2010 FIFAワールドカップ South Africa (3)

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Index of Group Leagues (3)

  1. フランス1-2南アフリカ
  2. スロベニア0-1イングランド
  3. スロバキア3-2イタリア
  4. デンマーク1-3日本
  5. ポルトガル0-0ブラジル

フランス1-2南アフリカ

グループA/2010年6月22日(火)/ブルームフォンテーン/NHK

 グループリーグもいよいよ最終戦に突入。まずは開催国、南アフリカと前回準優勝のフランスの対決──なのだけれども。
 いやしかしこれが、どちらも1敗1分けの勝ち点1で、決勝トーナメント進出は赤信号というチームどうし。すでに自力突破は無理で、まずは勝利が最低条件。なおかつ3~4点取らないとならないという。ここまで南アフリカが1得点、フランス0点という状況を考えると、どちらもすでに絶望的。
 おまけにフランスは、アネルカがドメネク監督を批判したとかで、協会から追放処分を受け、それに反発した選手たちが練習をボイコットするという騒ぎまであった。どうにも戦う前から終わりが見えている感がある。そんな試合だから、観ているこちらもいまいち力が入らない。
 はたして先制したのは南アフリカ。勝ち負けは別として、この時点でフランスのグループリーグ敗退はほぼ確定(とてもそこから4点とか取れるチーム状況とは思えなかった)。こうなりゃあとは南アフリカが開催国の意地をみせて、どれだけ得点を重ねられるかが見どころだと思っていると、そのちょっとあとにフランスの8番グルキュフ(かなりのイケメン)がセットプレーからの競り合いで肘打ちをしたとの判定を受けて、一発レッドで退場を食らってしまう。
 さあ、これでさらにおもしろくなった。普通じゃいくらなんでも南アフリカに勝ち目はないけれど、数的有利な状況ならば、もしももあり得る──そう思っていると、期待通り、前半のうちに2点目が決まって、前半は南アフリカの2-0で終了。裏ではウルグアイがメキシコを1-0とリードしているという。つまりあと2点とれば、南アフリカの予選突破の可能性が出てくる。おー、これはもしかして?
 ……という期待がつづいたのも、後半25分までだった。後半も数的有利を生かしてゴールを目指した南アフリカだったけれど、3点目はなかなか奪えない。反対にフランスは後半10分に途中出場でアンリが登場したあたりから徐々に盛り返し始め、ついには25分に今大会初ゴールを決めてしまう。
 これで万事休す。ひとり少ないのが嘘みたいに、そのころにはすっかり試合はフランス・ペースだったし(最終的なボール支配率は50%のイーヴン)、とても南アフリカに奇跡を起こすだけの余力はなかった。なんとか一矢を報いたフランスも、それ以上の得点は奪えず。結局、そこから先はスコアは動かないまま試合終了。両チームのグループリーグ敗退が決まった。
 残念ながら開幕前の予想通り、開催国にして史上初のグループリーグ敗退という不名誉な記録を残してしまった南アフリカだけれど、初戦でメキシコと引き分け、この試合では不調とはいえフランスに勝っているんだから、決して悪い出来ではなかった(やっているサッカーはなんだかバタバタした印象だったけれど)。ただ、2戦目でウルグアイに3-0と大敗したのが痛すぎた。
 いっぽうのフランスは98年以来、優勝、予選敗退、準優勝、予選敗退と、大会ごとに天国と地獄って感じの成績を交互に残している。このパターンで行くと次の大会はいい成績が期待できるってことになるけれど、でも見方を変えると、ヨーロッパでは強いけれど、よその大陸ではからきし駄目ってふうにも見える(とても内弁慶)。
 はたして次の開催国、南米のブラジルではどっちに転ぶんだか。それはそれで一興だ。でも今回のような調子がつづいたら、ヨーロッパ予選を勝ち抜けるかもあやしい気がする。
(Jun 23, 2010)

