2011年3月の映画
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ゲット・ショーティ
バリー・ソネンフェルド監督/ジョン・トラボルタ、レネ・ルッソ/1995年/アメリカ/BS録画
ジョン・トラボルタ演じる映画オタクなマフィアの借金取立人が、借金回収のために乗り込んでいったハリウッドで、映画業界進出をもくろんで巻き起こすひと騒動を描くクライム・コメディ。
主演のトラボルタにとっては 『パルプ・フィクション』 で再ブレイクを果たした直後の作品。競演がジーン・ハックマンにダニー・デヴィート、デルロイ・リンドー(『クルックリン』、『マルコムX』)、そしてまだいくぶん細めのジェームズ・ガンドルフィーニ(『ザ・ソプラノズ』)という豪華さ。で、原作は 『ジャッキー・ブラウン』 や 『アウト・オブ・サイト』 のエルモア・レナードとくりゃぁ、こりゃもう必見でしょう。なんでいままで観てないんだ俺って思ってしまうような作品。──ってまあ、そこまで言うほどの出来とも思わないけれど、基本的にこういう作品が好きなので。
監督のバリー・ソネンフェルドは 『アダムス・ファミリー』 や 『メイ・イン・ブラック』 の人とのこと。ちなみにこの人はコーエン兄弟のデビュー作 『ブラッド・シンプル』 で撮影監督を務めていたらしい。どちらかというと僕にとっては、その事実のほうがインパクトがあった。
そういや、ベット・ミドラーもちょい役で出てます。ほんと、なんでこんなとこにって不思議に思ってしまうような端役で。
(Mar 22, 2011)
シンドラーのリスト
スティーヴン・スピルバーグ監督/リーアム・ニーソン、ベン・キングズレー/1993年/アメリカ/BS録画
何度も何度も書いているけれど、僕は戦争映画が好きじゃない。小学生のころにタミヤのミリタリー・プラモとか大喜びして作っていたのが嘘のよう。
モノクロ映画もどちらかというと苦手だ。好きな作品はあるけれど、知らない作品に関して白黒とカラーとどちらが観たいと問われれば、絶対カラーと答える。
いまとなるとスピルバーグのファンというわけでもない。高校生のころは 『1941』 とか 『レイダース 失われた聖櫃<アーク>』 とか大好きだったけれど、最近はそれらも特別に。
ということでこの 『シンドラーのリスト』 は僕個人にとってはやたらと求心力が低い作品なのだった。
でもアカデミー賞受賞作だしなぁ、『カラーパープル』 も 『プライベート・ライアン』 も敬遠していたわりには、いざ観てみたらよかったし、スピルバーグの最高傑作のひとつといわれるくらいだから、これも一度くらい観ておくべきだろうなぁ……と思うこと、かれこれ数年。
もともと乗り気がしないところへきて、テレビで放送されることが多いわりには、不思議と録画するタイミングも悪くて──HDDレコーダーの容量が足りないとか、裏番組と重なっているとか、録画セットし忘れるとか──いつまでたっても観れずにいたこの映画を、最近になってようやく観た。──って、調べてみたら、もうひと月も前の話だった。震災を言い訳にできん。怠けすぎ。
まあ、なんにしろ、いざ観てみたら、純然たるモノクロ映画かと思っていたらそうじゃなかったり、拝金主義的な主人公の人物像に意外性があったり、レイフ・ファインズ(若い!)演じるワルモノ将校の嫌なやつぶりがなかなかポイントが高かったりと、さすがに3時間を超えるランニング・タイムを感じさせない見どころの多い映画ではあった。あったけれど、やはり正直なところ、これは僕の趣味じゃなかった。
そもそも観始める前に夕食の席で赤ワインを一本あけたりしていて、十分に集中しきれていなかったのもよくなかった気がする(やや反省)。いずれこれはもう一度、観なおしたほうがいいかもしれない。
(Mar 26, 2011)
愛しのローズマリー
ファレリー兄弟・監督/ジャック・ブラック、グウィネス・パルトロウ/2001年/アメリカ/レンタルDVD
女性を外見でしか判断できない主人公(ジャック・ブラック)が、たまたま自己啓発セミナーのカリスマ講師──トニー・ロビンズとかいう、どでかい人が実名で登場──と一緒にエレベーターに閉じ込められ、その人からの暗示を受けて、内面の美しい人が美しく見えるようになってしまったことから、実際には超肥満体の女性をスレンダーな美女だと思いこんで恋に落ちるというロマンティック・コメディ。
なんか太った人にとっては「ふざけんな」って映画のような気がするけれど、でもこれ、けっこういい映画だと思う。不謹慎な中にも、肥満に悩む女性の痛みがそれなりに伝わってくるから。グウィネス・パルトロウ(当時29歳)がとてもかわいい分、特殊メイクで超絶に太ってみせた彼女とのギャップが、なんとも痛々しい笑いを誘う。あと、スレンダーな彼女が座った椅子が(実際は重いという設定なので)壊れたりするギャグ・シーンがかなり笑える(それはそれで痛いけれど)。
でも、僕にとってこの映画のでなによりのヒットだったのが、エンディングでかかる70年代のヒット曲、『Love Grows (Where My Rosemary Goes)』。ヒロインの名前がローズマリーなのにかけての選曲だけれど、この映画のために書かれた曲なんじゃないかってくらい、どんぴしゃだと思った。エジソン・ライトハウスなんて聴いたこともないバンドの曲なのに、なんだかむちゃくちゃ気に入ってしまって、映画を見た日にダウンロードして以来、聴きまくっていた。エンディングでこの曲がかかるのが聴きたくて、何度もこの映画を観なおしてしまいそうな勢い。
(Mar 27, 2011)
9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~
シェーン・アッカー監督/2009年/アメリカ/レンタルDVD
ティム・バートンがオリジナルの短編CGアニメにべた惚れして、みずからプロデュースを手掛けて長編化したCGアニメとのことなので 『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』 が大好きな身としては観ておかないとと思ったのだけれど、これは期待したほどではなかった。
人類絶滅後の荒廃した都市を、命のあるぼろ布人形(ラグドール?)たちがさまようという絵柄はとても魅力的だし、CGもとてもきれいなのだけれど、キャラクター設定やストーリーがありきたりで、細かな設定も説明不足で理解しきれず。おかげでいまいち気分が盛りあがらない。
どうもこの映画に関しては、ありきたりなSFドラマを用意して、人形たちをしゃべらせてしまったのが失敗だったんじゃないかと僕は思う。なぜ世界が破滅したのかなんて余計な説明なしなままに、無言の人形たちがなんらかのアクションを繰り広げているだけって風だったら、もっとシュールでカッコいい映画になったんじゃないだろうか。
まあ、そういう内容で長編を作るのは難しそうな気もするけれど、どうせならばもっと上を見て、独自の世界観を目指して欲しかった。
(Mar 27, 2011)