2006年8月の音楽
Index
- Keys to the World / Richard Ashcroft
- The Way of Curve / Curve
- Demon Days / Gorillaz
- Rock and Roll Circus / The Rolling Stones
- Hight Grass Dogs - Live from the Fillmore / Tom Petty & the Heartbreakers
- My Favorite Things / John Coltrane
- We Shall Overcome: The Seeger Sessions / Bruce Springsteen
- Living with War / Neil Young
- Youth / Matisyahu
- Emissions / Rosso
- Silent Alarm Remixed / Bloc Party
- Clap Your Hands Say Yeah / Clap Your Hands Say Yeah
- デラシネ・チンドン / ソウル・フラワー・モノノケ・サミット
Keys to the World
Richard Ashcroft / 2006 / CD
元ヴァーヴのボーカリスト、リチャード・アシュクロフトのソロ第三弾。方向性はこれまでの2枚と一緒でほとんど新鮮味はないし、ロック・ミュージックとしてはかなり保守的な部類に入る音作りではあるけれど、これがどういうわけか、いまの僕にはとても気持ちいい。最近ストリングスに対して嫌悪感がなくなって、大仰なアレンジにも、まあこれはこれでありだろうと思えるようになったのが大きいんだろう──って、バーナード・バトラーが好きな男がなにを言っているんだという気もする。とにかく、いまさらながらにとても気に入ってしまい、一時期は過去の作品も含めて、この人の作品ばかりを繰り返し聴いていた。やっぱり歌が上手い人がいいメロディを歌うってのは、それだけで力があるものだと思う。今年のMyベスト5入り確実という一枚。
(Aug 20, 2006)
The Way of Curve
Curve / 2004 / CD
二年ほど前に知らないうちにリリースされていたカーヴのベスト盤+レアトラック集。こんなの買ったってほとんど聴かないだろうと思いつつも、こういうものこそ見つけた時に入手しておかないと、いざ欲しいと思った時に廃盤になっているのが常なので、さっさと買ってしまうことにした。カーヴの場合、『Missing Link』一曲しか知らないも同然のくせして、よくわからない愛着を感じている僕がいる。
いやでもこれはこれで絶対に悪くない。悪くないどころか、非常に格好いいです。
(Aug 20, 2006)
Demon Days
Gorillaz / 2005 / CD
ブラーのデーモン・アルバーンのサイド・プロジェクト、ゴリラズの4年ぶりとなる第二弾。ラジオなどでかかっていた曲がなかなかいい感じだったので、とりあえず買ってはみたけれど、いまの気分にはそぐわなくて、放置されたままになってしまっている。不肖ながら、こんなアルバムばっかりだ。
(Aug 20, 2006)
Rock and Roll Circus
The Rolling Stones / 2004 / DVD
ローリング・ストーンズが司会を務めた一発こっきりのテレビ音楽番組を完全収録したDVD。ストーンズを中心として、ジェスロ・タル、ザ・フー、タジ・マハール、マリアンヌ・フェイスフル、そしてジョン・レノンがギターボーカル、クラプトンがギター、キース・リチャーズがベースという伝説のセッション・バンド、ダーティ・マックの演奏が収録されている。60年代の空気が色濃く漂う珍品だ。
(Aug 20, 2006)
Hight Grass Dogs - Live from the Fillmore
Tom Petty & the Heartbreakers / 1999 / DVD
トム・ペティ&ハートブレイカーズのステージを収録した99年の映像作品。この作品に関しては、音楽がどうとか映像の出来がどうとかいう以前に、DVDの収録形態が4:3のレターボックスであることに愕然とした。いまどきこんなフォーマットで出すなよなあ。ワイドテレビが標準化しているいまとなると、こういうのはそれだけでしらけてしまう。
痩せた人という印象が強かったトム・ペティさんも、いつのまにか中年らしい体形になっている。そんな音楽とは関係のないことばかりに気をとられていて、音楽をきちんと楽しめずに終わってしまっている一枚。
(Aug 20, 2006)
My Favorite Things
John Coltrane / 1961 / CD
あまりに有名な『サウンド・オブ・ミュージック』の挿入曲『My Favorite Things』をジャズ・バージョンにアレンジした表題作に加え、コール・ポーターの『Everytime We Say Goodbye』、ガーシュインの『Summertime』と『But Not For You』という、数知れないジャズマンによってカバーされてきた定番中の定番ばかりを収録したコルトレーンの代表作のひとつ。悪かろうはずがない。
(Aug 20, 2006)
We Shall Overcome: The Seeger Sessions
Bruce Springsteen / 2006 / CD
