2015年5月のサッカー

Index

  1. 05/02 ● 鹿島0-1甲府 (J1・1stステージ第9節)
  2. 05/05 ● 鹿島2-3ソウル (ACL・グループH)
  3. 05/10 ○ F東京0-1鹿島 (J1・1stステージ第11節)
  4. 05/16 △ 鹿島2-2広島 (J1・1stステージ第12節)
  5. 05/23 ● 浦和2-1鹿島 (J1・1stステージ第13節)
  6. 05/30 ○ 鹿島3-1松本 (J1・1stステージ第14節)

鹿島0-1甲府

J1・1stステージ第9節/2015年5月2日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 ACLのグループリーグ突破のかかったソウルとの対戦まで中二日。そして相手はリーグ最下位に沈む甲府ということで、この試合、トニーニョ・セレーゾはスタメンに大胆なローテーション制をとってきた。
 GKはいつも通り曽ヶ端ながら、DFは伊東、植田、青木、山本の4バック、ボランチは柴崎、梅鉢、その前に杉本太郎(これがJ1初スタメンとのこと)、中村充孝、カイオ、そして高崎のワントップという布陣。なんと金崎、遠藤はベンチにさえ入っていなかった。
 サポーター目線からすれば、めったに見れない興味津々の組み合わせ――ではあるんだけれど、結果から言ってしまえば、それであっさりと結果が出るほど、昨今のJリーグは甘くなかった。ここまで勝ち点3の最下位・甲府に黒星たぁ、痛恨の極み……。
 この試合、やたらとトラブルが多かったのは事実だ。植田が前半22分に接触プレーで口の中を切って出血が止まらずに交替を余儀なくされたり、後半は後半で、青木が同じように唇を切って──このときはすでに交替カードを使い切っていたため──止血のために長いことピッチを離れていたりもした。
 あと、オーストラリアから審判交流プログラムとやらで来て、この試合を担当した主審のクリストファー・ビースという人が、後半途中に原因不明のままピッチを離れて、そのあとは第四審判が笛を吹く、なんて珍事もあった(なんなんだかな)。
 まぁ、そんなこんなでリズムに乗れなかった感はあるけれど、結局はアントラーズがいつもと違うメンバーで戦って、攻撃の形をうまく作れなかったのが敗因。いまのチームは攻めて勝つがコンセプトだと思うので、攻撃の手数が少なければ勝てないのも道理。
 あと、失点がまたもやミスからってのがよくない。それもなんだそりゃってプレーだった。後半開始早々のソガからのゴールキックを高崎がセンターライン付近で胸トラップしたところ、そのボールがぽーんと跳ねて自陣にいた相手に渡ってしまい、そこからわずかパス一本でDFラインの裏を取られて、あっという間にシュートを決められてしまった。
 決めたのは伊東純也というルーキーのFWで、この人にはその後、カウンターから何度も左サイドの突破を許して、あわやというシーンを作られていた。彼のクロスから少なくても3本はフリーでシュートを打たれている(相手のミスに助けられた。甲府のブラジル人、決定力ね~)。最下位のクラブにも生きのいい選手っているもんですね。
 まぁ、とにかくそんな調子で、結果は0-1だけれど、0-3とかで負けていてもおかしくない内容だった。今季ここまでわずか2得点って相手に、そこまで攻め込まれてしまった守備も大いに問題。──とはいえ、この試合を見ているかぎりでは、なんで甲府が極端な得点力不足に悩んでいるのか、よくわからなかったけれど。アドリアーノやマルキーニョス・パラナがいつもあんな調子で決定機をはずしているんでしょうか。そもそもスタメンでは使えないほど、コンディションが悪いのか(両者とも途中出場で、スタメンはオール日本人だった)。だとしたら樋口監督もさぞや頭が痛かろう。
 失点の場面ではソガのGKもよくなかったけれど(この数年の彼はキックの精度の低さが目立つ)、高崎も無理して胸トラップでバックパスするってプレーの選択がどうかしている。神戸での敗戦にも絡んでいるし、高崎、失点に絡みすぎ。よくも悪くも、キミは鹿島で今季もっとも目立っている選手のひとりだわ。
 そういや、後半は山村(植田と交替で前半から出ていた)を前線に上げてのパワープレーなんて、珍しい戦法も見せた。そこから惜しい場面も2、3作ったけれど、残念ながら山村のシュートはどれもGK真正面。それを見て、あぁ、こりゃ負けパターンだなぁと思った。後半の頭から小笠原を使ったのも、結果が出なかっただけにもったいなかった(あとひとりの途中出場は豊川)。
 なにはともあれ、この日で首位・浦和との勝ち点差は12と広がってしまった。ファースト・ステージ優勝は実質的にもう無理でしょう。これで残りはもう消化試合。あーあ、やっぱ2ステージ制はつまらん。
(May 03, 2015)

