2022年2月のサッカー
Index
- 02/01 ○ 日本2-0サウジアラビア (W杯・最終予選)
- 02/12 川崎0-2浦和 (富士フィルム杯)
- 02/19 ○ G大阪1-3鹿島 (J1・第1節)
- 02/26 ● 鹿島0-2川崎 (J1・第2節)
日本2-0サウジアラビア
FIFAワールドカップ地区予選/2022年2月1日(火)/埼玉スタジアム2002/テレビ朝日
日本代表がサウジアラビアに雪辱を果たし、首位サウジとの勝ち点の差を1まで詰めた一戦。
この日の出場選手は先発が権田、酒井、板倉、谷口、長友、遠藤航、守田、田中碧、伊東純也、南野、大迫の11人、途中出場は中山、前田、浅野、原口の4人。
要するにスタメンは中国戦と一緒。違うのはあの試合で途中出場した久保と堂安のかわりに浅野が出てきたところだけ。
そんな森保采配はあいかわらず超つまらないけれど、選手たちのプレーについては文句なしだった。サウジにほとんど攻撃らしい攻撃をさせずに完封勝利。攻めても伊東純也(またもや)の活躍から2得点。いったい森保はどれだけ伊東に救われているんだか。ベルギーに足を向けて眠れないな。
1点目は伊東が酒井の入れたロングボールに追いつき、DFをかわしてダイレクトでクロスを入れたその俊足とプレーの切れに大笑い。2点目は長友の反対サイドからのクロスにボレーであわせた豪快なシュートに脱帽。「戦術は伊東純也」みたいな言い方があるけれど、いまの日本代表はまさにそんな感じだ。
ちなみに1点目を決めたのは南野。伊東のクロスを大迫がスルーした先にいた南野がいったん切り返して打ったシュートは、GKの足にあたって止められそうにはなったけれど、なんとかゴールへと転がり込んだ。それにしても二次予選であれだけゴールを量産していた南野が、最終予選ではこれが初ゴールだというあたり、このチームがあまりうまくはいってない証拠のように思える。
でもまぁ、遠藤、守田、田中碧という運動量の多いトリプル・ボランチのプレーにはとても安心感があるので、この形をとっているうちはそんなに失点もしないだろうし、このままでもある程度の国とだったら戦えるんだろうなとは思う。当面のいちばんの課題は伊東以外でどうやって点を取るかだ。
そう考えるとやっぱり森保の交替カードの切り方に納得がゆかない。2-0とリードした時点でもう勝ちは決まったようなものなのだから、あとは残り時間をつかって若手にどれだけ経験値を積ませるかでしょうよ。なぜ五輪で先発起用していた久保や堂安を使わずに終わるんだ。でもって途中出場は浅野(体調不良はなおったらしい)や原口って。その辺の実力や経験値はもうわかってるだろうよ。いまは若手を育てるフェーズじゃん?
この日も長友を中山に替えたいつも通りの紋切り型の采配も含めて、もう本当に森保のやることなすことが気にくわない。今日みたいな見事な試合を見せてもらっても素直に喜べないんじゃ、いったいなんのために代表戦を観ているんやらって気分だ。
次は3月にアウェイのオーストラリア戦。そこで勝てばW杯出場決定だというのに、その試合はDAZN限定配信だって話だし。しかも来月にはそのDAZNが視聴料を3,000円に値上げするというし。
本当にJFAや森保にはサッカーを盛り上げようって気があるんだろうか?