スロベニア0-1イングランド

グループC/2010年6月23日(水)/ポートエリザベス/NHK

 イングランドが苦しみながらもなんとかグループリーグ突破を決めた。
 このグループはスロベニアとアルジェリアのおかげで、地味ながらもとても難しいグループだったと思う。この両チームが戦った初戦が象徴的だったけれど、どちらもねばり強いサッカーをするので、とても相手にしづらそうだった。堅守速攻というのともなんとなく違って、中盤でがっぷり四つに組んで、思うようなサッカーができない感じ。本命のイングランドの調子がいまいちなものだから、このグループは最後までどこが勝ち残ってもおかしくない気がした。
 イングランドの虎の子の1点は、この試合が今大会初スタメンだという19番の小柄な黒人選手、デフォー。前半23分に右サイドのミルナー(「見るなー」って書きたくなる)という選手が入れたクロスに鋭く反応、DFの裏をとると、右足アウトサイドのジャンピング・ボレーでゴールネットを揺らしてみせた。とても鮮やかなナイス・ゴールだった。
 でもイングランドのゴールはこれ1本だけ。けっこう攻めてはいたけれど、どうにも決めきれない。ルーニーがオフサイド・ラインの裏へぬけだし、フリーで打ったシュートがポストに嫌われたりするし……。どうにもチームとしての歯車がかみあっていない上に、ツキにも恵まれない感じだった。
 こうしてみると、やはりベッカムの故障は痛かったんだろうなという気がする。あいかわらずジェラルド、ランパードが肩を並べる中盤はパワフルなので、ここにベッカムのクロスが加わっていれば、攻撃の幅が広がって、もう少し楽な戦いができたんじゃないだろうか。そういや、オーウェンもいないんだよな。噂のウォルコットもサプライズ落選したらしいし、イングランドほどの強豪でも、意外とお家事情は苦しいらしい。
 対するスロベニアは、思ったより悪くはなかったものの、決勝トーナメントに駒を進めるには、あとひとつなにかが足りなかった感じ。妙な巡りあわせで、気がつけば僕はグループリーグでこの国の3試合をすべて観ているのだけれど(まあ、要するにたまたま午前3時半からの試合がひとつもなかったからというだけなんだけれど)、これといって印象に残った選手はいなかった。あえていうならば、18番の選手はその濃い顔のせいでそこそこ印象に残っているけれど、恥ずかしながら名前さえ知らないし。調べてみたらラドサブリエビッチという選手だった。そりゃ覚えられない。
 名前といえばスロバキアのGKはハンダノビッチという。僕のとなりでいっしょに観ていたうちの奥さんが、お約束のように「パンダのビッチ?」とぼけていたけれど(まあ紙一重)、この人はなかなかいいプレーをしていた。イングランド苦戦の立役者。
 なんにしろイングランドは1-0というスコアでなんとか決勝進出を決めた。裏のアメリカ-アルジェリア戦はずっと0-0だったので、こちらの試合が終わった時点で、イングランドの1位抜けが決まったかと思ったら、あにはからんや。アメリカがロスタイムにドノヴァンのゴールで勝ったとのこと(おーっ)。このためグループCは得失点差でまさるアメリカが1位抜け、イングランドは2位となった。
 でも、このおかげでイングランドの決勝トーナメント初戦は11時から。つまり次もまた観られる。このあと行われるグループDの1位は、順当にくればドイツ。つまり次はドイツ-イングランドの可能性大。うわ、いきなりの好カード。
 まあ、ガーナが最後のアフリカ勢としての意地をみせてドイツにひと泡吹かせたら、とらぬ狸の皮算用になる可能性もあるにはあるけれど、ドイツの安定感からして、このカードが実現する可能性のほうが高いとみた。こりゃ楽しみだ。
(Jun 24, 2010)