鹿島アントラーズ2-3FCソウル

AFCチャンピオンズリーグ・グループH/2015年5月5日(火)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 あぁ、アントラーズ、またもやACLグループリーグに散るの巻……。
 アントラーズとFCソウルとの試合を観るのはこれが4回目だけれど、これまで一度たりとも勝っていない。3敗1分で、その引き分けも決勝トーナメントでのPK負けに終わっているから、実質4連敗。それがまず、なによりくやしい。
 なまじ今年は相手の出来がよくなかっただけに、グループリーグ突破のかかった大一番──それもホームでの試合──に勝てなかったというのは痛恨の極み。監督のチェ・ヨンスとか、右サイドバックのチャ・ドゥリとか、代表でも悩まされた顔ぶれのいるクラブだし、代表でもクラブでも勝てないのかと思うと、ほんと忸怩{じくじ}たる思いだ。
 あぁ、この悔しさをオレはなにに例えよう……。
 この日のスタメンは、GK曽ヶ端、DF西、ファン・ソッコ、昌子、山本、MF柴崎、小笠原、遠藤、土居、カイオ、そしてなんと赤崎のワントップという布陣。
 前節、Jリーグで主力を休ませたので、この試合はベスト・メンバーで臨めるものと思いきや、まさかの金崎不在(足の打撲とかなんとか)。結局はこれがこの試合のキーだったという思わずにはいられない。
 いや、代役で今季初のスタメン起用にこたえた赤崎はえらかったと思う。いつも以上に先制点が大事な試合で、開始8分に見事なゴールを決めてみせたのだから。ゴール前でボールを受け、相手DFに詰められるよりも早く、かき上げるようなスイングでコンパクトに右足を振りぬいて、ゴール左へとボールを蹴り込んだあのシュートは素晴らしかった。
 でも、この1点を守り切って勝てないのがいまのチーム。だからあともう1点との期待もむなしく、前半のうちにセットプレーから同点ゴールを許し、後半に入ってわずか6分で、またもやセットプレーから逆転弾を食らってしまう。
 失点はどちらもCKから。相手のセットプレーが上手かったのか、こちらの守備が甘かったのか……。とにかく、あまりにきれいに決められてしまって、ぐうの音も出なかった。この大会、ここまで1点以上取ったことがないって相手に、セットプレーから2失点って……。
 とにかく勝たないことには終わりって試合だ。これでさすがに終わったかと思ったものの、柴崎の同点ゴールで一度はイーヴンに戻してみせる。柴崎らしからぬ泥臭いシュートにチーム・リーダーとしての彼の執念を感じた。
 さぁ、こうなれば、あと1点。前の2試合と同じく、ロスタイムでもいいから、あと1点、奪って是が非でも決勝トーナメントに駒を進めて欲しい──という願いもむなしく。この日、ロスタイムに得点をあげたのは相手チームだった。
 この3点目にはとても頭にきた。自陣のペナルティーエリア内のピンチで、こぼれ球をかき出せる位置にいた選手がふっと気を抜いたようにフォローに出遅れたところを、相手の10番(途中出場のコロンビア人モリーナ)にボールをかっさらわれて、シュートまで持っていかれてしまった。
 あのとき、鹿島の選手が一歩先に動き出して、ボールをクリアしていたら、おそらくあの3点目はなかったろう。あんな時間帯に大事な場面でなにぼけっとしてんだよ、おいっ! 誰だお前は!――ってリプレイで確認したら、なんとそれは……。
 小笠原くんでした。
 あぁ、よもやあの時間帯に小笠原がプレーの集中力を切らすなんて……。
 負けたのと同じくらい、その事実がショックだった。
 試合の終盤になって、トニーニョ・セレーゾは右SBの西に替えて梅鉢を起用したけれど、あの交替が小笠原とだったらば、また展開が違っていたのかも……と思ってしまった(あとの途中交替は赤崎→高崎、カイオ→本山)。
 さらに言えば、その決勝点のあとの数分間、諦めず最後まで戦ってほしかったのに、パワープレーにも持ってゆけずに、だらだら後方でボールをまわしていたのにも頭にきた。そんなところでボールまわしてたって勝てないだろー。さっさとロングボール入れろよぉ……。
 いや、選手を大幅に入れ替えていたとはいえ、J1最下位の甲府に負けるようなチームがACLで勝てるのかって、ちょっと不安ではあったんだ。それが予想どおり、やっぱりねって結果に終わってしまったのが悲しい。あぁ、無念……。
 結果として最下位に沈んでしまったとはいえ(超くやしい)、アントラーズのゴール数10はグループ内では1位だ。それほど得点力がある印象でもなかったけれど、それでも悪いなりに点は取れていたわけだ。問題はそれを上回る13という失点数。要するに守れなさすぎたのが敗因だってのが、はっきり数字に出ている。
 このACLにかぎらず、今年はとにかくミスが絡んだ無駄な失点が多すぎる。そこさえどうにかできれば、J1でもACLでも、もっと上を目指せるだろう。それにはまず目の前の一瞬一瞬のプレーに集中することだと思う。
 90分、絶えることのない集中力。──おそらくそれがなにより僕らに必要なものだ。それは選手だけの話ではなく、90分間の試合に百パーで集中し切れなくなっている昨今の僕にとっても。
(May 06, 2015)

