2022年3月の映画
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RENT/レント
クリス・コロンバス監督/アンソニー・ラップ、ロザリオ・ドーソン/2005年/アメリカ/Netflix
『チック、チック…ブーン!』の原作者ジョナサン・ラーソンによる大ヒット・ミュージカルの映画版。あの映画を観てしまったら、当然これも観ないではいられない。
オリジナルのブロードウェイ・ミュージカルは1996年が初演で、この映画の主要キャストも大半はその舞台の俳優陣がそのまま演じているとのこと。例外がミミ役のロザリオ・ドーソン(もしかしてこの映画でブレイクしたのか!)と女性弁護士のジョアン役のトレイシー・トムズという女優さん。
あとはみんな舞台俳優――ってことは、この映画が2005年公開だから、すでに十年近くその役どころを演じてきているわけだ。
なるほど。マーク役のアンソニー・ラップとか、なんかいまいち若さが足りなくない? と思ったら、すでに三十代なかばだった。
この映画版については、そのオリジナル・キャストにこだわったのが仇になっている気がする。舞台ならばともかく、映画で二十代の若者の話を三十代の俳優たちに演じさせたのでは、初々しさが足りないのも当然。決して出来が悪いとは思わないけれど、でも映画向けにまったく別の若い俳優をキャスティングをして、もっとぴちぴち感を出したほうが、さらにいい映画になっていたのでは……という気がしてしまった。ある種の若気の至りって感じの物語なのでなおさら。
でも『アナと雪の女王』の主題歌で有名なイディナ・メンゼル――彼女もこのミュージカル出身だったとは!――は当時からほとんどイメージが変わってなくてすごい。
あと、とりあえずオープニングでかかる『シーズンズ・オブ・ラブ』って曲――"Five hundred twenty-five thousand, six hundred minutes"って歌詞のやつ(525,600分 = 365日×24時間×60分)――は素直にいい曲だなと思いました。あの曲が聴けるからこの映画が好きって人がいても不思議じゃない。
(Mar. 21, 2022)
マーベラス・ミセス・メイゼル シーズン4
エイミー・シャーマン=パラディーノ監督/レイチェル・ブロズナハン/2022年/アメリカ/Amazon Prime Video(全8話)
新型コロナウィルスのパンデミックのせいで前シーズンから二年ぶりの登場となった『マーベラス・ミセス・メイゼル』の第四シーズン。
いやー、このドラマはやっぱおもしろい。今回も新展開のエピソードが盛りだくさん。
まずは主人公のミッジがストリップ劇場でのMCの仕事を始めるというのが今シーズンのいちばんのトピック。彼女が働くストリップ劇場で繰り広げられる創意工夫溢れるストリップ・ショーの数々もなにげに見どころのひとつだと思います。単なるエロが売りとは思えないくらい手が込んでいて笑える。
ミッジがストリップ劇場で笑いを取っている一方、マネージャーのスージーはマフィアの口利きで新しいオフィスを開設して、黒人秘書まで雇う。マジシャンや黒人コメディアンを新たなクライアントとしたりして、ミッジのこと以外では意外と順調な感じ。
ミッジの元夫ジョールは中国系の恋人メイとの関係を両親に切り出せずに困っているし、ミッジの父エイブは零細新聞社で記者の仕事を得るも薄給に悩み、母親ローズは仲人業で好評を博すも、なわばりを荒らしたと同業者に脅される。
ミッジのライバル、ソフィ・レノンは前回の失敗から立ち直るためスージーに助けを求め、ミッジ憧れのレニー・ブルース(ルーク・カービー)――いまさらだけれど、なんと実在の人物だそうだ――はカーネギー・ホールでの単独公演を実現させる。
そんなあれやこれやのなか、前作での失敗に懲りたミッジが、これからは人の前座に出るのはやめると一大決心し、借金で首が回らなくなっているにもかかわらず、なぜだか金になる仕事を次々と断ってスージーを憤慨させることになる(残念ながらその動機がいまいちよくわからなかった)。最後はミッジがそんな姿勢をレニー・ブルースにきつく非難されて終わり。
さぁ、レニーに諭されたミッジの改心により、ついに彼女とスージーのふたりに成功がもたらされることになるのか――。つづきは次回のお楽しみ。
まだまだつづくかと思ったこのドラマも次のシーズンが最終回だそうだ。
マジか……。もっともっとつづきが観たいぞ。でも油が乗り切った感じのここで終わるのも正解かも……と思わないでもない。
(Mar. 21, 2022)