2015年8月のサッカー

Index

  1. 08/02 ● 北朝鮮2-1日本 (東アジア杯)
  2. 08/05 △ 日本1-1韓国 (東アジア杯)
  3. 08/09 △ 中国1-1日本 (東アジア杯)
  4. 08/16 ○ 鹿島3-2仙台 (J1・2ndステージ第7節)

北朝鮮2-1日本

EAFF東アジアカップ/2015年8月2日(日)/中国・武漢/フジテレビ

 ハリルホジッチ株急暴落。よもや北朝鮮に負けるたぁ、思ってもみなかった。
 まぁ、とはいえ一概にハリルホジッチが悪いとも思わないんだけれど。選んだ選手の顔ぶれにはとくに不満はなかったし。海外組抜きの代表に準備期間なしでいきなりアウェイの公式戦ってのは酷だと思うし。
 それにこの日の選手たちは、攻めても守っても、いまいち出来が悪かった。よかったのは、先制ゴールの場面だけだった気さえする。
 FIFAの国際Aマッチデイではないため、海外組抜きでの招集となったこの大会。ハリルホジッチが初戦の先発に選んだのは、GK西川、DF遠藤航、森重、槙野、藤春、MF山口蛍、谷口彰悟、武藤雄樹、FW永井謙佑、宇佐美、川又というメンバー構成だった。
 五輪代表のキャプテン、遠藤航の飛び級でのA代表デビュー、レッズのJ1ファースト・ステージ優勝の原動力となった武藤雄樹のスタメン起用、柴崎のベンチ・スタートあたりには意外性があったけれど、でもまぁ、じゅうぶん納得のゆく顔ぶれだった。
 でもって、出だしに限れば、非常に順調だった。開始わずか2分で、右SBに入った遠藤──背は低いのに所属クラブの湘南では3バックの一角を担っているらしい──からのクロスに武藤がピンポイントであわせる素晴らしいゴール。こりゃ今日もゴール・ラッシュの予感──と思ったのに、どっこいそうはならない。
 川又、永井は絶好機にダイレクトでシュートにゆけず、余計な時間をくってブロックにあう。宇佐美は1本だけ、らしいシュートで沸かせたものの、それをGKに止められると、あとはどこにいたのかわからない存在感のなさ。あれではいちばん最初に交替させられたのも致し方ない。
 ハリルホジッチの采配に難があるとしたら、それは柴崎をスタメンから外したことじゃないだろうか。いや、べつに柴崎でなくてもいいから、ひとりくらいパサー・タイプの選手がいたほうがよかった気がする。
 なんでもこの試合、日本代表のオフサイドは0だったらしい。それくらい、DFラインの裏へ抜け出してパスを受けようってプレーが少なかったってことだ(出し手もいなかった)。縦へ速い攻撃を標榜しながら、オフサイド・ゼロって、そりゃないだろうと思う。この日に関しては、縦への意識もそれほど感じられなかったけれど。
 まぁ、いずれにせよ、川又、永井の動きは鈍かった。宇佐美もどこにいるかわからなかった。前目の選手でよかったのは武藤だけって。それでは追加点が取れないのも道理。
 で、後半途中に柴崎が出てきても、すでに前線は疲れ切っているので、状況は改善せず。柴崎も柴崎でここぞのミドルを外してしまう。
 そのあと、川又と交替で出てきた興梠──代表は4年ぶりとのこと──は随所でおっと思わせる、おもしろい動きを見せてくれていたけれど、FWというよりはMF的なプレーに終始した感じ(そういえば、なんとこの大会の興梠の背番号は10だ)。
 最後の交替カードで出てきたのは、佐藤寿人の後釜としてサンフレッチェで売出し中の浅野拓磨。彼もこれといった仕事はできずに終わったけれど、まぁ、残り10分たらずで出てきたチーム最年少20歳の選手に多くを期待するようでは駄目だろう。
 ということで、この日の選手交替はあまり効果的とはいえず。逆にロングボール主体のサッカーでがんがんパワープレーを仕掛けてきた北朝鮮に押し込まれ、森重、槙野のCBふたりがそれぞれハイボールに競り負けて、逆転負けを食らうというていたらく。
 1対1で負けてんだから、戦略以前の問題として、敗因はそれでしょう。いくら過密日程でコンディションがきついからって、アジアで1対1に勝てないようでは、日本のサッカーに未来はない。個の力をもっと高めないと。
 なまじハリルホジッチの選手起用自体には、それほど不満がなかっただけに、そのメンツで戦って北朝鮮に逆転負けを食らったってのが個人的には痛すぎた。この大会では前日に女子も負けているので、ショック2倍。あぁ……。
 それにしても、北朝鮮との相性の悪いこと、悪いこと。僕の記録によれば、ここ10年間の日本代表と北朝鮮との対戦成績は、なんと五分だ(3勝3敗1分け)。それどころか、五輪代表も含めれば、負け越しているという……。調べてみたら、ザッケローニのときも連戦連勝で快進撃をつづけていた新生日本代表に最初に土をつけたのは北朝鮮だった。あぁ、ハリルJAPANでも悪夢ふたたび。
 どうしてこうも相性が悪いかな。北朝鮮って、FIFAランキング129位とか言ってるんですけど。単純にその数字だけ見ると、あり得ないんだが。やっぱ、過去の歴史の因縁のせいでしょうか。ほんと、イヤんなってしまう。
(Aug 03, 2015)

