2022年3月のサッカー
Index
- 03/06 ○ 鹿島1-0柏 (J1・第3節)
- 03/11 ○ 神戸0-2鹿島 (J1・第4節)
- 03/19 ○ 鹿島2-1湘南 (J1・第5節)
- 03/24 ○ オーストラリア0-2日本 (W杯・最終予選)
- 03/29 △ 日本1-1ベトナム (W杯・最終予選)
鹿島アントラーズ1-0柏レイソル
J1・第3節/2022年3月6日(日)/カシマサッカースタジアム/DAZN
鹿島は前節で川崎に負けたのにつづいて、水曜日のルヴァン杯・C大阪戦にも負けて、公式戦2連敗中。ここで負けると今年ももう白旗を揚げたくなっちゃいそうだったので、なんとか勝ち点3をもぎ取れてよかった。
試合内容はいまいちだったし、荒木の決勝ゴールは相手DFにあたってコースが変わったラッキーなものだったけれど、こういう試合を拾えないで序盤から低迷してしまったのが去年と一昨年だったので、出来はともかく勝てたのがなにより。運も実力のうちというしね。本当に勝ててよかった。
この日のスタメンはクォン・スンテ、広瀬、キム・ミンテ、関川、安西、三竿、樋口、ピトゥカ、土居、綺世、優磨の11人。
右SBは常本ではなく広瀬、中盤は三竿をアンカーの位置に起用し、土居をトップ下に置いたダイヤモンド型というあたりが注目点。
開幕戦で躍動した攻撃陣がその後はすっかり低迷してしまってそれ以降無得点だから、常本より攻撃力がある広瀬を起用してきたってことなのか。だとしても、広瀬は攻撃での貢献はそれほど高くなかったから、作戦失敗の感あり。安西もそれほど上がれていなかったし、両サイドバックの攻め上がりが少ないのが得点力不足の一因かと思う。
でもまぁ、広瀬や三竿を起用して、積極的にフォーメーションを変えて手を打ってくるくるあたりの姿勢は好印象だった。まだ3試合しか観ていないけれど、監督としては相馬より岩政のほうが上な気がする(少なくても僕は好き)。まぁ、今週中にはヴァイラー監督が来日するらしいので、岩政が指揮を取るのもあと一試合みたいだけれど。
対するレイソルはネルシーニョが戻ってきてもう4年目とのこと。今年はクリスティアーノとヒジャルジソンが抜けてドウグラスが入り、江坂がつけていた10番はマテウス・サヴィオというブラジル人(去年もいたらしいけれど、まるで記憶にない)に託されていた。
でも攻撃で目立っていたのは彼らブラジル人選手よりも、この試合最多の4本のシュートを打った
でもまぁ、柏で印象的だったのは、どちらかというと攻撃よりは守備だった。古賀太陽や高橋祐治らが3バックでしっかりと最終ラインを固めていて、なかなか崩せる感じがしなかった。シュートは両チームとも1桁台だし、お互いに攻め手を欠いた膠着した――よくいえば渋い――試合内容だった。
鹿島の途中出場は荒木、常本、仲間、中村亮太朗、エヴェラウドの5人。
仲間は三竿と交替で高めのポジションに入って、そこからは中盤をいつものボックス型に戻した。仲間(そういや去年の同じカードでは敵だった彼にミドルを決められたんだった)もなかなかよさそう。今年の新加入の選手たちはみな運動量が豊富で技術もしっかりしていそうで好印象だ。
まぁ、とりあえず新10番・荒木遼太郎に今季初ゴールが生まれてなによりだった。あと今季初のクリーンシートもめでたい。
(Mar. 07, 2022)
ヴィッセル神戸0-2鹿島アントラーズ
J1・第4節/2022年3月11日(金)/ノエビアスタジアム神戸/DAZN
第4節のフライデーナイトJリーグ――つまり今季初のナイトゲームだったヴィッセル神戸戦。
この試合に関しては、なによりまず相手のコンディションが悪すぎた。
大迫・武藤の元海外組・日本代表FWがふたりとも怪我で離脱中。加えてイニエスタ、サンペールのバルサ・コンビも――多分中3日で火曜日に予定されているACLプレーオフをにらんで――ベンチスタート(後半途中から出てきた)。
山口蛍・扇原の元五輪代表ボランチ・コンビがいたり、鳴り物入りで来日したわりには鳴かず飛ばずのリンコンがスタメンだったりと、見どころがないわけではないけれど、それでも前述の4人がいないのでは、飛車角金銀落ちの感が否めない。
