2017年5月のサッカー
Index
- 05/04 ○ 浦和0-1鹿島 (J1・第10節)
- 05/10 ○ 鹿島2-1ムアントン (AFCチャンピオンズリーグ)
- 05/23 ● 広州恒大1-0鹿島 (AFCチャンピオンズリーグ)
- 05/30 ○ 鹿島2-1広州恒大 (AFCチャンピオンズリーグ)
浦和レッズ0-1鹿島アントラーズ
J1・第10節/2017年5月4日(水)/ 埼玉スタジアム2002/NHK総合
今年のゴールデンウィークのJリーグは、DAZNでの配信でなるべく多くの試合を観てもらおうという商魂からか、5連休にばらばらと五月雨式に試合が行われる変則日程だった。3日にはルヴァン杯が行われ、その翌日にこの試合がひとつだけあって、翌日から連休最終日の7日までかけて、ばかばらと残りの試合が行われるという趣向。なるほど、観る気になれば毎日Jリーグが観られて、それはそれでちょっと楽しいかもしれない(ま、僕はこの試合しか観てないけど)。
なんにしろ、そんなJリーグのGW興行の皮切りとして行われたレッズとの一戦。首位奪取をかけた序盤戦の大一番。
この日のアントラーズのスタメンは、クォン、伊東、植田、昌子、西、小笠原、レオ・シルバ、遠藤、土居、金崎、ペドロ・ジュニオールの11人。つまり前節と一緒……かと思ったら、ちょっと違った。山本脩斗が体調不良だかなんだかで、かわりに西が左SBに入った(三竿兄、ベンチ入りしたのに出れなくて気の毒)。
でも、怪我の功名というか、西が慣れないサイドで守備重視でプレーしたおかげで、関根を封じられたのが勝因のひとつという気がしないでもない。調子に乗せると嫌らしい関根がこの日はほとんど目立ってなかったので。
ま、西にかぎらず、この日は全員よく守れてました。二、三危ないシーンはあったけれど、全体としてはとても安定していた。とくに昌子は頼もしいったらなし。レオ・シルバはいうまでもなし。後半途中からは遠藤を永木に替えて、さらに左サイドの守備力をアップ。それからペドロ→優磨の交替をはさみ、残り10分でオガサを三竿弟に替えて、そのまま無事に逃げ切った。
攻めては金崎が打ったシュートが相手DFにあたってコースが変わったラッキー・ゴールの1点だけだったけれど、それにしたって積極的にシュートを打っていったからこその得点だから、恥じることなし。
レッズは柏木、遠藤航の主力ふたりが欠場していたのがポイント。まぁ、守備では遠藤のかわりに那須がいいプレーをしていたけれど、やはり柏木の穴は埋まらない感があった。彼がいなかったのは鹿島にとってラッキーだったけれど、まぁ、これまた運も実力のうち。
その点、浦和はやはり勝ち運がない気がする。それもこれも今年最初の顔あわせだったゼロックス杯で、主力を温存して負けたペドロヴィッチが自ら招いた不運のように僕には思える。どんな試合であれ、ちゃんと全力で戦って勝つ姿勢をみせないから、勝利の女神に見放されちゃうんじゃないだろうか。
不運といえば、この試合の残り10分くらいの時間帯にちょっとした中断騒ぎがあった。試合を観ているときにはなぜ小笠原があそこまで興奮しているのかわからなかったけれど、なんでも途中からしゃしゃり出てきた森脇がレオ・シルバに対して暴言を吐いたことでオガサが切れてしまったらしい。森脇は過去にもダヴィやカイオに対して同じような挑発行為を繰り返してきたとかで、小笠原がもう我慢の限界だと、試合後にマスコミを通して森脇を名指しで批判したことで話がおおごとになった。
小笠原はべつに処罰を求めたわけではなく、再発防止を願っての問題提起だと思うのだけれど、これに対して森脇が言い訳じみた反論をしたことで、話がさらに大きくなってしまった感あり(YouTubeでそのときの映像を何度も確認したけれど、森脇の言っていることはつじつまが合わなさすぎる)。試合自体はとてもいい内容だったので、最後にそういうことでケチがついてしまったのが残念だ。
レッズは負けている試合でわざわざ試合の中断が長引くような騒動をひき起こす選手がいるから、なおさら勝ち運が逃げちゃうんじゃなかろうか。騒動のなかで敵味方を問わずなだめ役にまわっていた那須や西川のような人たちにはほんと気の毒だ。
なにはともあれ、翌日の試合で2位ガンバがドローに終わったため、これでアントラーズが単独首位ということに。このまま最後までいけるとは思えないけれど、とりあえず首位はめでたい。
(May 06, 2017)
鹿島アントラーズ2-1ムアントンFC
AFCチャンピオンズリーグ/2017年5月10日(水)/カシマサッカースタジアム/日テレNEWS24@スカパー!