FC東京0-1鹿島アントラーズ

J1・1stステージ第11節/2015年5月10日(日)/味の素スタジアム

 毎年恒例(にして僕にとっては、たいてい年に一度だけ)のスタジアム観戦、味スタでのFC東京戦。
 例年はバック・スタンドの真ん中あたりの自由席で観ているのだけれど、今年は勝手が違った。FC東京が現時点でリーグ第2位という好成績のところへきて、両軍合わせて9人の日本代表候補がいるという状況に、さらにはGW最後の晴天が加わり、スタジアムは僕がここへ来て以来、初の(ほぼ?)満員。4万2千を超える客の入り。
 なので余裕を持って出かけたにもかかわらず、入場するまでに随分と時間がかかってしまい(行列なげー)、僕がスタジアム内に入ったときにはすでにバックスタンド下層には空席がなかった。で、仕方なく、この日はFC東京側のスタンド上層で観ることになった。まぁ、坐れただけでもよかった。
 でも、たまにはゴールネット裏も悪くない。ゴールに向かってくる選手のプレーって、普段テレビでは観れないアングルなので、なかなか新鮮だった(反対サイドのゴール前のプレーが遠すぎるのがネックだけれど)。
 ただ、そういう角度から観ていて、いつも以上に気になったのが、ゴールを目指していないプレーが多いこと。
 僕の角度から見ていると、ゴール前でボールを持ったプレーヤーとGKの間にはなにひとつ障害物がない状況でも、なぜだかシュートを打たずに、横パスを出す選手がいる。
 なぜそこで前へ仕掛けて自らシュートを打たずに、ゴールから離れた選手にパスを出す? 僕がサッカーを真剣にやったことがないからかもしれないけれど、そういうのって見ていて本当に不思議に思う。長いことやりすぎていて、サッカーがどういう競技か、忘れちゃってるんじゃないだろうか。
 あと、ゴール正面に限らなくても、例えばサイドバックが敵陣深くへ切り込んで、相手DFと1対1になったりした場面でも、Jリーグだとあまり脅威を感じない。これが国際試合で強豪国が相手だったりすると、その位置でボールを持たれたら、もう危なっかしくって見ていられないって気分になるのに、Jリーグだとそうならない。それもやはりゴールを狙う意識が希薄だからだと思う。
 そういうところはまだまだ改善の余地ありだなぁと、ひさしぶりにサッカーを生観戦して思った。
 さて、この日のアントラーズは、GK曽ヶ端、DF西、ファン・ソッコ、昌子、山本脩斗、MF柴崎、小笠原、遠藤、土居、カイオ、そしてFW赤崎というFCソウル戦と同じスタメン。金崎がまだ出られないとは思わなかった。彼のプレーを見るのを楽しみにしてたので、見られずに終わってとても残念。
 対するFC東京はGK権田、DF徳永、カニーニ、森重、太田、MF米本、梶山、羽生、FW武藤、河野、東慶悟という布陣。
 前半、FC東京側のゴール裏から観ていて印象的だったのは、イタリア人DFカニーニの安定したプレーぶり。失点の少なさリーグ2位という今季の高い守備力は、この人の加入に負うところが多いんじゃないだろうかと思った。
