出してきたそうだけれど、やはりイブラヒモヴィッチが技けた穴が埋まらないのか、攻撃にいまいち迫力がなかった。これくらいの相手に勝てないようだと、このあとに控えているメキシコやドイツに勝つのは至難の技だろう。韓国は最初からきびしい状況におかれてしまった。
 それにしても、ここまでのアジア勢の出来は毎度のことながらさんざんだ。サウジ、韓国はスコアレスで負け(しかも両国とも枠内シュート0というていたらく)、オージーはPKの1点のみ。イランは勝ったけれど、虎の子の1点は相手のオウン・ゴールだ。ということで、まともに点を取った国がひとつもない。
 ああ、われらの日本がこの仲間に加わりませんように……。
(Jun 19, 2018)

コロンビア1-2日本

グループH/2018年6月19日(火)/モルドヴィア・アリーナ(サランスク) /NHK総合

 さぁ、ようやく日本代表が登場~。四年に一度のワールドカップの初戦。
 テレビで観るだけの自分がなんでこんなにドキドキ緊張してキックオフを待っているんだかわからないけど、でもこのドキドキはほかでは味わえない。これを味わうために代表を応援しているんじゃないかって気もする。それくらい特別だ。
 前にも書いたかもしれないけれど、僕にとってのサッカーは、登場人物を替えながら生涯にわたってつづいてゆく、終わりのない大河ドラマのようなものだ。W杯は四年に一度訪れるそのクライマックス。今回もその山場をたっぷりと堪能したい。
 さて、ロシア大会の初戦に西野監督が送り出した11人は、GKが川島永嗣、DFは4バックで(よし!)、右から酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都。ダブル・ボランチが長谷部誠と柴崎岳(おー)。攻撃的MFに原口元気、香川真司、乾貴士、そしてFWが大迫勇也のワントップ(せっかくなので全員フルネームにしてみた)。
 期待していた通り、柴崎が先発──のみならず昌子まで! 大迫も加えれば、センターラインは鹿島のトリオで構成されている。これが盛りあがらないでいられようかってもの。西野さん、ありがとー。
 まぁ、逆にいえばこのメンツで負けたら、アントラーズ・サポーターとしてはダメージがでかいわけです。最近の出来からすれば大迫はまぁ大丈夫だろうけれど、岳は調子に波があるし、源がミスしないかも非常に心もとない。
 僕は昌子源というCBのことをとても高く評価しているけれども、では現時点で彼が日本一のCBと言えるかというと、やや疑問が残る。Jリーグでは問題なくても、世界レベルではまだまだ成長の余地があると思っている。その点ではやはり麻也の経験値には及ばないし(それに麻也と並ぶとCBにしては身長が低いのがあきらかだ)、セットプレーでの貢献度では槙野のほうが上のように思う(足元は断然、源のほうが上手いと思うけど)。
 というわけで、そんな昌子くんがスタメンってのが、この日のドキドキを何割かアップした感があった。
 コロンビアとは四年前の大会でも戦って負けている──というか、前回大会はコロンビアとの試合が最後だったので、ことW杯に限っていえば、コロンビアとの二連戦という珍しい状況になることをネットで教えられた。なるほど、そういえばそうか。
 あの惨敗から4年──さぁ、今回の対戦で雪辱はなるのか?
 ──という答えはあっという間に出た。
 開始わずか3分。ロングボールからDFの裏をとった大迫がいきなりGKと一対一のチャンスを作る。ここで大迫が打ったシュートはGKのオスピナに止められてしまうものの、そのこぼれ球に香川がフリーで詰めていた。
 で、その香川による第二破のシュート、これがその後の試合の趨勢を大きく左右することになった。
 相手のMF6番のカルロス・サンチェス(DFにもサンチェスがもうひとりいて紛らわしい)がそのシュートを右腕にあてて止めてしまう。
 わざとかどうかはわからないけれど、レフェリーの判定は得点機の阻止で一発レッドカード。そして日本がPKを獲得。うぉおぉーーー。
 このPKを自ら蹴りにいったのが、驚いたことに香川だった。