ACLのグループリーグ最終戦。
どちらも決勝トーナメント進出が決まっているクラブどうしなので、それほど勝ち負けにこだわることもないかなと思っていたらなんと。鹿島がこの試合に勝てずに2位で終わると、次の対戦相手は前日F組を1位抜けした川崎フロンターレだとかいう。そりゃまずいだろ。Jリーグどうしでつぶしあっちゃいけない。
なので必勝が期待された一戦。で、結果は辛勝ながら無事1位抜け。次の相手は広州恒大に決まった。
この日のスタメンはクォン、西、植田、昌子、三竿雄斗、永木、レオ・シルバ、遠藤、土居、優磨、ペドロ・ジュニオール。
山本が離脱中ってことで、この日は三竿兄がスタメン。後半途中からは守備固めで健斗も出てきたので、(おそらく)三竿兄弟の公式戦初共演とあいなった。雄斗はいくつかいいクロスをあげていたし(守備はややあやしいけど)、健斗も終了間際に強烈なミドルを打って見せてくれた(あんなの打てるのか)。ふたりともいい出来でした。
対するムアントンはさすがにグループ首位に立っているだけあって、守備はいいわ、攻撃は鋭いわで、なんとも手ごわかった。ここまで失点はアントラーズ戦での1点のみとかいうんだから恐れ入る。
それでもこの日は前半なかばにカウンターから鈴木優磨が抜け出して、相手GKの股抜きの技ありころころゴールで鹿島が先制。
でもこのチーム、意外と攻撃力があるので、1点じゃ安心できない。さっさともう1点……と思っていたら、果たして次の1点を敵に奪われてしまう。しかも前半終了間際という、いただけない時間帯。
でもまぁ、あれは相手の10番ティーラシルのシュートがすごかった。あんなシュートを打てる選手がいるんだから、タイ代表もこの先あなどれなくなりそうだ。
ということで同点で始まった後半も一進一退。さっさと勝ち越して安心させてくれ~、と思っていたら、その希望をかなえてくれたのは、またもや優磨だった。
右サイドの遠藤のクロスからのヘディング一閃!――ってでもこれ、リプレイで見たら思いきりハンドだった。審判が見逃したのが不思議なくらい。これが決勝点ってのがちと申し訳ない。
勝ち越しゴールのあと、ゴール前であわやオウンゴールかってピンチがあって、昌子がクォンとの接触プレーで足を痛めるというアクシデントがあった。そうとう痛がっていたので、こりゃ重傷かと心配したのだけれど、さいわい数分でピッチに戻ってきた。その後は最後までプレーしていたので大事はないと思うけれど、試合終了後に顔をしかめていたので、ちょっと心配。昌子がいなくなったら今年の鹿島はたぶんおしまいだ。なんともないことを祈っている。
まぁ、なんにしろ、ずいぶんとミスの多い試合だったけれど、無事に勝ててよかった。MVPは文句なしに優磨。2ゴールのみならず、ポストプレーでも随所で存在感を発揮していたし、守備でも大いに貢献していた。これだけのプレーができる選手がふだんはベンチなんだから、もったいないなぁと思う。
ということで、ACLのグループリーグは本日で終了。Jリーグ勢は鹿島、浦和、川崎が1位抜け。ガンバは敗退してしまったけれど(しかも最下位)、それでもまぁ、今年はここまではけっこう順調だ。でも大事なのはここから。ラウンド16は再来週から二週連続でホーム&アウェイだそうだ。テレビ放送がどうなるのか気になる。
(May 10, 2017)
広州恒大1-0鹿島アントラーズ
AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16/2017年5月23日(火)/広州天河体育中心/日テレNEWS24@スカパー!
ACL決勝トーナメントの緒戦、アウェイでの広州恒大戦。
いざ試合を観るまで広州恒大のことなんてすっかり忘れていたけれど、告林とか鄭智とか、リカルド・グラルとか。おや、名前に聞き覚えがあるぞと思ったら、顔も知っていた(グラルは表記が違ったけど)。そうだった、二年前にグループリーグで一緒だったんでしたっけね。で、その年はアントラーズがグループリーグ敗退で、広州はアジア・チャンピオンになったと。あぁ、ちくしょう。
あの年はカンナバーロが監督だったけれど、今年はフェリペ・スコラーリ。どちらにしたって楽な相手じゃない。
それなのに、この大事なときにアントラーズは怪我人続出。リーグ戦でレオ・シルバが全治二ヵ月、遠藤が全治一ヵ月のけがで離脱。しばらく前から植田もなぜかいなくなっていて、その代役で出ていた19歳の町田浩樹までが全治六ヵ月の大けが。
でもCBにはまだブエノがいるよな、と思ったら、なんとこのACLではブエノは外国人枠が足りなくて選手登録していないとかいう。なんだそりゃ。リスク管理甘すぎだろー、石井。
ということで、CBが足りないこの試合、昌子の相棒はなんと三竿弟だった。のみならず、西まで脚の張りでもって欠場ときた。もう大変。
そんなわけで、この日のスタメンはGKクォン・スンテ、DF伊東、昌子、三竿健斗、山本脩斗、MF小笠原、永木、レアンドロ、土居、FW金崎、金森というメンツ。
DFラインが急増なんだから、その分、攻撃には力を入れてほしいところだったんだけれど、なぜかベドロ・ジュニオール、鈴木優磨がベンチで、金森、レアンドロがスタメン。実績からすればそうはならないと思うんだけれど、いまいち石井采配はよくわからない。