日本1-1韓国

EAFF東アジアカップ/2015年8月5日(水)/中国・武漢/フジテレビ

 今回の代表で日韓戦はきびしいだろうと思ったら、やはり勝てなかった……。まぁ、でも負けもしなかった。それが唯一の救いって一戦。あぁ、文章を書く気力が湧かない。
 この試合のスタメンは西川、遠藤航、森重、槙野、太田、山口蛍、藤田直之、柴崎、永井、倉田秋(「あき」かと思ったら「しゅう」だった)、興梠の11人。
 鳥栖の藤田とG大阪の倉田が代表デビュー(あまり若くないのかと思っていたら、それぞれまだ28と26とのこと)。で、ふたりともちゃんと活躍する。
 前の試合のゴールに絡んだ遠藤航と武藤雄樹にしろ、ハリルホジッチが呼んできて代表デビューさせた選手たちは、ちゃんと活躍する。そこはいいと思う。どの選手もクラブで主力を張っているだけのことはある。本番できちんとその実力を見せてくれるのが立派。
 でも、チームとしての日本代表はこの日もいまいち。とくに前半30分過ぎくらいまでは最低だった。前の敗戦を踏まえてか、守備では集中していたけれど、相手の圧力に受けて引いてばかりで、まったく攻撃の形が作れない。北朝鮮戦と同じように、セカンド・ボールをまったく拾えず、劣勢につぐ劣勢。観ていていやんなった。
 そうこうするうちに、(不運ではあったけれど)森重がハイボールの競り合いでハンドを取られてPK献上。韓国に先制を許してしまう。
 あぁ、こりゃ完璧に駄目だ。流れが悪い方へ、悪い方へと……。まるで勝てる気がしない……とか思って、どんよりした気分で観ていたのだけれど。
 その後の日本は徐々にエンジンが温まってきたらしく、調子が上がっていった。そして山口のすんばらしいミドル・シュートで(いっちゃ悪いが、意外や)前半のうちに同点に追いつく。アシストは倉田。いや、彼は本当によかった。どうせガンバの選手を使うならば、宇佐美のほうが……とか思ってごめん。
 後半に入ってからは――まぁ、またもや劣勢の時間帯はあったものの──ほぼ五分の戦いができていたと思う(途中出場は浅野、宇佐美、川又)。
 ただ、相手の韓国は初戦で中国に2-0で勝っているわけで。それを考えれば、日本は引き分けで終わっていい試合じゃなかった。とはいえ、今大会の日本では、やはり追いつくのが精一杯だった。
 それにしてもなんだろう、あのゴール前までボールを運んだあとの、思い切りの悪さは。よしチャンス!――と思ったにもかかわらず、シュートを打てずに終わったシーンが2度、3度あった。海外組ぬきのこの大会、国内組の攻撃陣にとっては、またとないチャンスのはずなのに。ほんと、なんであんなに煮え切らないプレーをしてしまうんだか。
 永井とか、2試合連続でスタメン起用されているだけあって、ボールを持たせるとそこそこいいプレーも見せるのだけれど、でもゴール前までゆくとまるで駄目。なぜか消極的になってチャンスの芽を摘んでしまう。いったいなにをやってるんだか。
 ハリルホジッチは代表の比率を国内組と海外組で50%ずつにしたいと思っているとかいう噂だけれども、今大会を観ていると、とうぶん海外組への依存度の高さは下がらないんだろうなと思う。
 韓国にはチョン・ウヨンやキム・ミヌがいて、けっこう活躍していた(しないでいて欲しかった)。ほかにも僕の知らないJリーガーが何人かいたみたいだし、日本がJリーガーだけで戦って不甲斐ねーって騒いでいるのに、相手のJリーグ所属選手に苦しめられてりゃ世話がない。あぁ、まったく。
(Aug 05, 2015)

