2017年6月のサッカー
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日本1-1シリア
親善試合/2017年6月7日(水)/東京スタジアム/日本テレビ
なんだかとてもひさしぶりの代表戦。今年に入って初の親善試合で、W杯最終予選を含めて今年はこれがまだ3試合目。ほんと最近は代表の試合が少ない。
今年は97年にジョホールバルでW杯初出場を決めてから20周年ということで、この試合の日本代表は青い炎をあしらったあの当時のレプリカ・ユニフォームを着用していた。スポンサーつきの親善試合ならではの企画だ。
スタメンはGK川島、DF酒井宏、吉田麻也、昌子源(!)、長友、MF山口蛍、今野、香川、FW久保裕也、原口、大迫という構成。快勝した3月のUAE戦のメンバーから森重をはずして昌子を入れた形。途中出場は倉田、本田、井手口、乾、浅野、岡崎の6人。
われらが昌子が代表初スタメン!――というのがアントラーズ・ファンの僕にとってはいちばんのトピックスだったけれど(昌子があの懐かしい青い炎のユニフォームを着て代表でプレーしているのを見るのは、なんとなく不思議な気分だった)、残念ながらその昌子くん、出来はいまいち。失点に思い切りからんでしまったし、細かなミスが多かった。
でもまぁ、途中からは落ち着いてプレーできていたと思うし、今回はなぜだか森重が呼ばれていないので(J1でのFC東京が上位争いをしているのを考えると、あのクラブからの選出ゼロってあり得ないと思う)、次のイラクとのW杯最終予選で、この試合でフル出場した昌子をはずして、そのほかの選手を使うとも考えにくい。次の試合で出場できたなら、この日の失敗を糧にいい仕事をしてくれると信じているぜぃ、昌子。
まぁ、この試合、その昌子にかぎらず、前半の出来はよくなかった。開始わずか10分で香川が肩を脱臼して途中交替を余儀なくされてしまった不運はあったけれど(交替は倉田)、それにしてもなぁって残念な出来だった。攻撃の形は作れないわ、シリアには再三攻め込まれるわ。
大迫はポスト・プレーでそこそこ存在感を発揮していたし、最近の試合でポイント・ゲッターとなっている久保、原口が惜しいシュートを打つ場面もあったけれど(さすがに彼らはシュートが上手い)、でも攻撃が単発で連係が足りない感じだった。
状況が好転したのは、後半に入って、本田、井手口、乾らが出てきてから。
今季はミランで不遇な最終シーズンを送った本田だけれど、なんのなんの、さすがの存在感を発揮していた。彼がボールを持つと試合が落ちつく。キープ力はあいかわらずだし、視野も広い。なんだ、まだまだ主力でいけるじゃないかと思った。
バルセロナからの2ゴールを決めて注目を浴びた乾も持ち前の技術力の高さを見せて、その非凡さをアピールした。とくに本田からのロング・パスを足元にぴしっと止めたトラップには笑った。パスが出た瞬間に、あー、乾ならこれ綺麗にトラップするんだろうなぁと思っていたら、ホントにぴしッと足元に吸いつくような美技を見せるものだから。すげー、乾。期待通りのプレーに痺れた。
今野は故障から復帰したばかりで、J1でも直前の試合で途中出場で30分しかプレーしていないからスタメン起用はどうかと思ったのだけれど──それでも使われるんだから、よほど前回のプレーが気に入られたに違いない──、その今野が貴重な同点ゴールを決めるんだから、ハリル御大の采配はあいかわらず
ということで、前半の出来と、ホームでシリアとドローという結果には不満だけれど、後半は内容的に持ち直したので、まぁ、ある程度納得したかなという試合。
ハリルホジッチ先生、次の試合は本田と乾を先発でお願いします。
(Jun 10, 2017)
イラク1-1日本
ワールドカップ最終予選/2017年6月13日(火)/PASスタジアム(イラン)/テレビ朝日
この試合は37度を超える気温がすべてだと思う。誰だっていやでしょう、そんな環境でサッカーするの。なんで中立国で開催されるイラクの試合を、わざわざそんな暑い国でやるんだか……。
まぁ、結果ドローに終わったのだから、イラクにして見れば大正解なのかもしれないけれど。正直、日本代表の出来が悪くて観ていておもしろい試合ではなかったし、とはいえ選手たちを悪くいうには、あまりにイランは暑すぎた。お気の毒、代表のみなさん。
この日のスタメンは、GK川島、DF酒井宏、吉田、昌子、長友、MF遠藤航、井手口、本田、FW原口、久保、大迫というメンツ。
故障者続出で、山口蛍まで使えなかったらしく、ダブル・ボランチには遠藤、井手口という若手二人を抜擢。井手口はこれがA代表初スタメンだ──というか、じつは前の試合がA代表デビューだったんだな、井手口。なんかずいぶん前からおなじみだから、とっくにA代表に定着している気になっていた。
あとは僕の期待通りに本田がスタメンだったのがシリア戦との違い(乾がいなくて残念)。でも本田はトップ下ではなく、右サイドでの起用だった。で、原口がトップ下。なぜ本田と原口のポジションが逆じゃないのかは大いに疑問。
ま、なんにしろ守備力には定評のある若いボランチ二枚でしっかり守って、あとは前のふんばりに期待して、終盤には乾や浅野ら、スピードのある選手を投入して勝負をつけようって作戦だったんだろう。
でもって、前半8分に本田のCKから大迫がヘディングを決めて先制したところまでは上出来だったのだけれど、それで気が緩んだか、はたまた暑さに負けたか、そこからは低調な内容のサッカーがつづく。
さらに後半に入ると井手口が接触プレーで頭を打って脳震盪を起したり、酒井宏樹が足を痛めたりして、ともに途中退場してしまう。交替で入ったのは今野と高徳だから戦力的には見劣りしないものの、でも攻撃的なカードを切って勝ちにゆくプランはこれらの交替でおじゃん。
さらには後半の途中からは久保も足を痛めて満足にプレーができなくなってしまう。結果論だけれど、ハリル采配としては、そのちょっと前に原口を交替させてしまったのが痛恨だった(順番的には原口の交替は井手口と酒井宏のあいだで、かわりに出てきたのは倉田)。
痛恨といえば、失点もひどい形だった。吉田麻也がゴール前に入ってきたボールを川島にキャッチさせようとブロックしたはいいけれど、そこへイラクの選手がつめてきて川島のファンブルを誘い、こぼれ球を別の選手に決められてしまった。完璧にこちらのミス。麻也がキープしようとなんかせずに、セーフティー・ファーストで蹴り出していれば防げた失点だったのに。あぁ、なにやってんだかなぁ……。
この試合で麻也の相棒を務めたのはやはり昌子だった。シリア戦よりも持ち味は出せていたと思うんだけれど、失点の場面で相手のドリブル突破を止めようとして、滑って転んでしまったのがマイナス。リプレイで見たらあわやPKかってプレーだったし、大事なところでミスが出るようではまだまだかなぁと。この2試合で代表に定着できたかというといまいち心許ない。
ということで、酷暑のなかでの不出来な試合は1-1のドローで終わった。日本はグループ首位をキープしたものの、あとにつづくサウジと豪州との勝ち点差はわずか1。でもって残り2試合はその両国との直接対決ときた。どちらかに勝てばW杯出場が決まるけれど、勝ち切れないと3位転落の可能性も……。
ということで、このつづきはふた月半のおあずけ。8月末からの2連戦でもって最終予選もついに決着──って、もしかして来年のこの時期はもうロシアW杯なのか。ほんと月日の流れの速いこと……。
(Jun 14, 2017)