それでちゃんと攻撃が機能していればいいけれど、この日の鹿島は防戦一方だった。前半押し込まれるのはいまのチームではよくあるけれど、この試合では後半もあまり攻め込めなかった。でもって、後半30分にCKからパウリーニョ(よく聞く名前だけど知らない人)に決められて先制を許してしまう。
この場面ではニアにいた選手が三人もいたのに、そのあいだを抜けてきたボールをファーで伊東のマークをはずしたパウリーニョにフリーで決められてしまった。あそこはニアにいた誰かに止めてほしかったなぁ……。
まぁ、一瞬集中力を切らしたような選手のプレーも残念だったけれど、それよりも僕が不満を感じたのは、その時間になってなお選手交替のカードを切らなかった石井采配だった。後半開始早々に、前半に足を傷めた金森にかえてペドロ・ジュニオールを入れたあと、石井は残り時間が10分を切るまで次のカードを切らなかった。失点のしばらく前から選手の動きが鈍くなっていると感じていただけに、その状態を引っぱったあげくに失点を許してしまったのは痛恨の極みだと思う。
交替で出てきた梅鉢(お~!)にしろ、優磨にしろ、出番に飢えていてモチベーションは高いだろうに。さっさと出していれば、また違った結果になっていたんじゃないかって気がしてしてしかたない。負けるにしても、せめてアウェイ・ゴールを1点だけでも奪っておきたかった。
なまじ広州はリカルド・グラル、アラン、パウリーニョというブラジル人トリオが強力そうで、次の試合、無失点で終えるのは難しそうな気がするだけに、この日スコアレスで終わったのがなんとも難儀なことに……。
なんてことを書きながら翌日のU-20W杯を観ていたら、日本代表がウルグアイに負けた。うーむ、やっぱ南米王者にはかなわなかったか。どちらも残念。
(May 24, 2017)
鹿島アントラーズ2-1広州恒大
AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16/2017年5月30日(火)/カシマサッカースタジアム/日テレNEWS24@スカパー!
あぁ、今年もまたアジアの頂点への道がベスト16で途切れてしまった……。
この試合自体は勝っているんだから、結局は心配した通り、前の試合でスコアレスで終わってしまったのがすべてでしょう。もう完璧に作戦負け。アジアを制するにはもうちょっと経験値が必要らしい。
この日のスタメンはGKクォン・スンテ、DF西、植田、昌子、山本、MF小笠原、永木、レアンドロ、土居、FW優磨、ペドロ・ジュニオール。途中出場は夢生、三竿弟、金森。
右太もも痛で離脱していたという植田が戻ってきたのは朗報だけれど、でもひさしぶりの出場で試合勘が心配だった。で、結果的に致命傷となった失点の場面で最後にスコアラーの近くにいたのは植田だったから、もしもあそこで彼が万全だったら……とないものねだりもしたくなる。
なんにしろ、あの失点はおそまつだった。植田はどうにもならなかった感じだけれど、ニアできちんと競りあえてない山本脩斗はなぁ……。なんなんだ、あのゆるいディフェンスは。ファールでもいいから、ちゃんと止めて欲しかったよ……。
ペドロ・ジュニオールが個人技で決めた先制点──倒されても当然な場面で粘ってシュートに持っていったのが最高だった──にしろ、途中出場した夢生の後半終了間際の勝ち越しゴールにしろ、とてもいい得点だった。だからせめてあと1点──もしくは前の試合でのあと1点──が欲しかった。なまじ前半のうちに2度もフリーでのシュート・チャンスがあっただけに、あれがどちらかだけでも決まっていれば、また違った結果になっていたのになぁ……という無念な気持ちが振りきれない(決めきれなかったのは聖真と優磨)。せめてこの悔しさをバネに、リーグ戦の残りではきちんと結果を残して欲しいと思う。
それにしても、負けている試合で、あいもかわらずボランチを交替させる石井のワンパターン采配はやはりどうかと思う。
ちなみにこの日のゴールも前の試合と同じパウリーニョだった。僕は前の試合で彼のことを知らない人とか書いたけれど、調べてみたら過去に日本代表の試合でも2ゴールを決めているらしい。もしかしてこの人って俺の観た試合では全部ゴール決めてたりするんじゃ? おいおい、なんてこった、俺の天敵かよ。まいったな……。
まいったといえば、この試合の2時間まえのキックオフだったU-20W杯でも、日本代表がベネズエラに延長戦のすえ負けて、こちらもベスト16で散ってしまった。
今回のU-20代表のサッカーは一応全試合観てきたし──ユース世代の大会をすべて観たのって、小野たちが準優勝したとき以来じゃないかと思う──、彼らのサッカーは僕はけっこう好きだったので、最後に一度くらい文章を書こうかと思っていたのだけれど、その最後の試合(の延長戦)がアントラーズ戦と重なってしまい、結局最後までフルに観れなかった。あぁ、いろいろと残念な五月の終わりだった。
(May 30, 2017)
【追記】よもやこの翌日に石井監督の解任が発表されようとは……。