2016年10月のサッカー

Index

  1. 10/06 ○ 日本2-1イラク (ワールドカップ最終予選)
  2. 10/11 △ オーストラリア1-1日本 (ワールドカップ最終予選)
  3. 10/15   G大阪1-1浦和 (ルヴァン杯・決勝)
  4. 10/22 ● F東京2-1鹿島 (J1・2ndステージ第15節)
  5. 10/29 ● 鹿島0-1川崎 (J1・2ndステージ第16節)

日本2-1イラク

W杯・最終予選/2016年10月6日(木)/埼玉スタジアム2002/テレビ朝日

 なんかこの試合についてはうまく語れない。世間ではネガティヴな意見が溢れているけれど、僕自身はそれほど悲観的な気分にはなっていないので、試合内容の悪さよりも、それにがたがた言うメディアに気分が悪くなっているというか……。
 ほんと、褒められた試合ではなかったとは思う。でも勝った。ドローで終わりそうな試合で土壇場で勝利をたぐり寄せた。その一点だけで、日本代表はまだまだ大丈夫だと僕は思った。いっそのことドローに終わっていたほうが、このさき大騒ぎになって、かえっておもしろかったんじゃないかと思いさえした(無責任)。
 まぁ、いろいろ思うことはあるだけれど、なんだかうまく文章にできないので、きょうのところは結果だけを簡単に。
 この日のスタメンは、西川、酒井宏、吉田麻也、森重、坂井高、長谷部、柏木、本田、清武、原口、岡崎の11人。途中出場は山口蛍、浅野、小林悠(めずらしく宇佐美が出てこないと思ったら、怪我で招集されていなかった)。
 新シーズンに入ってから、岡崎、本田、香川、長友といったあたりが所属クラブで軒並みレギュラー・ポジションを失っていて、その影響がもろに出た一戦だったと思う。香川と長友が招集されているのに出番なしで終わったのって、いつ以来だろうって感じだったし、本田もやはり試合勘が足りないのか、もともとスピードがない選手が判断のスピードまで低下しているっぽくて、切れが足りない感ありあり(それでもちゃんとシュートを打ってるあたりは、さすがだとも思ったけど)。岡崎もポストではいくらか持ち味を出していたものの、なにせあまり前線にボールが入らないので目立てない。
 あと、褒めている人もいるけれど、僕は柏木もいまいちだと思った。彼がよければ、もっと攻撃が活性化したはずだ。
 とにかく攻撃面でよかったのは、清武と原口だけ。そのふたりにしても、原口は先制ゴールとアグレッシヴな姿勢でアピールしたものの、ボールタッチはいまいち少なかった感がある。清武もパスセンスで非凡なものを感じさせたけれど、いなくなっていた時間帯もそれなりにあった気がする。
 てなわけで、清武、本田、原口らのみごとな連携による先制ゴールや、山口蛍の劇的な勝ち越しゴールには感動したものの、全体的には低調な試合だった。
 でも相手のイラクもよかったと思う。ディフェンスはしっかりしていたし、攻撃でもセンターライン付近からわずかパス3本ほどを見事につないでシュートまで持っていったシーンでは、おいおい上手いじゃないかと思ったし。あと、同点ゴールの場面にかぎらず、セットプレーは怖かった。まぁ、でもその点は相手がどうしたという以前に、日本の守備力の問題だという気もするけれど。
 この試合で僕が不思議に思ったのは、ディフェンスでの両国の違い。日本がピンチに苦しまぎれでクリアしたボールは相手ボールになるのに、イラクがクリアしたボールはちゃんと味方につながる──そんな印象があった。
 もしかしてピンチでのクリアボールの蹴り方にも人知れぬ技術があって、その部分で日本代表はよそより遅れている?──とか思ってしまいました。
 誰か真相を究明して僕に教えてほしい。
(Oct 08, 2016)