(Feb. 01, 2022)
川崎フロンターレ0-2浦和レッズ
FUJI FILM SUPER CUP/2022年2月12日(土)/日産スタジアム/日本テレビ
毎年恒例のJリーグ前哨戦、ゼロックス杯がスポンサーの社名変更にともない、今回からFUJI FILM SUPER CUPに名称変更。でもまぁ、やることは変わらない。今年のカードはJ1絶対王者・川崎と浦和レッズという対戦。でもって結果はなんとレッズの完封勝ち。川崎が2-0なんてスコアで負けるの、ひさしぶりに観た気がする。
まぁ、とはいっても、この日の川崎は盤石というには遠そうだった。橘田はいないし(前日にクラブから新型コロナの陽性者が出たそうなのでたぶんそのせい?)、去年故障したジェジエウも開幕に間にあわなかったらしく、CBには車屋が入っていた。あと、旗手がセルティックに移籍した分も確実に戦力が低下している感じだった。新加入で注目されるのはチャナティップくらいだし。でもってそのチャナティップもいまだフィットしているとはいえない感じだし。
少なくてもこの日の川崎は、去年のように手が負えないって感じではなかった。そういう意味では、いまだ慣らし運転的な状態である序盤戦のうちに対戦しといたほうがお得かもしれない。開幕戦であたるFC東京とか、第2節であたる鹿島とか、ついてないなぁと思っていたけれど、こういう状況だと逆にラッキーかもしれない。まぁ、それでもなお負けるようだと今年はもう最初から終わったも同然って気がしちゃうけど。
対するレッズは去年の中心選手だった小泉やユンカーがベンチ外。でもって徳島から移籍してきたロドリゲスの秘蔵っ子だという岩尾とか、大宮から移籍してきた左SBの馬渡とかがスタメンに名を連ねているところが、J2好きなロドリゲスらしかった。
今年のレッズの個人的な注目選手である犬飼(移籍はすごく残念だった)は、この日はベンチスタート。やっぱシュルツと岩波というレギュラー陣から簡単にはスタメンは奪えない。鹿島にいればスタメンの可能性が高かったのに、なぜにベンチを温めるために浦和に移籍しちゃったかなぁ……と思ったけれど、この試合では終盤の守備固めで最後の15分くらい出番をもらっていた。この先どれだけ出られるようになるのか、お手並み拝見だ。
今年は犬飼のほかにも他のクラブに移籍した選手がたくさんいるので、そうした元チームメートの選手たちと対戦相手として相対するのもけっこう楽しみだったりする。
そういや犬飼の背番号は13で、攻撃的な選手がつける印象の番号だったから、ちょっと意外性があった。宇賀神の3を引き継いだのはMFの伊藤敦樹だし、柴戸は引退した阿部勇樹(この日の解説だった)の22番を引き継いでいるし。フロンターレでも脇坂が去年の8から中村憲剛のつけていた14に変更していたりするし。背番号にもいろいろドラマありだなと思わせた今年のゼロックス杯――ではなく富士フィルム杯だった。
試合は開始わずか7分でレッズが先制。右サイドでのカウンターからのパス交換で、最後は酒井の出した短めのクロスを江坂がダイレクトでゴール左隅に突き刺した。
勝利を決定づける後半の2点目も江坂。明本のチャンスメイクからゴール真正面でボールを受けると、華麗な切り返しから狙いすましたシュートを左足で決めてみせた。
江坂と明本のツートップって、なにそれって地味さだと思ったけれど、ちゃんと機能して川崎に勝っちゃうんだっから、ロドリゲス采配してやったり。
スーパーカップはタイトルマッチといいつつある種のエキシビションみたいなものだから、この結果を見て今年の川崎はくみしやすしとか侮ると痛い目にあいそうだけれど、それでもシーズン開幕直前にスコアレスで負けたのは三連覇を狙う川崎にとっては嫌な感じだろう。レッズはいい仕事をしてくれた。他のクラブもがんばって、今年はそう簡単に独走を許さないで欲しいよ。
さぁ、J1開幕まであと一週間!
(Feb. 12, 2022)
ガンバ大阪1-3鹿島アントラーズ
J1・第1節/2022ん年2月19日(土)/パナソニックスタジアム吹田/DAZN
鹿島アントラーズ2022年の公式戦初陣。対戦相手はガンバ大阪でスタジアムは吹田。今年は開幕前から不安要素しかないような印象だったけれど、結果は思わぬ快勝だった。なんと開幕戦での勝利は7年ぶりだとか。ここ2年の黒星発進はともかく、まさかそんなに長いこと勝ってなかったとは……。
まぁ、なんにしろこの試合を観るまで、今年は本当に期待できないと思っていた。
