2020年10月の映画
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ボードウォーク・エンパイア シーズン4
テレンス・ウィンター製作総指揮/スティーヴ・ブシェミ/2013年/アメリカ/Amazon Prime Video
シーズン4の序盤でWOWOWでの録画に失敗してつづきが観れないままとなり、再放送を待つもいっこうに放送されず(もしくはされても気づかず)。
その後の数年で状況が変わり、いまや大半のドラマがオンデマンドで観られる時代到来。ということでずっと心の片隅に引っかかっていた『ボードウォーク・エンパイア』のシーズン4を、前作から六年ぶりに観た。
あまりにあいだが空いてしまったので、『ザ・ソプラノズ』同様に今回も細かい設定は忘れまくりだったけれど、でもまぁとくに問題なし。シリーズの軸となるエピソードが新キャラクターを中心に進むので、長いブランクにもかかわらず、特に戸惑うことなく観ることができた。
今シーズンの肝は、チョーキー(マイケル・ケネス・ウィリアムス)のライバルとなるハーレムのインテリ黒人ギャング、ドクター・ナルシス(ジェフリー・ライト)の登場によるいざこざと、イーライの息子ウィリー(ベン・ローゼンフィールド)が大学で起こした事件の顛末。ということで、今回はチョーキーとイーライに激動の運命が待っている。
興味深いところではFBI長官に就任したばかりのJ・エドガー・フーバー(エリック・ラディン)が登場。彼と同期のFBI捜査官ノックスを演じるブライアン・ジェラティという人が偏執的なキャラで不穏な演技を見せている。あと、コカイン中毒になったジリアンがあいかわらず危なっかしい。
主人公のナッキーはフロリダでの密輸に絡んでパトリシア・アークウェット演じるバーのマダム、サリーといい仲になったりしているけれど、出番はいささか控えめ。でもやたらと渋くてカッコいい。ナッキーってこんなにカッコよかったっけ?――と思ってしまった。
ナッキーと別居中のマーガレットにいたっては、ほとんど出番がないのに驚いた。それでも少ない出番の中で、意外な人物と絡んでいるのが一興だった。
まあなんにしろ、今シーズンも最後に怒涛の展開が待っていたので、ついそのまま次の最終シーズンも観ないではいられない羽目に――。
(Oct. 26, 2020)
ボードウォーク・エンパイア シーズン5
テレンス・ウィンター製作総指揮/スティーヴ・ブシェミ/2013年/アメリカ/Amazon Prime Video
シーズン4の最後がすごかったので、つづきが気になって観始めてみれば、このシーズン5ではいきなりの肩透かし。時代は1931年まで一気に飛んで、ナッキーはサリーとともにキューバでクラブを経営していたりする。
前のシーズンは1924年の話だったそうなので、あっという間に7年が過ぎていることになる。調べてみたところ、1931年はカポネが脱税で逮捕された年。おそらくなんらかの裏事情があって(人気が陰り気味だったとか?)、時間軸を一気にそこまっで進めないわけにはいかなかったんじゃないかと思う。
ということで物語はカポネがいかにして逮捕されるかを焦点として進んでゆく。当然のように『アンタッチャブル』で有名なエリオット・ネスも出てくるし(あまり出番はないけれど)、ナッキーの商売絡みでジョセフ・ケネディ・シニア(マット・レッシャー)が登場して物語に華を添えている。
そんな風に歴史に名を残す人物が登場する一方で、シリーズのレギュラー陣に対する扱いはかなり哀れだ。名脇役だったアーノルド・ロススタインは史実にのっとってすでに暗殺されてしまっているし、チョーキーはなぜか囚人になって鎖につながれている。ジリアンは精神病院に入れられているしで、なにそれな設定だらけ。
しかも、このシーズンではメインのストーリーと並行して、ナッキー・トンプソンの半生を少年時代までさかのぼって描くサブ・シーケンスが挿入されている。そのせいで序盤はリズムがゆっくりで、どうにも盛り上がらない。
こんな回顧シーンが必要なの? 最後の最後にやっちまった感があるなぁと思ってみていたのだけれど、そういうあれやこれやが最後にはいちおう収まるべきところに収まるからびっくりだ。カポネの逮捕にいたるシナリオは皮肉が効いていてかなりの傑作だと思うし、なにより、余計だと思っていた過去を描くシーケンスが最終的に見事な効果をあげて物語のラストを締めくくっているのがすごい。ただし、とてもいやーなあと味を残す形ではあるのだけれど……。
いやぁ、休日をまる一日使って一気に観たら、観終わってどっと疲れが出てしまった。おもしろかったというにやぶさかではないけれど、できればラストはもうちょっと救いがあって欲しかった。ナッキー、業が深すぎる……。
それにしても後半に出てくる若き日のナッキーとジリアンを演じている俳優さんたちが、みごとに若かりしころの彼らって感じなのがすごい。こういうキャスティングができるんだから、やっぱハリウッドって裾野が広いよねぇとまたもや思わされました。
(Oct. 26, 2020)