2002 FIFAワールドカップ Korea/Japan (2)
Index of Group Leagues (2)
ドイツ1-1アイルランド
グループリーグE/2002年6月5日(水)/カシマスタジアム/NHK
どうも連日のサッカー観戦に疲れ気味で、集中力を欠き始めている。昨日の韓国戦に続き、今日のこの試合もあまりきちんと見ることができなかった。無念。
前回のサウジ戦に“爆勝”したドイツが、まともな対戦相手(サウジに失礼な)に対してどのくらい戦えるのかが見ものだったグループ・リーグ第2戦一番乗りのこの試合。まずはドイツが一本のロングパスから19分に先制してみせる。今日のファースト・ゴールもまたもやクローゼの頭だった。もしもドイツが決勝トーナメントに進出できれば、彼の点王の可能性もありそうだ。
一方のアイルランドは組織的で小気味よいサッカーを展開する。ただボールの支配率は高いのだけれど、なかなか決定的なチャンスを生み出すことができない。その後はドイツも決定力を欠き、ゲームは1-0のまま前半から後半へ。そしてロスタイムへ。
このままドイツが逃げ切って決勝進出一番乗り間違いないだろうというロスタイム、残り1分を切った時点で。アイルランドの右サイドから上がったロングボールを途中出場のクインがヘッドで競り合ってゴール前に落とす。ここへ走りこんだロビー・キーンがシュート! 同点、同点、同点! いやあ、びっくりした。こんな結末は予想できなかった。カシマスタジアムを埋めつくしたアイルランド・サポーターの盛り上がりようはすごかった。ドイツには気の毒だけれど、やはり積極的に追加点を奪いにいかなかったのがいけない。やはりサウジ戦の爆発力は単に相手が弱過ぎたということらしい。
ということでこのグループもすごい混戦になっている。ここまで2引き分けのアイルランドだけれど、最終戦はサウジだから勝ち点5が見込める。対するドイツ、カメルーンは、恐らく明日カメルーンがサウジに勝って、ともに勝ち点4での対戦となるだろう。両チームが引き分ければ3チームが勝ち点5で並ぶ可能性もある。いやあ面白くなってきた。
ちなみにこの試合の前に行われた韓国と同じグループのポルトガル対アメリカ戦では、優勝候補のひとつであるポルトガルが2-3でアメリカに敗れるという波乱があった。その前の試合ではロシアがチュジニアに2-0で快勝している。
(Jun 05, 2002)
フランス0-0ウルグアイ
グループリーグA/2002年6月6日(木)/釜山アシアド・メイン・スタジアム(プサン)/テレビ朝日
初戦を落として後がなくなったフランスの注目の第2戦の相手は、左利きの名MFレコバを擁するウルグアイ。この試合が大荒れの熱戦となった。
やはり荒れた一番の原因は前半25分のアンリに対する不可解なレッドカード。確かにスパイクの裏を向けて相手選手に当ってしまっていたけれど、タイミング的には故意でないのは明らかだし、当てられた選手もそれほど傷んでいなかった。それなのにレッドはちょっとひどい。なおかつその後にカードが出てもおかしくないようなプレーをいくつか流す場面があったために、レフェリーへの不審が募ったのだろう、一時はあと何人退場することやらというほど、両チームとも熱くなってしまっていた。
なんにしろこの試合に負けたらば予選リーグ敗退決定という両チームの対戦において、王者フランスが全体の3/4近くを残して一人ビハインドになった。その事実の重さがラフプレーの多さとあいまって試合にすごい緊張感を与えていた。おかげで結果はスコアレス・ドローだったというのに、後半の激しい攻防にはこれでもかという見応えがあり、実におもしろい試合だった。
噂のレコバはなるほど、時おりはっとさせるようなプレーを見せてくれたものの、キーパーが飛び出してゴールマウスが無人になった決定的なチャンスで、無意味に強いシュートを打ってゴールを逃すなんて失態を演じてしまうあたり、どうなんだろうという感じだった。まあおかげでフランスの負けはなくなり、大会的には興味が残ったから、無責任なファンとしてはありがたかったのだけれど。
