2017年12月のサッカー
Index
- 12/02 △ 磐田0-0鹿島 (J1・第34節)
- 12/09 ○ 日本1-0北朝鮮 (E-1サッカー選手権)
- 12/12 ○ 日本2-1中国 (E-1サッカー選手権)
- 12/16 ● 日本1-4韓国 (E-1サッカー選手権)
ジュビロ磐田0-0鹿島アントラーズ
J1・第34節/2017年12月2日(土)/ヤマハスタジアム/NHK総合
あぁ、やはり恐れていた事態に……。アントラーズ、ジュビロ磐田とスコアレス・ドローに終わり、J1優勝を逃すの巻。
鹿島のこの日のスタメンは前節と一緒。ただ、計算外だったのは前半10分ちょいに西が接触プレーで足を痛めて途中交替を余儀なくされてしまったこと。
単にこの試合の先行きに不安を感じさせたというに留まらず、東アジア選手権に向けての日本代表に鹿島の4バックが全員そろって選出されるという快挙の直後だっただけに、ここでの西の負傷退場は二重の意味で痛かった。どれくらいの怪我かわからないけれど、変な角度で膝をねじっていたので、おそらく代表も辞退せざるを得ないんじゃないだろうか。あぁ、そうなったら本当に残念……。
試合自体も前半からこりゃちょっとまずいんじゃないかという流れだった。川崎がキックオフからわずか1分で先制したという速報が入る一方、こっちはジュビロの堅い守備に阻まれて、いっこうに得点を奪えそうな気配がなかったから。
ひさしぶりに観るジュビロだったけれど、なるほど今年の好成績はこういうことかと納得。さすがにリーグ最少失点だという守備力はだてじゃない。どこもかしこも枚数かけてきっちりと守ってくる。
でもって、今年はそこに俊輔がいる。これだけ守備がしっかりしているチームに、俊輔みたいな素晴らしいプレースキッカーがいたら、そりゃ手堅く勝ち点稼げるよなぁと思った。ほんともう前半だけでどれだけCKやFKを与えたことか。俊輔がいるのにまずいだろーってそのたびに思った(まぁ、幸い一本も決まらなかったけれど)。攻撃面ではセットプレーのみならず、アダイウトンとか、
でもまぁ、失点数の少なさではリーグ1位と2位の対戦だ(鹿島が2位)。こちらも守備は堅いので、そう簡単にはやられはしない。なんとかしのいで迎えた前半の終わりごろ。ようやく得たCKで、遠藤のキックから植田がヘディングをどんぴしゃで決めて、やった先制!――と思ったらば、だ。これがファールの判定を受けて取り消されてしまう。
昌子がレフェリーの村上氏に確認したら「植田か昌子のファール」と言われたというけどさ。なにそれ? どっちがやったかわからない時点で、すでにファールじゃないんじゃないの? 疑わしきは罰せずって言葉を知らないのか。
あとでリプレーをコマ送りで見なおしてみたけれど、やはり僕にはあのプレーがファールだとは思えなかった。裏をとられて体勢を崩した磐田の選手が昌子に背中からのしかかったようにしか見えない。なぜあれがファール? 文句なしに素晴らしいプレーじゃないのさ。まったくなんてポンコツな判定してくれるだよ、ムラカミ……。
でもまぁ、あのシーン以外にも得点のチャンスはあった。前半はともかく、後半はけっこう押し込んで、あと一歩というシーンは作れていた。とくに伊東からのクロスで2回はフリーのチャンスを作った。でも決められない。夢生がヒットしそこない、修斗がヘディングをふかす。伊東やレアンドロがゴール前までフリーで駆け上がるシーンもあったのに、シュートを打てずに終わったり……。
そう、数こそ少ないけれどチャンスはあった。でも決めて当然っていう、ああいうチャンスをきちんとものにできなかったら、やはり勝利の女神は微笑まない。そういう意味では最終節に5-0と大勝したことが川崎に幸運を呼び込んだのかなぁって気がする。
まぁ、とにかく2試合連続で無得点ではねぇ……。とはいっても、その2試合の相手がリーグでもっとも失点の少ない磐田と4番目に少ない柏っだってんだからまいる。
ちなみに前述のとおり失点の少なさでは2位が鹿島、そして3位が川崎ですからね。要するに鹿島は最後の最後に、今季のJ1でもっとも守備力の高い2チームと対戦する羽目になってしまったわけだ。終盤戦の川崎の異常な勝負強さ──なんたって最後の15試合はひとつも負けていないそうだ──とあわせて、そういう巡り合わせになったことが、川崎の奇跡的な逆転優勝を可能にしたわけだ。うーん、まさにミラクル。もうぐうの音も出ません。