オーストラリア1-1日本

W杯・最終予選/2016年10月11日(火)/ドックランズ・スタジアム(メルボルン)/BS1

 この試合に関しては、ハリルホジッチを責める言葉しか出てこない。
 まずはスタメンからして守備的すぎる。
 この日はGK西川、DFが右から酒井高徳、吉田、森重、槙野、MFが長谷部、山口のダブル・ボランチに、小林悠、香川、原口、そしてFWがなんと本田のワントップという布陣だった。
 強敵オーストラリアとのアウェイでの戦いだから、慎重にいきたいというのはわかる。さらには岡崎が怪我、酒井宏樹は前節でイエローをもらって出場停止、長友も途中離脱ということで、いつも以上に選択肢は限られていたのは確かだろう。でもだからってここまで守備的でどうすると思う。
 ボランチに山口を使っている時点でもう十分に守備的なのに、さらに右サイドが太田ではなく槙野って。さらにはワントップが本田って(南アフリカW杯以来らしい)。そりゃいくらなんでも大事を取りすぎでしょう?
 というかさ、それ以前になぜに清武がベンチ?
 香川にいま一度のチャンスをということだったのかもしれないけれど、香川は今日もこれといっていいところがなかった。
 もとより小林悠もゲームメイクするタイプの選手ではないし(どちらかというと香川と似たタイプだと思う)、原口だってそうだろう。中盤でためを作れる本田をワントップで使っておいて、その下に香川と小林悠と原口を並べて、なおかつボランチに山口を使ったのでは、攻撃が活性化しなくても当然じゃないだろうか。布陣がちぐはぐすぎる。
 本田をワントップで起用するならば、トップ下には清武を起用するか、ボランチに柏木を使って欲しかった。
 結局この日唯一の得点は、原口が奪ったボールを、本田がトップ下のポジションでつないで、フリーで駈け上がった原口が自ら決めたものだった(チャンスメイクとフィニッシュの両方を果たした原口あっぱれ)。
 まぁ、ワントップにフィニッシュではなくポストプレーを期待するならば、期待通りのプレーなのかもしれないけれどさ。違うよね、たぶん本田のワントップの意図は。少ないチャンスをものにするために、もっとも決定力のある選手を最前線で使いたかったってことなんでしょう?
 なんにしろ、この日のハリルホジッチはあえて守備的な戦いを選択して、負けなければオーケーという采配をふるっていた。後半、残り時間が10分を切るまで選手交替をしなかったのだって、とにかくバランスを崩したくないっていう、保守的な心境の表れ以外のなにものでもないだろう。
 その選手交替にしたって、小林悠→清武、本田→浅野はともかくさ、三人目が原口→丸山祐市ってのはなんなのか。どうしても勝ちたい人の采配じゃないだろー。
 いや、とにかくこの試合のハリルホジッチは消極的すぎた。虎の子の1点を守り切って勝てれば結果オーライだったのかもしれないけれど、残念ながら殊勲の原口がイージーなファールでPKを取られて同点にされておしまい。あまりに策がなさすぎて嫌になってしまった。
 なまじ今回のオーストラリアが以前のように高さにものを言わせたパワープレー主体のチームじゃなかっただけに、なおさら不甲斐ない。同じようなパス・サッカーを志向しているアジアのチームに好き勝手にボール回されてどうする。そんなの日本じゃねー。
 ハリルホジッチ、駄目かもしれない……。
 蛇足。両軍ともに終始低調だったこの試合でいちばん目立っていたのは、日本人でもオーストラリア人でもなく、鳥たちだった。メルボルンのカモメ、ピッチで自由あたえられ過ぎ。ヒッチコックか。
(Oct 11, 2016)

ガンバ大阪1-1浦和レッズ(PK4-5)

