2010年7月の映画
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コンフェッション
ジョージ・クルーニー監督/サム・ロックウェル、ドリュー・バリモア/2002年/アメリカ/CS録画
ジョージ・クルーニーの初監督作品だってんで観ることにしたこの作品。それ以外の情報は、録画する際に仕入れたサム・ロックウェルとドリュー・バリモアが出ているってことだけしか知らなかったので、いざ観てみれば、ジュリア・ロバーツは出てるは、マギー・ギレンホールは出てるは、ブラッド・ピットやマット・デイモンがちょい役で出てるはと、やたらと豪華な出演陣にびっくり。
でも、なによりもびっくりしたのは、観終わったあとでウィキペディアやらなにやらで調べてみて、この映画の主人公チャック・バリスが実在の人物で、これがその人の自伝をもとにして撮られているとわかったとき。ええ~、これって実話なんですか? マジ?
なんたってこれは大ヒットしたバラエティ番組のプロデューサー(兼司会者)が、裏ではCIAの殺し屋をやっていたという話なわけだ。日本でたとえれば、みのもんたやタモリがじつは政府の暗殺者でした、ってようなもんで。あり得ないだろー、そんな話。
──ということで、さすがにその自伝というのはかなり眉唾もので、CIAはチャック・バリス氏の告白を全面的に否定しているらしい。まあ、そうだよなぁ。仮に真実だとしても、真実だとはいえなかろう。
なんにしろ、この映画はそういういかがわしい自伝をもとにした、いかがわしい映画なわけだ(エロなセリフもやたらと多い)。原作がノンフィクションだってんで、関係者のインタビュー映像をインサートしたりして、それっぽさを出してはいるけれど、そういう映像にかぎってエフェクトがかかっていたりするし。つまりわざとホントか嘘かわからなくなるような演出がほどこしてある。
映像や演出もこの手の映画にしては妙に凝っているし、虚実ないまぜの玉虫色な物語だけに、玉虫色の映画に仕上げてみました、という感じ。ジョージ・クルーニー、初監督作品にして堂々たる仕事ぶりだと思う。まあ、ちょっとやりすぎって感がなくもないけれど。
(Jul 23, 2010)
(追記)この映画の脚本はなんと、チャーリー・カウフマンじゃないですか! 言われてみればまさにって内容で、そういや観ているあいだにも「なんかカウフマンっぽい映画だなぁ」と思ったような、思わなかったような……。なんにしろ、そうとも知らずに観ていたとは、不覚もいいところだった。
オーストラリア
バズ・ラーマン監督/ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン/2008年/オーストラリア、アメリカ/BS録画
『ロミオ+ジュリエット』 と 『ムーラン・ルージュ』 のバズ・ラーマン監督が、自らの母国、オーストラリアを舞台にして撮った歴史大河ロマン。しかも主演は同じくオーストラリア出身の美男美女、ヒュー・ジャックマンとニコール・キッドマン──とくれば、こりゃもう必見という作品なのだけれども。
どうもあまり評判がよくないみたいだから、どうなのかなぁと不安に思っていた。
でも、いざ観てみれば、出来は上々。これ、簡単にいってしまえば、第二次大戦時を舞台にしたオーストラリア版 『風と共に去りぬ』 でしょう。物語は壮大だし、絵はきれいだし、少なくても僕は楽しく観ることができた。
物語にはややどうなのというところもあったけれど、序盤にけっこうコミカルな演出がほどこしてあるおかげで、全体としていいバランスに落ち着いていると思う。やっぱ、映画における笑いって大事だ。
ニコール・キッドマンの場合、しかめつらしい演技ばかりだと眉間のしわが目立って魅力半減って感じになってしまうけれど(少なくても僕個人のイメージではそう)、この映画では序盤に笑いをとっている分、ちゃんとその美しさが引き立っている。それがなによりよかった。四十を超えてもまだまだきれいだ。ファンとしては嬉しいかぎり。
ヒュー・ジャックマンもハンサムなうえにマッチョな、いまどき珍しいくらいの正統派スターだから、この壮大な映画にはもってこい。
そんな当世きっての美男美女のカップルを主人公に、西部劇と戦争映画のエッセンスを盛り込んで、アボリジニーの人種差別問題まで絡めててみせた、あまりに盛りだくさんの歴史大河ロマン。いまどきこんなもの撮ってるだけで偉いと、僕なんかは思う。
(Jul 28, 2010)
イエスマン "YES"は人生のパスワード
ペイトン・リード/ジム・キャリー、ズーイー・デシャネル/2008年/アメリカ/BS録画
この映画でジム・キャリーが演じる主人公は、融資窓口担当の銀行マン。「金を貸してくれ~」とやってくる顧客に、日々「ノー」をつきつけて暮らしている。
いまいち人生楽しくなさそうなこの人が、偶然再会した旧友(変人)から「俺はこれで人生が変わったんだ!」と勧められて、あやしげなカリスマ教祖が開催する自己啓発セミナーに足を運ぶ。