遠藤康、犬飼、町田、永木、レオ・シルバ、永戸、白崎といった実績のある選手が大量に移籍してしまったにもかかわらず、補強は出戻りの鈴木優磨と名古をのぞくと、樋口雄太(鳥栖)、仲間隼斗(柏)、中村亮太朗(甲府)、キム・ミンテ(札幌)という誰それって顔ぶれだったし。目利きの鹿島のスカウトが選んだのだから、みんないい選手なんだろうとは思うけれど、僕個人は知らない名前ばかりだったから、いなくなった選手たちとの比較で、どうしても戦力ダウンの感が否めなかった。
とくに犬飼、町田の抜けたところにキム・ミンテってのがなぁ。すでに外国人枠が足りない状態なのに、DFの補強に外国人呼んできてどうするんだって思った。今年もクォン・スンテが残留したので、彼を正GKとして使うならば、連携面で韓国人DFはありなのかもしれないけれど。でもわざわざ外からDFを補強するくらいならば、なんとしてでも犬飼を引き留めて欲しかったぜ……。
なんにしろ、去年レギュラーだったCBがふたりもいなくなってしまったのがいちばんの不安要素。今年は関川とキム・ミンテを軸に、林やブエノを併用して回してゆくことになるんだろう。背番号3と4が欠番のままなので、もしかしたらシーズン途中での補強も視野にいれているのかもしれない。あと、この日の試合では後半から三竿がCBとして出場していたけれど、なんでも今年は三竿のCB起用もオプションのひとつらしい。それはちょっとびっくり。
そんなわけで守備面では不安があるものの、とりあえず攻撃面では特に心配なさそうではある。去年いたブラジル人のうち、レオ・シルバを除く全員が残留しているし――まぁ、この日はファン・アラーノもカイキもベンチにいなかったけど――上田綺世、鈴木優磨、エヴェラウドの三人からFWを選べるのってそうとう強力だろう。
あともうひとつの不安要因が監督。ザーゴがスタートダッシュに失敗して解任に追い込まれたのが記憶に新しいので、新監督のレネ・ヴァイラー氏にもどれだけ期待していいのかわからない。しかも感染症予防の入国規制にかかっていまだチームに合流できていないとくる。おいおい、大丈夫なのかと思わずにいられない。
この開幕戦で監督代理を務めたのは、今季から新しくコーチに就任したばかりの岩政大樹だ。さすがに鹿島のことはよくわかっているだろうけれど、これまでプロとしての監督歴がないだけにその手腕は未知数。直前の水戸とのプレシーズンマッチでは十何年目にして初の黒星を喫したというし、本当に大丈夫なのと思わずにいられない。
さぁ、監督不在の新体制のもと、岩政はいかなるサッカーを見せてくれるのか――。
ということで、注目のこの日の先発メンバーは、GKがクォン・スンテ、DFが常本、キム・ミンテ、関川、安西、ダブル・ボランチがディエゴ・ピトゥカと新加入の樋口、攻撃的MFに土居と荒木、そしてFWが上田綺世と鈴木優磨のツートップだった。
この布陣をみて、おーっと思ったのがフォーメーションが4-4-2だったこと。
相馬のときは基本ワントップだったから、綺世と優磨、FWがふたり並んだツートップの布陣をみただけで、これだこれと思った。そうそう、俺が見たかったのはこの伝統の4-4-2だったんだと。このメンバー表を見ただけで、あ、もしかしたらきょうは期待してもいいかもと思った。
でもって、いざ試合が始まってみると、この布陣がみごとに機能する。とくに鈴木優磨が効きまくり。ピッチを縦横無尽に動き回る彼のアグレッシブさがチーム全体に波及しているような感じで、全員が積極的にシュートを打って出る。
公式記録ではシュート数28だけれど、DAZNの配信中は36本となっていた。そのうち枠内が19とかいうんだから、どんだけ打ったんだよって話だ。ガンバのGK石川慧(この日は東口がいなかった)がファイン・セーブを連発していなければ、あと2、3点は入っていてもおかしくない展開だった。やっぱシュートの多い試合は観ていて楽しい。そしてそれだけ打てば得点も生まれる。
今シーズン最初の祝砲をあげたのは上田綺世。前半20分に右サイドに抜け出て右足を振り切り、豪快なシュートをゴールネット左隅に突き刺してみせた。笑っちゃうくらい豪快な先制点だった。
その6分後にガンバの小野瀬にセットプレーからのこぼれ球を芸術的なミドルで決められてすぐに同点に追いつかれるも、そのすぐあとに土居聖真が相手DFのフィードを高い位置でカットすると、そのボールを鈴木優磨が拾ってゴールへと流し込み、ふたたび勝ち越し。
そのあとの前半38分に、優磨のスライディングタックルを受けてもつれあうように倒れたパトリックが離れ際に肘打ちをしたということで、レッドカードを受けて退場になってしまう。さすがにこれで勝負ありって感じだった。
パトリックへのレッドについては、故意に肘打ちしたようには見えなかったし、ちょっときびしすぎたかなと思う。接触した際に優磨に太腿をつかまれて、いらっとして振り払おうとした腕があたってしまった感じ。でもってそれを優磨がオーバーアクション気味に痛がったせいでレッドになってしまったと。お気の毒さまでした。