スロバキア3-2イタリア

グループF/2010年6月24日(木)/ヨハネスブルグ(エリス・パーク)/TBS

 いよいよ日本代表のグループリーグ最終戦、デンマーク戦の当日。とりあえず、その前に行われたグループFのスロバキア-イタリアの試合を勢いで観た。そしたらこれが思いがけない激戦に……。当初は日本の試合まで寝ているつもりだったんだけれど、いやぁ、わざわざ起きた甲斐があった(とりあえず1時間くらい仮眠はとった)。これぞグループリーグ最終戦という白熱した試合だった。
 しかし、大会前から不協和音だらけだったフランスはともかく、ここでイタリアまでが消えてしまうとは思ってもみなかった──というか、ほとんどの人が思わなかっただろう。なんたって同じグループはパラグアイ、スロバキア、ニュージーランドですよ? 失礼ながら、顔ぶれだけなら、第一シード国にとっては、もっとも楽なグループのひとつって印象だ。
 ただし、僕はこの日初めてスロバキアの試合を観て、ややこの国を見くびっていたことを知った。考えてみれば、スロバキアは強豪とはいえないまでも、かつてW杯でベスト8に入り、欧州選手権でも優勝しているというチェコ・スロバキアから独立した国だ。そんなに弱い国なはずがないのだった。
 はたして、スロバキアは序盤から的確なカウンターでイタリアのゴールを脅かしてみせる。イタリアは個人技には優れているけれど、連係がいまいちでなかなかフィニッシュまで持っていけない。それに対してスロバキアは枠こそ捉えられないものの、カウンターからのつなぎがしっかりしていて、ちゃんとシュートで終わる。おいおい、この試合、わかんないぞと思わせた。
 そしたらやっぱり、先制点はスロバキア。前半25分にイタリアの最終ラインからの不用意なパスをカットすると、11番のビデクという選手へとつないてゴールを奪う。その後も前半はすっかりスロバキア・ペースで終了した。ハーフタイムの時点でのボール支配率はスロバキアの56%だった。
 ここまでのスロバキアの戦いぶりはあっぱれだった。前半終了間際には、ワン・ボランチの6番の選手、シュトルバが接触プレーでスパイクを受けて、膝にかなりひどい裂傷を負うというアクシデントがあり(テレビでもざっくりと割れた傷口が確認できた)、チーム・ドクターがNGを出したにも関わらず、彼は治療後に足を引きずりつつピッチに戻ってきた。その敢闘精神やよし。こうなるともう不出来なイタリアよりもスロバキアを応援しようって気になる。
 後半開始とともにイタリアのリッピ監督は2人の選手を交替させてきた。いくらあとがないからって、いきなり交替カードを2枚も切ってしまうってどうなの?と思う(しかもそのうちのひとりはこの試合が今大会初スタメンだったというガットゥーゾ)。さらにその10分後には最後のカードまで切って、故障明けだというピルロを投入。
 これらの交替選手が、全員この試合が初出場だってんだから、こりゃイタリアも終わりだなと思った。この期に及んで、スタメンに起用した選手をそんなに早く見限らないとならないってのは、チーム状況がよくない証拠としか思えない。
 まあ、後半に入って1点を追うイタリアは、前半よりはアグレッシブになったように見えた。でも追いつけない。それどころか、後半のなかばにスロバキアに先に2点目を献上してしまう始末。2-0。ああ、これで本当に終わったなと思った。
 ところがそこから先、試合は思わぬ展開をみせる。このままイタリアがスコアレスのまま終わるかと思っていた矢先に、残り10分を切って、ようやく10番ディナターレのゴールが決まるのだった。
 ここからイタリアの猛攻が始まる。いい加減に疲れが出てきたのか、気がつけばスロバキアの中盤はすかすか。いっぽう、ようやくイタリアのパスがつながり始める。あらら、こりゃもしかしてと思い始めたら、その直後にまさかの同点ゴール!――と思ったら、これは惜しくもオフサイド。でもイタリアが同点に追いつきそうなムードが立ち込めてきた。
 あの流れでゆけば、強いときのイタリアならば、おそらく追いついたんじゃないかと思う。同グループのもう一試合、パラグアイ-ニュージーランド戦はスコアレス・ドローに終わったので、イタリアはドローに持ちこめさえすれば、決勝トーナメント進出が決まるという状況でもあった。
 でも追いつけない。追いつけないどころか、この追い上げムードのなかで、逆に3点目を許してしまう。それもGKへのバックパスをミスして相手にスローインを献上し、そこからのワンプレーで途中出場の選手にゴールを奪われてしまうんだから、話にならにならない。振り返ってみれば、すべての失点がミスや最終ラインでの競り負けが原因だ。伝統のカテナチオが泣いている。
 これで3-1。さすがにもう勝負ありだろうと思ったところから、イタリアがロスタイムにさらに1点を返したものだから、試合は最後までわからないドキドキの展開になった(スロバキアの選手が傷むシーンが連続して、ロスタイムはじつに6分以上あった)。でも最後の最後、ロスタイム最後のワン・プレー、ロング・スローから7番のペペがゴール左でフリーのチャンスをつかんだにもかかわらず、無念のシュートミス……。
 これでジ・エンド。前回優勝国、イタリアのグループリーグ敗退が決まった。
 最後の最後には迫力のある攻撃を見せてくれたものの、それにしてもほんと、今回のイタリアはぱっとしなかった。テレビの解説によると、グループリーグの3試合で、すべてフォーメーションが違ったそうだ。前回優勝監督のリッピにしても、こういう迷走をしてしまうんだから、サッカーって難しいよなぁと思う。岡田さんが駄目なのも当然かもしれないって気が……。
 まあ、言っちゃなんだけれど、選手も以前と比べると、いまひとつスター性に欠けた。10番をつけたディナターレという選手は、バッジョ、デルピエロ、トッティという華やかな選手たちと比べてしまうと、見た目からして地味だったし(失礼)。9番のイアキンタ(ヤクインタと表記することもあるらしい)も顔の濃さこそインパクトがあったけれど、3試合で1ゴールのみに終わった。キャプテン・カンナバーロにも衰えを感じた。
 それにしても、前大会で決勝戦を戦ったフランスとイタリアの二ヶ国がどちらもグループリーグで消えてしまうなんて、この大会はどうなっているんだか。
(Jun 25, 2010)

