2018 FIFAワールドカップ Russia (4)

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Index of Round of 16

  1. フランス4-3アルゼンチン
  2. スペイン1-1ロシア
  3. ベルギー3-2日本
  4. スウェーデン1-0スイス

フランス4-3アルゼンチン

ラウンド16/2018年6月30日(土)/カザン・アリーナ/フジテレビ

 日本代表にがっかりしすぎて急激にサッカー熱が冷めてしまったので、いっそここでW杯を観るのをやめてしまおうかと思ったんだけれど、でもこうやって大会の半分まで文章を書いてきたのに、途中で投げ出してしまうのも収まりが悪い。やはり今大会は決勝までちゃんとつきあう。でも、こういう風に日本代表以外の試合についての感想を書くのは今大会が最後かな。なんかもう本当にどうでもよくなってしまった。
 この決勝トーナメントの最初の試合はフランスの19歳、エムバペの才能が爆発してフランスが勝利を収めた。メッシ、ついに最後まで輝けず。
 しかしまぁ、エムバペの速いこと、速いこと。先制点の場面ではカウンターからドリブルで駆け上がって一気にペナルティエリアに突入。あまりのスピードにあわてたアルゼンチンDFに倒されてPKを獲得した。
 無理に止めなければ、そのままゴールラインを割っていた気もするんだけれど、エムバペのあまりの速さに翻弄されてしまった印象。まぁ、あれはしかたないかなぁと思う。それくらいインパクトのあるプレーだった。
 そのPKでフランスが早い時間に先制するも、アルゼンチンも負けちゃいない。ディマリアのミドルで前半のうちに同点に追いつき、後半に入ってすぐメッシのシュートがDFメルカドの足にあたってコースが変わるラッキーなゴールで逆転に成功する。
 でもそのあとフランスもDFパバールの素晴らしいミドルで同点。グループリーグでアルゼンチンのロホ(エムバペにPKを与えたのは彼だった)が決めたのと同じようなシュートだった。なんでみんなDFなのにあんなにシュートが上手いんだ。
 これで2-2となった試合にけりをつけたのがエムバペだった。後半途中でゴール前の混戦からこぼれ球を拾うと軽やかなボールさばきで左サイドに抜け出して勝ち越し弾。さらには左サイドからのクロスがファーに流れてきたところへと快足をとばして走り込んできて豪快な駄目押し弾。わずか5分たらずで一気に試合を決めてみせた。
 アルゼンチンも後半ロスタイムに途中出場のアグエロがヘディングを決めて1点差まで追い上げたものの、さすがに時間がなくて反撃もそこまで。
 以上、フランスの新鋭エムバペが2ゴール1アシストの大活躍でアルゼンチン撃破の立役者となった。19歳でこの活躍って……。今後の3大会くらいは余裕で出られちゃうんじゃないの? すえおそろしや。
 このあとのウルグアイ-ポルトガル戦(観るのをやめた)はカバーニの2ゴールでウルグアイが2-1の勝利。くしくもメッシとクリスティアーノ・ロナウドが同じ日に大会をあとにすることになった。
 ひとつの時代が終わり、新しい時代が始まろうとしている。
(Jul 01, 2018)

スペイン1-1ロシア(PK3-4)

ラウンド16/2018年7月1日(日)/ルジニキ・スタジアム(モスクワ)/TBS

 スペインまでベスト16で姿を消してしまった。ロシア、よもやのベスト8進出。
 スペインはイニエスタがベンチ・スタートだった。やはりもう若くないので、この先を考えて休ませたかったんだろうけれど、まさかこれがイニエスタのW杯最後の試合になるとは本人を含めて誰ひとり予想しなかっただろう。
 でもこの試合のスペインはなんとなく懐かしい印象だった。パスをまわせど、まわせど、点が入らない。得点はセットプレーから奪った相手のオウン・ゴールの1点のみ。大会初戦でのポルトガルとの豪快な打ち合いはなんだったんだって思ってしまう。
 考えてみれば、ポルトガルもスペイン戦以降はいまいち迫力不足だったし、なんかこの両国、最初のあの試合で燃えつきちゃったのかもしれない。
 ロシアはロシアで特別によかったとも思わないんだけれど、それでもホスト国の意地で守りに守って、スペインのハンドで奪ったPKの1点を守りきった。今大会から認められている延長戦での4人目の交替カードをいちばん最初につかった国はロシアだった。
 PK戦となれば、そこはホスト国のアドバンテージがでかい。8万人近い大観衆を味方につけたロシアのGKアキンフェエフが2本のPKを止めて母国を勝利に導き、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
 ということで、試合後に代表引退を表明したイニエスタにとってはこれがW杯での最後の試合。次は日本で会おう──って俺が会うわけじゃない。
(Jul 02, 2018)