 まぁ、ただチームとして守備は安定しているものの、攻撃はどうにも迫力不足かなぁと。この日は武藤にもこれといった仕事はさせなかったので、まったく怖くなかった。
 ――って、いや嘘だな。セットプレーはすごかった。精度高くて。太田のCKから何度ひやりとさせられたことか。あれ、こんなにセットプレーのいいチームでしたっけ? しっかりと守ってセットプレー(または武藤の個人技)で勝つ──そんな地味だけれど堅実なサッカーをしている印象。さすがイタリア人監督フィッカデンティのチームだなぁと思った。
 でも、とにかくこの日のFC東京は、流れからは点が取れる雰囲気がなさすぎた。
 こちらも相手のそんな守備力に阻まれて、あまり出来はよくなかったけれど、それでも向こうよりは多くシュートを打っていた。で、そのうちの一本で、土居がバイタル・エリアのこぼれ球を拾って、えいやと思い切りよく打ったシュートが、権田の手の届かない絶妙の位置へと転がっていって、ころころとゴールに転がりこんで、鹿島が前半のうちに先制。あたりそこないの力のないシュートだったから、ありゃりゃ、入っちゃったよって感じで、まわりのFC東京サポーターのため息が聞こえるようだった。
 1点を追う後半の頭からフィッカデンティは、羽生、河野を下げて、高橋秀人と前田を入れてきた(──のに、高橋が出ていることに後半の途中まで気がつかなかった駄目なやつは僕です。すいません)。
 対するトニーニョ・セレーゾも早めに動き、赤崎→高崎、ファン・ソッコ→青木とカードを切る。そして3枚目のカードでは、残り20分で土居に替えて植田を投入。完全に守りに入る。
 植田が入ったことで、ハリルホジッチに合宿に呼ばれた両チームの代表候補9人が出そろった(祝・遠藤&米本)。というか、気がつけばこの時点でピッチに立っているのは、ほとんどがなんらかの形での代表経験者だった。山本脩斗とカイオくらいじゃん、代表と縁がないの? すごいな、両チームとも。なんて豪華な対戦なんだ~。
 ──とは思ったのですが。結局スコアはその後も動かず。土居のころころゴールの1点がそのまま決勝点になるという、地味~な結果に終わりました。
 せっかくゴール裏にいるんだから、ゴールネットが揺れるシーンをもっと見たかった。それこそゴールが観られるならば、FC東京のゴールだってよかったのに。こういう日にかぎって、ようやく今季初の無失点試合って……。まぁ、それはそれでめでたいが。
 そういや、今季からFC東京でプレーしている前田は、ボールにはそこそこ触っていたけれど、決定機にはほとんど絡めずじまい。あの感じではスタメン落ちも仕方ないかなと思う。外国人FWが新加入したことだし、このままだとなおさら出番がなくなってしまうんじゃないだろうか。一時は代表のエースだったのだから、もうちょっと元気なところが見たい。応援してます(敵だけど)。
(May 12, 2015)

