2021年2月の映画
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ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!
エドガー・ライト監督/サイモン・ペッグ、ニック・フロスト/2013年/イギリス、アメリカ、日本/WOWOW録画
とてもスタイリッシュだった『ベイビー・ドライバー』と、ローファイの極みでひたすらおバカだった『スコット・ピルグリム vs 邪悪な元カレ軍団』。
両極端な二作品を見せられて、エドガー・ライトという映画監督がどういう人なのか、いまいち把握できなかったので、どちらがこの人の本性なのか判断したくて観ることにした作品なのだけれども。
結論――エドガー・ライトはたぶんおバカなことが大好きな人だ。この作品も予想を裏切る怪作だった。
かつて卒業式の夜に十二軒のパブをはしごしようとして途中で挫折した悪ガキ五人組が、中年になって再び故郷に集合して、あのときの野望(?)を今度こそ達成しようと夜の街に繰り出すという話。でもって、その最後にたどり着くべきパブの名前が『ワールズ・エンド』。うん、この辺はとても気がきいている。
UKのジャンキーな若者文化をディープに描き、僕らにとって大変馴染み深い90年代のロックを大々的にフィーチャーしたその演出も『トレインスポッティング』あたりを思い出させて、序盤はとても期待できそうだったのだけれども――。
いやほんと、プライマル・スクリームの『ローデッド』に始まり、ブラー、スエード、シャーラタンズ等々、大好きなバンドのナンバーが次々とかかるのを聴いて、これは最高かもと思ったりもしたんですけど――。
何軒目かのパブのトイレでとつぜん乱闘騒ぎが持ち上がったところから、設定があさっての方へ――。またもや「なにこれ?」って話になる。
いやぁ、なんなんだこの映画。その思い切りのよさを褒めたらいいのか、あまりにでたらめなシナリオをけなすべきなのか、よくわからない。決して嫌いではないけれど、好きというにはいろいろ問題ありな気がする。
とりあえず、エドガー・ライトという人が一筋縄ではいかない映画監督だというのはよくわかった。次にこの人の映画を観るときには心して臨みます。
(Feb. 28, 2021)