ベルギー3-2日本

ラウンド16/2018年7月2日(月)/ロストフ・アリーナ(ロストフ・ナ・ドヌ)/NHK総合

 あんなにぶざまな試合をしてまで手に入れた決勝トーナメントの切符なのに。ベスト8まであと、たった30分の我慢だったのに──。
 なぜに2-0のリードを守りきれずに逆転負けをくらうかなぁ……。
 僕は原口、乾のゴールで2点を奪った時点で、これはもうあとはどんびきで守ればいいって思った。攻めることを放棄して勝ちとったベスト16の椅子だ。こうなりゃ同じように、あとはひたすら守りきってベスト8へコマを進めりゃいい。
 前半でイエローカードをもらった柴崎はここまで全試合フル出場だから、ここはあえて早めに下げて、次の試合に温存する。かわりに蛍と大島あたりを入れて中盤を厚くして、あとはただひたすら耐えるだけ──。
 そう思ったのに……。
 なぜか西野さんはいつまでたっても動こうとしない。
 そうこうするうちに、ベルギーにへんてこりんなゴールを奪われて1点差(どうして今回の代表はああいう脱力をさそうような失点が多いかな)。さらには途中出場のフェライニ(194センチですって)にヘディングを決められて、あっというまに同点に追いつかれてしまう。あぁ、なんとかルカクを抑えていたのに、途中から高いのがもうひとり増えたせいで……。
 西野さんがようやく交替のカードを切ったのは、同点にされてからしばらくたってからだった。原口、柴崎を下げて、本田と蛍を入れる。
 でもなんですか、それは?
 僕が柴崎を下げてもいいと思ったのは、勝っていたからだ。同点となれば話は別でしょう? いまや中盤の要にして、セットプレーのキーマンである柴崎を下げて、どうやって勝ち越そうっていうんだって話だ。どうせ替えるんならば大島を入れてくれよ。蛍を使ってどうやって勝ち越すんだよ。
 結局90分間で切ったカードは2枚のみだし、この試合に関しては西野さんの采配に疑問だらけだった。延長では追加でもう1枚のカードを切れることを考えたら、1枚残しといたってしかたないでしょうに。
 なぜに疲労がたまっているはずの選手たちを無理にひっぱったかな。勝っているうちにもっとフレッシュな選手を入れて、相手のディフェンスにプレッシャーをかけて欲しかった。どうにも打てる手を打たずに後手後手にまわってしまった感が強くて、残念すぎる。
 ポーランド戦にしても、この試合にしても、結局、西野さんはコロンビア戦やこの試合で固定したスタメン11人以外のサブの選手たちを信頼しきれなかったんじゃないかって気がしてしかたない。だからポーランド戦では失点やカードを怖がってどん引きしてしまった。この試合でも有効な交替カードが切れなかった。
 豊富な経験値を買ってコンディション不十分な本田や岡崎を呼んではみたけれど、やはりベンチ・スタートさせるならば、若くて切れのある中島や浅野のほうが使い勝手はよかったと後悔したんじゃないですか?
 まぁ、とにかく残念な試合だった。乾のゴールが決まったときには、マジで鳥肌が立ったんだけどなぁ。まさか逆転をくらうたぁ……。
 決勝ゴールは後半のアディショナル・タイム。最後のワンプレーで本田の蹴ったCKをGKクルトワにキャッチされ、そこからカウンターを浴びて、デブライネにドリブルで持ち込まれ、最後は途中出場のシャドリがフィニッシュ(昌子あと一歩及ばず)。結局、日本は途中出場のふたりに2ゴールを許して敗退することになったわけだ。このへんにも選手層の差が出たように思う。
 あそこでGKにキャッチされるキックを蹴った本田にも問題があるんだろうけれど、でもまぁ、最後の最後まで勝ちをめざしてたわけだからね。延長に入ったっておそらく負けていたと思うので、その点は文句なし。
 いずれにせよ強豪国がラストのワンプレーで延長線なしの逆転勝利を収める展開は、中立的なサッカーファンにとってはたまらないでしょうよ。準々決勝だって、ブラジル対ベルギーのほうがどう考えたってネームバリューが高いし。優勝候補を相手に最高の試合をしながら、最後の最後でミスって勝ちを逃したこの試合の日本は、まさにグッド・ルーザーと呼ぶにふさわしかった。あぁ、まだまだ世界の壁は高いらしい……。
 でもまぁ、今回はハリルホジッチを解任した時点で駄目かと思っていたので、これでもじゅうぶん立派な成績なのはわかってんだけどね。アジア・アフリカ勢では唯一のベスト16だし。
 この大会は最終的にアジア勢ががんばった。序盤は散々だった韓国、サウジは最後に勝って大会をあとにしたし、イランも日本と同じ勝ち点4をあげている。1勝もできずに去ったのはオージーだけだ。その中にあって唯一ベスト16にコマを進めた日本は大いに誇っていい……はずなのに。ポーランド戦であんな試合してなきゃ、もっと胸をはって威張れたのに……。
 まぁいいや。終わっちゃったもんはしかたない。とりあえず岳や源が世界の舞台でいつも通りの素晴らしいプレーを見せてくれたのをよしとしよう。そして4年後に期待しよう。今回はいい教訓になったはずだから、次こそはみんなやってくれるだろう。
 試合が終わったあと、悔しさのあまりうつぶせになって両手で地面をだんだんたたいていた昌子の姿が印象的だった。ああいう気持ちがあれば、次はきっともっと高くまで登れるだろう。次は最後までちゃんと応援するぜっ。
 お疲れさま、日本代表。負けたのは残念だけれど、とてもいい試合でした。
(Jul 03, 2018)