中国1-1日本

東アジアカップ/2015年8月9日(日)/中国・武漢/フジテレビ

 日本、結局中国にも勝てず、2分1敗の勝ち点2で東アジアカップ最下位に沈むの巻。
 この日のスタメンはGK東口、DF丹羽大輝、森重、槙野、米倉恒貴{よねくらこうき}、MF遠藤航、山口蛍、武藤雄樹、FW長居、宇佐美、川又というメンツ。
 初戦の北朝鮮戦と攻撃陣は同じままで、GKに東口、両サイドを丹波、米倉というガンバ勢の代表デビュー組に替えた形(東口がいまさら初キャップだというのは意外)。そして遠藤航はサイドではなく、五輪代表と同じだというボランチでの起用だった。
 得点力不足解消に向けて、左サイドの宇佐美の能力を最大限に引き出すべく、ガンバ勢を多く起用したのかなと思うのだけれど、残念ながら結果は出なかった。この試合も宇佐美は──開始5分にバーをたたく惜しいシュートを打った以外には──鳴かず飛ばず。期待していただけに、その存在感のなさにはがっかりせずにはいられない。
 思うにこの大会の敗因は、3トップの出来が悪かったことだと思う。宇佐美、川又にはJリーグでの好調さを感じさせるものがまるでなかった。永井は走っちゃいるものの、ここぞということころでは得点につながらないプレーの連発。川又に関しては、見るべきプレーがひとつもなかった感じだし。
 武藤はひとり結果を出してくれたけれど、やはり試合を組み立てるタイプの選手ではないし、そういう意味では、(繰りかえしになるけれど)柴崎をスタメンで使わなかった──また、途中出場はしたものの本来のボランチではなくトップ下での起用だった──のが、失敗だったと思う(というか、ほかに司令塔タイプの選手がまったくいないのも疑問)。
 ハリルホジッチはあれでけっこう慎重そうだから、柴崎をボランチとして使うには守備力に不満を持っているのかもしれないけれど(まぁ、そこは蛍と比べるとなぁ……)、でも五輪代表の遠藤にスタメンを奪われたんでは、さすがに柴崎のプライドだって傷つくだろう。一度くらい、柴崎を慣れ親しんだボランチのポジションで使って、どうなるか試してほしかった。まぁ、途中出場だからって、無難なプレーに終始してしまった柴崎にも難ありだけれど。
 同点ゴールを演出した米倉はよかった。この大会に出場したサイドバックの選手たちは、みんなそれなりに好印象だった(そういや、初戦の藤春もガンバだし、同一クラブから3人もサイドバックが使われるのは前代未聞なのでは)。今大会の収穫があるとすれば、サイドバックのバックアップが意外と豊富だってわかったことと、遠藤航がA代表でも十分に使えることがわかったことくらいだと思う。
 逆にCBは3試合とも森重と槙野で固定しっ放しで、それ以外の選手が試されなかったのが不満。全試合で失点していることでもわかる通り、日本の弱点のひとつがCBの選手層の薄さなのは明らかなのだから、ここはもっとほかの選手を試しておくべきだったと思う。まぁ、負けから入ったために、ハリルホジッチも二戦目以降は守備面でリスクが冒せなかったのかもしれないけれど。だとしたら、それはそれで消極的だよなと思う。
 いずれにせよ、駄目ダメな三連戦でした。Jリーグ勢のさらなる奮起に期待している。
(Aug 10, 2015)