対戦成績を見ると、鹿島の23勝8敗3分に対して、川崎は21勝4敗9分と、白星は鹿島のほうが2つ多い。ただし負けは4つも多い。この差が最後の最後に響いた。今年は引き分けが少ないなぁとは思っていたんだよなぁ。8敗のうち1点差ゲームは5つ。そのうちのひとつでいいからドローにできていたら……。てか、なにもこんなにドローの少ない1年の最後を2試合つづけてドローで終わらなくたっていいじゃん……。
って、そういや味スタで観たFC東京戦もドローだったから、つまり僕は今季の鹿島のドロー・ゲームをすべて観ているわけだ。大岩監督になってから僕個人が観た試合は結局勝率5割ジャストだしなぁ……。それじゃ優勝できなくて当然。もしかしたら俺が観ていなかったら、アントラーズは優勝していたのかも……とか思いたくなる。
まぁ、なんにしろ川崎フロンターレはお見事でした。今年の鹿島は川崎相手に2連敗している。せめて片方でドローに終わっていれば、勝ち点で並ばれることはなく、こんな逆転優勝を食らう羽目にはならなかったわけで。得失点差にしても川崎の38に対して、鹿島は22、その差は実に16。要するにリーグ戦のほぼ半分の試合で、川崎は鹿島より1点多くとっている計算になる。いやはや、どっちがチャンピオンにふさわしいかっていったら、そりゃ川崎じゃんって気がしてきました……。
この日の試合で小林悠がハットトリックを達成して、得点王ランキングでも大逆転で得点王に輝いているし、なんか川崎にとっては終わりよければすべてよしな最終節だった。憲剛の号泣にはさすがにほろりとさせられた。
降格レースでは清水エスパルスが増田誓志(お~!)の決勝ゴールで勝って残留を決めた。ということで、降格チームは新潟、大宮、甲府に決定。
天皇杯も敗退が決まっているので、今年のアントラーズの試合を観るのもこれが最後だ。あぁ、最後に勝っておいしい酒が飲みたかった……。
(Dec 03, 2017)
日本1-0北朝鮮
EAFF E-1サッカー選手権/2017年12月9日(土)/味の素スタジアム/フジテレビ
韓国、中国、北朝鮮と東アジア最強を賭けて戦うE-1サッカー選手権(旧・東アジア杯)の緒戦である北朝鮮戦。
国際Aマッチデーではないから海外組が招集できず、Jリーグ勢のみでの参加となるのが特徴のこの大会。ハリルホジッチが選んだこの日のスタメンは、GK中村航輔、DF室屋、昌子、谷口彰悟、車屋、MF井手口、今野、高萩、FW小林悠、倉田、金崎という11人だった。途中出場は伊東純也、川又堅碁、阿部浩之の3人。
室屋、伊東、阿部はこの試合がA代表デビュー。そしてなんとキャプテンマークを託されたのは昌子だった。
試合はどうだったかについては、宴会をしながら観ていたので細かいことは語れないのだけれど、印象としてはまったく褒められた出来ではなかったと思う。中村航輔のファイン・セーブに助けられてなんとか無失点で終えたけれど、いつ失点してもおかしくないだろうって展開がつづいた。攻めもまったく形になっていなかった。海外組がいないとはいえ、ここまで不出来な代表ってのも珍しい。
唯一の救いは勝ったことだけ。とはいえ、決勝点も後半ロスタイムの最後の最後だったし、もしレフェリーがきっちりとした性格で、公示した時間通りにきちんと試合終了の笛を吹いていたらドローで終わっていたんじゃないかって試合だった。
決勝ゴールは井手口のミドル。でもまぁ、それはそれは見事なシュートでした。
あと、中村航輔はほんとうによかった。きょうの出来ならばW杯出場も狙えるんじゃないだろうか。今年はJ1のベスト・イレブンにも選ばれたし、本当に充実した1年の締めにふさわしい活躍だった。
皮肉なことに、その中村と五輪代表で正GKの座を争った櫛引が清水から契約解除されたというニュースが同じ日に伝わってきた。櫛引はレンタル先のJ2岡山でもサブに甘んじてしまったようだし、まさかわずか2年足らずのあいだに両者の差がここまで開いてしまうなんて思わなかった。あぁ、サッカーって時に残酷だ……。
(Dec 10, 2017)
日本2-1中国
EAFF E-1サッカー選手権/2017年12月12日(火)/味の素スタジアム/フジテレビ
E-1選手権の二試合目。対戦相手はなんと名将リッピが監督をつとめる中国。
日本代表のスタメンを観て盛りあがったのはひさびさだった。なんたって鹿島の選手が4人も名を連ねていたもんだから。
スタメンはGK東口、DF植田、三浦弦太、昌子、山本脩斗、MF今野、大島、土居、FW伊東純也、倉田、小林悠というメンバー。ハリルホジッチ、なんと前の試合と7人を入れ替えてきた。