なにより、そんなスタメンでもなんとかなるほど、われらが鹿島アントラーズは弱くない。なめてもらっちゃ困る――って、三浦淳宏には去年も同じことを書いた気がする。まぁ、単に鹿島との巡りあわせが悪いってことなのかもしれないけれど。
いずれにせよ開幕から6試合(ACL出場クラブだからほかより消化数が多い)を戦って白星なしで降格圏に沈んでいるというのは、いくら怪我人が多くて不運だとはいえ、神戸の選手層の厚さからすれば、許される成績ではなかろうと思う。これでACLのプレーオフで負けるようだと、ほんと洒落にならないでしょう。健闘を祈るよ。
ということで、そんな相手のアウェイで戦ったこの日の鹿島のスタメンは、GKクォン・スンテ、DF常本、三竿、ブエノ、安西、MF樋口、ピトゥカ、土居、荒木、FW綺世、優磨の11人。途中出場は中村亮太朗、染野、仲間、和泉、ファン・アラーノ(今季初出場!)の5人だった。
なによりの注目は、三竿とブエノのCBコンビ。
鹿島では前日に新型コロナの陽性感染者が3名出てしまったという発表があったので、関川がいないのはそのうちの一人(もしくは濃厚接触者)だったんだろうけれど、三竿はともかく、前節でクリーンシートを達成したキム・ミンテをベンチにさげて、ブエノを起用してくるとは思わなかった。
でもそのブエノがよかった。セットプレーから三竿が頭で決めた先制点にも絡んだし、守っても無失点に抑えた。三竿との急造コンビは十分に機能していた。ブエノがこれくらいできるんならば、なにもキム・ミンテを取らなくたってよかったんじゃないかと思ってしまった。ただでさえ外国人枠が足りないんだし。やはり今季はCBをどう使うのかが今シーズンは一年を通しての課題になりそうだ。
得点は前述した三竿のゴールが前半7分で、追加点は後半9分に鈴木優磨。ロングボールのクリアボールが落ちてきたところへ駈け込んできて、ダイレクトにズドン。地を這うような弾道で相手GKの手を弾くものすごいシュートだった。優磨すごっ。
ということで、ともに1996年生まれ(25歳)のふたりのゴールで鹿島が快勝。暫定ながら順位を3位とした。ここまで1試合多い1位2位の横浜、川崎と勝ち点差1ならば上出来でしょう。岩政、いい仕事をした。このまま離されずに食いついてゆきたい。
次節からはいよいよレネ・ヴァイラー監督が登場。どんなサッカーを見せてくれるか楽しみだ。
(Mar. 12, 2022)
鹿島アントラーズ2-1湘南ベルマーレ
J1・第5節/2022年3月19日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN
レネ・ヴァイラー新監督のリーグ戦初戦。
先週の神戸戦の日に来日して、その二日後の13日よりチームに合流したヴァイラー監督。初采配となった火曜日のルヴァン杯・大分戦は3-3のドローという結果に終わったので、これが初白星。とりあえず合流すぐで時間のないなか、2戦を負けなしで乗り切ったのだから、いいスタートを切ったといえるんじゃないだろうか。
注目のこの日のスタメンはGKクォン、DF常本、関川、三竿、安西、MF樋口、土居、荒木、和泉、FW上田綺世、鈴木優磨の11人。
驚いたことにピトゥカがいない。その一方でコロナかと思っていた関川がいるという。その二点に意外性のある先発メンバーだった。
ピトゥカがなぜいないのかはわからないけれど、来週から代表ウィークに入って試合日程があくから、温存したという話ではないだろう。去年の加入以来、ボランチのファースト・チョイスの座に君臨してきたピトゥカを、ボランチ勢では最年長(29歳)だということで、中三日というコンディションに配慮してあえて使わなかったとするならば、そこに早くもヴァイラー色が出ているのかもしれない。
ということで、ピトゥカ不在のこの日の中盤は樋口のワン・ボランチで中盤をダイヤモンド型にした形。DAZNのフォーメーションでは荒木がボランチの位置になっていたけれどボランチというほどには下がってプレーしていなかった(でもっていまいち存在感もなかった)。