一方のフランスで大活躍を見せたのはGKのバルテズ。彼のファインセーブがなければ、フランスは3-0とかで負けていたかもしれない。それくらいフランスは危なかった。一人少ないにもかかわらずボールの支配率が高いのはさすがだっただけれど、それでも前の試合と同様、決定的なチャンスにまで到らない。やはりフランスの攻撃力はジダンあってこそみたいだ。今日の試合でそのジダンの代役として出場したパルマのミクーはいまひとつな印象で、とても中田英からレギュラーを奪うほどいい選手だとは思えなかった。
この試合の結果、A組は勝ち点4をあげたデンマーク、セネガルの2チームが、最終戦で勝ち点1のフランス、ウルグアイを迎え撃つという展開になった。後者の2チームが勝ったならば、全チームが勝ち点4で並んでしまうという大混戦。しかもチーム力的にはそういう展開になる可能性は十分にある。これはちょっとおもしろ過ぎる。試合が平日の昼間なので見られないのが残念だ。
なんにしろこの時点で勝ち点1、得点は実に0というグループ・リーグ最下位のフランスにとって、かなり厳しい展開になってしまったことには間違いがない。王者は最後に意地を見せてくれるのか。ジダンの復活はあるのか。興味は尽きない。これぞまさにワールドカップという展開になっているグループリーグA組だった。
(Jun 07, 2002)
アルゼンチン0-1イングランド
グループリーグF/2002年6月7日(金)/札幌ドーム/TBS
グループリーグでもっとも注目を集める宿敵同士の対戦。世間でのフィーバーぶりとは裏腹に、両チームの第一戦の内容を見る限り、始まる前から結果は明らかに思えた。終始押し気味の試合展開でナイジェリアを圧倒したアルゼンチンと、スウェーデンに対して有効な攻撃を仕掛けることができず、特に後半は受身一方だったイングランド。そのままならば、どう考えてもイングランドには勝ち目はなさそうに思えた。
ところがこれこそワールドカップというべきだろうか。その圧倒的に劣勢だと思われたイングランドが、アルゼンチンの強力な攻撃力を見事に封じ込めてしまう。
この試合の前半におけるイングランドの中盤のディフェンスは圧巻だった。相手にボールが渡ると素早いチェックで即座に奪い返し、小気味いよいパス回しで攻撃に転じる。前の試合ではほとんど機能していない印象だったイングランドの中盤が、ベロン、オルテガらを擁するあのアルゼンチンの強力な中盤に対して互角以上の戦いを見せてくれるなんて思っても見なかった。スコールズ、バット、シンクレア(序盤で足を痛めたハーグリーヴスに代わって途中出場)といった選手の活躍ぶりは、キャプテンのベッカムを上回っていたように思う。というかこの試合でのベッカムはFKの時以外はずっとおとなしめだった。一度だけ果敢なドリブルで攻め上がり、会場を湧かせはしたものの。
イングランドに貴重な決勝点をもたらした前半終了間際のPKを誘ったのは、ワンダー・オーエンだった。この子はいいんだか、悪いんだかよくわからない。チャンスでボールを受けた際の動きの鋭さは特筆ものなのだけれど(相手DFの股抜きでポストをたたいたシュートは見事だった)、その反面、なにもない時の動きが妙にちんたらしている。よく言えば無駄な動きをしない。悪く言えばやる気がないように見える。エースがあの調子では、ここまでの2試合で流れからの得点がないのも当然なのではという気がしてしまう。
とはいってもイングランドに勝ち点をもたらしたのはそんなオーエンが誘ったPKだった。ビデオで見るとややシミュレーション気味にも見えたけれど、あの瞬間は間違いなくファールだと思えた。今大会ナンバー1レフェリーと言われるスキンヘッドのコリーナ主審も間髪入れずにPKを宣言した。それくらいオーエンの動きが鋭かったということだろう。
このPKを決めたのはベッカム。GKの反応の裏を突いて、ほぼ真正面に強く蹴りこんでイングランドに決勝点をもたらした。喜びを爆発させるベッカムと仲間たちの姿はかなり感動的だった。