鹿島アントラーズ2-2サンフレッチェ広島

J1・1stステージ第12節/2015年5月16日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 土曜日の午後遅くの試合で、なぜだかとても眠くて、ソファでうとうとしているうちに前半が終わってしまったのだけれど、まぁ、スコアが動いたのは後半からだったので、とりあえず問題なしかなと。そんなサンフレッチェとの一戦。
 この日のスタメンは前節と一緒。違ったのはベンチに新外国人のジネイが入っていたこと。
 ジネイはスキンヘッドで長身の、愛嬌のある顔をしたブラジル人。この人、本当は1月に契約のはずが、メディカル・チェックで半月板損傷がみつかって破談(?)となっていたらしい。それが半年たって故障が癒えたのちに結局契約ということになったのだから、クラブとしてはけっこう高く評価しているんだろう。背番号は9だし(今季は欠番になっていることに気がついていなかったやつ)。
 そんな注目のジネイ、この日は後半途中からの出場だった。それでいきなりのゴールは出来すぎで、プレーヤーとしてのレベルはまだよくわからなかったけれど、それでも31という年齢のわりにはけっこうスピードもありそうだったし、これでその高さがちゃんと生かせるならば、頼もしい戦力になりそうだ。なんでも次節にはダヴィも復帰してくるって噂だし、こうなるとますます高崎の出番が少なくなりそうな……。
 さて、ジネイのデビュー戦となったこの試合──前述のとおり、前半については語れない──では、後半のしょっぱなにアクシデントがあった。山本が唐突に足を痛めて交替を余儀なくされてしまったのだった。仕方なく、伊東を入れて、西を左サイドへとコンバートするも、やはりこれ以降、左からのサイド攻撃はやや低調となった感あり。
 で、その交替のせいではないだろうけれど、そのすぐあとに、またもやミスから失点を許してしまう。バックパスを受けた曽ヶ端が、蹴りだそうとしたそのボールを横から佐藤寿人にかっさらわれて、よもやの失点。あまりにお粗末なプレーだった。
 ただ、この先制点は相手にもダメージがあった。ボールを奪ったときに曽ヶ端に足を蹴られた寿人が、それで怪我をして引っ込んでしまう。とはいえ、代わりに出てきたのが22歳にして先日の代表合宿に呼ばれて話題になった浅野拓磨だったから、その交替があちらにとって戦力ダウンになったのかは定かじゃないけれど。
 広島はここまで失点の少なさでリーグ1位ってチームだ。そんな相手に先制点を許してしまって、こりゃきびしいと思ったんだけれど、その劣勢をそのあと15分ちょいで見事に跳ね返してみせたのは偉かった。
 同点ゴールは土居がもらったPKを小笠原が決めたもの。ペナルティエリア内でドリブルを仕掛けて鋭く切り返した土居を、相手DFが思わず倒してしまった。土居がPKをもらうのは(僕が観た試合限定で)今季2回目だ。だんだんと相手にとってやっかいな選手になりつつあるのかもしれない。
 その3分後に生まれた逆転ゴールは、高い位置で相手のボールを奪いとって、一気に枚数をかけて相手ゴールに襲いかかった見事なものだった。決めたのはジネイだったけれど、その前に走り込んでいた柴崎や、ジネイのうしろにいた誰かが決めていてもおかしくなかったと思う。文句なしの逆転劇。
 よし、これで勝った!――と思ったのもつかの間。そのわずか1分後に同点ゴールを許してしまったのが頂けない。それもこれまたミスから。ファン・ソッコが相手のスルーパスに対応しきれず。するするっとこちらのDFのあいだを抜けてシュートまでもっていった広島の柴崎晃誠{しばさきこうせい}もうまかったですけどね。それにしたって、そこにボールが渡る前にプレー切れただろうーって思わずにいられない、残念な失点だった。
 その後、土居にかわって本山が出てきたりしたけれど、得点は奪えず。結局、試合はそのゴールで打ち止めとなり、ドローに終わった。
 広島の守備力がリーグ・ナンバー・ワンというのが伊達じゃないなと思ったのは、どのポジションでもこちらがボールを持つと、近くにいた選手が必ず猛然とチェックにくること。それもとりつくろっただけのおざなりな守備ではなく、積極的にボールを奪いとろうとしている意識が伝わってくるところが、敵ながらいいなと思いました。
(May 17, 2015)

浦和レッズ2-1鹿島アントラーズ

J1・1stステージ第13節/2015年5月23日(土)/埼玉スタジアム2002/スカパー!