対する湘南での注目はもちろん永木。この日は右サイドの攻撃的MFとしてプレーしていたので、最終ラインに入った三竿とのマッチアップとかあって、なかなか胸熱だった。
湘南にはもうひとり元・鹿島の山本脩斗もいて、スリーバックの右でプレーしていた(鹿島では左SBだった山本が湘南でいまは右CBを務めているという不思議)。あとボランチには米本がいて、GKが谷晃生で、後半途中からは茨田やウェリントンが出てきた。
でも湘南で知っている選手はそれだけ。監督は元ガンバの山口智で――就任したのは去年の終盤戦かららしいけれど――指揮官としての手腕はいまだ未知数。でもってここまでは1勝もできずにリーグ最下位。優勝を目指すならば、そういうチームに負けるわけにはいかない――はずなのに。
この試合ではいきなりその湘南に先制を許してしまう。前半16分、関川のクリアボールが跳ね返って、ゴール前にいた瀬川というFWに渡ってしまった。でも瀬川が打ったゆるいシュートはゴールラインを割る寸前で常本がかき出した!――かと思ったのに、残念ながら一歩及ばず。VAR判定でゴールが認められてしまった。
あの場面でこぼれ球が相手に渡ってしまったのは不運だったけれど、でも失点に絡んでしまったのが関川ってのがなぁ。先週はよかったブエノもルヴァン杯ではさんざんだったらしいし、やはりCBは今年の悩みの種らしい。このままだと三竿がそのポジションでレギュラーに定着する可能性も高そうな……。
ということで、前半はその1点を跳ね返せずに0-1で終了。
もしや後半もそのままで終わってしまうのでは……という不安を払拭してくれたのは、上田綺世と途中出場のファン・アラーノのゴールだった。
上田綺世の同点弾は後半4分。相手のパスミスを和泉が奪ったところからのカウンター。相手DFをかわした綺世は技ありのシュートをゴール右隅に突き刺してみせた。開幕戦以来4試合ぶりのゴーーール!
決勝弾は右サイドをドリブルで突破した優磨が敵陣深くに切れ込んで打ったグラウンダーのクロスに、ファン・アラーノが右足であわせたもの。こちらは文句なしに見事な崩しだった。
途中出場はそのファン・アラーノと仲間、松村の3人だけだったけれど、それぞれに持ち味を発揮していたと思う。仲間は積極的にシュートを打ってゆく姿勢が好感度大だったし、今季初出場の松村もプレーが観られてよかった。
ルヴァン杯では中村亮太朗やカイキがスタメン出場したり、染野が今季初ゴールを決めたりしたようだし、ここまではなかなかいい感じで選手のローテーションもできている気がする。全体的にロングボールが多い印象なのがやや気がかりだけれど、とりあえずここまでは結果が出ているのだから、まあよし。毎回特別内容がよいとも思わないけれど、しぶとく勝てているのは鹿島っぽい気がする。
この日の勝利でリーグ戦の順位は暫定ながら単独3位! 首位・川崎は2試合多いので、勝ち点4の差ならば実質首位も同然!――とか喜んでいる場合じゃないな。川崎には負けているのだし。勝って兜の緒を締めよ、だ。
(Mar. 19, 2022)
オーストラリア0-2日本
FIFAワールドカップ・最終予選/2022年3月24日(木)/スタジアム・オーストラリア(シドニー)/DAZN
試合開始が午後6時10分と早かったので、仕事を切り上げるのが遅れて、危なくキックオフを見逃しそうになった。森保ジャパンがオーストラリアに勝って、無事カタールW杯への出場を決めたアウェイでの一戦。天候は雨。
3位のオーストラリアとの直接対決で、負けた場合には3位転落という大事な試合なのに、大迫、酒井宏樹、冨安というレギュラー陣が怪我のため招集できないという厳しい状況だった。さぁ、森保はこのピンチにどんなメンバーで臨むのか――。
という注目のスタメンは、GK権田、MF山根、板倉、麻也(復活!)、長友、MF遠藤航、守田、田中碧、伊東純也、南野、そしてFW浅野という顔ぶれだった。
いやぁ、これぞ森保。いつものメンバーではなくても、まったく意外性なし。浅野のかわりに上田綺世を使えばまだ印象が違うだろうに。もしくは久保や三笘でもいい。そういう多くの人が観たがっている選手を使わず、なぜに浅野を使うんだかわからない。