YBCルヴァンカップ・決勝/2016年11月15日(土)/埼玉スタジアム2002/フジテレビ

 大会途中で名称がヤマザキナビスコカップからYBCルヴァンカップに変更になったJリーグカップの決勝戦。
 気がつけばこの試合、元日の天皇杯・決勝と同じスタジアムで、同じ組み合わせ。なんかこのごろはカップ戦のたびにガンバを観ている気がする。ガンバはリーグ戦では振るわなかった分をカップ戦で帳尻をあわすようなところとか、堅守を軸に才能豊かなFWの個人技で勝ち切るところなんかが、往年の鹿島に似てきた気がする。
 この両チーム、J1では今月の初めに対戦して、そのときにはアデミウソンが退場になったことで、レッズが4-0と圧勝したらしいのだけれど、得てしてそういう大味な試合のあとは、勝ったほうに不利な展開になることが多い。
 はたしてこの試合も開始17分に、レッズのミスからボールを拾ったアデミウソンがドリブルで敵陣を独走すると、GK西川との一対一を冷静に決めて先制。
 レッズはホーム・スタジアムでの試合だし(天皇杯といい、この大会といい、なんかすげー不公平な気がする)、スコアレスのままの均衡した試合になれば有利だろうと思っていたけれど、この先制点でがぜん不利になった感があった。このところ好調だと聞いていたわりには、あまり連係がスムーズじゃないし。これでは追いつくのは難しいんじゃないか、あぁ、またもやペトロヴィッチは苦杯か――と思ったのだけれど。
 このピンチを救ったのが、後半も残り15分という時間帯に出てきた李忠成。
 李は登場するやいなや、最初のセットプレーでいきなり豪快なヘディングを決めてみせた。出てきたばかりでマークが甘かったのか、あまりにどんぴしゃで、びっくりするくらい綺麗なゴールだった。
 試合はその前から攻めるレッズに守るガンバという構図になっていたので、これでレッズががぜん有利だろうと思ったのだけれど、でもあと1点がなかなか入らない。この日のガンバは今野、井手口のダブル・ボランチが効きまくりで、失点の場面を除けば、ほとんどミスがなかった印象だった。
 一方のレッズは残念ながら興梠がいまいち。準決勝では自身初のハットトリックを決めているというので好調なのかと思ったら、それほどでもなかった。個人的には途中から出てきたズラタンのほうがだんぜんいいと思った(ズラタン、高さだけかと思ったら、足元も上手い)。
 でもまぁ、興梠の場合、タッチ数が多いからこそ目立ってしまうという部分があるのかもしれない。FWでは唯一フル出場しているし、そんな風にペトロヴィッチの信頼が厚いのは、絶えずゲームに絡みつづけているからなんだろう。
 まぁ、なんにしろレッズは攻めてはいるのに決めきれない。そんな試合展開を見ながら、レッズの勝負弱さはあいかわらずだなぁと思った。
 ということで、試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入。日本代表で正GKを争う西川と東口の対決という、これまた見どころの多い展開となった。で、結果は1本だけ止めた西川の勝利。
 先攻のガンバのキッカーは藤本、今野、丹羽、呉屋、遠藤保仁の5人。
 対するレッズは阿部、ズラタン、興梠、李、そして最後がなんと遠藤航。
 勝てばタイトルという重圧のかかるPKだけに、両チームとも30歳すぎのベテラン中心の顔ぶれのなかに、途中出場の大卒ルーキー・呉屋(この試合で僕が唯一知らない選手だった)と五輪代表キャプテンの遠藤航という若手がひとりずつ含まれているのが新鮮だった。で、ガンバはその呉屋くんが止められ(驚いたことに自ら志願して蹴ったらしい)、レッズは最後に遠藤航が決めて勝負をつけたってのが、なんともドラマチックだ。いやぁ、緊張感のある、とてもいいPK戦でした。
 ということで、ナビスコカップ改めルヴァンカップの初代王者は浦和レッズに決定~。レッズの優勝は2003年以来、なんと13年ぶりとのことだ──ってんで調べたら、そのときに負けたのはアントラーズだった。あらら。
 まぁ、なんにしろペトロヴィッチ監督がようやくタイトルを獲得できてなによりだ。このまま最後までタイトルと縁がないなんてことになったら気の毒すぎるので。これで遠慮なくチャンピオンシップで戦える……って、いまの状態だと簡単に負けそうだけれど。
 ちなみにこの試合、大会名称に使われているヤマザキビスケットの新商品、ルヴァンを食いながら観ました。バイバイ、ナビスコ。
(Oct 16, 2016)