鹿島アントラーズ3-2ベガルタ仙台

J1・2ndステージ第7節/2015年8月16日(日)/カシマサッカースタジアム/BS1

 石井監督就任以降3連勝と絶好調で、セカンド・ステージ2位まで順位をあげたアントラーズ。シーズン途中で監督を替えて、こんなにめざましい成果を残したケースは珍しいんじゃないだろうか。現時点ではトニーニョ・セレーゾ解任の賭けに出たのは、見事な決断だったことになる。ちょっとびっくり。
 僕自身はここまで2試合しか観ていないので、石井の監督としての手腕についてはいまだ未知数という印象だけれど、この4試合のデータからわかるこれまでとのいちばんの違いは、スタメンの流動性。4試合つづけてスタメン起用されているのは、中盤より前でいえば、小笠原、中村充孝のふたりだけだ。
 驚いたことに前節の広島戦では、柴崎さえスタメンを外れている。その日その日の選手の様子を見極めて、コンディションのよさそうな選手を起用しているということなんだろうか。もしくはいまだ自分の理想とするフォーメーションを決めきれないでいるか。いずれにせよ、それで結果を出しているのだから、たいしたもんだと思う。
 ただ、中村充孝を重用しているのだけはよくわからない。少なくても、この試合を含めて僕が観た2試合ではとくにいいところもなかったし。今年からJリーグの公式サイトで公開されるようになった詳細データによると、ここ4試合で中村が打ったシュートは1本だけだ。それって攻撃的な選手のなかでは最低の数字だったりする。もっとも多くの出場時間をもらっている選手の数字としては、やはりもの足りない。
 この試合でも、彼のいてしかるべきポジションまで赤崎が下がってきてボールを受けるシーンが何度もあったりして、いったい充孝くんはどこなのさ……と思ったこと数知れず。あの存在感のなさはいったいなんなのかと思ってしまう。
 さしもの石井も相手に2点を先制されるこの日の展開では、そんな中村のプレーに限界を感じたらしく、前半35分でお役御免としてカイオと交替させた。そして序盤からやたらと低調だったアントラーズがようやくそれらしくなったのは、その交替のあとからだった。
 この日に関しては、どう考えたって中村充孝の起用は失敗でしかなかった。この先、石井が彼をどのように使ってゆくのかは、チームの浮沈のカギを握る、ひとつのポイントになりそうだ。
 ということで、この日のスタメンは曽ヶ端、西、ファン、昌子、山本、柴崎、小笠原、遠藤、中村、赤崎、ダヴィという布陣。
 故障明け後では初スタメンのダヴィが赤崎とともに起用され、じつにひさしぶりに4-4-2での試合となった(もしかしたらダヴィの1トップなのかもしれないけれど、よくわからなかった)。
 とにかく序盤はまったくいいところがなく、かつてのチームメイトの野沢──仙台のユニフォームも板についてきた──に2ゴールを許すバッドな展開。
 先制点の場面では昌子がクリアミスで相手にボールをプレゼント(そんなプレーをしていると、どんどん代表が遠ざかるぞ)、そこからパス1本での失点。2点目も相手のゴールキックからのロングボールにファン・ソッコが競り負けて、こぼれ球を野沢に決められた。
 どちらもミス絡みの失点で、トニーニョ・セレーゾのころにも多かったパターン。前節は首位・広島に対して、わずかシュート5本で守り勝ったというので、石井監督にかわって、守備力に安定感が出てきたのかなと思っていたら、あいかわらずだった。まぁ、野沢の決定力も素晴らしかったけれども。
 ただ、以前だとこういう展開でずるずる負けていたところが、この日は2-0という状態から、試合をひっくり返してみせた。そこがあきらかにこれまでと違う。
 で、その逆転劇のカギを握ったのは、後半頭からダヴィと交替で出てきた金崎であり、終盤になって赤崎にかわって入ってきた土居だった(まぁ、前半のうちにセットプレーから山本のヘディングで1点差に詰めてあったのも大きかった)。
 後半のアントラーズは前半とはまるで違った。前半は押し込まれることもあったけれど、後半はもう一方的に攻めまくり。最終的なシュート数が25対5だってんだから、どれくらい相手を圧倒していたかがよくわかる。
 ただ、攻めながらも点にはならないって展開が延々とつづいていた。それはそれで、トニーニョ・セレーゾのときからよくあるパターンだったし、あぁ、これでまた黒星か、よくてもドローどまりか……と思っていた試合をひっくり返してくれたのが、途中出場の土肥。
 トニーニョ・セレーゾのときにはレギュラーとして特権的なポジションを与えられていた土居は、監督が替わってからは一転してサブに甘んじている。そのうっぷんを晴らすかのような、素晴らしい2ゴールだった。
 1点目は両サイドバックの連係から。山本からのクロスを西がヘディングで折り返し、ゴール真正面に詰めてきた土居がどんぴしゃのヘディングであわせたもの。2点目は柴崎のワン・タッチ・パスを受けてDFラインの裏へと抜け出し、いともたやすく右足で決めてみせた。どちらも惚れ惚れとするような決定力だった。
 土居、こういうプレーがコンスタントに出てくれば、ふたたびスタメンに戻ってくる日も遠くないだろう……というか、充孝くんがあの調子では、次節にはスタメン返り咲きってことになりそうな気がする。
 ということでこの試合、鹿島の8番を背負った新旧ふたりの選手の決定力が光る2ゴールずつが見られた上に、逆転でアントラーズが勝つという、サポーターとしては非常に満足度の高い一戦でした。
 そして裏では首位サンフレッチェが敗れたために、なんと現時点でアントラーズがセカンド・ステージの首位!
 いやいや、ほんとびっくりだよ。
(Aug 18, 2015)