ピート・シーガーというフォーク・シンガーが歌い続けてきたフォーク・ソングの世界にいまさらながらに感銘を受けたスプリングスティーンが、彼の持ち歌のうちから気に入ったものをセレクトし、フィドルやブラスをフィーチャーした大所帯バンドで和気あいあいと一発取りした企画もののアルバム。いわばブルース・スプリングスティーン版のソウル・フラワー・モノノケ・サミットとも、アメリカ版『Irish Heartbeat』とも言うべき作品だ。
「スプリングスティーンのコンサートの楽しさを思い出させてくれるアルバムだ」という評価をネットのどこぞで目にしたけれど、まさにそのとおり。なんとも楽しげでいい。まあボスにしてみれば、「楽しい」の一言で片付けられては困る作品なのかもしれないけれども。
(Aug 20, 2006)
Living with War
Neil Young / 2006 / CD
アメリカの戦争に反対するニール・ヤングが、百人のコーラス隊を引き連れて、スリー・ピース・バンドでの一発取りを敢行。きわめて即興的に作り上げられた反戦アルバム。
悪いとは思わないのだけれど、かといって音楽面だけで見るならば、ニール・ヤングがひとりでエレクトリック・ギターをかき鳴らしているだけで、音響的な抜けが悪く、いまひとつと言うか……。英語のメッセージをしっかりと受け取れない僕のような人間にとっては、とっつきにくい作品になってしまっている。
(Aug 20, 2006)
Youth
Matisyahu / 2006 / CD
敬虔なユダヤ教徒であることで話題となっているレゲエ・シンガー、マティスヤフのメジャー・デビュー・アルバム。
ひさしぶりに買ったロッキングオンで、M.I.A.が気に入った人はぜひ、みたいな推薦のされ方をしていたので聴いてみたのだけれど、あまりにノーマルなレゲエ過ぎて、あてはずれ。どうしてこれとあれを比較できちゃうのかが不思議だ。ノーマルなレゲエ・サウンドに、時おりロック的でダイナミックなドラムやディストーション・ギターが挿入されるアレンジの曲もあるので、その辺がロックファンへのアピールが高そうだと思ったということなんだろうか。よくわからない。
なんにしろ、残念ながらいま現在の僕のモードにはあまり引っかかってこない音作りの作品だった。
(Aug 20, 2006)
Emissions
Rosso / 2006 / CD
わずか4曲入り、でも30分あるというロッソのサード・アルバム。この分量ならばアルバムというよりはEPじゃないかと思うのだけれど、本人たちがアルバムだというし、世間でもアルバム扱いされているようなので、アルバムなんだろう。
ロッソとミッシェルの一番の違いがスピード感だとするならば、ゆっくりな曲ばかりのこの作品はもっともロッソらしい作品ということになる。なんとも渋い、玄人受けしそうな作品。
(Aug 20, 2006)
Silent Alarm Remixed
Bloc Party / 2005 / CD
ブロック・パーティーのファースト・アルバム『Silent Alarm』を曲順もそのままに再収録したリミックス・アルバム。
ブロック・パーティーの場合、楽曲がどうとか言うよりも、むしろその音楽スタイルに大きな感銘を受けたバンドだったから、リミックスにはあまり関心がもてないなあと。そう思いながらもとりあえず入手してみたら、やはり案の定という作品だった。これを聞く時間があるんならば、僕はファーストを繰り返し聴く。まあリミックスなんてものは、すべからくそういうものかもしれない。
(Aug 20, 2006)
Clap Your Hands Say Yeah
Clap Your Hands Say Yeah / 2005 / CD
どういうバンド名だ、と思わずつっこみたくなるような名前のアメリカの新人バンド、クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーのデビュー・アルバム。これがバンド名はともかくとして、音楽的にはとても素晴らしかった。呑んだくれて頭がおかしくなってしまったよれよれのトム・ヨークとでもいった印象のボーカリスト、アレック・オンスワースの歌にはなんともいえない求心力があるし、ガラクタをたたいて出したみたいな、とっちらかったバンドの音もおもしろい。このバンドは今後も要チェック。
(Aug 20, 2006)
デラシネ・チンドン
ソウル・フラワー・モノノケ・サミット / 2006 / CD
実に9年ぶりとなるソウル・フラワー・モノノケ・サミットの3枚目。阪神大震災をきっかけとして立ち上がったSFMSの9年ぶりの作品ということは、つまり阪神大震災からすでに十年以上の歳月が流れているんだなあと──。いまさらながらにそんなことに気づかされる。
なにはともあれ英語圏の文化にどっぷりと浸かって暮らしているうえに、演歌がどうしても好きになれない僕にとって、モノノケ・サミットはちょっとばかり困ってしまう存在だ。それでも今回のアルバムにはSFUのライブでも演奏されていた『ああわからない』やSFUの『あまの川』、僕でも知っている『お富さん』『ドンパン節』『三池炭鉱節』などのとても有名な歌が収録されているため、意外と馴染みやすかった。中川敬作詞作曲の新曲『マジナン・ジャンボリー』がそのほかの歌となんの違和感もなく同居しているのも、ある意味すごいと思う。
それにしても自分の部屋でじっくりと「死んだはずだよお富さん」とか「月が出た出た、月が出た」なんて歌を聴く日がくるとは思ってもみなかった。
(Aug 20, 2006)