とりあえず綺世と三笘は途中から出てきたけれど――綺世は背番号9! 三笘は2ゴールの大活躍!――途中出場したあとのふたりは中山雄太と原口だよ? そのかわりばえのなさは、もはや感心してしまうレベルだ。どんだけ頑固なんだ。
遠藤・守田・碧のトリプル・ボランチも、どうしても負けられないって試合で強敵相手に使うならばともかく、こう毎試合のようにあたりまえに使われるといささかげんなりしてくる。彼らで構成する中盤が安定感抜群なのは否定しないけれど、でもそのぶん攻撃力が犠牲になっているのは確かでしょう? この試合でも先制点を奪うまで84分もかかったわけだし。
ボランチを三枚使うならば、せめて前線には最強のFWを配置してくれよぉ。僕個人は浅野よりも上田綺世のほうが上だと思っているので、その綺世にベンチを温めさせて浅野を起用する森保に納得できるはずがない。
いまの日本代表には、海外からも少なからず注目をあつめる久保や三笘のような魅力的なアタッカーがいるのに、そういう選手たちを使わずに浅野を使ったり、守備的な布陣で戦ったりするのはなんなんだか。わけがわからない。森保ってじつはサッカーが好きじゃないんじゃなかろうか。
日本代表監督には日本人選手のポテンシャルを最大限に引き出して、最高のチームを作ってもらいたい。僕には森保の率いるいまの日本代表が、現状戦力での最高のチームだとはとても思えない。なので観ていて常にストレスを感じてしまう。勝っても負けてもこんなもんじゃねぇだろって気がしてしまう。
きょうの試合もしかり。なので勝って見事W杯出場を決めたにもかかわらず、ちっとも嬉しくない。こんなにカタルシスのないW杯出場決定は初めてだよ。消化試合になった来週のベトナム戦はどんなモチベーションで観ればいいのやら。
(Mar. 24, 2022)
日本1-1ベトナム
FIFAワールドカップ・最終予選/2022年3月29日(火)/埼玉スタジアム2002/テレビ朝日
やっぱ森保じゃ駄目だろうと思わせたW杯・最終予選の最終戦。
すでにW杯出場が決まって消化試合となったということで、森保はスタメンを大きく入れ替えてきた。
GKは川島、4バックが山根、麻也、谷口、中山で、MF柴崎、原口、旗手、久保建英、三笘、FW上田綺世という11人。
先週の豪州戦からじつに9人の入れ替え。またかよって感じ。この継続性のなさに森保の駄目さ加減が如実に表れている。
そもそも、この期に及んでGKがシュミット・ダニエルではなく川島ってのはなんなんだ。試しに使うならば伸びしろの大きな若者でしょうよ。森保にはいまだ川島の実力が把握できていないってこと? それはどんな趣味の悪い冗談だ。
まぁ、僕は綺世、久保、三笘を観たいと思っていたから、彼ら全員がスタメンに名を連ねるメンバー表をみたときには楽しそうだなと思ったけれど、でも同時に、これで大丈夫なの?――と疑問にも思った。
今回の最終予選で日本代表のキーパーソンとなったのは遠藤航・守田・田中碧のボランチ・トリオだ。中盤を運動量が多くて守備力の高いメンツで埋めることで、安定した試合運びを実現していた。中盤を厚くして失点の芽を摘み取り、あとは伊東純也の決定力頼り。――それがこのところの森保ジャパンの最新モードだった。
ところがこの日のスタメンにはそのボランチの3人がいない。かわりのボランチが柴崎ひとりって、おいおい。
柴崎の持ち味は守備力ではなく、攻撃力でしょうに。ちょっと前には攻撃的MFとしてプレーさせていたじゃんよ。なんでそんな選手に中盤の底をひとりで担わせる? この期に及んで柴崎にチャンスを与える姿勢はあっぱれだけれど、チームとしての戦術がいい加減すぎない?
ベトナムが守備的な戦い方をしてくるからボランチは柴崎くらいの守備力があれば大丈夫という判断だったのかもしれないし、実際にベトナムのシュートは1本だけという結果だから、あながち間違った考えではないという意見もあるかもしれない。
でも結果はそのたった1本のシュートを決められ、攻めても攻撃が散発で1点しか奪えずにドローに終わっているのだから、あきらかに采配ミスでしょう?