植田がようやく代表デビュー(でもポジションは右SB)。さらには修斗、聖真も初代表にして初スタメン。あと、三浦弦太もこれが初出場だとのこと(まだ出てなかったのか)。そして昌子がこの日もキャプテンマークをつけていた。
鹿島の4人が楽しみだったのは当然として、その他のメンツも対戦相手としてインパクトのあった選手ばかり。これは期待していいんじゃないかと思った。
でもって、少なくても前半の途中までは実際によかったんだ。そう、大島が負傷退場するまでは。
大島……。なんで怪我しちゃうかな。それも接触プレーとかではなく自滅。ここまで怪我が多いと、代表監督としても使いにくかろう。大事な試合でこんな風に前半から交替カードを切らされたらたまったもんじゃない。おそらくこの日がハリル・ジャパンで大島を観る最後になってしまうんじゃないだろうか……。残念。
同じW杯を目指す仲間のそんな無念な思いがまわりの選手にも自然と伝わったんだと思う。大島が退場してからのしばらくは、なんだか集中力を欠いたような感じのプレーがつづいてしまった。その後はいくらか持ち直したものの、前半は結局そのままスコアレスで終了。
でもまぁ、前後半つうじて、やっているサッカーは悪くなかった。鹿島の選手が多いための贔屓目かもしれないけれど、パスまわしが前の試合よりも格段にスムーズに感じられた。ミスもそれなりに多かったけど、それでも少なくても僕は楽しく観ていられた。
でもってようやく試合が動いたのは残り10分を切ったあと。途中出場の川又がゴール前で泥臭くつないだボールを小林悠が一度はGKに止められながら、角度のないところから再びシュートして先制~。さらには昌子がオガサ直伝かというまさかのロング・シュートで2点目! 後半ロスタイムにPKを与えてしまったのは余計だったけれど、でもまぁ勝ったので結果オーライだ。
しかし、昌子はともかく、小林悠もこれが代表初ゴールだと聞いてびっくり。いままで決めてなかったのか……。この大会で決めてなかったら、W杯はきびしかったかも。とりあえず首の皮一枚つなげた感じでよかった。J得点王にはちゃんとW杯へ行って欲しい。
鹿島の選手はそれぞれ持ち味を出していたと思う。2試合連続キャプテンマークでフル出場+びっくりゴールのおまけつきの昌子はおそらく本大会確定だろうし、植田も慣れない右SBで思わぬ攻撃のセンスのよさを見せてくれた。土居も得点にこそ絡めなかったけれど、攻撃のアクセントにはなっていた。あと、修斗もよかったとは思うんだけれど、彼の場合、左サイドの突破を許すシーンがいくつかあったのと、最後のPKが痛すぎた。
でもまぁ、現時点で最終選考当確なのは4人のうち昌子だけかなぁという感じ。
アントラーズの選手以外で好印象だったのは伊東純也。彼の攻撃センスは素晴らしい。あと、川又もよかった(途中出場は井手口、川又、阿部浩之の3人)。先制点に貢献した場面のみならず、身体の強さを生かした無骨なポスト・プレーでもけっこう存在感を発揮していたので、大迫のバックアップとしてリストに入ってくるかもしれない。
それはそうと、今回の大会、めちゃくちゃ入場者数が少なくて、味スタは半分くらいしか埋まっていなかった。海外組がいないからって、代表戦でこんなに人が入らないなんてびっくりだ。時代が変わったなぁ……。
(Dec 12, 2017)
日本1-4韓国
EAFF E-1サッカー選手権/2017年12月16日(土)/味の素スタジアム/フジテレビ
悲惨な結果に終わったE-1選手権の最終戦。ライバル韓国を相手にここまで出来のわるい試合を見せられるとは思わなかった。
この日のスタメンはひとつ前の中国戦から3人を入れ替えたのみ。GKを中村航輔に替え、左SBには車屋、故障で離脱した大島のところに井手口が入った。
まぁ、現状でもっともレギュラーに近いのが井手口だろうから、そういう意味では大島のいるいないにかかわらず、これが今大会のベストの布陣といっていいと思う。
でも、そんな最善のスタメンでのぞんだはずのこの試合で日本は惨敗を喫してしまう。よかったのは開始早々に伊東純也がPKをもらい、これを小林悠が決めて先制したところまで。その後わずか10分で同点ゴールを決められ、そこから前半だけで3失点。後半にはオウン・ゴールで追加点を許し、終わってみれば1-4という、僕がサッカーを観始めて以来、最悪のスコアの日韓戦になってしまった。
同点ゴールの場面では右サイドのチェックが甘く、相手のエースFWキム・シンウク(JFAの公式記録ではキム・シヌク、なんと身長196センチ)への昌子のマークもずれていた。2点目の直接FKは相手がみごとだったけれど(決めたのは元神戸のチョン・ウヨン)、でもその前にマイ・ボールをコントロール・ミスしてイエローをもらった車屋のプレーがいただけなかった。3点目も右サイドを駆けあがったキム・シンウクがまったくのノーマーク。そこにスルーパスを通され万事休す。
