Coishikawa Scraps / Music

夢を追う旅人

エレファントカシマシ / CD / 2016

　明治のＣＭソングとして発注を受け、なおかつ「ひとくちの力」というフレーズを入れるよう注文を受けて書いたという、珍しい経緯のエレカシの最新シングル。あわせてカップリング・ナンバーもテレビ東京のドラマ『侠飯』の主題歌という、エレカシ史上もっともコマーシャルな一枚。
　『夢を追う旅人』は、「さぁ、行こうぜ～」と勢いよくイントロなしで歌から入るオープニングといい、「ジャカッツ、ジャカッ」というバッキングのエレクトリック・ギターのカッティングといい、起伏のあるポップなメロディーといい、いかにも宮本らしいナンバー。
　カップリングの『i am hungry』は豪快にギターを鳴らしたラウドなロック・サウンドがライヴ映えしそうな一曲。ピュンピュン変な音が入っているのがちょっとあれだけど（なるほどな村山☆潤プロデュース）、その点以外はいいと思う。
　どちらもメロディーはとてもキャッチーだし、音響的にも豪快で気持ちのいい出来映えになっている。あと、ジャケットの写真も笑えていい。
　うん、メロディーと音響とビジュアルは素敵。
　でもなぁ……。
　やっぱ歌詞がつまらない。どうにもこうにもつまらない。どこにも引っかかってこない。いまさら「行こうぜ、どでかい明日へ」とか、「飛び立て未来へ」っていわれてもなぁ……。
　五十にもなって、どこへ行くのさ、いったい？
　オレたちももう若くないんですよ。あてもなく、ただひたすら「行くぜ～」とか叫ばれても、すんなり「はいそうですね」とは思えない。
　昔はもっと身につまされる、とても切実な歌を書いてくれていた人が、なぜに五十にしてこんな浮ついた歌を歌っているんだろう？
　宮本くんには、いつまでも「とりあえず行くぜ～」とか叫んでいないで、いい加減ちゃんと目標を定めて、しっかりとそこを目指して進んでゆくような歌を聴かせて頂きたい。せつにそう願います。
　暴言ごめん。
(Aug 28, 2016)