最終予選では5試合連続で完封勝利中だった日本が最下位のベトナム相手に失点したのは、確実に9人の選手を入れ替えた弊害だろう。たとえ代表レベルの選手たちだったとしても、慣れないメンツではセットプレーの守備がおぼつかないのも道理。いつものメンバーで戦っていれば、防げていた失点だったのではないかと思う。そもそも失点につながるセットプレーさえ与えてなかったんじゃなかろうか。
0-1で終わった前半の出来をみて森保はすぐに動いた。旗手は前半だけでお役御免(この日がA代表初出場だったらしい)。後半の頭から虎の子・伊東純也を投入する。
さらには後半途中、吉田麻也の同点ゴール――原口のシュートを相手GKが弾いたこぼれ球を押し込んだ(なぜそこにいる?)――が生まれたあとに、久保→南野、原口→守田、柴崎→碧と一気に交替させ、レギュラー陣をまとめて投入して勝ちにゆく。
でも田中碧のゴールがVARに取り消されたり(直前にボールが当たった南野のハンドという判定)、綺世の泥臭いゴールがオフサイドで認められなかったりで、結局その後は無得点。勝ち点3を奪えずに終わってしまった。
ベトナムはグループ最下位だよ? ここまで1勝8敗の勝ち点3だよ? そんな国になぜ首位の日本が引き分ける? しかもホーム最終戦で?
年末に控えている本大会まで残すところ7ヵ月半だ。この先、親善試合も両手であまるくらいの数しかこなせないという。
だとするならば、いまから必要となるのは本番を見据えた選手たちの相性の確認や、連係の向上でしょう? この日みたいな失点を避けるには、できるかぎり主力を固定して連係を高めてゆくしかないと僕は思う。
このままの体制でゆくならば、本番も遠藤・守田・碧の三人を軸にして、伊東純也の攻撃力を頼りに戦うことになるんだろう。それならばそれでいい。
でもだとしたら、その4人はちゃんと使おうよ。
あいにくこの日は遠藤・板倉がクラブの事情で離脱して使えなかったけれど、ならばなおさら遠藤不在のケースのシミュレーションにはうってつけじゃん。守田・碧と誰を組み合わせるのがベストか、見極めなくてどうする。その片方だけを使うのだっていいさ。守田と柴崎、柴崎と田中碧の組み合わせでどうなるか。そういうトライをしてくれていれば、なんの文句もなかった。
でも本番では確実に使うことになるだろう選手らにベンチを温めさせて、使うかどうかわからない選手たちを大挙出場させたあげく、連係不足で最下位のベトナム相手にドローって。
出番のなかった選手にチャンスを与えたかった?
なにそれ?
代表チームはなかよしクラブじゃないんだよ。この先使うかどうかもわからない選手を記念に出場させてどうすんだ。めったに戦えない強豪国相手ならばともかく、ベトナムはこれが最終予選初出場だという国だよ?
結果、勝ち点1しか得られなかった日本は、最終的にサウジアラビアに抜かれてグループ2位で最終予選を終えることになった。1位抜けのチャンスをみすみすふいにした。W杯に出られれば順位なんかどうでもいいってこと? そんな馬鹿な話はないだろう。ちゃんと有終の美は飾ろうよ。
アジア杯といい、E-1選手権といい、東京五輪といい、そしてこの最終予選といい、これまでのアジアの舞台でことごとく1位という結果を残せずにいる森保がなにゆえ世界で通用すると思えるかって話だ。本番になればこれまでの負債がすべてプラスに変わって返ってくるとでも思ってるんだろうか。
いまの日本代表は世界に誇れるタレント揃いだ。それはセルティックに四人の日本人を呼び寄せて好成績をあげているポステコグルーが証明している。指揮官に明確なビジョンさえあれば、きちんと成績を残せるだけの選手層の厚さはある。
あとは指揮官の手腕だけ。――でもそこに巨大な疑問符がついてしまうのが日本代表の現状だ。正直やってられない。
こんな風に年がら年じゅう文句ばっかり書いているようならば、いっそすっぱり日本代表なんか観るのをやめたほうがいいんじゃないかと本気で思い始めた。
(Mar. 30, 2022)