後半になると、驚いたことにアルゼンチンはベロンを引っ込めてきた。ちょっと足を痛めたからという話だけれど、この交替がアルゼンチンには痛かった。代わりのアイマールという選手も攻撃においては悪くはなかったものの、前の試合で見たベロンの攻守に渡る貢献度と比べてしまうと、やはり戦力低下という印象は否めない。特に終盤、イングランドが防戦一方となってから、アルゼンチンが圧倒的に攻めながらも決定機を演出し切れなかったの見るとなおさらだった。あの時間帯にベロンがいたらどうだったんだろうと思わずにはいられない。
とにかく最後の最後はもう耐え忍ぶばかりといったイングランドではあったものの、どうにか逃げ切って勝ち点3をゲット、F組2位をキープした。驚いたことに現時点でのグループトップは、今日ナイジェリアに勝って、勝ち点、得失点でイングランドと並び、得点では1上回るスウェーデン(ナイジェリアはこの黒星で予選リーグ敗退が決定した)。アルゼンチンは次の試合でこのスウェーデンに勝たないと予選敗退となってしまう。さすがに死のグループと言われただけのことはある厳しさ。A組と同様、次の試合が昼間だから見られないのが返す返すも残念だ。
(Jun 08, 2002)
イタリア1-2クロアチア
グループリーグG/2002年6月8日(土)/カシマスタジアム/テレビ東京
イタリアの予選突破を見届けるつもりだったのに。後半になってヴィエリが今大会3点目となる先制ゴールをあげた時にはこれで決まったろうと思ったのに。あらら、イタリアが逆転負けをくらってしまった。クロアチアが前大会3位の意地を見せた。
イタリアにとってはディフェンスの要、ネスタの途中交替が痛かったのだろう。そう考えないと、あれほど強固なディフェンス力を誇るイタリアが、いとも簡単に逆転負けした理由がわからない。途中交替で出場していた18番オリッチの一点目にしろ、そのわずか3分後のラパイッチの2点目にしろ、イタリアの本来のディフェンス力からは考えられないほど見事に決められてしまっている。やはりなんらかの乱れがあったんだろう。
前の試合でいまいちだったベテランのシュケルとプロシネチキをスタメンから外したクロアチアは、若手の選手起用が上手く機能した形になった。中でもペルージャで中田の同僚だったラパイッチ。ペルージャの時と同じで、今でもこの人はボールを持つとがむしゃらにゴールへ向かっていく。中田のプレーを楽しみにしていたあの頃はその自己中心的なプレースタイルが歯がゆかったものだけれど、今日の決勝ゴールをあげたシュートの場面を生み出したのは、彼のそうした思いっきりのよさだった。
イタリアも後半途中からインザーギを投入したりして、結構攻めていたのだけれど結局追いつけなかった。トッティのFKがポストをたたいたシーン、ロスタイムのインザーギの幻のゴール・シーンなど、見せ場は多かったのに。とくに最後のインザーギのゴールには興奮させられた。最初はオフサイドの判定かと思ってミスジャッジだと憤慨していたら、リプレイを見る限り、確かに直前に相手DFのユニフォームを引っ張っていた。ああ、惜しい。線審の「服を引っ張ったからさ」というジェスチャーはちょっと可愛かったけれど(ふざけているのかと思った)、できれば見逃してあげて欲しかった。
それにしてもこの結果、フランス、アルゼンチンに続いて、イタリアまでが予選最終戦に勝たないと決勝進出が危ないと言う状況になってしまった。これらのうちのひとつが欠けても大会の興奮に水を差すには十分。頼むから強豪の意地を見せて勝ち上がって欲しい。どのチームもあと一試合で見納めにするには惜し過ぎる。
(Jun 09, 2002)
ブラジル4-0中国
グループリーグC/2002年6月8日(土)/済州島(チェジュド)ワールドカップ競技場(ソギポ)/TBS
イタリアが負けたあとだから、中国にも大番狂わせとは言わないまでも、それなりの健闘を期待していたのだけれど。結果はあまりに順当に終わってしまった。
前半15分にロベルト・カルロスの強烈なFKが決まった時点で勝負あったという感じだった。そのゴールだって、壁の立て方にミスがあったんじゃないかという感じだったし。壁の横を狙って打ったシュートがそのままゴール隅に決まってしまうようでは駄目なんじゃないだろうか。ブラジルの力量というよりは、どちらかというと中国の経験値の低さを感じさせる先制シーンだった。
