2006年2月の音楽
Index
- Solarized / Ian Brown
- Confessions on a Dancefloor / Madonna
- スーベニア / スピッツ
- [I.D] Y Best Collection / 大沢誉志幸
- Their Law: The Singles 1990-2005 / The Prodigy
- Hurricane Relief: Come Together Now / V.A.
- Motown Christmas / V.A.
- Rarities 1971-2003 / The Rolling Stones
- Vertigo 2005 - Live from Chicago / U2
- Born To Run 30th Anniversary Edition / Bruce Springsteen
Solarized
Ian Brown / 2004 / CD
あまり安くないからと躊躇して、すっかり買いそびれていたイアン・ブラウンの04年リリースのアルバム。去年ベスト盤がリリースされているし、新作も準備中みたいなニュースを目にしたから、すっかり旧譜という印象だ。
音楽的には、打ち込み多様のアレンジによるゆっくりめのビートの曲ばかりで、あいかわらずあまり僕の好きなタイプの音楽ではない。でも、同じような作品だった前作よりも若干は好印象だった。その理由が説明できないあたりが駄目なところなのだけれども。
(Mar 10, 2006)
Confessions on a Dance Floor
Madonna / 2005 / CD
たいして聴きもしないのに、なぜだかフォローし続けているマドンナの新譜。 『ダンスフロアでの告白』 というタイトルどおり、全編80年代を思い出させるような打ち込みのダンス・ビートの曲ばかりの作品。
今さらこんなのありかと思ったのだけれど、世の中の人はこういうのが大好きらしく、このアルバムは意外なほどに売れているみたいだ。でも僕はまるで駄目。ほとんど盛り上がれない。中ではかろうじて、5曲目 "I Love New York" がいいかなと思うくらい。
(Mar 10, 2006)
スーベニア
スピッツ / 2005 / CD
これもわけあって買いそびれているうちに一年たってしまった作品。
もとよりスピッツの大ファンというわけではないけれど、このアルバムは旬を逃したせいか、いつになく乗り切れなかった。このところあちらこちらで耳にすることの多い沖縄民謡風なアレンジがほどこされた 『ナンプラー日和』 が、どうも僕が勝手に抱いているスピッツのイメージを裏切っていて、収まりが悪い気分にさせられるのも、マイナスに働いている気がする。
あえてどの曲かを選ぶとするならば、3曲目の 『優しくなりたいな』 。こういう「ど」がつくほどのバラードを選ばないとならないあたりが、このアルバムに対して僕が抱いている距離感を物語っている。
(Mar 10, 2006)
[I.D] Y Best Collection
大沢誉志幸 / 1998 / CD
アニメ 『シティーハンター』 の主題歌だった 『ゴーゴーヘブン』 は、僕のもっとも大好きな歌のひとつだ。僕はこの曲のアナログ盤のシングルをいまでも持っている。ただ、アニメ自体は一度も見たことがないし(見たいとも思わない)、B面のバラードも1度しか聴いた記憶がない。とにかく 『ゴーゴーヘブン』 、この曲だけが付加価値不要で、ただひたすら好きだった。
この曲に限ったことではなく、昔から大沢誉志幸の一部の曲には強烈な愛着を感じる。本人にとってはおそらく唯一のヒット曲である 『そして僕は途方に暮れる』 はもとより、沢田研二に提供した 『おまえにチェック・イン』 やビートたけしの 『哀しい気分でジョーク』 、吉川晃司の 『ラ・ヴィアン・ローズ』 、鈴木雅之の 『ガラス越しに消えた夏』 など。彼の書く曲は僕にとって日本のポップ・ソングの最高峰だと言っても言い過ぎではないと思っている。
それほどまでに思っていながら、僕はこれまでこの人の作品をまともに聴いたことがなかった。かつて 『そして僕は途方に暮れる』 がヒットした頃に、その曲が入ったアルバム──たしか 『Confusion』 だったと思う──をともだちにダビングしてもらって聴いただけ。これではいけない、いずれはアルバムをちゃんと聴かないとと、ずっと思っていた。で、今回ようやくベスト盤ながら2枚組のアルバムを手に入れて聴いてみたわけだけれど……。
やっぱり80年代の音は駄目だ。しかも日本の音楽ともなるとなおさら……。1枚目の始めの方の音響で、あららと思って、それっきりになってしまった。大好きな 『ゴーゴーヘブン』 は導入部に 『Go Go "trouble" Heaven~』 がくっついて、それとあわせて一曲扱いで収録されてしまっているし、 『そして僕は途方に暮れる』 はシングルとは別バージョンで、肝心要のサビの節回しがちがっていて、気持ちよくない。なんだか小さなところで、それはないだろうという不満が多くて、どうにも楽しめないでいる。残念無念。
(Mar 10, 2006)
Their Law: The Singles 1990-2005
The Prodigy / 2005 / CD
いや、だから。もう無駄遣いはやめよう、聴かないのがわかり切っているCDを買うのはやめようと思っていたのに……。
ボーナス・ディスク&特製ブックレット付きで紙パッケージ入りというフォーマットにつられて、思わず買ってしまったプロディジーのベスト・アルバム。いや、音にしろモノ自体にしろ本当に格好いいと思うのだけれど、音源についてのみ冷静に考えれば、1枚目はほとんど持っているわけだし、レア・トラックを集めるほどのファンでもない。やっぱりこれは買う必要がないよなあ……。まあ、それなりに満足度が高かったから、いいとしよう。って、そんなのばっかりだ。
しかしボーナス・ディスクに入っているライブ・テイクがすごい。実際に生で(ちょっとだけ)観た時にも思ったことだけれど、プロディジーのあの音がライブでそのまんま再現されているのには、やはり感銘を受けてしまう。