 開幕から無敗で首位を快走する浦和レッズとの試合。
 本来ならJリーグ屈指の好カード──のはずなんだけれど、この試合、なぜかこの日のtotoの指定試合から外れていた。というのも、どちらかがACLで勝ち進んでいれば、翌週に行われる決勝トーナメントに配慮して、この日はオフとなったから(だからガンバ、レイソルは試合がなかった)。なのに両チームともグループリーグで脱落してしまったので、それでは試合をやりましょうと。そういう、ちょいと情けない試合だった。
 この日の鹿島には、スタメンに3つのサプライズがあった。
 ひとつ目はGKが佐藤昭大だったこと。ふたつ目は昌子が左サイドバックとして起用されたこと。そしてジネイのワントップだったこと。
 ということで、この日のスタメンは佐藤、西、植田、ファン・ソッコ、昌子、柴崎、小笠原、遠藤、土居、カイオ、ジネイの11人。結局、ダヴィはまだ戻ってこなかった(途中出場は夢生、充孝、高崎)。
 まぁ、ジネイについては、Jリーグ初登場の前節で、そのポテンシャルは十分に感じさせてくれたので、彼のワントップについては、それほど驚きはなかった──というか、現状ならば当然の感さえあった(そして結果も上々だった)。
 一方でGK佐藤の起用については、開幕戦といい、首位相手のこの試合といい、なぜにトニーニョ・セレーゾが大事なところで彼を起用してくるのか、その意図がまったく不明。GKについてもそろそろ世代交代を見据えていて、大事な試合だからこそ、若い佐藤にチャンスを与えて、大きな飛躍を促そうって意図なんだろうか。とはいえ、佐藤、この夏で29だそうだから、若いってほど若くもないけれど。
 もうひとつ疑問だったのが、昌子のSBでの起用──というか、むしろファン・ソッコのセンターバックとしての起用。もともとファン・ソッコはサイドバックも務まるユーティリティーが魅力って話だったから、故障でリタイアした山本の代役は当然、彼だと思っていたのだけれど、トニーニョ・セレーゾは昌子をサイドで起用してきた。
 なぜ?――と思ったこの采配。しかしながら、いざ試合が始まってみると、これがそれなりにあたる。浦和で売出し中のルーキー、関根貴大にほとんどそれらしい活躍をさせなかったからだ(少なくても昌子が対面にいた前半のうちは)。あえてそのために対人に強い昌子をサイドで起用したとするならば、それはそれですごいなと思った。そうした采配をふるったセレーゾも、そうまでさせたルーキー関根も。まぁ、おかげでこちらの左サイドからはほとんど攻撃を仕掛けられなかったけれど。
 試合はといえば、前半はほぼアントラーズのペース。ジネイがポストをしっかりこなせるおかげで、流動的な中盤がとてもいい感じでボールをまわせていた。得点こそ奪えなかったものの、内容的には今季一といってもいいんじゃないかと思った。首位相手にこの調子ならば、今年はこの先の巻き返しが期待できそうだとも。
 で、後半に森脇のオウン・ゴールによる先制点を頂戴して、してやったり、これで勝ったか──と思ったのもつかの間。またそのすぐあとに失点を許してしまうのが困ったもんだ。今年はほんと、こんなのばっかり。
 右サイドの深い位置まで転がっていったボールに、後半から出てきたズラタンが懸命に追いついてクロスを供給。その先に今季仙台から移籍してきた武藤雄樹がフリーで飛び込んできていた。あ~。
 この場面、決してカウンターのピンチって感じでもなかったのに、ズラタンを追った昌子がクロスを防げなかったのが致命的。あそこは先にボールをクリアするか、最低でもクロスを上げさせないようにしないと。でかい外国人に走り負けてどうする。
 この同点弾でもがっかりなのに、さらにそのあとに逆転まで食らうんだからまいる。中盤の深い位置でジネイがボールを奪われると、あれよという間にゴール前までボールを運ばれて、あっけなく失点。で、決めたのは先に名前をあげた関根。思い切りのいいシュートだった。
 関根はズラタンが李忠成と交替して出てきた後半途中から(だと思う)、左サイドへとポジションを移していた。結局、この交替から2得点が生まれたわけだから、ペトロヴィッチ采配がずばりとはまったってことなんだろう。ちくしょうめ。
 それにしてもここんところの浦和の補強はとても的確な感がある。興梠もすっかりワントップに定着しているし──彼がけがから復帰してこれで3連勝──、武藤とか、移籍話を聞いたときには誰それって感じだったのに、いまやなくてはならない戦力みたいだし。怪我で離脱中の石原にしろ、この日は出番がなかった高木俊幸にしろ、ズラタンにしろ、ちゃんといまのチーム・カラーにあう選手を選んで呼んできているなぁと思う。
 まぁ、やっているサッカーの内容自体にはこれといって感銘は受けなかったけれど、それでもこの日みたいな苦しい試合をちゃんと勝ち切っているのは大きいと思う。守備でも最後のところですごい集中していて、こちらがいい形でシュートまで持っていっても、最後の皮一枚のところで誰かしら足を出してくる、みたいな感じ。広島とは違う形で、失点の少ない理由を実感させられた。
 リーグ屈指の人気チームが的確な補強でなおさら選手層を厚くした上、ここぞの勝負強さも身につけてきたとしたら、今年のレッズはちょっとまずいかもしれない。
(May 24, 2015)