ネットではパトリックの脚を抱え込んだ優磨にもカードではという意見もあるけれど、流れの中でやったのならばともかく、その前に笛が鳴ってプレーが止まっているのだから、リスタートを遅らせようとしただけの優磨がイエローの対象になるとは思えない。まぁ、褒められたことではないとは思うけど。
それにしても復帰戦でいきなり炎上するのも優磨らしいっちゃらしい。
ということで、その後をひとり多い状態で戦った鹿島が、後半に追加点を奪って3-1で開幕戦をものにした。
後半の追加点はまたもや綺世。ピトゥカが中盤でボールを落ち着かせていたと思ったら、そこかららずばっとゴール前にいた荒木へとパスを通し、荒木がそれを反転して綺世につないで、最後は綺世がしっかりと決め切った。点と点をつなぐような絶妙なパスワークから生まれた極上の1点だった。
上田綺世はそのほかにもいくつかチャンスがあったので、彼がハットトリックを達成できなかったのがこの試合で唯一残念だった点かなって。そんな贅沢をいいたくなるくらいの快勝だった。
途中出場は前半に二度も転倒して後頭部をうった関川が大事をとって後半頭から三竿と交替。そういや、スタメンに三竿の名前がなかったのもサプライズのひとつだった。今年から背番号6をつけた自分が開幕戦でいきなりベンチを温めることになるなんて三竿本人も思わなかったろう。
三竿からポジションを奪った樋口がどんな選手かまだよくわからないけれど、漠然とした印象では運動量が多くてパスセンスがある感じ。そういう意味ではピトゥカと似た印象。守備力の高い三竿ではなく、樋口とピトゥカにコンビを組ませたのも、今年の鹿島の攻撃的な姿勢の表れかもしれない。
そのほかの途中出場は仲間、エヴェラウド、染野、和泉、広瀬の計6人。関川が脳震とうの影響による交替ということで、去年からの新ルールにのっとり6人の交替が可能だったらしい。要するにベンチ入りしたフィールド・プレーヤーは全員出番があったわけだ。まぁ、三竿以外の選手が出てきたのは82分過ぎだったから、もう少し早く動いてもよかったと思うけれど。
なんにしろ、4-4-2の布陣といい、登録選手全員に出場機会を与えた采配といい、そしてなにより結果といい、岩政監督代行の初陣は文句なしの出来だった。試合後のインタビューでの「これでやっと寝られます」ってのもよかった。
対するガンバは宇佐美や倉田が高い位置でボールを持ったときには危ない場面もあったけれど、そういう機会はそれほどなく。途中から数的に不利になったこともあって、不完全燃焼な試合だったのではと思う。今年から指揮を取るのが片野坂監督だというので、大分にはけっこう苦戦した印象があるから嫌だなぁと思っていたのだけれど、この日に関しては単なる杞憂に終わってなによりだった。
ということで不安たっぷりで迎えた新シーズンの開幕戦だったけれど、結果はこれ以上ないくらいの快勝に終わった。開幕戦で3得点以上して勝ったのは鹿島だけなので、なんと今年はいきなりの首位スタートだっ! そして綺世が得点ランキングトップ! なんとも上出来すぎる。
考えてみれば、今年は土居聖真が自らキャプテンマークをつけることを願い出たというし、荒木もエースナンバーの背番号10を託され、鈴木優磨は鹿島を優勝させるために戻ってきたと豪語して小笠原の背番号40を引き継ぎ、綺世はつい先日結婚を発表している。彼ら主力選手たちがそれぞれに強い決意をもってこの新シーズンに臨んでいるのは間違いないところだろう。だとしたら――。
もしかしたら今年は特別な一年になるのかも?――そう思わせてくれる素晴らしい開幕戦だった。
あまりの出来につい長くなってしまった。
次節の対戦相手は王者・川崎。この日のようなサッカーを王者相手にも見せられるか要注目だ。
(Feb. 20, 2022)
鹿島アントラーズ0-2川崎フロンターレ
J1・第2節/2022年2月26日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN
あぁ、やはり今回も川崎には勝てなかった……。
なんでもリーグ戦で最後に鹿島が川崎に勝ったのは2015年まで遡るそうだ。優勝した2016年もリーグ戦では勝っていないようだし、つまり過去6シーズン負けっぱなし。相性が悪いにもほどがある。もしや鬼木が監督やっているあいだは、このまま一度も勝てずに終わるんでは……という気がしてきた。
今回の川崎は水曜日に、ACLの都合で前倒しになった第9節の試合でマリノスと戦って、2-4で今季初黒星を喫している。昨年は2敗しかしなかった川崎が、よもや2試合目にして負けようとは!