(Mar 10, 2006)
Hurricane Relief: Come Together Now
V.A. / 2005 / CD
ニューオーリンズのハリケーン被害の支援のために製作された2枚組チャリティ・アルバム。音源的にもアーティスト的にも新旧取り混ぜたとても豪華なラインナップとなっている。
個人的に興味があるところだけピックアップすれば、B.B.キングが 『80』 でヴァン・モリソンと競演していた "Early in the Morning" のソロ・バージョン、レニー・クラヴィッツの "Believe" のアコースティック・バージョン、ヴァン・モリソンの新曲 "Blue and Green"、ノラ・ジョーンズとワイクリフ・ジョンのコラボ、など。
おもしろいところでは、クラプトンの "Tears in Heaven" とアルバム・タイトル・ナンバーの二曲を、僕はあまり関心がないけれど、知名度で言えばとんでもないという面々が、 『ウイ・アー・ザ・ワールド』 の乗りでやっていたりする。クーリオやら誰やらが大勢でやっている、ラストのラップ版 『聖者が街にやってくる』 もいい感じだ。
(Mar 10, 2006)
Motown Christmas
V.A. / 1973(1999)
クリスマスといえばやはりこれでしょう、ということで去年の暮れに購入したモータウンのコンピレーション(もう3月だけれど)。
ジャクソン5、スティーヴィー・ワンダー、スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ、テンプテーションズ、ダイアナ・ロス&シュープリームズという、モータウンを代表する5組のアーティストのそれぞれのクリスマス・アルバムから、クリスマス・ソングのスタンダード・ナンバーばかりを寄り集めたという、ある意味究極のクリスマス・アルバムだ。
アーティストの顔ぶれを見れば、いつ聴いたっていいもののようなものだけれど、やはり12月にならないと聴く気にならない、期間限定の一枚。
(Mar 10, 2006)
Rarities 1971-2003
The Rolling Stones / 2005 / CD
公式盤にしてはなんだか内容も出自も怪しいストーンズの最新レア・トラック集。71年から03年まで、実に32年ものスパンからチョイスしてこの16曲ってのは……。個々の収録曲それぞれについては別に文句もない。というか結構楽しませてもらった。それでも、その雑然とした並びぶりとか、ボリュームとかを見てしまえば、ストーンズほどのキャリアと人気を誇るバンドのレア・テイク集がこんなレベルではと、そりゃあ誰だって不満を感じるはずだと思う。ボブ・ディランのブートレッグ・シリーズみたいな途方もないものは求めないけれど、それにしたってもう少しどうにかなったんじゃないかと思わずにはいられない。
(Mar 10, 2006)
Vertigo 2005 - Live from Chicago
U2 /2005 / DVD
U2の最新ライブ・ビデオ。4月に予定されていたこのツアーの日本公演が延期になることが昨日発表されたのは残念なところだけれど、まあそれはともかく。
前作の "U2 Go Home" がこれまでの映像作品の中ではもっともショボい内容だったので、U2もついに衰えが来たかと不安を感じていたけれど、今度のやつは大丈夫。以前の "Zoo TV" や "Pop Mart" や "Elevation" に引けを取らない出来だった。映像もボリュームもバッチグー(死語)。文句のつけようがない素晴らしさだ。普通のロック・ファンがこれを見せられたら、誰だってああ、一日も早くこのライブを生で観たいと思うだろう。
やはり前作がいまいちだったのは、一度きりのアイルランド凱旋公演なのだから映像を残しておかないとといった、ドキュメンタリー撮影的なスタンスでのぞんだ作品だったからに違いない。きちんとツアーの中で映像作品を意識的に作れば、こんなハイグレードなものが出来てくる。やはりU2は現時点で最高のロック・バンドのひとつだということをあらためて認識させる作品。
(Mar 10, 2006)
Born To Run 30th Anniversary Edition
Bruce Springsteen / 1975,2005 / CD+DVD
ブルース・スプリングスティーンの名を世界に知らしめた、ロック史上に残る名盤 『明日なき暴走』 の三十周年記念エディション。オリジナル・アルバムのリマスター盤に加え、当時のライブ・ビデオとアルバムのメイキング・ドキュメンタリーのDVD二枚を収録している。縦長のボックス・パッケージも格好いいし、これは間違いなくマスト。ファンならば当然買わないといけない。いつもは輸入盤専門の僕だけれど、これはDVDがメインという作品でもあるので、字幕の必要に迫られて、珍しく国内盤を購入した。
それにしても2時間を越える75年のロンドンでのライブは、信じられないような素晴らしさだ。今までお蔵入りしていたものだから、当然映像的にはまったく凝ったものではないけれど、そんなことはどうでもいい。この時代のスプリングスティーンのライブが、まるまるフル・ステージ、映像付きで残っていたということ自体が奇跡的。それも若き日の、まだまだスリムなスプリングスティーンがたっぷりと見られるのだからたまらない。
で、可愛いんだ、この人が。"Born in the U.S.A." 以降のマッチョな印象とはまるでちがって、仕種のひとつひとつがとても可愛い。男の僕が惚れそうになくらい。これはアメリカン・ロック史上、まれに見る重要なお宝映像だと思う。
ドキュメンタリーもボリュームたっぷりで見応えがある。特にフィル・スペクター風のタイトル・トラックにどのように音を重ねていったかを、パートごとに分解して再現して見せたパートのおもしろさは、レコーディングに感心のある人には必見だと思う。
(Mar 10, 2006)