スウェーデン1-0スイス

ラウンド16/2018年7月3日(火)/サンクトペテルブルク・スタジアム/テレビ朝日

 決勝トーナメント一回戦の最後の2試合のうち、どちらが観たいかと問われれば、当然コロンビア-イングランド戦なんだけれど。
 でも日本代表のポーランド戦でがっくりきちゃって、W杯で盛りあがっている自分が馬鹿みたいに思えてきた昨今(まあ、ベルギー戦でかなり持ちなおしたけど)。やっぱ午前3時からの試合なんか観ちゃいかんだろうと。スイスはグループリーグで一度も観ていない国のひとつなので、ここはやっぱスウェーデン-スイス戦の一択だろうと──そう自分に言い聞かせて、この試合を観たんでしたが──。
 いやー、この試合が思いのほかおもしろかった。両チームとも決定力なさすぎ。その決められなさ加減には、どうにも親しみを抱かないではいられないものがあった。サッカーB級国どうしの共感を覚えずにいられない、なんともB級感たっぷりな好試合だった。
 スウェーデンとスイスと聞いて、僕は似たような国──高さをいかした堅守が売りのカウンターのチーム──だと思っていたら、そうでもなかった。
 いや、スウェーデンはまさしくそういうチームだと思うけれど、スイスは違った。
 スイスというと、いつぞやの大会で1敗もせずに敗退したという印象が強くて、とにかく徹底的な守備の国だと思い込んでいたけれど、今回のチームはそうではなかった。
 そもそも、とくに背が高くない──というか、もっとも目立っていた23番のMFシャキリなんて、169センチしかない(身長は僕と似たようなものなのに、体重が20キロ近く重い筋肉マン)。少なくても身体能力の高さにものをいわせてゴール前をかためるようなチームじゃなかった。ちゃんとパスをつなごうとする。
 一方のスウェーデンは典型的な堅守速攻のチームで、攻撃にはなかなか迫力あり。でもゴール前でふかしまくり。なぜそこで枠に飛ばないってシュートを連発。そういえば、最初に観た韓国でもこんな感じだったっけね。なので、印象は悪くなかったんだけれど、あまり強いチームじゃないなぁと思ったんだった。
 で、枠に飛ばないという点ではスイスも一緒。両チームとも平気で相手にペナルティ・エリア内でシュートを打たせてしまうのに、肝心のシュートが枠に飛ばないので結果オーライって展開がつづく。
 この試合を観ていたら、日本代表ってけっこう上手いんじゃないかって思えてきてしまった。B級国どうしの対戦だったら、日本はぜったい勝率5割以上でゆける。できたら決勝トーナメントではこういうチームと当たりたかったかなぁって思ってしまった(失礼)。
 試合は前半のうちにスウェーデンの10番フォルスベリ(なかなかいい男)が打ったシュートがスイスDFにあたって、ゴール隅の絶妙なコースへと飛んで、スウェーデンが先制(あまりにきれいに決まったせいか、オウン・ゴールにはならず)。で、結局この1点を守りきったスウェーデンがベスト8へとコマを進めた。
 正直、前夜に午前3時からの日本戦を観たせいで、後半は眠くて仕方なくて、まともに観れなかったので、スイスの人たちには悪いけれど、延長戦はつらいから、このまま終わってくれと思ってしまった。
 あぁ、同じように日本戦でのベルギーの決勝ゴールを喜んだ人が世界中にいるんだろうなぁ……って。でも、贔屓目にみても、この試合よりも日本の試合のほうが何倍もおもしろかったから。僕らはそこは誇ってもいいと思う。
 この試合の最後には、今大会史上、もっとも無駄なVAR判定があった。
 スウェーデンがカウンターから作ったチャンスをスイスの選手がファールでつぶしたことに対してPKが与えられたのだけれど、そこでVARがもの申す。リプレイを見たら、問題の選手が倒されたのはペナルティ・エリアの外だったので、PKはなしということになったのだけれど……。
 結局、そのファールに対して与えられたFKが失敗に終わった直後に試合終了。仮にPKがあってもなくても、スウェーデンの勝ちには変わりがないから、単に時間を無駄にしただけという……。
 おそらく今大会一無駄なVAR判定でした。レフェリーもあんなファールは最初から流してくれよなぁ。あぁ、眠かった。
(Jul 04, 2018)