対する鹿島は同じ日に予定されていたルヴァン杯の大分戦が、対戦相手に新型コロナ陽性者が出た都合で延期。前節から中一週間あいて、万全の体制で臨める。でもってスタメンは快勝した開幕戦とまったく同じメンツとくる。
――これはもしや勝ち目があるのでは!?
――という希望的観測は開始2分で脆くも崩れ去る。
最終ラインで樋口からのバックパスを受けた関川が、樋口に戻そうとしたリターンパスを知念にかっさらわれて、いきなり失点を許してしまう。あぁ、なにそれ……。
さらには前半17分にセットプレーから、佐々木旭というSB(これがJ初先発だそうだ)に見事なボレーシュートを決められて、あっという間に勝負あり。前半の内容を観るかぎり、とてもじゃないけれど2点差を跳ね返せる気がしなかった。エースのレアンドロ・ダミアンを温存した相手に序盤だけで2失点って……。
追加点の場面では、佐々木のボレーシュートが技ありだったのは確かだけれど、リプレイで観たら、その前のひとつ前のプレーで、CKを山村――車屋まで怪我したそうで、この日の川崎の最終ラインは谷口と山村のコンビだった――と競りあったキム・ミンテが競り負けてファーにボールを流されている。あそこで先に触っていれば……。
1点目の関川のミスも、樋口が逆サイドへパスするように指示を出していたにもかかわらず、それに従わずに樋口に戻そうとしたボールをカットされているし――まぁ、落ち着いて決めた知念も偉かったけど――要するに前半早々の2失点はどちらもCBの判断ミスと力不足が原因だったわけだ。
今年の不安要素のひとつだったCBコンビが開幕早々やらかした結果だ。そういう意味では、まぁ仕方ないかなと思う。ないものねだりしても埒があかない。今年は彼らにがんばってもらわないことには勝負にならない。この悔しさをばねに成長してくれるよう願ってやまない。
いやしかし、この試合の前半は本当に駄目だった。守れないし、攻められない。いいところひとつもなし。川崎相手に手も足も出ない。攻めてはシュートわずか1本――それもセットプレーから――だし、守っていてもよくぞ2失点で済んだなという内容だった。実力差ありすぎ。この王者相手に勝てるかもとか思っていた自分がばかだった。
そのまま後半も同じような展開だったら、もう目もあてられないところだったけれど、さいわい後半はそこそこちゃんと戦えたのがせめてもの救い。
最悪の前半を踏まえて、岩政は後半からふたりの選手を入れ替えてきた。
関川をさげて、最終ラインに三竿を入れ、そしてキャプテン土居も前半だけで見限り、新加入の中村亮太朗を入れててきた。中村はボランチとしてアンカーのポジションに入り、ピトゥカと樋口が少し前目のポジションを取る。
このポジション・チェンジが効いた。前半とは打って変わって、中盤から前の選手がボールに触れるようになった。まぁ、2点をリードした川崎が無理して攻めてこなかったからってのもあるんだろうけれど、それでも前半とは雲泥の差だった。
最終的なシュート数は9本で、結局一桁台にとどまってはいるけれど、川崎のシュートが12本だから、そう大きく違わない。それどころか前半わずか1本だったわけだから、後半だけで単純に8倍だ。なんでこのサッカーが前半のうちにできなかったかなぁと思ってしまった。
後半から出てきたふたりはとてもよかった。中村はきちんと中盤の底で相手のボールの出どころをつぶしていたし、三竿も最終ラインにしっかり蓋をして、的確にボールをフィードしていた。樋口がいいからって、このふたりにベンチを温めさせるのはもったいないのでは思わせる存在感だった。関川やキム・ミンテが今日みたいな出来だと、この先も三竿のCB起用はオプション以上の意味を持つようになりそうな気がする。
そのふたり以外の途中出場は広瀬、エヴェラウド、染野の計5人。最後は優磨、エヴェラウド、染野のFW3枚がピッチに立つという、去年はないような布陣になっていた。
結局最後まで得点は奪えなかったけれど、そういう風にFWを積極的に起用して点を奪おうとした姿勢やよし。前半は完敗だったけれど、後半にきちんと修正して、最後まで希望を持たせる戦い方をしてみせたところが好印象だった。岩政、相馬よりいいかもしれない。
さいわいレオ・シルバと永木が抜けた穴は樋口、中村のふたりでちゃんと埋まることがわかったし(そういや名古はどうしたんだろう)、もともと攻撃陣には不足なし。あとはCBがちゃんと仕事をしてくれれば、今年もそこそこの成績は残せるだろう。
後半戦での川崎への雪辱を心から期待している。
(Feb. 27, 2022)