デンマーク1-3日本

グループE/2010年6月24日(木)/ルステンブルグ/日本テレビ

 いやぁ、やってくれました。まさかここまで余裕で勝ってくれちゃうとは思ってもみなかった。日本代表が3-1という予想だにしないスコアでデンマークを破り、決勝トーナメント進出を決めた記念すべき一戦。
 グループリーグ3連敗を予想していた僕の計算に入っていなかったのは、本田の活躍だった。彼が本番でここまで力を発揮できるというのは、まさに嬉しい誤算。
 だって考えてみて欲しいんだけれど、初戦で右サイドの松井から本田への連係が決まったシーンなんて、いままでに見たことのない得点パターンなわけですよ。得意のFKだって、いままで代表では決めたことがなかったわけだし。それがワールドカップという大舞台で飛び出すんだから、やはりただものじゃない。
 いや、マジですごいや、本田くん。ほんと、あのFKは圧巻だった。グループリーグでの2ゴールというのは、これまで日本人では誰ひとり成し遂げていない偉業。この日はなおかつ岡崎の駄目押しゴールも演出している。彼はこの一試合で名実ともにヒデと俊輔を超えてしまった気がする。いやはや、恐れ入りました。
 まあ、彼に限らず、この試合の日本代表はとてもいい出来だったと思う。最初の10分くらいはデンマークに押し込まれて不安感たっぷりの立ちあがりだったけれど、その後に本田のFKで早めの先制点を奪って以降は、もうまったく危なげない堂々たる試合運びをみせてくれた(序盤、不安定だったのは、スタメンこそ変えなかったものの、若干フォーメーションをいじったせいらしい。どうしてそういうことするかな、岡田さん)。
 2点目となる遠藤のFKも見事だった。本田の1点目が伏線になって、相手の注意がそれていたとはいえ──僕も本田が蹴ると思った──、あのFKはじゅうぶん世界に誇れる。
 彼の場合、前大会ではチームで唯一出場機会がなかったことに同情を禁じ得なかったので、この大会ではその分を取りかえすようにフル出場する姿が見られて、ともて嬉しく思っている。それほど目立ってはいない気もするけれど、それでもFIFAのデータによれば、運動量はチーム・トップというから偉い。
 それにしても、悪評高い公式球ジャブラニのせいか、今大会ではFKがほとんど決まっていなかったので、この試合で日本がFKを2本も決めたことは、マジで世界を驚かせたんじゃないだろうか。なんでもW杯で1試合に2本のFKを決めたのは40年ぶりらしい。いやはや、びっくりだ。ふたりとも、よくやってくれた。
 チームとしてのサッカーもずいぶんと改善された。カメルーン戦では専守防衛って感じだったけれど、スタメンを固定して3試合を戦ってきたせいか、攻撃面でもいい連係が見られる場面が増えた。前半に松井が大久保のクロスに飛び込んできて、ワンタッチのトリッキーなシュートを打ってみせた場面などもあったし、本田の落ち着いたラスト・パスから岡崎が決めた3点目(ようやく大舞台でのゴール!)も、日本はFKだけじゃないんだということを見せられた点で大きかった。
 守っても長谷部がとられた(いささかシビアすぎる印象の)PKの1点のみなんだから、もう文句なし。そういや、ディフェンス面でのがんばりも、僕の予想を超えていた。イエローもほとんどもらっていないし、大会前に中澤、闘莉王のコンビでどれだけ守り切れるか不安だとか思ったのが申し訳なくなるような、素晴らしい安定ぶりだった(疑ってすいませんでした)。
 いやぁ、なんにしろ、本当に気持ちいいくらいの快勝だった。そして見事に予想外のグループリーグ突破だった。
 言っておくけれど、僕は最初から日本が3連敗すると思っていたわけじゃない。グループリーグでの組み合わせが決まった時点では、「オランダはともかく、デンマークとカメルーンは勝てない相手じゃない」という意見だった(ブログにもはっきりそう書いた)。どちらかというと、きびしいグループだというメディアの意見がわからなかったくらいだった。ふだんから観ているJリーグの選手たちの実力ならば、このくらいのグループならば、楽勝とまではいかないまでも、どうにか突破できる可能性はあると思っていた。
 それが最終的に3連敗という悲観的な予想に傾いてしまったのは、直前の準備があまりにもひどかったせいだ。だって2年半かけてやってきたパス・サッカーを反故にして、トリプル・ボランチの守備的布陣と海外組の個人技頼りのサッカーへと修正するような監督を、どうして信用できるっていうんだろう。あんなひどい状況で、やみくもに日本代表を信頼しようなんて風潮に流れてしまうほうが、僕にはよっぽど信用できない。
 岡田さんのやり方にはいまだに納得がいかない。この試合だって本気でもっと上を目指すんならば、2-0とリードしている時点で早めに選手交替をして、中心選手を休ませる一方、出場機会のない選手にチャンスを与えるべきだったと思う。それでもグループリーグ突破という結果を残してくれたのだから、もうこれ以上、ケチをつけるのはやめようと思う。あいかわらず尊敬はできないけれど、ここまでくればトルシエ同様、その存在は認めざるを得ない。現実路線にきりかえて、きちんと結果を残してみせた手腕(というか、その強運)は見事だった。
 なんにしろ、3連敗という僕のネガティヴな予想を跳ね返して、決勝トーナメントに駒を進めてみせてくれた日本代表の選手たちには、ありったけの感謝を捧げたいと思う。ありがとう、日本代表! さあ次は決勝トーナメントだっ。打倒パラグアイ!
(Jun 25, 2010)