 えー、香川っていつぞやのPK戦でキッカー務めなかったことあったよね? PK苦手なんじゃないの?
 ──と心配したんでしたが、そこはさすがに海外経験をたっぷりと踏んだ今大会では期するところもあったんだろう。これをきっちりと決めて日本が先制~。
 誰ひとり想像しないようなラッキーな展開だったけれど、その幸運は決して偶然もたらされたわけじゃない。日本が序盤から積極的に攻めて出たからこそ生まれたラッキーだ。自力で幸運をたぐりよせたのだから自信を持っていいと思う。
 ということで、開始わずか6分で日本が1-0のリード。しかも相手は10人。こんな展開で負けたら洒落にならない。よし、ここは一気にたたみかけて、コロンビアをこてんぱんに──。
 と期待にしたにもかかわらず、その後の日本代表の攻撃はトーンダウンしてしまう。数的不利になったコロンビアが引き気味になったのにあわせて、こちらも無理はせずに様子見の姿勢。岳もバックパスばかり。もっとガンガンいってくれよ~。
 まぁ、人数は少なくてもコロンビアは怖かったですけどね。守備が堅くてなかなかバイタル・エリアにボールを運ばせてはくれなかったし、前大会を故障で棒にふったというエース・ストライカーの9番ファルカオは、なるほどな得点センスを感じさせるプレーで、何度かDFラインの裏へと飛び出して、ひやっとさせてくれた。ハメス・ロドリゲスがコンディション不良でベンチ・スタートだったのは本当に助かった。
 前半残り5分、日本はファルカオの狡猾なプレーでファールを取られ(やつらファールもらうの上手すぎ)、20番キンテーロ(キンタローと口にしたくなるのは俺だけですか)に直接FKから同点ゴールを許してしまう。壁の足元を通されて、ゴール左隅へと飛んできたシュートを川島が止めたものの、ボールはゴールラインを超えていた。
 川島は「いやいや、超えてないよ」とアピールしていたけれど、あれはどう見ても超えてたから(ゴール・ライン・テクノロジーに頼る必要なし)。人数の少ないコロンビアを相手に、なんで前半の終わりに失点するかな……。
 でも、あぁ、やっぱ勝てないのかも……というそんな杞憂を、後半の日本代表はみごとに払しょくしてくれた。前半とは見違えるような積極的なパスワークで、相手を一方的に押し込んでみせる。
 途中でハメス・ロドリゲスが出てきたけれど、日本がボールを支配している状況だったので、ぜんぜん怖くなかった。彼が出てきてディフェンスが緩くなったので、かえって楽になったくらい。そんな状況に業を煮やしたのか、ハメス・ロドリゲスは終盤に原口だかをけずってイエローをもらっていた。あのときのハメスの悔しそうな顔ときたら。いやー、痛快だったわ(性格わるい)。
 そんなこんなで、日本の攻勢で試合が進んだ後半のなかば。香川にかわって本田が出てきてすぐのCK。本田からのボールにゴール真正面の大迫が相手DFに競り勝って、殊勲の決勝ゴーーール!!!! 大迫、やったーーーー!
 そのあとアディショナル・タイム5分(長ぇーよ)を含めた残り時間はおよそ20分。途中で足を痛めた岳(無事を祈る)にかわって蛍が出てきて、3枚目のカードで大迫を岡崎に替えて、日本は無事にそのまま逃げ切って白星を手にした。いやぁ、最後まではらはらした。でもこれぞW杯。初戦から旨みたっぷりだった。
 なんとW杯でアジアの国が南米の国に勝ったのは史上初なんだそうだ。そういう意味でもめちゃくちゃ価値のある勝利だった。大迫、柴崎、昌子と、それぞれに海外でも高い評価を受けているようだし、もう文句なしです。
 見たか、コロンビア! うちの国だってやればやれるんだぜっ──ってまぁ、11対11で戦ったら、やはり勝てる気がしないけど。
 このあとの試合ではセネガルもポーランドに2-1で勝ったので、グループHはアジアとアフリカが1位、2位。うちのグループ、なんかすげー楽しいことになっている。
 試合後も試合のことを思い出しては、わけもなく何度もガッツポーズをしてしまう──。そんな歓喜の夜でした。
 ありがとう、日本代表!
(Jun 20, 2018)