4点目の小林悠のOGは触らなきゃ中村航輔の真正面だったので、ちょっと不運だったけれど、それ以外は完璧にディフェンス陣のミス。とくに右サイドには問題があった気がする。井手口にはいつもの運動量がなかったし、急増SBの植田のポジショニングも悪かったのかもしれない。昌子は先制点の場面でも、2点目のFKの壁の場面でも頭の上を越されてしまい、高さ不足という弱点を露呈してしまった。
昌子は三試合連続でキャプテンマークを託されていたし、この日はスタメンの鹿島の3人がフル出場だったのに加え、途中から三竿健斗も初出場を果たしている(ぜんぜんお祝いする気分になれないけど)。つまりこの日の代表は鹿島中心のチームだったといえる。そういう試合でこの惨敗は痛恨のひとことだった。
日本への対抗意識をむき出しにしてくる国ばかりとの対戦のせいか、これまでもあまりいい成績は残せていないこの大会だけれど(僕の記録にある範囲だと過去に一度しか優勝できていないっぽい)、それだけに今回は引き分けでも優勝という機会を惨敗で逃したのは本当に痛かった。
とはいえこの試合、攻められるべきは選手ではなくハリルホジッチだと僕は思う。試合後のインタビューで「戦う前から韓国のほうが強いとわかっていた」なんていっちゃう代表監督を僕は認めない。FIFAランキングが下の国を「格上」呼ばわりする人にはもうこれ以上指揮を取って欲しくない。
まぁ、デュエルを連発して速攻を信奉するハリル氏からすれば、身体能力を生かしたサッカーをする韓国や中国のほうが日本より確実に実力は上に思えるのかもしれない。でもだとしたら、そういうものの見方しかできない人に、日本みたいな国の指揮を任したのが間違いだ。いまはもうそうとしか思えない。
御大は国内組だけの今回の代表をA代表とは呼べないというような失礼なことをいっていたようだけれど、そんなのは韓国だって同じなわけでしょう? 過去の記録を見たって、日本と韓国の実力は拮抗している。それが同じ条件で戦って、しかもこちらにはホーム・アドバンテージがあるというのに、これだけの惨敗を喫するというのは、それはもう完璧に監督の責任だろう。
これが初めての大会ならばともかく、ハリルホジッチは2年前にもこの大会を戦っている。そしてそのときには1勝もできずに終わっている。今回は2勝したけど、結局優勝は逃している。つまりこの人は2大会連続で同じ失敗をおかしたことになる。W杯最終予選で2敗を喫したことだってひさしくなかったし、少なくてもこと公式戦に関しては、ハリルホジッチが代表監督として残した成績は98年以降では最低なんじゃないだろうか。その責任を問われないとしたら、そのほうがおかしい。
あと、この試合でムカついたのが、選手よりもむしろまわりの人々。テレビ解説のラモスと山口素弘はネガティブなことばかりいうし(小野伸二もいたけれど、ほとんど印象がない)、日本サッカー協会の田島会長もハリルホジッチの無策を棚に上げて、選手ばかり責めているみたいだし。
ラモスは自分らのときにはW杯に出場できていないのだし、指導者になったいまでも同世代は誰ひとり代表監督を務められるだけの実績を残せていないのに、あたり前のようにW杯に出場している立派な後輩たちに対して、よくひどいこといえるよなぁと思う。そんな風だから監督として成功できないんじゃないかという気がしてしまう。田島さんにはこんな試合をする監督を呼んできたのは協会じゃんっていいたい。
誰だって負けたくて負けるわけじゃないだろう。ミスだってしようと思ってしているわけじゃない。でもミスってしまう、負けてしまうのがサッカーだ。だからイタリアだってオランダだって予選敗退したのだろうし、アルゼンチンだって予選で大苦戦したわけでしょう。
ワールドクラスの選手がいる強豪国だって、チームとしてのまとまりがなければ苦戦する。反対に有名な選手がひとりもいないギリシャがヨーロッパを制してしまうことだってある。それがサッカーだ。選手の責任ばかりを問うハリルホジッチやラモスや田島会長が、ほんとうにサッカーをわかっているのか、疑問を感じずにはいられない。
あぁ、それにしてもサッカーの感想を書くのも今年はおそらくこれが最後だ。一年の終わりにこんな残念な試合を見せられようとは……。アントラーズは優勝をのがしちゃうし、今年の師走は踏んだり蹴ったりだった。
(Dec 17, 2017)