その後もリバウドが決め、ロナウドがもらったPKをロナウジーニョが決め、後半になってからはロナウドが決め。主役揃い踏みでのブラジルの快勝だった。
イタリア戦が始まる前から飲んでいたので、二試合目となるこの試合の頃には情けないことにもうかなり酔っていて、集中力散漫でこれといった感想もない。
(Jun 09, 2002)
メキシコ2-1エクアドル
グループリーグG/2002年6月9日(日)/宮城スタジアム/NHK
イタリアが負けたことにより勝敗の行方が気になるG組のもう一試合は、クロアチアを破り既に勝ち点3をあげているメキシコと、前のイタリア戦ではほとんどいいところがなかったエクアドルの対戦。
試合はフラット4かというくらい4バックが綺麗に並んでいるエクアドルが開始5分でいきなり先制。これはおもしろくなったと思ったものの、どうもやはりこのチームは力不足の感が否めない。その後は一方的にメキシコに攻め込まれ、前半で同点、後半に逆転を許すとあとはもうなすすべなしという感じだった。
それでもさすがに後がなくなった終盤になって、エクアドルもようやく攻勢に転じる。それくらい攻めることができるならば、せっせと攻めておけばいいのにと思うくらい、ちゃんと攻めていた。そもそも身体能力の高い黒人選手も何人かいるし、なぜあんなに不甲斐ないのか結構不思議なチームだ。
試合は2-1でメキシコが逃げ切り。これで次のイタリア戦はますます見逃せなくなった。イタリアは得失点の関係で勝ちさえすれば決勝トーナメント進出を決められる。一方のメキシコは引き分けでグループ一位確定、負けてもクロアチアの成績次第では勝ちぬけられる。ただクロアチアもエクアドルが相手だからそう簡単には負けないだろうし、この3チームのうちどこが脱落するか、ちょっと予想がつかない。
(Jun 09, 2002)
日本1-0ロシア
グループリーグH/2002年6月9日(日)/横浜国際総合競技場/フジテレビ
トルシエを嫌うあまり、この歴史的な勝利を素直に喜べない自分がちょっと悲しい。とりあえず試合の内容について、ざっと書いておく。
スタメンは右が明神、フラット3の真ん中が、いまだフェイスガードの痛々しい宮本だったのを除くと、あとは前の試合と一緒。森岡は前の試合で負った故障が思ったよりもひどかったらしく、ベンチ入りさえしていなかった。対するロシアも噂のモストボイは欠場。結果的にこれには随分と助けられた印象だった。
日本もロシアも序盤から積極的に攻撃を仕掛けていたように思う。互角の印象のまま前半を0-0で終えたあと、後半の早い時間に中田浩二のグラウンダーのクロスを柳沢が得意のワンタッチで稲本へ(なぜそこにいる?)。これを稲本が落ち着いてドカンと決めて2試合連続得点で日本に先制点をもたらした。その後ロシアの猛攻を受けるも、しっかりと守りきっての勝利。文句のつけようがない。
本当に日本代表のパフォーマンスは素晴らしかった。攻守にめざましい活躍を見せた稲本や、鼻骨骨折のハンディを感じさせない素晴らしい守備を披露した宮本はもとより、本当に全員が一丸となって戦っていることを感じさせた。ロシアのフィニッシュの精度の低さに助けられた面もかなりあったけれど、その反面、日本が決定機を逃す場面もいくつかあったから、勝負は五分だろう。本当によく戦った。それにしてもどうせ勝つならば、柳沢にはあのフリーのシュートを決めてもらいたかった。いいプレーをしていただけに結果が出せずに残念。
ロシアに関しては8番のカルピンが噂どおりの素晴らしいプレーを見せていた。彼のところへボールが渡るとそれだけでピンチに思えた。ここにモストボイとやらが加わるとどうなっちゃうんだろうと思わずにはいられない。できればベストメンバーのロシアと戦う日本代表が見たかった。
とりあえず日本サッカー界の歴史に新しい1ページを記したイレブンに祝福を。そして僕から代表チームを愛する気持ちを奪ったトルシエにはありったけの罵詈雑言を。
(Jun 09, 2002)