FC東京2-1鹿島アントラーズ

J1・2ndステージ第15節/2016年10月22日(土)/味の素スタジアム

 気がつけば、味スタにFC東京戦を観にゆくのが恒例になってから、今年でちょうど10年目だった。
 ということで、過去の対戦成績を調べてみたところ、鹿島の5勝1敗2分(ただし、そのうち1試合は国立競技場)。その1敗も2008年のことだから、かれこれ8年間、僕は一度もアントラーズがスタジアムで負けるところを観ていないことになる。相性がいいとは思っていたけれど、そこまでとは思わなかった。
 でも、試合前にそんなことを調べたのがいけなかったのかもしれない。この日は見事に負けました。2度目の黒星。
 内容的にも負けても当然って出来だった。このセカンド・ステージは弱いなぁと思っていたけれど、こんな試合をしているようでは低迷するのも当然。この日の黒星で順位も二桁に落ちてしまった。まったくファースト・ステージ優勝の勢いはどこ行っちゃったんだろう。不思議なくらいに弱かった。
 この日の鹿島は、GK曽ヶ端、DF伊東、ファン・ソッコ、昌子、山本脩斗、MF柴崎、永木、遠藤、ファブリシオ、FW土居、金崎というスタメン。
 なんと小笠原がベンチで、永木がキャプテンマークをつけていた。
 生え抜きの柴崎ではなく、今年加入した永木がキャプテンってのはちょい残念だけれど、でも永木、さすがに湘南時代からキャプテンマークをつけ慣れているだけあって、とても存在感があった。終始劣勢だったこともあって、この日の鹿島ではいちばん目立っていた。だてに日本代表に呼ばれちゃいないなと思った。ま、メンバー紹介のときの東京サポーターからのブーイングの少なさからすると、まだまだ世間的な知名度は低そうだけど。
 そのほかだと、8月から怪我で離脱していた遠藤が復活したことと、ファブリシオの初スタメン出場ってのが注目ポイントかなと。個人的には植田ではなく、ファン・ソッコがスタメンってのが不満だった。やはり今後の日本代表のためにも、植田をちゃんと使ってほしい。
 対するFC東京は、GK秋元、DF橋本拳人、森重、丸山、室屋、MF梶山、田邊草民、河野、東、中島翔哉、FW前田という11人。
 ファースト・ステージの対戦時にはベンチにも入っていなかった中島翔哉がスタメンで観られたのが嬉しい──とか、喜んでる場合じゃなかった。
 中島、存在感ありすぎ。とくに前半はよかった。河野の先制点を演出したスルー・パスも彼だったし──GKの動きを見て、冷静にシュートを決めた河野もえらかった──、とにかく五輪代表でいいなぁと思っていたプレーをそのまま見せてくれていた。
 中島って小さいわりにはキープ力が高い。とはいっても、本田圭佑のように身体を張ってボールを保持するのではなく、敵がチェックにくる前に素早く判断して、的確にパスを出して味方につないでみせるというスタイル。無理して危ないプレーはしないで、ぱっぱっと小気味よくボールをさばいてゆくのがとても好印象だ。
 しかも彼の場合、単にパサーというだけではなく、ボールを持てばドリブルで攻め上がり、遠目でもチャンスと見ればシュートを打ってゆく積極性もある。ほんと、彼がボールを持つと観客席のボルテージが自然と上がる感じがあった。
 FC東京では城福監督が成績不振のためシーズンの途中で解任されてしまったけれど(後任は篠田善之という人)、もしも今シーズンの初めからちゃんと中島をスタメンに抜擢していれば、城福さんも解任の憂き目を見ることがなかったんじゃないかって思った。それくらい中島はよかった。
 そのほかFC東京で印象的だったのが、橋本拳人がサイドバックをやっていたり、田邊がボランチをやっていたりすること。ふたりとも前に観たときは別のポジションだったよな? 高橋秀人(この日はベンチ)とかもボランチだかCBだかはっきりしないし、FC東京の選手って、やたらとユーティリティー性が高い選手が多い気がする。
 あと、この日は前田のプレーもなにげに印象的だった。とにかくポスト・プレーが効果的で、ゴールを背にしてボールを受けさせると絶品。あれでもうちょっと前を向いてプレーする時間が多くなれば、本当にすごいのに……って思ってしまった。ま、といいつつこの試合の決勝ゴールはその前田なんだけれど。
 ちなみに前田の決勝ゴールの場面は、ゴールの真横から見ていたにもかかわらず、シュートが決まったのがよくわからず。決まったか決まらないかくらいの微妙な判定だと思っていたので、あとでテレビのリプレーを見たら、かなり豪快に蹴り込まれていてびっくりした。ぜんぜんわからなかった。
 あと、鹿島の追撃の1点(決めたのは山本)も反対側の遠いサイドだったこともあり、こちらはどう決まったのかまったくわからず。でもこれはリプレーで見てもよくわからないという、けっこう微妙なゴールだったので(ネットは揺らしていないから、秋元がボールをかき出したポジションがゴールの中だったってことなんでしょう)、あの距離ではまぁわからなくても仕方ないかなと思う。アウェイ・ゴールだから、スクリーンでのリプレイもなかったし。
 そう、あとわからなかったといえば、僕は不覚にも鈴木優磨が途中出場していたことに最後まで気がつかずにいた(あとで記録を見てびっくり)。遠藤と交替で後半の頭から出ていたらしいのだけれど、後半は鹿島の攻めが反対側のゴールだったこともあって、まったく気がつかなかった。いったいなにを見てるんでしょうか。俺の目は節穴か。
 まぁ、でもそれくらいこの日のアントラーズの攻撃は不活発だったし、その分、FC東京がよかったとも思う。
 なんたってこの日のアントラーズのシュート数はたった7本だ(対するFC東京は11本)。僕はここ2、3年の鹿島の好調さを支えているのは、相手よりも1本でも多くのシュートを打ってゆこうとする積極性だと思っているので、そういう意味ではシュート数で打ち負けたこのFC東京戦の敗戦は当然の結果だった。
 負けてる試合で最後の交替カードを切って小笠原を出すってのもどうかと思ったけれど(もうひとりは充孝)、でもまぁ、小笠原が観られないで終わってしまうのもファンとしてはさびしいので、そこはまぁよし。
 なにはともあれ、FC東京のよさばかりが目に映った試合だった。なんか最初から最後までFC東京ばかり見ていた気がする。
 FC東京は中途補強したブラジル人FWムリキや徳永を故障で欠きながらこれだけの試合ができるのだから、指揮官のビジョンさえしっかりしていれば──あと得点力のあるFWをもう一枚くらい補強できれば──来季はもっと上を目指せるだろう。都民としてはそろそろ優勝争いに絡んできてほしい。
 いやしかし、中島いいなぁ。鹿島に欲しい。日本代表でも見たい。でもいまの調子だと、そう遠くないうちにヨーロッパ行っちゃいそうだ。
(Oct 23, 2016)

