2007年2月の音楽
Index
- 20 Y.O. / Janet Jackson
- High Times: Singles 1992-2006 / Jamiroquai
- Razorlight / Razorlight
- ゴースト・ヒッツ00-06 / ソウル・フラワー・ユニオン
- This Is Music: The Singles 92-93 / The Verve
- War Child Presents: 1 Love / V.A.
- Classic Albums: Catch A Fire [Documentary] / Bob Marley and the Wailers
20 Y.O.
Janet Jackson / 2006 / CD
ジャネット・ジャクソンも僕と同い年だから、もう四十歳。この人の、世界一有名なアイドルかつ変人を兄にもつとは思えない屈託のなさには、いつも感心させられる。よほど健全な精神の持ち主なんだろう。
『二十歳』という、サバを読みまくったタイトル(どうやら『Control』でブレイクしてから二十年という意味らしい)のこの新作もなかなかいい感じだ。基本的には十年前のプリンスから毒を抜いたような音作りの作品で(このところのヒップホップは大半がこういう音のような気がする)、多重録音のキュートなコーラスワークがとても心地よい。お気に入りはリンリンと鳴り響くベルのような音響が印象的な、もっとも可愛いナンバー "Daybreak" 。四十歳過ぎてなお、とてもキュートです。
(Feb 12, 2007)
High Times: Singles 1992-2006
Jamiroquai / 2006 / 2CD
もういい加減にほとんどの音源を持っている(しかもたいして聴きもしない)ベスト盤を買うのはやめようと思っているのに、ジャケットがいいとつい手が出てしまうのが、コレクター気質というもので。このジャミロクワイのベスト盤も、浜辺に打ちあげられたトレードマークの帽子の写真がなんとも格好よくて、買わずにはいられなかった。まあ、音楽もとてもいいですが。こうしてシングルばかりを並べられると、売れるのももっともだと思う。
ちなみにジャケット買いといいつつ、僕が買ったのはリミックス・バージョンばかりを集めたボーナス・ディスクのついた輸入盤のスペシャル・エディション。どうも限定版という言葉にも弱い。
(Feb 12, 2007)
Razorlight
Razorlight / 2006 / CD
レイザーライトのセカンド・アルバム。最近のUKの新人バンドのなかでは、もっともポップでわかりやすいバンドじゃないかと思う。2曲目の "Who Needs Love" はエルヴィス・コステロそっくりだし、9曲目の "Back to the Start" のレゲエ・パートはポリスみたいだ。そういう80年代的なわかりやすさがある。でもそうした半懐古的なポップさが、逆に深みがたりない印象を与えてしまって、損をしているような気もする。現時点ではちょっとばかり味つけが甘すぎるかなと思う。もう少し辛さや苦味が加われば、もっといいバンドになるんじゃないだろうか。
(Feb 12, 2007)
ゴースト・ヒッツ00-06
ソウル・フラワー・ユニオン / 2006 / CD+DVD
ソウル・フラワー、三枚目のベスト盤。セールスを考えると、5年ごとに1枚のベスト盤ってのは、ちょっと多すぎるんじゃないかという気がするけれど、それでもこの時期の彼らの作品はとても充実していたので、こうしてそのおいしい部分だけをまとめて聴かせてもらうと、それはそれでやはり気分が高揚してしまう。新録の何曲かもいい感じだし、プロモーショナル・ビデオ5曲入りのDVDもおまけでついてくるし、これに文句を言うのも野暮だろうと思わせる内容になっている。ただ、個人的には大好きな『完璧な朝』<ア・ルータ・コンティヌーア>』が収録されていないのが残念なところ。
(Feb 18, 2007)
This Is Music: The Singles 92-98
The Verve / 2004 / CD