そこの教祖の教えはただひとつ、人からの問いかけにはすべて「イエス」で答えること。だめで元々と、なりゆきでその教えに従いはじめてみた彼は、そのおかげでいきなり美女アリソン(ズーイー・デシャネル)と出逢う。でもってこれ以降、彼の運気はぐんぐん上昇。仕事に恋に友情にと、あらゆることに大成功を収めてゆくことになる。ところが思わぬところに落とし穴が……。
ジム・キャリーのコメディはどれも好きだけれど、この映画はヒロインのズーイー・デシャネルがいいっ。 『ハプニング』 で観たときには特別どうこう思わなかったんだけれど、この映画の彼女はとても可愛いっ。やっぱ美女にはコメディだよなぁ……といつものように思う。
彼女がオルタナ・ポップ・デュオ、シー&ヒムのボーカリストとして活躍しているのを意識したんだろうけれど、この映画の彼女はアマチュア・バンドのボーカリストという役どころで、その歌声を披露するライヴ・シーンなどもある。かなりのイロモノ系だし、本気か演技か、あまり歌は上手かぁないけれど、その上手くないところもまたキュート。おかげでやっぱシー&ヒムのアルバムも聴いとこうかなという気になってしまった。
映画自体、「イエス」と答えることでどうこういうプロットはある意味、味つけのようなもので、メインは彼女とジム・キャリーの関係を軸とした純然たるロマンティック・コメディといっていい内容。たまに観るにはもってこいの楽しい映画だった。
(Jul 29, 2010)
ターミネーター
ジェームズ・キャメロン監督/アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン/1984年/アメリカ/BS録画
なんと。いまごろになって初めて観ました、『ターミネーター』 のシリーズ第一作目。
これだけ年じゅうエンタメ系の映画ばかり観ておきながら、こんなに有名な作品をいままで観逃してきたというのは、われながらちょっと珍しいと思う。なんで観たことがなかったんだろう……と考えてみても、これといった理由は思い浮かばない。あえていうならば、それほどシュワルツェネッガーに興味がないのに加え、たまたま観る機会がなかったから……くらいのところだろうか。
あ、そういや 『ロボコップ』 も観たことがないな。『アイ、ロボット』 は観たけれど、あれはたまたまやっていたから観たんであって、特別観たいとは思わなかったし。『アイアンマン』 は映画としては最高におもしろかったけれど、ロボット(?)自体はそれほど好きではない。要するに、基本的に僕は等身大のロボットやサイボーグにあまり興味がないってことなんだろう。ま、どうでもいい話だけれど。
なんにしろ、あまりに有名な作品だけあって、初めて観るとはいっても、大まかなストーリーは知っていたし、観たことのあるシーンもけっこうあった。初めのうちは、ヒロインのあまりに80年代風なヘアスタイルと服装にも引き気味になった。
それでも、いったんターミネーターとの追っかけっこが始まってからは茶々を入れている暇がなくなった。無表情なまま問答無用の
(Jul 29, 2010)
ターミネーター2
ジェームズ・キャメロン監督/アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、エドワード・ファーロング/1991年/アメリカ/BS録画
第一作目に引きつづけて観た 『ターミネーター2』。
前作とは違い、こちらはどうやら一度は観たことがあるっぽかった(などと他人事のように)。きちんと観たという記憶はないけれど、おぼえているシーンはやたらと多かった。まあ、ダイソンにまつわるエピソードはまるで記憶になかったから(掃除機作った人かと思った)、もしかしたら名画ベスト100的な番組で見た断片的なシーンの積み重ねのせいで、知った気になっているだけかもしれないけれど(われながらなんて記憶力だか……)。
前作では純然たる悪役だったシュワルツェネッガーを善玉に鞍替えさせて、かわりにもっと可愛げがなくて高性能な敵役をべつに登場させた脚本がやはり上手い。いまとなるとそういう話は少年マンガなんかではいくらでもあるけれど、これくらいバシっとはまっていれば誉めるしかない。少年とサイボーグのあいだに疑似親子的な友情が芽生えるというベタな展開も、ためらいがなくて力強い。
まあ、ストーリー的にはつっこみどころがたくさんある気がするけれど(なんで前回はジョン・コナーが生まれるのを阻止しようとしたのに、今回は10歳になるまで待ってから殺そうとするのかわからないし、そもそもレストランのウェイトレスだったサラ・コナーが十年ですっかり敏腕テロリスト化しているのがすごい)、この手の映画でディテールの破綻をつべこべいっても仕方なかろう。前作に輪をかけて迫力たっぷりのアクション・シーンを楽しめばそれでいい。
『X-ファイル』 ファンの僕としては、あのシリーズでドゲット捜査官を演じたロバート・パトリックが敵役を演じているってところにも注目だったんだけれど、『X-ファイル』 より十年も前の作品だけあって、かなり若くて、ドゲットとはまるで別人って感じで、やや拍子抜けだった。
(Jul 29, 2010)