ポルトガル0-0ブラジル

W杯・グループG/2010年6月25日(金)/ダーバン/フジテレビ

 グループリーグの最終日になって、ようやくブラジルの試合を観ることができた。それもポルトガルとのグループリーグ屈指の好カード──のはずだったんだけれど。抜群の攻撃力を誇るはずの両チームの対決はスコアレス・ドローに終わってしまった。
 闘将ドゥンガが率いる今回のブラジルは、いつになく守備的でおもしろくないという評判がある。どんなもんなんだと思って観はじめてみれば、そこは腐っても鯛というか、守ってもブラジル。あのポルトガル──北朝鮮を7-0で一蹴したポルトガル──を相手に、カカ(出場停止)、ロビーニョ(温存)を欠いてなお、ボール・キープ率で60%を超えるようなサッカーをしてみせる。これのどこが守備的なんだと思った。
 まあ、確かに大柄な選手はそろっているし、組織も整っているみたいなので、なんとなく欧州のチームを思わせるところはあるけれど、それでもブラジルはブラジル。今大会も優勝候補の一番手には違いなさそうだ。
 対するポルトガルはクリスチアーノ・ロナウドを擁するがゆえに攻撃力が武器という印象だけれど、このグループリーグでは、初戦のコートジボワール戦が0-0、北朝鮮戦が7-0、そしてこのブラジル戦が0-0と、つまり1失点も許していないのだった。まあ、逆に北朝鮮をのぞくと、あとの2チームからは1点も取れていないので、それってどうなのと思わなくもないけれど、それでもこの結果からすると、思いのほか攻守のバランスのとれたチームだという気がする。この試合でもブラジルを相手にそれなりにチャンスは作っていたし、なにより無失点で切り抜けていたのだから、ちゃんと力があるのは間違いなし。さすがFIFAランキング3位(なんと)。
 なんにしろすでに2勝して決勝トーナメント進出を決めているいるブラジルとしては、無理をして勝ちに行かなくてもいい試合だったせいもあって、やや拍子抜けするような一戦だった。このグループはこの2チームの勝ち抜けが決定。ドログバのコートジボワールは北朝鮮を相手に3-0で勝ったものの、敗退が決まってしまった。結局大会無得点のまま終わったチョン・テセも残念でした。
 決勝トーナメントの対戦相手は、ブラジルがチリ、ポルトガルはスペインに決まった。攻撃的なチームばかりで、どちらもとてもおもしろそうな試合で興味津々だけれど、残念ながらキックオフは午前3時半。しかも試合は平日。あぁ、どうしたもんか、悩ましいぜ。
(Jun 26, 2010)