これは2004年にリリースされたヴァーヴのベスト盤。去年のリチャード・アシュクロフト・マイブームのおりに、オリジナル・アルバム未収録曲が何曲か収録されているのを見つけ、アマゾンでとても安く売っていたのを入手したもの。でも、届いたのを見てみたら、これがいまさらコピーコントロールCDだった。んなこと、どこにも書いてなかったのに。ああ、やられた。わが家にある数少ないCCCDのうちの一枚となってしまった。それにしても iTunes で普通にリッピングできちゃうCCCDっていったい……。
ま、そんな不満はあるにしろ、音楽的にはとてもいい。これを聴くと、なんでおれは 『Northern Soul』 を聴いた時点でこのバンドの魅力に気がつかなかったんだろうと、本当に不思議になる。
(Feb 18, 2007)
War Child Presents: 1 Love
V.A. / 2002 / CD
戦災孤児支援団体 War Child とNMEの提供による2002年リリースのチャリティ・アルバム。大好きなバーナード・バトラーが、マカルモント&バトラー名義で知らない曲を提供しているのを知って、いまさらながら入手してみた。そしたらその "Back to Good" という曲が、聴けば誰でもそれとわかるような、テイク・ザットの大ヒット曲だったりする。なにゆえこんな曲を……。
アルバム自体は、チャリティということもあって、UKの人気アーティストたちが有名曲をカバーするという企画もので、なかなか豪華なメンバーが集まっている。個人的に聴きどころだと思うのは、ミューズの 『朝日のあたる家』 、マニック・ストリート・プリーチャーズの "Out of Time" (ストーンズ)、プロディジーの "Ghost Town" (スペシャルズ)など。バッドリー・ドローン・ボーイは、 "Come On Eileen" という選曲はナイスなものの、出来はいまひとつぱっとしなかった。
ジミー・イート・ワールドというバンドによるプロディジーの "Firestarter" のカバーは、とてもプロディジーの曲だとは思えないスロー・バラードになっていておもしろい。プロディジーの曲って、歌だけ取り出すとこんなに普通になっちゃうんだと、妙に感心してしまった。
オアシスも参加しているのだけれど、残念ながらボーカルをとっているのはノエル。こういうコンピレーションでノエルがボーカルをとるのは反則だと思う。
(Feb 18, 2007)
Classic Albums: Catch a Fire [Documentary]
Bob Marley and the Wailers / 2000 / DVD
ロック史上に残る名盤の制作にまつわる裏話を紹介するドキュメンタリー・シリーズのうちの一本。前から気になっていたシリーズだったのだけれど、もとはテレビの一時間番組っぽいし、わざわざ高い金を出して買うほどでもないなあと思って、保留になっていたもの。ここへきてようやく入手してもいいかなと思える価格になったので、めぼしいやつをまとめ買いした。
この作品が扱っているのは、ボブ・マーリィ&ウェイラーズがレゲエという音楽を世界に知らしめた記念碑的メジャー・デビュー・アルバム。いまとなると中心人物三人のうち、一般的にはもっとも知名度の低いバニー・ウェイラーしか生きていないのが残念なところだけれど、それでもなかなか興味深い話が聞けるし、断片的ながら貴重な演奏シーンもそれなりに見られる。
もっとも感心したのは、そのバンド唯一のサバイバーであるバニー・ウェイラーさんがとても歌が上手いこと。インタビューに答えながら、断片的なアコギの弾き語りを聞かせてくれているのだけれど、これがとても見事なのだった。不勉強な僕は、この人についてはまったくなにも知らなかったので、とても感銘を受けてしまった。いずれ機会があったらばソロを聴いてみたい。まあ、その前にボブ・マーリーをちゃんと聴けという話があるけれど。
あと、裏話でおっと思ったのが、アルバムのデラックス・エディションに収録されている、もっともポップなソウル・バラード "High Tide or Low Tide" が、(レゲエっぽくないので)「アルバム・カラーに合わないと思った」という、インターナショナル盤のプロデューサーの意見でカットされてしまったという話。僕はあの曲を初めて聴いた時に、どうしてこんなにいい曲がお蔵入りになってしまったんだろうと不思議に思ったものだったけれど、このドキュメンタリーを観たことでその謎が見事に解明して、ちょっとすっきりした気分になれた。
(Feb 18, 2007)