2005年5月の音楽
Index
- Cool Struttin' / Sonny Clark
- I Can't Stop / Al Green
- サンボマスターは君に語りかける / サンボマスター
- Up All Night / Razorlight
- Waltz for Debby / Bill Evans Trio
- Amos Lee / Amos Lee
- Genius Loves Company / Ray Charles
- Make Do With What You Got / Solomon Burke
Cool Struttin'
Sonny Clark / 1958,1999 / CD
このアルバムはジャケットがとにかく格好いい。タイトスカートとハイヒールの女性の脚にフォーカスした、ちょっとグリーンがかったモノクロ写真に、跳ねるようなレタリングで、アルバムタイトルとアーティスト名が配されている。まさにクール。ネットで見てあまりに気に入ったので、ソニー・クラークなんて聴いたこともない人のアルバムなのに、思わず衝動買いしてしまった。
そうしたらばこれが思いのほか気持ちいい。どこがどうとかは説明できないし、ロックを聴く時とはあきらかにスタンスは違っているんだけれど、それでいてちゃんと音楽として楽しめた。もとより生音指向が強くなっていた折だから、ジャズを受け入れる下地が整っていたみたいだ。これを契機に僕はジャズをコンスタントに聴き始めることになった。
まあ、とはいっても聴き方はいい加減だから、絶対「ジャズが好き」とかは気恥ずかしくて言えない。とりあえずソニー・クラークがどういう人もわからないまま、門外漢としてジャズを楽しむ今日この頃だった。
(May 01, 2005)
I Can't Stop
Al Green / 2003 / CD
一昨年、ブルーノートからリリースされたアル・グリーンのアルバム。ハイ・レコード時代のプロデューサーと組んで、当時の音を再現しようとした作品らしい。なるほど、独特の音響に仕上がっていて興味深い。でもまあ、もとよりその時代のアルバムもいい加減にしか聴いていない僕としては、それほど盛り上がれるわけもなかったりするんだけれど。
それにしても、このところジャズを聴くようになったり、ヴァン・モリソンも移籍したりで、わが家にはやたらとブルーノート・レーベルのアルバムが増えた。
(May 01, 2005)
サンボマスターは君に語りかける
サンボマスター / 2005 / CD
サンボマスターの場合、ファースト・アルバムのタイトル 『新しき日本語ロックの道と光』 を見ても、日本語でロックをやることに対して非常に意識的なのはわかる。ただ、その割には絶叫型の山口隆のボーカルは、ところどころで歌詞が聞き取りにくくて、すんなりと意味が伝わってこない感がある。その辺は中村一義も一緒だけれど、エレカシやスピッツと比べてしまうと、やはり残念な感が否めない。
まあ、なんにしろここへきての大ブレイクはめでたい。基本的には好きなタイプのバンドだから、がんばってもらいたい。スピード感には文句なしだから、あとはもうちっとメロディにバラエティが欲しいところだ。
(May 01, 2005)
Up All Night
Razorlight / 2004 / CD
去年デビューしたUKの新人バンド、レイザーライトのファースト・アルバム。FMで耳にした曲(どれだかわからない)の印象が良かった上に、アメリカ盤があまりに安かったので聴いてみた。いやー、洋楽の新人バンドの作品を聴くのも随分とひさしぶりな気がする。この頃はすっかり趣味が保守化してしまっていけない。
このバンド、いかにもUK的なセンスを感じさせるにもかかわらず、デビュー当時のスプリングスティーンを思い出させる饒舌さがあるのがおもしろかった。まあ、あれほどの語彙の豊穣さはなさそうだけれど、それでも語りたいという意欲を感じさせるところに好感が持てた。
(May 01, 2005)
Waltz for Debby
Bill Evans Trio / 1961 / CD
ジャズといえばジョン・コルトレーンの 『A Love Supreme』 とマイルス・デイヴィスの 『Kind of Blue』 くらいしか聴いたことがなかった僕にとって、このアルバムで聴ける音楽はそうとうエポック・メイキングだった。ああ、こういうのもありなのかと。繊細で美しいピアノのタッチがとても素晴らしい。その穏やかさに最初こそ違和感を覚えたものの、繰り返して聴くうちにすっかり魅せられてしまった。
ソニー・クラークの 『Cool Struttin'』 がヴィジュアルで僕を惹きつけ、ジャズへの道を開いてくれたとするならば、このアルバムは確実にその音でもって、ジャズの魅力の一端を示してくれた。お気に入りです。
(May 01, 2005)
Amos Lee
Amos Lee / 2005 / CD
ブルーノートいち押しの黒人シンガー・ソングライターのデビュー・アルバム。FMでかかっていた一曲目 "Keep It Loose, Keep It Tight" がとても良かったので買ってみたのだけれど、全体的にこれはちょっとメロー過ぎる。若いんだからもっと弾けたナンバーも聞かせて欲しかった。ファンキーな4曲目、"Give It Up" のような曲がもっとあったらば、なお良かったのに。ボーカリストとして魅力的なだけに惜しい。ま、なにはともあれ一曲目はとてもいい曲だ。
(May 01, 2005)
Genius Loves Company
Ray Charles / 2004 / CD
豪華ゲストとのデュエットで話題となったレイ・チャールズの遺作。ノラ・ジョーンズ、ジェイムズ・テイラー、ダイアナ・クラール、エルトン・ジョン、ナタリー・コール、ボニー・レイット、ウィリー・ネルソン、マイケル・マクドナルド、B.B.キング、グラディス・ナイト、ジョニー・マティス、そしてヴァン・モリソン。確かに豪華絢爛たるゲスト陣ではあるけれど、僕にとって馴染みがあるのはヴァン・モリソンくらいだし、そもそもこのアルバムもバラードばかりだから、正直なところ盛りあがりはいまひとつ。この手の企画ものはどうにも印象が散漫になってしまっていけない。
(May 01, 2005)
Make Do With What You Got
Solomon Burke / 2005 / CD
前作でひさしぶりに音楽シーンに復帰して、世界中で絶賛を浴びたソロモン・バークさんの復帰第二弾。
ロック界のベテランたちの楽曲を演奏するというコンセプト自体は前作を踏襲しているけれど、あちらに比べてしまうと今作は音響が凡庸であまりおもしろくない。やはり前作の素晴らしさはあの無駄を殺ぎ落とした見事なサウンド・メイキングあってこそだ。最近のストーンズなどを手がけるプロデューサー、ドン・ワズの音はちょっとばかりありきたり過ぎる。
そんな中での聴きどころは、ストーンズの 『I Got The Blues』 をカバーしていること。デビュー当時にソロモン・バークの 『Everybody Needs Somebody to Love』 をレパートリーのひとつとしていたストーンズのナンバーを、40年の歳月を経て今度はソロモン・バークさんがカバーしているという事実はなかなか感動的だ。
(May 01, 2005)