鹿島アントラーズ0-1川崎フロンターレ

J1・2ndステージ第16節/2016年10月29日(土)/カシマサッカースタジアム/BS1

 日本代表ならばまだしも、アントラーズ戦でもってこんな風に戦う前から、あぁ、きょうは負けるんだろうなぁって思う試合はひさしぶりだった。
 なんたって前節FC東京戦の内容が悪かった上に、今節の相手は苦手の川崎フロンターレとくる。しかもセカンド・ステージに入って失速しまくりで、年間3位を守るのが精一杯のこちらとは違い、あちらさんは浦和と年間首位の座を争って、デッドヒートを繰り広げている。モチベーションの差があきらかで、とうてい勝てるとは思えなかった。
 でもまぁ、実際に予想どおり試合には負けはしたものの、内容自体は予想外にいい出来だった。中盤から前の守備意識が非常に高く、素早いチェックでボールを奪っては、積極的に仕掛けてゆく。前節でFC東京にやられていたことを、今回は自分たちでちゃんとやっていた感じ。前半からシュートがクロスバーをたたくシーンが2度、3度とあったし、あとは運さえあれば……って試合だった。実際には運がなく──というか、どのシュートもボール半個分枠からずれていて──ノーゴールで終わってしまったわけだけれど……。
 対する相手はわずかなチャンスを生かしてこちらの左サイドを崩すと、エウシーニョのシュートを曽ヶ端がはじいたそのこぼれ球を、途中出場の森本貴幸──今年は川崎だったか──が決めて、これが決勝点。
 川崎のシュートが7本、CK2本という数字にどれだけ向こうのチャンスが少なかったかが表れている。対するこちらはシュート17本、CK10本。でも勝ったのは先方。やっぱ決めるところで決められない試合には勝てない。
 それでもまぁ、チャンピオンシップで対戦する可能性が高い川崎を相手に、ある程度まで互角以上の戦いができたのは大きい。あちらはこの試合で小林悠が肉離れかなにかで途中退場してしまったし──あの感じだと軽くはないんじゃないだろうか。なぜ小林はああも怪我が多いかな。ほんと気の毒──、この分ならばCSでもけっこういい戦いができそうな気がする。ま、もしかしたら最終節で浦和が川崎に追い越され、準決勝の対戦相手は浦和なんてことになる可能性もなきにしもあらずだけれど。
 この日の鹿島は、スタメンが曽ヶ端、西、ファン・ソッコ、昌子、山本、小笠原、永木、遠藤、ファブリシオ、鈴木優磨、金崎の11人。途中出場が充孝、赤崎、杉本太郎の3人。
 柴崎、土居のふたりが足を痛めて欠場ってのが痛かった。故障明けの西は6試合ぶりのスタメンとのこと。
 裏では浦和が同時刻キックオフの試合に勝って、セカンド・ステージの優勝を決めた。これで残るは年間首位争いのみ。1位の浦和と2位の川崎の勝ち点の差はわずか1。最終節の結果いかんではどっちが首位にたつかわからない。
 あと、残留争いも熾烈を極めていて、残り1枠をかけて、磐田、甲府、新潟、名古屋の4チームが勝ち点3の範囲にひしめいている。
 今年のJ1は次節11月3日、文化の日が最終節(はやすぎるぜっ)。さて、結果やいかに。
(Oct 30, 2016)