鹿島アントラーズ3-1松本山雅FC

J1・1stステージ第14節/2015年5月30日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!(録画)

 Jリーグで初となる松本山雅FCとの一戦。そしてこれが6月最後にして、おそらくファースト・ステージで僕が観る最後のアントラーズ戦。
 ──というのも、スカパーのJリーグ・パックを解約したから。来月いっぱいでファースト・ステージは終了だし、それまでの対戦相手もG大阪、川崎、横浜Mと、好カードがつづくから、あとひと月くらいは契約したままでいいかなとも思ったのだけれど、この先、娘の進学資金で経済的に悩むことになるのがあきらかな状況になったので、当面は節約第一を心がけることにして、泣く泣く解約することにした。
 ということで、二か月に渡ったアントラーズ三昧の日々を締めくくる最後の一戦──だったのだけれど。
 これがまた家庭の事情でリアルタイムでは観られず。
 でもまぁ、いまは(4月に買った)Apple TVのJリーグ・オンデマンドで観られるから、録画しないでもいいやって出かけて、後半の途中くらいに帰宅して、さぁ、最初から追っかけ再生で観ようと思ったら、なんと Apple TVでは観たい試合を選ぶと、途中経過が表示されてしまうという落とし穴。あぁ、スコアわかっちゃったよ……。さらには再生したら、試合の最初からが選択できず、無条件にリアルタイムの放送が再生されてしまうという二重の落とし穴。あぁ、いつもどおり、ふつうに予約録画しとくんだったよ……。
 ということで、結局試合の最後の10分だけをリアルタイムで観て、そのあと遡って最初からもう一度観る、というイレギュラーなことになってしまった。しかもそんな状況のころろへ、酔って帰ってきて、試合を観ながらも飲みつづけていたので、試合に集中できるはずもなく。結局、だらだらと流し観する感じで終わってしまった一戦。なってねぇ。
 この日のスタメンは前節のメンバーとほぼ同じで、ワントップをジネイから赤崎に入れ替えた形。途中出場は、青木、ジネイ、金崎。
 ジネイはよかったのに、どうしてスタメンでない?──と思ったら、ブランクが長かったため、ひさしぶりのフル出場で疲れが見えたから、とのことだった。でもそのかわりに出場した赤崎が2ゴールをあげるのだから、セレーゾ采配はずばり的中したことになる。
 試合は開始わずか5分で失点するという苦い立ち上がりから、赤崎の2ゴールで逆転して前半を終え、後半はそのままロスタイムに突入。そのあとカイオが個人技で追加点を奪って勝利した。
 赤崎の1点目は左サイドに開いた柴崎からのファー深くへのクロスを西が折り返し、そこへ赤崎が駆け込んできてピンポイントであわせたもの。2点目は右からのセットプレーのこぼれ球を逆サイドから狙い澄ました右足で蹴り込んだもの。どちらも決定力が光るゴールだった。こういう決定力の高さをコンスタントに発揮できるようになれば、スタメン定着も夢じゃなかろう。
 カウンターからドリブルを仕掛けてそのままひとりで決めたカイオの駄目押し弾も見事だったし──カイオとクロスする形で相手DFを引きつけたジネイもナイスだった──、この日の3ゴールどれもきれいな形でよかった。惜しむらくは早い時間帯の失点、それだけじゃないかって試合。
 松本山雅は田中隼磨とブラジル人FWのオビナくらいしか印象に残っていないけれど、まぁ、酔っ払いだから、それをしてどうこうはいえない。松本のホームでの試合は雰囲気がよさそうなので、セカンド・ステージでの対戦も観られたらいいなと思う。
(May 31, 2015)